長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

白黒つけましょうや!!  『新世紀エヴァンゲリオン』の第12使徒レリエルは永久に不滅です ぷらちな~

2013年01月31日 23時00分49秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
《前回までのあらすじ》
 なんの前触れもなく第3新東京市に突如出現した浮遊する謎の巨大な球体は案の定、第12使徒レリエルだった!
 だがしかし、久しぶりの活躍に意気揚々と出撃したはずだったネルフのエヴァンゲリオン3機フルメンバーは、わずか「1分半」という戦闘時間の末に「エヴァンゲリオン初号機をまるっと喪失」という史上最大級の惨敗を喫してなすすべもなく撤退する。
 その後の解析の結果、レリエルの本体は空中の球体ではなくその「影」の部分であるらしいことが明らかとなり、初号機もその影から通じている別次元の空間に転移させられているのではないかという状況が推測されるのだった。
 破壊ではなく、あえて「拉致」という攻撃手段をとったレリエルの意図とは? そして、果たしてネルフは連れ去られた初号機を奪還し、この歴代もっともわけのわからないアプローチを仕掛けてくる使徒を殲滅することができるのであろうか!?
 っていうかぁ~、この「第12使徒レリエル編」は、年はまたぐは月はまたぐは、いったいいつまで続くのかしらぁ~ん!? God's only known.


 まずはちゃちゃっと、深夜のネルフ対策会議で開発主任が発言していた、レリエルの本体部分がこの地上世界と連結させているという、虚数空間「ディラックの海」について。
 なんだがおらもよぐわがんねぇんだげども、そもそもディラックっつうのはイギリスのポール=ディラック(1902~84)っつう、ノーベル物理学賞もさずがっだ量子力学のえらい先生の名前からとらっだんだそうで、ディラック先生は1928年に、電子の相対論的な量子力学を解析する方程式としてディラック方程式を考えつがれだんだそうです。ほんで、この方程式でいう、電子の負(マイナス)エネルギーのある空間のごどば「ディラックの海」ど呼んでみだらばよがんべ、ど提案すたんだそうで。この解釈だど電子の電荷(正・プラス)と符号が逆で大きさは同じ電荷を持ち、電子と同じ質量を持つ負の粒子(反粒子)がこの世界の、目に見えないどっかしらさ存在しているらすいごどが予言されだわげで、これはのづに、電子の反粒子である陽電子が1932年に発見されたごどで証明されるごどさなっだわけです。

 つなみに、おらのふるさとのご近所には「でっくら」ど呼ばれる土地があるわげなんだげども、でらっく先生とはあんまり関係はねぇんだずよねぇ~。山間部だがら海もねぇし。干し柿がうめぇんだげども。

 と、いうことで、話題が思いっきり苦手な数学・物理方面にいってるので、山形弁でよそさまの知識をまんま横流しするだけの処理で逃げさせていただきました……苦手だなぁ~、方程式! 入り口に方程式の書いてあるお札が貼ってあったら、私はその家に入ることはできません。

 まぁともかく、開発主任の語る予想が正しいのならば、レリエルがエヴァンゲリオン初号機をすっ飛ばした先の空間は、科学的に証明された「あなたの知らない世界」ということになるのですが、まぁ要するに日本の特撮の世界でいう、四次元怪獣ブルトンやらイカルス星人やら我らが異次元人ヤプールやらがお住まいになっている「異次元・四次元」と同じようなわけのわからない別宇宙ということになるのではないのでしょうか。
 でも、こんな意味不明なやつ、どうやって倒せばいいんだろうか……

 打開策は容易に浮かばず、このまま異世界に放り出されたエヴァンゲリオン初号機内の生命維持モードも限界をむかえ、理論値から推定すれば翌朝の夜明け直前に中の専用パイロットは死んでしまうだろう、という冷酷な予測が刻一刻と緊張と絶望の度合いを高めていきます。残された時間は、わずか数時間!

 ところで、今さらな説明になってしまうのですが、巨大人型兵器エヴァンゲリオンの人体でいう頚椎部分(背中と首のつなぎ目あたり)に位置しているパイロットのコックピット「エントリープラグ」の内部は、水のような液体でありながらも人体の肺臓からの栄養循環を可能にするという、非常に便利な「 L.C.L.」という溶液で満たされています。この言葉の略さない名称については「 Link Connected Liquid(リンク・コネクテッド・リキッド)」なのではないかという説も出ているのですが、正式なところはまだ発表されていません。色はだいたいオレンジ色でしょうか。ただし、コックピットとしての機能を通常に起動させた状態では、なんらかの操作で溶液の色はまったくの無色透明になるようです。
 この溶液は、アニメ本編を観ればわかるように、それに満たされてもなんら不自由なく、空気と同じように手足を身軽に動かすことができるという超スグレモノで、モニターを通してはもちろんのこと、同じプラグ内にいる相手ともまったく普通に会話をすることができます。そんな液体、あり~!?
 それでいて、溶液であることからエントリープラグ内は衝撃吸収性に長けていて、操縦しているエヴァンゲリオンがどんなにコテンパンに攻撃されていたのだとしても、エントリープラグそのものに直接衝撃が与えられない限りは、中のパイロットの肉体的な安全は絶対的に近い確度で保障されているわけなのです。ただ、脳を通じてエヴァンゲリオンからパイロットに加えられてくるヴァーチャルなダメージはもちろん痛いわけなんですが……

 ただ、だとするのならば、0号機専用パイロットがことあるごとにしつこくアピールしてくる、あの血まみれの包帯だの吊り包帯だの眼帯だの松葉杖だのといった、「エヴァンゲリオンに乗るたんびに生じるらしい」負傷の数々はいったい、なんなんでしょうか……まさか、彼女の壮絶すぎる自作自演!? それとも、「出自が出自」だけに、人一倍身体が弱いのだろうか。
 そういえば、第11使徒イロウルと第12使徒レリエルとの間にある2話ぶんのエピソードでは、この0号機専用パイロットがネルフの怪しい総司令の特命を受けて謎のミッションのために0号機を機動させていたり、ネルフ本部の地下にある秘密部分「セントラルドグマ」の一室で、くだんの L.C.L.とおぼしきオレンジ色の液体に満たされた、でっかい試験管のような装置にどっぷりつかってたゆたっているといった、観ている人をただただ困惑させる新展開が矢継ぎ早に披露されていました。
 つまり、前回の対イロウル戦と今回の対レリエル戦とのあいだで、彼女の本質は「人間らしくない雰囲気のヒロイン」から、「ほんとに人間じゃないかもしれない最重要キャラクター」にガラッと変容してしまったわけなのです。こいつぁかなり大きな方向修正ですよね。

 と、言いつつも、このままいってしまうと使徒検証シリーズじゃなくなってしまうので彼女についての詮索はここまでにしておきますが、一言でまとめてしまうのならば、彼女も含めたあらゆるポイントで今まで配置されていた物の中身が「変わってしまった」のが TV版の『新世紀エヴァンゲリオン』の後期エピソード群から『旧劇場版2部作』までの流れで、その変わり方を徹底的に避けた新しい方向性を模索しているのが現在も制作進行中の『新劇場版』なんじゃあないかと思うんですよね。いろいろありましたけど、まだまだ『新劇場版』の0号機専用パイロットはヒロインのままでいられていると思うんです。ただしその点で『新劇場版』は、主人公だのヒロインだの敵だの味方だのといった記号がすべて途中から解体されていってしまう旧シリーズよりも、見ようによっては「古くさい」作品になっている、とも言えるのではないのでしょうか。良い意味でも良くない意味でも、破綻のない正調活劇になっていると思うんです。『Q』のぶっとび方だって、昔にくらべたらずいぶんとかわいいもんでしょ?


