おはようございます。
徐々に朝晩が肌寒くなってきた湘南地方です。
さて、「流行語大賞で学ぶ商標」第2回。
さっそくいきます。
(2)国家的プロジェクト?には当然のごとく知財面でもケア(「マイナンバー」)
そろそろ皆さんのご自宅にも届き始めた頃でしょうか、番号通知。
誰の利便性が向上するのやらよくわからない「マイナンバー」、
こういう公益的なものは、本来的には商標登録にはなじまないものです。
が、一方で
「商標登録を受けておくことで商売を有利に進めよう」
とか
「あわよくば売りつけちゃおう」
とか考える人も、もしかしたらいるかもしれません。
そんなことを見越して、このようなプロジェクト名の多くが
「国」によって出願されています。「マイナンバー」も例外ではなく、
2014年5月には出願され、既に登録されています(第5756402号)。
それも、「マイナンバー」とは無関係そうな商品/サービスについても。
ちなみに、「国」によって出願、と書きましたが
実際の出願人名は「内閣府大臣官房会計課長」。
国の出願は「○○大臣」名義か「○○大臣官房会計課長」のいずれかです。
…ところで、この登録に対して異議申立てがかかっています。
※「異議申立て」とは、登録された商標が本来登録要件を満たしていないものである場合に
第三者が行うことができる手続きで、異議申立書という書面を提出することで
3人の審判官の合議体による審理が行われます。申立が認められれば登録が取り消されます。
ただ、この申立人(=ベストライセンス株式会社)…ちょっと“業界内”では有名なとこですね。
今年の流行語大賞になっている言葉のうち
「爆買い」「ドラゲナイ」(=セカオワのDragon Nightですね。守備範囲広いな(笑))「オワハラ」「北陸新幹線」なんかも出願しています。
この会社については、例えばこんなまとめをご参照下さい。
さて、上記異議の話はひとまずおいといて、
「マイナンバー」絡みの出願は色々されています。
一部を上げると
・「マイナンバーbox」(商願2014-86897)
・「マイナンバー安心君」(商願2015-23006)
・「マイナンバー検定」(商願2015-27416)
などなど… 出願人はそれぞれ別の民間法人です。
これらの出願経過をみると、いずれも拒絶理由通知がかかっているか、既に拒絶査定がでています。
※出願経過について、アクションと大まかな理由まではJPlatpatで確認することができます。
そこでその理由を見てみると、
「第4条1項各号」又は「第4条1項各号(第4条1項11号~13号除く)」
と記されています。これはどういうことでしょう?
商標は「先願主義」、つまり同一/類似の商標を出願した場合の優劣は
“出願日の早い順”で決めます。この理由で拒絶される場合に通知される拒絶理由の条文が
「4条1項11号」です (★同業者の方々、簡略化してるのであんまり突っ込まなないでね♪)
「4条1項11号」がある意味典型的な拒絶理由であることからでしょうか、
JPlatpatでは「11号」については見て分かるようにしています。
我々はこの記載を見て、
“あ、この出願よりも前にこれと同一/類似があるのだな”という目印にします。
ちなみに、商標としてそもそも機能しない普通名称や品質表示など、独占性が認められない、
という拒絶理由は「3条1項各号」と表示されます。
ところが、上にあげた各出願の拒絶理由は「11号」以外の「4条」、ということです。
こうなると、ファイル閲覧をしないと本当のところはわかりませんが、
想像するに
「6号」=公益非営利事業の名称と同一又は類似
「7号」=公序良俗違反
「15号」=著名商標との混同の恐れ
のいずれかかなぁ、と思います。
このように、国の政策に関連する言葉を含む商標を採用しようとする場合、
登録には意外にネックがあるから、下手に流行に乗って出願しないほうが良い、
という点にも注意が必要です。
あー、結構論点が多いネタが続きますね。
第3回に続きます。
徐々に朝晩が肌寒くなってきた湘南地方です。
さて、「流行語大賞で学ぶ商標」第2回。
さっそくいきます。
(2)国家的プロジェクト?には当然のごとく知財面でもケア(「マイナンバー」)
そろそろ皆さんのご自宅にも届き始めた頃でしょうか、番号通知。
誰の利便性が向上するのやらよくわからない「マイナンバー」、
こういう公益的なものは、本来的には商標登録にはなじまないものです。
が、一方で
「商標登録を受けておくことで商売を有利に進めよう」
とか
「あわよくば売りつけちゃおう」
とか考える人も、もしかしたらいるかもしれません。
そんなことを見越して、このようなプロジェクト名の多くが
「国」によって出願されています。「マイナンバー」も例外ではなく、
2014年5月には出願され、既に登録されています(第5756402号)。
それも、「マイナンバー」とは無関係そうな商品/サービスについても。
ちなみに、「国」によって出願、と書きましたが
実際の出願人名は「内閣府大臣官房会計課長」。
国の出願は「○○大臣」名義か「○○大臣官房会計課長」のいずれかです。
…ところで、この登録に対して異議申立てがかかっています。
※「異議申立て」とは、登録された商標が本来登録要件を満たしていないものである場合に
第三者が行うことができる手続きで、異議申立書という書面を提出することで
3人の審判官の合議体による審理が行われます。申立が認められれば登録が取り消されます。
ただ、この申立人(=ベストライセンス株式会社)…ちょっと“業界内”では有名なとこですね。
今年の流行語大賞になっている言葉のうち
「爆買い」「ドラゲナイ」(=セカオワのDragon Nightですね。守備範囲広いな(笑))「オワハラ」「北陸新幹線」なんかも出願しています。
この会社については、例えばこんなまとめをご参照下さい。
さて、上記異議の話はひとまずおいといて、
「マイナンバー」絡みの出願は色々されています。
一部を上げると
・「マイナンバーbox」(商願2014-86897)
・「マイナンバー安心君」(商願2015-23006)
・「マイナンバー検定」(商願2015-27416)
などなど… 出願人はそれぞれ別の民間法人です。
これらの出願経過をみると、いずれも拒絶理由通知がかかっているか、既に拒絶査定がでています。
※出願経過について、アクションと大まかな理由まではJPlatpatで確認することができます。
そこでその理由を見てみると、
「第4条1項各号」又は「第4条1項各号(第4条1項11号~13号除く)」
と記されています。これはどういうことでしょう?
商標は「先願主義」、つまり同一/類似の商標を出願した場合の優劣は
“出願日の早い順”で決めます。この理由で拒絶される場合に通知される拒絶理由の条文が
「4条1項11号」です (★同業者の方々、簡略化してるのであんまり突っ込まなないでね♪)
「4条1項11号」がある意味典型的な拒絶理由であることからでしょうか、
JPlatpatでは「11号」については見て分かるようにしています。
我々はこの記載を見て、
“あ、この出願よりも前にこれと同一/類似があるのだな”という目印にします。
ちなみに、商標としてそもそも機能しない普通名称や品質表示など、独占性が認められない、
という拒絶理由は「3条1項各号」と表示されます。
ところが、上にあげた各出願の拒絶理由は「11号」以外の「4条」、ということです。
こうなると、ファイル閲覧をしないと本当のところはわかりませんが、
想像するに
「6号」=公益非営利事業の名称と同一又は類似
「7号」=公序良俗違反
「15号」=著名商標との混同の恐れ
のいずれかかなぁ、と思います。
このように、国の政策に関連する言葉を含む商標を採用しようとする場合、
登録には意外にネックがあるから、下手に流行に乗って出願しないほうが良い、
という点にも注意が必要です。
あー、結構論点が多いネタが続きますね。
第3回に続きます。