 話がかなりズレてしまいましたが、いずれにしても、あのレベルの負傷が L.C.L.いっぱいのプラグ内で繰りひろげられていたのだとしたら、そりゃ~もう一瞬で内部は映画『ジョーズ』のような血なまぐさい真っ赤なモヤモヤでなんにも見えない惨状になるはずなのです。そんなの TVで放送できるかいな!

 ともかく、そんなわけで中のパイロットの生命だけは保障されている初号機のエントリープラグなのですが、その限界時間ということはつまり、プラグに内蔵されているであろう、パイロットに酸素を供給して二酸化炭素を処理する循環装置の電源が切れてしまうリミットということになるのでしょうか。
 あわれ、初号機専用パイロットである男子中学生14歳、夜明け前になすすべもなく溺死!?


「彼にはかなり悲惨な最期をとげていただくことになってしまい、私としても本意ではないのですが……でも彼この前、2号機専用パイロットの娘さんと接吻したんでしょ? じゃあこの世にもう未練はないんじゃないんでしょうかねぇ。ただ、死んでいただく前に、わたくしの役には立ってもらいますよ、ふふふ……」


 ほっといても死んでしまう初号機専用パイロットを前にして、何を思うレリエル!? でも、あのキッスは誰も得しない、冥土の土産にするにはあまりにも不毛な「若気のいたりもの」だったわけで……男子中学生、ここで死んじゃあ~なんねぇ!!


 さて、お昼すぎの戦闘以降の物語のシーン描写は、地上で反撃の機会をうかがうネルフの野戦対策本部と、「ディラックの海」の中でなすすべもなく救出を待つエントリープラグ内の初号機専用パイロットのもようとが交互に切り替わっていく形式になっていきます。
 なので、今後の時間の推移については、このシーンの順序がそのまま時間順であるとバカ正直に解釈して検証を進めていきたいと思います。そうでもしないと、何を信用していいのかがさっぱりわかんなくなるのが『新世紀エヴァンゲリオン』!

 まず、まだ空に夕焼けのあとが残っている日没直後の対策本部の様子が描写され、次のシーンはいよいよ、異空間に投げ出されてしまった初号機の番となります。

 初号機内部のエントリープラグ。内部はどうやら節電モードになっているらしく無音でうす暗くなっており、初号機専用パイロットも前面モニターの電源を切ってうすらぼんやりと座席に腰かけています。
 ふと、思い出したようにモニターに電源をつけてみたりもするのですが、そこに映し出されるのは完全な「真っ白けっけ」の世界。何も見えません。彼の発言から、初号機から発信するレーダーやソナーもまったくの無反応であることがわかります。
 自分のプラグスーツの手の甲に内蔵されている、生命維持モードの経過時間をしめすデジタル表示は「12:03:45」。


「生命維持モードに切り替えてから12時間。(ため息をついて)僕の命もあと4、5時間か……おなか、すいたな。」


 この描写から、このときの時間が、あの戦闘から12時間後。日がかわった深夜0~1時くらいであることがわかります。
 すでにあれから、いたずらに半日も時間が経ってしまったことがわかるわけなのですが、その間に彼もパニックし飽きてしまったのか、それとも最初から死を覚悟していたのか、この時点では精も根も尽き果てたといった感じでぐったりしています。
 生命維持モードのタイムリミットを前もって把握していたような上のつぶやきからも、パイロットがある程度は自分の置かれている状態を冷静に理解していたらしいことはわかるのですが、目元に、疲労か泣きはらしたかでくまができているのが細かくてリアルですね。
 それにしても、あのエントリープラグは座席の背後にがっつり重要そうな機器がすえつけられているので、おそらく座っているシートのリクライニングは不可能ですよね? さすが14歳。半日おんなじ座席で寝そべりなしはそ~と~キツかっただろうに、えらい!! 生きて帰ってこれたら、腰はいたわれよ!

 こういったエントリープラグの1回目のシーンの後、画面は地上にもどり、前回にも取りあげた、開発主任によるレリエルの解析結果の発表シーンが展開されます。つまり、ネルフがレリエルの正体と初号機生存の可能性をしかと認識したのは、初号機専用パイロットの生命のタイムリミットもあと数時間という危なさになってきたド深夜のことだったのです。本編を見ているとすぐにレリエルのことがわかったような印象になるのですが、実際には開発主任もかなり苦戦していたんですね。おそらく、深夜1時すぎにホワイトボードを使っておこなわれた彼女の説明に、思わず居眠りをぶっこいてしまったネルフ職員もゼロではなかったのではないのでしょうか。人類防衛業はつらいよ!!

 そんなこんなで、「レリエルの正体はだいたいわかったんだけど……これからどうしよっかぁ~。」という、さらなる混迷をまねきかねない空気が対策本部を支配してゆく中、シーンはふたたび初号機のエントリープラグ内に移っていきます。

 ここからの幾度かのエントリープラグ~対策本部間のやりとりは、具体的にそれぞれのシーンの時間が深夜の午前何時ごろなのかはまったく語られていないのですが、次第に切迫していく状況を非常に的確にピックアップしています。

 切り替わったエントリープラグの内部シーンでは、いつのまにか自分の周囲の L.C.L.溶液がにごって本来のオレンジ色にもどり、しかもなんだかよく見てみれば、白いフワフワしたほこりのようなゴミがそこら中に漂っていることに初号機専用パイロットが気づきます。

「水がにごってきてる……浄化能力が落ちてきてるんだ!」

 と同時に、自分が呼吸(?)している溶液が鉄くさい血の味になってきていることにもかなり動揺し、パイロットは途端にパニック状態におちいってしまいます。
 パイロットの発言の通り、おそらくこれらの L.C.L.の変化はエントリープラグの残された電力がかなり少なくなってきた影響だと思われるのですが、と同時に、混乱する男子中学生の脳裏には、

「ちょっとパワーが落ちたからといって、たった数時間でそんなにこれみよがしにヘンなゴミだらけにならなくたっていいじゃないか……ちゃんと乗る前に洗浄してプラグスーツを着てるのに、僕のからだはそんなに汚れてるっていうのか……やっぱり大人になんてなりたくない、嫌だ!!」

 という、思春期特有のセンシティヴな絶望感がよぎっていたのではないのでしょうか。ほら、14歳くらいは代謝がいろいろとアレだから。


 いっぽう、そんな極限状態におちいりつつある男子中学生の危機を知ってか知らずか、第3新東京市市街地の対策本部ウラでは、開発主任が密かに作戦指揮官ひとりを呼び出して「ある作戦」の即時決行を提案します。う~ん、主任は今回もなんだか前に出てくる。


作戦「エヴァーの強制サルヴェージ!?」

主任「現在、可能と思われる唯一の方法よ。
   992個、現存する全ての N2爆雷を中心部に投下。タイミングを合わせて残存するエヴァ2体の A.T.フィールドを使い、使徒の虚数回路を1/1000秒だけ干渉するわ。その瞬間に爆発エネルギーを集中させて、使徒を形成するディラックの海ごと破壊する。」

作戦「でも、それじゃあエヴァーの機体が……シンジ君がどうなるか。救出作戦とは言えないわ!」

主任「作戦は初号機の機体回収を最優先とします。たとえボディが大破しても構わないわ。」

作戦「ちょっと待って!」

主任「この際、パイロットの生死は問いません。」

思わず激昂し、開発主任に強烈な右ビンタをくらわす作戦指揮官! 軽快に吹っ飛ぶ主任の銀ぶちメガネ!!

主任「……シンジ君を失うのは、あなたのミスなのよ!? それを忘れないで!」

作戦「碇司令やあなたが、そこまで初号機にこだわる理由はなに?(主任の胸ぐらをムンズとつかみ)エヴァーって、なんなの!?」

主任「あなたに渡した資料が全てよ!」

作戦「……嘘!」

主任「ミサト……私を信じて。
   この作戦についての一切の指揮は、私が執ります。」


 作戦指揮官をにらみつつ、落ちたメガネを拾い上げる開発主任。あわただしく携帯電話かトランシーバーのようなもので連絡をとり、「関空にも便を回すわ。航空管制と空自(航空自衛隊)の戦略輸送団に連絡を。」とテキパキ指示を出しながら本部に戻っていきます。

 引用が長くなりましたが、ここの2人のやりとりは内容からいっても声優さんがたの名演からいっても非常に見ごたえのあるものとなっており、対レリエル戦の切り札という急展開もさることながら、「ネルフが、っていうかネルフの怪しい総司令が初号機の機体を並外れて重要視していること」「エヴァンゲリオン初号機に関する、作戦指揮官の全く知らない秘密を総司令と開発主任が知っているらしいこと」「開発主任が初めて明確に作戦指揮官のネルフ上層部に対する不満を(身をもって)認識したこと」などがつるべ打ちで提示されていくという、濃密この上ない名シーンになっているのです。
 「私を信じて。」と言いつつも、2人の大学時代以来の仲を感じさせるこの一言にかぎって!実に居心地悪そうに作戦指揮官から目をそらしている開発主任のバカ正直すぎるウソのつき方が愛らしいです……あんたはおかたづけで皿を割った小学生か!?

 このやりとりによって、作戦指揮官のネルフに対する不信感は決定的なものとなってしまうのですが、この時に開発主任が提案した「初号機サルヴェージ作戦」の規模は、今さら指揮官がダメと言おうがイヤンと言おうが止めようのないスケールのものとなっており、よくよく考えてみれば、もともと主任側に、指揮官に作戦のイニシアティヴをとらせるつもりはさらさらなかった、「提案」というよりも「事後通告」に近いものだったようです。
 それは確かにそうで、この作戦の元手となる「992個の N2爆雷」のほとんどの保有組織は日本の自衛隊か国連軍であることが明らかになっているわけで(ネルフもいくらか保有しているらしいことはのちのエピソードでわかる)、主任が作戦指揮官のビンタをくらった直後にもかかわらず大急ぎで輸送準備を指示していたように、あの対第5使徒ラミエル戦のときの「日本全国停電させ~のヤシマ作戦」のような、組織や国境の壁を越えた人類規模の一大決戦のための準備を、まさに「夜明けまでの数時間」のうちに完了させなければならかったわけなのです。
 これが L.C.L.循環機能の低下したプラグ内シーンの後に置かれているのですから、先ほどの発言に出た「4~5時間」もなかったことは明らかなのです。できんのか!?

 この大作戦のおおまかな流れは、その中でエヴァンゲリオンがになう役割こそ微妙に違ってはいるものの、「使徒の A.T.フィールドを無効化させたところをフルボッコ」という部分においては、過去の第6使徒ガギエル、第9使徒マトリエル、第10使徒サハクィエルに対しておこなった殲滅方法と同工異曲のものとなっています。ガギエル戦では一時的に通常以上の馬鹿力を発揮する「覚醒状態」になったエヴァンゲリオン2号機の活躍のため、マトリエル戦では偶然にもいちばん A.T.フィールドの守りが弱くなっていた部分を初号機がピンポイントで銃撃したために使徒のみなさんは比較的あっけなく苦杯をなめることとなってしまったわけなのですが、最近のサハクィエル戦ではエヴァンゲリオン3機が総出撃でギリギリ食い止めて殲滅にこぎつける、という危うさになっていました。同じような手法の焼き直しという感じなのですが、今度の正体不明すぎる使徒レリエルに対してはいったいどこまで通用するのでしょうか……

 確かに、「エヴァンゲリオン以外で使徒に通用する人類唯一の兵器」ともいわれる、核兵器なみの破壊力を誇る N2兵器は、かつて地雷型や投下型といった形式で第3使徒サキエルや第7使徒イスラフェルの活動を「一時停止させる」功績を挙げてはきたわけなのですが……最後に使われた、宇宙空間の第10使徒サハクィエルに対してはまったく効かなかったよね!? 今までのような数発のチビチビ投入とはまるでスケールが違う992個全弾投下とはいえ、大丈夫なのかしら。

 それにしても、このサルヴェージ作戦の精神は、「とにかく全力でぶち当たれ!!」という、全盛期の作戦指揮官の理念を思いださせるものとなっており、「作戦指揮官だけだと思ってたのに……ネルフにはそんな特攻野郎しかいないのか。」と人類を慄然とさせるムチャクチャ感があるのですが、置いてきぼりにされた作戦指揮官の指摘するとおり、そこには「人質(初号機)がどうなろうがレリエルは殲滅する!」という尋常でない姿勢とともに、

「992個の N2爆雷の一斉爆発に巻き込まれても、ネルフが回収したい初号機の『なにか』は大破せずに確保できる。」

 という不気味な確信があるわけなのです。
 それが「初号機の機体」でも「パイロットのいるエントリープラグ」でもないことは開発主任の発言からわかるのですが……ひょっとすると初号機だけでなく、作戦に参加する2号機も0号機も、第3新東京市さえもがまるまるパーになりかねない賭けに出てでも怪しい総司令が取り返したかったその『なにか』とは、果たして何だったのでしょうか。謎が謎を呼びすぎ!!

 余談ですが、このやりとりで2人は初号機の専用パイロットの生死をめぐって激しく言い争っているのですが、そのいっぽうで2人が2人とも、2号機と0号機の専用パイロットの安全をまったく話題にしていないのがなんだかコワいですね。まぁ、それだけエヴァンゲリオンの機体とエントリープラグが信頼できるということのあらわれなのかも知れませんが……子どもの人権110番に、今すぐアクセス♪


 さて、そんな感じで地味~に始動するネルフ史上&人類史上最大級の大爆発作戦だったのですが、そのころレリエルの手中におちいった初号機のエントリープラグの中ではなんと! 1990年代日本アニメの「伝説のはじまり」を大いに予感させる、まさしく「次元が違いすぎる」異常な闘いが繰り広げられようとしていたのであります!!


「そろそろ、彼の意識ももうろうとしてきたころでしょうかね。外の世界ではなにやら人類のみなさんがガタガタ準備をなさっているようですが、私もいよいよ本腰を入れてお仕事をさせていただきますよ……時まさに、闇のもっとも深くなる夜明け前。今までの先輩がたのやり口とはひと味違った、わたくし『夜の天使』レリエルの料理をとくとご覧あれい! へんし~ん、くるりんぱっ☆」


 生命の危機に瀕する初号機専用パイロットの前に現れたのは……これはなんと、どことも知れぬ夕暮れの電車の中にちょこんと腰かける、彼とまったく同じ声を持つ「少年時代の彼」!? たぬき? たぬきのしわざなの?

 正体不明の第12使徒レリエルの真のねらいが明らかになり、そして同時にあまりにも残酷なわかれのときが訪れる、悲しみトワイライトな結末は、まった次回のココロだ~!


 ……ホントにもう、次でいい加減にしとこうな、ウン。
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白黒つけましょうや!!  『新世紀エヴァンゲリオン』の第12使徒レリエルは永久に不滅です ソウルシルバー

2013年01月18日 14時46分09秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
《前回までのあらすじ》
 第3新東京市に1ヵ月半ぶりの使徒出現!
 久々の出撃に血気はやるエヴァンゲリオン3機だったが、その中でも特に、前日のハーモにクステストでシンクロ率トップに輝いたことに気を良くしたのか、いつになく主人公きどりで先制攻撃をしかけた初号機専用パイロットが使徒の謎の反撃にさらされることとなってしまった。やっぱ、慣れないことはするもんじゃねぇなぁ!!


「おう、そこのムラサキのん! ワレけぇ、いきなり撃ってきたんは!? ワレぇ、人がのんびり街を歩いてるときに、よぉも劣化ウラン弾ブチ込んできてくれたのう!! ちょっと話があるけぇ、ウチんとこ来てんか!? ちぃと暗いとこやけど、広くて話もしやすいけぇのう!!」

 なんと、高層ビルの陰からの初号機による不意のハンドガン射撃を一瞬にして回避した謎の白黒模様の巨大球体は、テレポーテーションのように一気に初号機の上空に瞬間移動し、そのとたんに球体の影になった部分は漆黒の底なし沼のような状態に変質! ガードレールや電柱、乗り捨てられた自動車などとともに、ふつうのアスファルトに立っていたはずの初号機もまた、足元からズブズブと地中に沈んでいく緊急事態に!!

 このとき、それまで球体が第3新東京市上空をただよっていた時点では「使徒と認識できない」という意味の「パターン・オレンジ」という判定をくだしていたネルフのスーパーコンピュータ・MAGI(マギ)も、いったん消失したあとでふたたび初号機の直上に出現した段階で「パターン・青」、つまりは「使徒出現」という判断をくだしました。

 これで状況ははっきりしました。あの巨大な球体はまごうかたなき使徒! 第12使徒レリエルです!!
 でも、わかったところでもう遅いっつうの!

 自分をじょじょに飲み込んでいく地表の黒い影! 初号機は足をとられつつも影にハンドガンを連射して逃げようとしますが、弾丸も影に飲まれていくばかりでなんの効果もありません。足首……膝……腰! 刻一刻と確実に、初号機の機体は黒い沼のような影の中に。

初 「ミサトさん(作戦指揮官のこと)、どうなってるんですか!? ミサトさん! アスカ! 綾波! 援護は? ミサトさん、聞こえてます!?」

 通信を通じてネルフ本部に響きわたる初号機専用パイロットの絶叫。予想をはるかに超えた使徒の攻撃に唖然とする作戦指揮官も、なんとか気を取り直してパイロットの脱出を思いつきますが……

作戦 「(エントリー)プラグ射出! 信号を送って!」
オペ 「駄目です! 反応ありません!」

 初号機専用パイロットを、搭乗しているコックピットにあたるエントリープラグごと、エヴァンゲリオン初号機の機体から空中に射出させて脱出をはからせようとした作戦指揮官だったのですが、時すでに遅し! その時点ですでにエントリープラグのある初号機の背部は闇の中に沈んでしまっていたのです。

初 「ミサトさん!? ミサトさぁあー……(プツッ)」

 ついには初号機の頭部のてっぺんにあった一本角のようなアンテナ部分までもが沈みきり、第3新東京市の地上からエヴァンゲリオン初号機の姿は完全にかき消え、その瞬間にエントリープラグの専用パイロットからの通信もまったくの不通となってしまいました。

 かなり以前にも触れたように、巨大人型決戦兵器エヴァンゲリオンの実際の身長はアニメ本編中の演出によってシーンごとにちょいちょい変化しているのですが、TVシリーズの放映されていた当時では、監督の庵野秀明さんがつねづね範とする円谷プロの『ウルトラシリーズ』の主人公・ウルトラ兄弟の巨大化したときの身長「40m」くらいである、とされています。もちろん、現実的に統一された寸法よりも「そのカットごとに映えるスケール」を優先するこの演出も、ウルトラシリーズの伝統であります。
 ちなみに、エヴァンゲリオンのはっきりしない身長設定は現在の『新劇場版』シリーズになってからも変更はないのですが、どうやら今現在の多くのシーンでは「80m」サイズにまで巨大化しているようですね。それじゃ、ウルトラマンっていうよりもゴジラじゃないっすか!
 っていうかさぁ、エヴァンゲリオンがそんな大きさだったら、『新劇場版・Q』のクライマックスで「あそこ」にゴロゴロころがってた「されこうべ」はなんの骨だったのよ!? やっぱエヴァンゲリオンのプロトタイプ諸先輩がたのお骨だったのかしら……それをあんなにガッチャガッチャ踏みつけちゃあ、いかんわよねぇ……合掌。

 んなこたぁ今はどうでもいいんですが、ともあれ、そのように最低でも40m の巨大さを誇るはずのエヴァンゲリオン初号機が、たった30秒間のうちにまるっと謎の空間に飲み込まれてしまった!

 エヴァンゲリオンが……しかも、ネルフ本部の虎の子である初号機がパイロットごと消失してしまった。いうまでもなく、これはネルフはじまって以来の異常事態にして大ピンチです。そして、それをやった使徒はいまだに第3新東京市のど真ん中で活動中!!

2 「あのバカ……模試だけ満点とったってしょうがないじゃない!」

 使徒のいるポイントに急行しながら、いまいましげにつぶやく2号機専用パイロットのドイツ娘。でも、あなただってその模試の結果であんなにメンタルをぐわんぐわん動揺させてたじゃないですか……実に彼女らしい、自分のことを棚にポンポン上げまくった発言です。

 ここで、初号機の独断によるハンドガン発砲から開始されてしまった対レリエル戦の推移を、時間ごとにおって整理していきましょう。
 例によって、時間は物語のなかで公表された正確なものではなく私そうだいが映像から「だいたいこんなものだろう。」と類推した完全な予測ですので、あしからず!


正午12:00ごろ 第12使徒レリエルが第3新東京市市街地に突如出現

12:30ごろ   住民避難も完了していない段階で、ゆっくり移動するレリエルを3機のエヴァンゲリオンが包囲(この段階では、少なくとも初号機と2号機がレリエルとビル1つへだてた近距離に配置されている)
       作戦指揮官により、エヴァンゲリオン1機がおとりとなってレリエルを誘導し、第3新東京市市街地から離れた地点で3機が総攻撃をしかけるという作戦が立案され、2号機専用パイロットの進言により初号機がおとりを務めることとなる

12:35     第3新東京市の住民避難が完了

13:00:07   市街地をなかなか出て行かないレリエルに初号機が業を煮やし、他の0号機や2号機の準備を待たずにハンドガンでレリエルに発砲するが、着弾の寸前でレリエルが消失

13:00:15~45 再び出現したレリエルが初号機と交戦し、初号機がなすすべもなく地表の影部分に吸収され消失する

13:00:45~13:01:00 作戦指揮官の命令により2号機がレリエルに接近し、0号機が遠距離からスナイパーライフルで狙撃するが、またしても着弾の寸前でレリエルが消失する

13:01:00~25 みたび出現したレリエルが2号機と交戦するが2号機は高層ビルの屋上に退避し、作戦指揮官が命令中止を指示する
       その後もレリエルの影部分は拡大し、直径680m となった段階で停止する


 ネルフ側が作戦を決定した「12:30」と、実際に初号機の発砲によって作戦が始まった「13:00」との間隔はもっと短いのかもしれませんが、作戦会議の段階では数歩でレリエルに近接できるような距離にあった2号機が、作戦開始の時点では15秒間全力ダッシュしてもたどり着けないような距離にいたということは、そのあいだにじりじり移動をともなうけっこうなタイムラグがあったのではないか?、と推定させていただきました。
 あと、劇中でレリエルといっしょに映っているカットのなかった0号機は、スナイパーライフルで狙撃したのが0号機であるのにそれを回避したレリエルが次に選んだ相手が2号機であるという、「ミョ~なあぶらしっこ(山形弁であぶれもの・シカト対象の意)扱い」になっているのですが、これは0号機の使用した兵器が遠距離攻撃用のものだったことから見ても、常にとびぬけてレリエルから遠い地点にいたからなのでしょう。
 でもそうだとしても、0号機が撃ったのにネルフ本部にいた開発主任(金髪染め)が即座に「アスカ(2号機)、気をつけて!」と指示していたやりとりは不自然な感じがしますよね……こんな細かいポイントにも、なんとな~く開発主任と0号機専用パイロットとのかみ合わなさという伏線を仕掛けているスタッフ陣には頭が下がってしまいます……って、こりゃ邪推っすかね!?

 ただ、ここで見逃せないのは、レリエルが単純に「攻撃した相手に反撃する」というだけの行動原理で動く使徒なのではない、ということですよね。それだったのならば、レリエルが初号機のあとに襲ったのは0号機であったはずなのですが、実際にはまったく攻撃をしかけていない近場の2号機を標的にしていたわけなのです。しかも、まだレリエルに接触できていなかった時点での2号機を!
 つまり、レリエルは最初っから、ビルの陰に隠れているとかなんとかいうことはいっさい関係なく、エヴァンゲリオン3機の位置を完全に把握しておきながら、そ知らぬ顔(顔ないけど)でふよふよ散歩を続けていた、ということになるのです。ネルフ側の混乱をねらって! 
 レリエル……恐ろしい子! 前回の第11使徒イロウルのエヴァンゲリオンの無視っぷりもそうとうに恐ろしいものがありましたが、今回のレリエルはそれとは正反対に、「エヴァンゲリオンだけに的をしぼっている使徒」だったのです!


「はっはっは。使徒をそんなに怒らせるものじゃあありませんよ。それじゃあ、今日はここでひと休みさせていただくことにしましょうか。本来ならば住む場所ではないこういった高層ビル街でキャンプするのも、たまにはいいものですねぇ~。」


 ともあれ、ネルフ本部側はたった「1分30秒ほど」の作戦で、レリエルに第3新東京市市街地を占拠されたうえに初号機を文字通り「失う」という史上最大級の大敗を喫してしまいました。これが怪しい総司令の不在時に発生しちゃったもんなんですから、作戦指揮官にのしかかる責任問題は回避不可能かしら!?

 そもそも、今回の大敗の原因はどこにあるのかと考えてみますと、そりゃもう自軍の準備もできていない段階で、しかも被害の拡大する可能性の高い市街地でレリエルとの戦闘を開始させてしまった初号機専用パイロットの「独断専行・作戦無視」に最大の責任があるわけなのでしょうが、作戦会議からのネルフ側の一連のやりとりをよくよく見てみますと、具体的に「どうやっておとりとしての役目を果たすのか」というところを全然はっきりさせなかった、かつ、最近めずらしく調子に乗っている初号機専用パイロットがおとりになることを最終的に承認してしまった作戦指揮官のぼんやりっぷりがいちばん悪いような気がするんですが……どうでしょうか。少なくとも劇中では「撃つな」とは言ってないんですよね。だからこそ、一向に使徒らしいことをしてこないレリエルに初号機専用パイロットが「ちょっと撃ってみっか。」と考えてしまったとも言えるのではないでしょうか。ここらへんは直接的な失態は演じていないものの、やっぱり「なにもしていないことこそが最大の失策」という監督ミスなんじゃあなかろうかと。ついこの前まで、頭がどうかしているとしか思えない『ウルトラマンタロウ』の防衛チーム「ZAT(ザット)」もはだしで逃げ出す根性至上主義的な超デンジャラス作戦をバンバン連発していた作戦指揮官とは思えない「存在感のなさ」でした。

 ただしここには、なんの予兆もなしにレリエルが第3新東京市のど真ん中に出現したからという準備の足りなさもあったのでしょうが、それよりももっと深刻なものとして、最近になってヨリを戻した2号機専用パイロット保護者代理のおじさんが日本政府のスパイであるという衝撃的事実が明らかとなり、さらにその彼から、自分の所属しているネルフという組織がいかに正体不明で秘密の多い、信用しがたいブラック企業であるのかを語られていた彼女の、今までどおりとはいきがたい心理的大混乱が大きく影響していたのではなかったのでしょうか。
 一見すると2号機専用パイロットの凋落っぷりが表だってくる、今回の対第12使徒レリエル戦以降の『新世紀エヴァンゲリオン』なのですが、それとほぼ同時進行で典型的な陽性キャラクターだったはずの作戦指揮官がどんどん疑心暗鬼におちいりシリアスになっていくというシフトも見逃せないものがあります。とにかく、あらゆる方面で「たった1ヶ月前」までのあの日々が懐かしく思えてきてしまう作品の変質が無情に始まっていってしまうのが『新世紀エヴァンゲリオン』後半戦の恐ろしさであり、魅力でもあるのです。前半戦の能天気な空気は、もうかえらない……


 さて、いつもどおり普通に過ぎていこうとしていた、ある晴れた日のお昼にあっという間に発生してしまった第12使徒レリエルの第3新東京市侵攻だったのですが、レリエルは初号機を地面の暗黒空間に吸収して以降は具体的な活動をいっさい停止してしまい、少なくとも地球人類を絶滅させる「サードインパクト」を誘発するようなアクションは起こさなくなってしまうのです。最初に出現した段階でも逃げまどう住民を尻目にの~んびり空中散歩を楽しんでいたし、今回の使徒は今までの使徒たちにあまねくあった「ガッツキ感」がまるでありません。まぁ、寝ている間に攻撃されてしまった第8使徒サンダルフォン(幼生)は完全な受け身対応だったから例外でしたけど。
 同じように「空中に浮かぶモノっぽい形状の使徒」としては、レリエル同様に第3新東京市に侵攻してきて人類側の大ピンチをまねいた、あの第5使徒ラミエルが連想されるのですが、そのインパクトの与えかたが「ビームとドリルの超体育会系型」であるラミエルと「邪魔な物は静かにゴミ箱にほうむりさるコワい文科系型」であるレリエルとではまるで違うんですよね! どっちが強敵かって……どっちとも戦いたくないわ!!

 だいたい、空中の巨大な白黒球体の直下にある漆黒の空間があらゆる物体を吸収してしまうらしい、というレリエルの攻撃方法はわかってきたのですが、それがどう駆使されたら第3新東京市の地下8~9キロまで到達してサードインパクトをぶちかます手段に応用されていくのか?という部分が、今のところははっきりしていないのです。

 レリエル……何もかもが未知数、新展開な使徒です。これにたいしてネルフはどういう手を打つべきなのか!?

 ネルフは……とにかく様子見!! 結局のところ、前回に番組タイトルになっているエヴァンゲリオン3機をさしおいて第11使徒イロウルを殲滅してしまった美しき開発主任(泣きボクロ)がレリエルの性質を解析して対応策を立案する深夜すぎまで、待ちの一手に徹してしまうのでありました。
 地球人類の命運をになう秘密特務機関としてはあまりにパッとしない時間の過ごし方だったわけですが、これに、不在でどこかに行っているらしい怪しい総司令と枯れた副司令のコンビがどういう指示を下したのか、または下さなかったのかは劇中ではまったく描写されていません。この不可解な出向がどういう内容だったのかについてはこれ以降も全然ふれられていないし……ホントになんでいなくなってたんでしょうか、このお2人? 息子さん、連絡とれなくなってますよ~!

 これまでの物語の中でも再三語られているように、巨大兵器エヴァンゲリオンは専用の電源ケーブルである「アンビリカルケーブル」を通した電力エネルギーの供給がなければ、自身の内蔵している予備電源で「1分間」しか活動することができません。そのために、今回の作戦で黒い空間に取り込まれた部分から先のケーブルが「初号機ごとどこかに消えて」断線してしまったことから、もし初号機がレリエルの用意したどこかの別空間にすっ飛ばされているだけなのだとしても、あっという間に反撃するパワーを失い機動停止してしまっているであろうことは明らかです。じゃあ、中の専用パイロットはどうなってしまうのか!? 座して死を待つのみ?
 ところが開発主任の弁によると、

「内蔵電源に残された量はわずかだけど、シンジ君(初号機専用パイロットのこと)が闇雲にエヴァを動かさず、生命維持モードで耐えることができれば、16時間は生きていられるわ。」

 という状況になっているのだそうで、要するに最大限で翌日の未明5時ごろまでパイロットが生存することは可能なようです。つまり、動かせなくても、そのくらいの時間までエヴァンゲリオンはパイロットの「シェルター」ほどの役には立つ、ということなのです。にしても、このときの開発主任の冷たすぎるしゃべりかたといったら、もう! 作戦指揮官のせいでみすみす初号機を失ったことによっぽど腹を立てているのでしょうか。

 さて、その初号機が消失してしまったレリエルの暗黒空間なのですが、白黒球体の直下地点を中心とする直径680m の真円地帯にかつてあったはずの高層ビルだの道路だの放置された車両だのガードレールだのといったもろもろの人工物・自然物はまるごとかき消えてしまっており、未来的な大都市の中心にぽっかり真っ黒な湖ができてしまったかのような不気味な虚無空間が出現してしまいました。
 どうでもいいことかもしれませんが、真円地帯の比較的外側にあるビル群は全体の何分の一かを沈ませた状態で斜めにかたむいたまま浮かんでいる状態のものもあり、この空間がなんでも自動的に飲み込んでしまうのではなく、明確にレリエルの意志で広がったりストップさせたりという調節が可能なものなのであることが推測できます。便利ですね~!


「やぁ、今日はまた、茜色のステキな夕暮れですね……建ちならぶビル街も、その向こうに広がる箱根の山々もすべてが同じ色合いに染まっています。まさしく、私たちの社会と大自然とが一体になるかけがえのない瞬間です。こういうひとときに、家族とベランダで集まりながらちょっと早めにいただいちゃう生ビールの味といったらもう……一日の疲れなんかいっきに吹き飛んじゃいますよね!」


 そんなことを悠長につぶやいていてもおかしくないレリエルの泰然自若としたたたずまいなのですが、そんな中でなすすべもなく日が暮れていき、日没の直後には「ネルフの骨は拾ってやる。」といわんばかりに国連軍の地上部隊が第3新東京市に配備されるという事態になっていました。つったって、まぁレリエルの相手になるとは思えないですけど。

 その後、深夜になった段階でのネルフの作戦立て直し会議で開発主任が発表した内容はかなり深刻なものでした。


作戦 「じゃあ、あの『影』の部分が使徒の本体なわけ!?」

開発 「そう。直径680メートル、厚さ3ナノメートル(=10億分の3メートル)のね。その極薄の空間を内向きの A.T.フィールドで支え、内部は『ディラックの海』と呼ばれる虚数空間。たぶん……別の宇宙につながってるんじゃないかしら?」

作戦 「あの球体は?」

開発 「本体の虚数回路が閉じれば消えてしまう。上空の物体こそ、影にすぎないわ。」

作戦 「初号機を取り込んだ黒い影が目標か……」

2  「そんなの、どうしようもないじゃん……」


 つまり、昼間に第3新東京市の上空に出現してエヴァンゲリオンを翻弄した謎の白黒球体は完全なフェイクであり、地面に広がっている黒い暗黒空間こそがレリエルそのものだったのだ!! これぞまさしく2次元キャラ! ど根性ガエルか!?


「さぁ、こんなわけで私は紫色のやつを人質にとったわけなんですが、ほっといても明日の夜明けには彼は死んでしまうんですよねぇ。これにたいして、果たして人類のみなさんはどういった手をうってくるのでしょうか。なんかこう、わくわくしてきますねぇ!
 そして、次第に明らかになってくる、わたくしレリエルのおそるべき『第2の攻撃方法』とは? 興奮と『いつまで続くんだ』というロマンティックあきれモードが満載のつづきは、また次回でございます。
 それではみなさん、どうぞ、くれぐれもインフルエンザにはお気をつけて、すこやかなアーバンライフをお送りくださいませ。第12使徒レリエルでした~。」
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白黒つけましょうや!!  『新世紀エヴァンゲリオン』の第12使徒レリエルは永久に不滅です ハートゴールド

2013年01月04日 15時37分03秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
《前回までのあらすじ》
 お正月、あっという間にあけちゃった!!
 そして、新しい年を迎えるというハッピーで紅白な時期をへて、我が『長岡京エイリアン』のトップバッター記事を飾ることとなったのはなんと、めでたさもへったくれもない「白黒使徒」だった!? 地味、不気味、かくし味は量子力学。

 ……ていうか、もともと去年中にやりきって気分さっぱりと2013年に突入するつもりだったんですけどね。まさかの「2回やって本題に入れなかった」という実にこのブログらしい展開によって、こういう次第になってしまいました。わざとやってるわけじゃないんですけど、こういうの、嫌いじゃないぜ!! つける薬がありません。


 その、対使徒特務機関ネルフにとっても人類全体にとっても、さらには TVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』にとっても新たな次元に直面することとなった「運命の一日」は、前回の第11使徒イロウルによるネルフ本部侵入事件のおよそ1ヵ月後に突然やってきた。


 気分としてはちゃっちゃとその日の話題に移りたいのですが、使徒との直接の関係はないものの、その前日にネルフの内部でちょっとした小事件が起きていたことも、まず注目しておかなければならないでしょう。この伏線が意外と重要なんですよね!

 その前日、いつものようにネルフ本部内で実施された「B型ハーモニクステスト」で、エヴァンゲリオン初号機専用パイロットの中学生男子の「シンクロ率」数値が、来日いらい今までずっとトップだった2号機専用パイロットのものを抜いて初めてトップに躍り出るという結果が出ました。超いまさらなんですが、「シンクロ率」というのは、エヴァンゲリオンとそれに搭乗する専用パイロットとの機動動作の統一度の高さを判定する基準となる数値で、これが高ければ高いほどエヴァンゲリオンの能力はより充分に発揮されるようになり、逆に低すぎれば動かすことさえ不可能になってしまうというものです。
 この快挙はネルフにとってもかなり喜ばしい事態だったようで、テストに居合わせた作戦指揮官は直後の通信で「ハ~イ、ゆーあー、なんばーわ~ん☆」と初号機専用パイロットをベタ褒めし、彼自身も『新世紀エヴァンゲリオン』始まって以来ほぼ初めてと言ってもいい勢いでパイロットとしての自分に自信をつけ、帰りのバスの中で「よしっ……!」と独り言をつぶやいて同乗する小学生のガキンチョに笑われるという浮かれモードになっていました。
 このように、ちょっといきなりという印象で調子の良くなった初号機専用パイロットだったのですが、物語の中でその原因ははっきりとは示されていないものの、どうやらその1週間前あたりに父親であるネルフの怪しい総司令といっしょに亡母(2004年没)の墓参りに行ったときに、それまでかなり冷えきった関係だった父と久しぶりに会話ができた……と本人が信じていることが、彼の精神状態の向上に相当大きな影響を与えていることは明白です。つっても、ほんとにボソボソと当たり前のような会話をしていただけだったんですけどね……人間、なにが気分のアップダウンのきっかけになるのかはホントにわからんものです、ハイ。

 ところがギッチョン、ネルフどころか地球人類全体が喜んでもおかしくはないこの成果にただひとり心穏やかでなかったのは、言うまでもなくそれまでのシンクロ率トップだった2号機専用パイロットのドイツ娘で、表面上は、

「まいっちゃったわよねェ、あ~っさり抜かれちゃったじゃない? ここまで簡単にやられると、正直ちょ~っと、悔しいわよねぇ~。」

 と余裕しゃくしゃくの態度で反応するものの、内心は自身のパイロットとしてのプライドを大きく傷つけられて激しくフラストレーションをつのらせているようなのでした。
 この時点では、初号機専用パイロットのシンクロ率が急上昇しただけで別に2号機専用パイロットの結果が悪かったということではなかったらしいのですが、エヴァンゲリオンに直接搭乗して使徒と戦うような実戦の結果でもないのに単に「首位をとられた。」という事実に過剰に動揺してしまうところに、2号機専用パイロットのエヴァンゲリオンに賭ける(依存する?)意識の高さと、それゆえのテストと実戦とのちがいさえも忘れてしまうような幼さを感じずにはいられません。なんてったって14歳ですからね……30すぎると、ほんとにこういう描写がしみじみせつなく心にしみますね。生きてるだけで大合格なんだけどなぁ~。
 ともあれ、日本に来てから4ヶ月ちかく(『長岡京エイリアン』調べ)も「エヴァンゲリオンのエースパイロット」の座についていたという自覚のあった彼女にとっても、今回ばかりは「テストばっかでつまんなぁ~い!」と言っていられない時期がやってきたことを痛感させる事態となったのでした。プライベートでもいいことがあんまりないし、日本暮らしもなかなか大変ね~!

 ちなみに、この時点までで3名のエヴァンゲリオンの専用パイロットのうちの「誰がエースパイロットなのか?」という問題は、使徒との実戦の結果という観点から見れば、意外と2号機専用パイロットが思い込んでいるほど彼女の一人勝ちにはなっておらず、その場で戦えるエヴァンゲリオンが2号機しかなかった第6使徒ガギエルとの決戦は除外してそれ以降の歴戦を振り返ってみると、

2号機だけで殲滅      …… 1回( VS 第8使徒サンダルフォン)
初+2号機で殲滅      …… 1回( VS 第7使徒イスラフェル)
初+2+0号機で殲滅    …… 2回( VS 第9使徒マトリエル、第10使徒サハクィエル)
どれも使わず開発主任が殲滅 …… 1回( VS 第11使徒イロウル)

 という戦績になっています。要するに、「誰か1人がいればもう安心!」という認識が根っこにあるエースパイロット談義なんか、土台ナンセンスであるということなんですね。2号機だけで殲滅できた第8使徒サンダルフォンとの戦いにしたって、その後の長期的な戦略を考えれば、殲滅のあとに2号機を浅間山のマグマの中からサルベージした初号機も2号機とほぼ同等の評価をされるべきところなんですからね。

 ただし、ここで忘れてはならないのは、結果が良かったからといって気をよくしている初号機専用パイロットにしても、トップの座から陥落したからといって自分のロッカーをボゴンと殴っている2号機専用パイロットにしても、「実戦」の結果を受けて気分を上げたり下げたりしているわけではないということなんですね。その実戦から1ヶ月以上も離れている人たちがワイワイやっているテストの中での話だったのです。

 そして、このポイントをするどく突いてきたのが、その翌日に出現した他ならぬ「第12使徒」だったという、この運命の底意地の悪さよ!
 さぁ、お膳立てはととのいました! 新たなる使徒よ、来たるれェエ~いィ!!(青野武ふうに)


 そんな結果の出たB型ハーモニクステストの翌日も、第3新東京市はいつもと変わりのない真夏日だった……


 西暦2000年に発生した地球規模の大災害「セカンドインパクト」のために地球の地軸がズレてしまい、日本列島の季節が「一年中真夏」となってしまって15年。その日も箱根の第3新東京市はセミのミンミンジ~ワジ~ワ鳴く晴天の猛暑日になっていました。それまでのいつもの日々ように、何事もなく午後が過ぎて、そして日が暮れていくのかと思われた、外を歩く人影も少ない正午ちかく。

 第3新東京市のビル街のはざまで、駐車している自動車の影が、まるでこぼれたインクのしみがにじみ広がっていくかのようにアスファルトの上を円形にかげらせていきます……
 上空になにかがある? 街の人々がまだその存在に気づかない中、ひとあし早くその「凶々しいなにか」の出現を機敏に感じとった鳥たちが、われ先にと逃げ出すかのようにビルを飛びたっていきます。

 次の瞬間、そびえ立つビル街のど真ん中に、地上に黒々とした影を落とす、空中の巨大な物体の姿があらわになりました。

 これは……丸い球体? 直径100メートルほどのまんまるの物体が、ひとりでにビルの上、つまりは地上200メートルほどの上空に静止しているのです。静止? いや、時速2.5キロメートル、つまりは成人男性がふつうに散歩するスピードのさらに2分の1くらいの速さでゆっくりと市街地を進んでいるのです。目指しているのは、やっぱり地下のネルフ本部の直上地点か?

 空中をただよう丸い球体のいちばんの特徴はその表面の模様で、黒地の中に縦横無尽に白いラインが走っているというモノトーン&不吉なデザイン。そのラインにも法則性は見つけがたく、ある部分はスズメバチの巣のように波状に広がる輪をつくっているかと思えば、ある部分はスニーカーの紐のように「××」が連続して刻まれているという未来派すぎるオシャレさになっています。じっと見ていれば顔のように見えてこなくもないんですが……表情のように模様が動く気配はいっさいありません。やっぱり、ヘンな塗装がされたボールか毛糸玉のお化けのようにしか見えない正体不明さです。

 第3新東京市の空中に突如として出現した、謎の巨大球体! どっかの開店前のパチンコメーカーか不動産屋が打ちあげた奇抜なアドバルーン宣伝でなければ、これはやっぱり……ひさびさの使徒?

「いや~、ここがうわさの第3新東京市ですか。ひじょうに清潔感のただよう、さわやかな街ですねぇ。おや、ちょうどお昼どきですか? 食べ物のおいしそうなにおいがしますねぇ。ぼくもおなかがすいてきちゃったなぁ。」

 周囲の人々が唖然とする中、いて当然のように町の中を散策する謎の物体。特にビームをはなってビル街を破壊するようなそぶりも見せないまま、ただただの~んびりと空中を進んでいきます。

 この突然の事態にアワを食ったのは他ならぬ第3新東京市地下のネルフ本部で、ネルフが使徒の動向を警戒する上で最も信頼している富士の電波観測所もまったく感知できなかった今回の謎の物体に、完全に後手に回ってしまいます。しかも、その日は怪しい総司令と枯れた副指令がそろって本部を留守にしているというしまつ! このときの2人の不在の理由は物語の中では語られることがなかったのですが、やはりそれだけ、ネルフ側が使徒にたいして「油断していた」ということになるのではないのでしょうか。

 謎の球体が出現して30分後、地上の住民の退避がほぼ完了した時点でネルフは作戦指揮官を最高責任者とする体制でエヴァンゲリオン3機をすべて出撃させ、まずはまったく攻撃を仕掛けてこない物体をビル街ごしに包囲しながら様子をうかがうという待ちの姿勢に徹します。このとき、エヴァンゲリオン各機の装備は初号機がハンドガン(でっかい拳銃)、0号機が新登場のスナイパーライフル、2号機も新登場のスマッシュホーク(でっかい斧)。一見万全のようでいながらもな~んか頼りないというか、ケチケチした準備になっていました。
 3種の武器すべてが実戦初投入のようなので、性能に対する信頼性は未知数なのですが、例を挙げるのならば、エヴァンゲリオン系の使用する火器兵器の代表的なものとされるパレットライフル(でっかい連発小銃)は、第4使徒シャムシエルにはまるで歯が立たなかったものの、第9使徒マトリエルに対してはスキをついて息の根を止めるという大金星をあげています。でも「スキをついて」の、ですからね……どのくらい役に立ちそうなのかは、ちょっと不安!
 0号機のかかえているスナイパーライフルは、あの4~5ヶ月前の「ヤシマ作戦」で第5使徒ラミエルを倒すこととなった超兵器「ポジトロンスナイパーライフル」を非常に簡単にしたような形状をしているのですが、日本の自衛隊が開発したそれとはまったく別の系統でネルフが独自に開発した、むしろパレットライフルやハンドガンのほうに近い劣化ウラン弾兵器であるようです。ちなみに、自衛隊のポジトロンスナイパーライフルにより近いかたちでネルフが開発した新兵器「ポジトロンライフル」は、この時点ではまだ開発中だったためか実戦投入されていません。

「なるほど……先ほどからちらちらと、視界にエヴァンゲリオンのみなさんが入ってくるんですが、拳銃に狙撃銃に手斧ですか。それなりにぶっそうなおもてなしですが、素朴な雰囲気を大切にしたあっさりした装備ですねぇ。そのいさぎよさが、街の静けさに実にマッチしています。いいですねぇ。」

 エヴァンゲリオン3機が包囲する態勢はととのいましたが、先手を打ったくせにまったく攻撃を仕掛けてこない謎の物体に、ネルフの頭脳ともいえるスーパーコンピュータ・MAGI(マギ)は「パターン・オレンジ」という分析をくだします。
 対象が使徒であることをはっきりとする断定する分析結果が「パターン・青」であるのにたいして、オレンジは対象を使徒と「認識できない」ということを示しています。つまり、まだこの巨大物体が使徒であるかどうかはわからない、ということ。でも、どこからどう見ても人間が作ったもののようには見えないんですけど……

 もしこの物体が使徒であるとするのならば、地上に出現するのは第10使徒サハクィエル以来の1ヶ月半ぶり、さらに第3新東京市に使徒が侵攻してきたケースで言うのならば、エヴァンゲリオン3機の連携プレイがあざやかな勝利をおさめた VS 第9使徒マトリエル戦以来、実に2ヶ月ぶりの事態ということになります。
 ちなみに、新たな使徒が出現するまでの間隔というポイントから見ると、まぁこれは我が『長岡京エイリアン』が勝手に推測している部分が多いので確たることではないのですが、

第3使徒サキエル    …… 15年
第4使徒シャムシエル  …… 3週間
第5使徒ラミエル    …… 9日
第6使徒ガギエル    …… 3週間
第7使徒イスラフェル  …… 1週間
第8使徒サンダルフォン …… 2週間
第9使徒マトリエル   …… 2週間
第10使徒サハクィエル  …… 1週間
第11使徒イロウル    …… 2週間

 ということになっています。つまり、セカンドインパクト以来の出現ということになる第3使徒サキエルの「15年」は置いときましても、今回の巨大物体が出現した第11使徒イロウル以来の「1ヶ月ぶり」という間隔は、わずかながらもいちばん長い空き、ということになるわけです。だとすれば、さらにイロウルの存在を知らない地上の一般市民にとっては、「もしかしたらあの怪獣みたいなのは、もう出現しないんじゃなかろうか……」という空気が生まれかけた矢先での今回の球体騒ぎだったのではないのでしょうか。

 余談ですが、第3新東京市の一般市民のみなさんからすれば、住民退避がしっかり徹底されていない状態で多くの人々が使徒を「目撃した」可能性があったのは、原因不明の大停電事件に乗じて第3新東京市に侵攻してきた第9使徒マトリエルと、今回の謎の球体の2ケースだけだったようです。まぁ、第4使徒シャムシエルは約2名の一般市民がかなりのアリーナ席からその威容を目撃してましたけど……
 もしかしたら、この目撃ケースの少なさに「えぇ~、そうだったの?」を意外に思われる方もおられるのかもしれませんが、それほどまでにこの『新世紀エヴァンゲリオン』の世界は、特務機関ネルフに所属している「ごくごく一部の関係者」だけが活躍することを許された限定的な空間の物語なのであり、特にエヴァンゲリオン専用パイロットと同じ中学校にかよっている生徒であるとか、近所に住んでいる住民だとかでなければ、第3新東京市の一般市民は画面に映ることさえおぼつかなくなる閉鎖感があるのです。
 だからこそ、第3新東京市はその規模に比べると異様に人口の少なそうなさびれた都市に見えてしまうし、『新世紀エヴァンゲリオン』全体になんだか内向的なイメージがつきまとってしまうし、しまいにはこの物語全体が主人公である中学生男子の「妄想だった!」なんていう解釈までが発生してしまうわけなのです。んなムチャクチャな!!
 いずれにせよ、予算とスケジュールの都合で、特撮作品名物の「逃げまどうモブシーン」を製作しなかったという理屈もわからなくはないのですが、驚く人々のざわめきさえもが聞こえてこない今回の謎の球体登場シーンには、制作上の事情を超えた庵野秀明監督の「演出意図」を感じます。あそこまでに円谷プロ作品に通暁している庵野監督がモブシーンを差し込まないとするのならば、それはもう好き嫌いの次元ではない強い意志があるとしか思えませんね。やはりこの『新世紀エヴァンゲリオン』は、フツーに一般社会を問題なく生きている人間にはまったくその魅力を感知することができない「超クローズド」な作品なのでしょうか……それにいまだに夢中になっている我が身を振り返るのならば、確かにそうですけどね☆

 さてさて、いい加減にお話を戻しますが、相変わらず空中を浮遊している謎の球体を包囲しながら待機するエヴァンゲリオン3機と地下のネルフ本部とのあいだで、今後の作戦方針についての議論がかわされます。
 まず本部の作戦指揮官が提案したのは、「基本3機の包囲は続行しつつ、先行する1機がおとりになって謎の球体を攻撃可能な第3新東京市郊外まで誘導する」という作戦でした。謎の球体がエヴァンゲリオンの挑発に乗ってくるのかはわからないのですが、使徒ならばエヴァンゲリオンを追ってくるのではないか? という発想なのでしょう。なんとも地味な手ではあるのですが、突然の事態に自慢の迎撃態勢も準備ができていない第3新東京市と、その地下にあるネルフ本部の安全を最優先に考えるのならばきわめて妥当な選択であるといえるでしょう。

 この方針に賛成したエヴァンゲリオン3機はおとりが誰になるのかで意見を出し合うのですが、例によって2号機がズズズイと前に出るのかと思いきや、2号機専用パイロットは初号機が先行することを作戦指揮官に提案します。その事実だけを聞けば謙虚な発言のようではあるのですが、その皮肉たっぷりの口ぶりからどうやら2号機専用パイロットは、わけのわからない物体相手に四苦八苦する初号機に適当にミスをさせながら様子を見て、最終的にタイミングを見計らっておいしいところを持っていこうという算段のようです。これは嫌われるわ……

 ところが、昨日のB型ハーモニクステストですっかり自信をつけてしまっていた初号機専用パイロットは意外にも売り言葉に買い言葉のケンカ腰になり、「お前ら、エースパイロットの生きざま見とけ!」と言わんばかりにおとりの役を買ってでます。

「(力強く親指を立てて)戦いは、男の仕事!」

 キャラクターに合わないばかりか、聴く者全員をドン引きさせる決めゼリフを言い放って通信を切る初号機専用パイロット。聴いてる人のほとんどが女性である環境設定をかんがみても、この気合いだけで中身がひとっつもない発言は氷点下なものがあり、おとりをつとめるだけのミッションを「戦い」と言い切ってしまっているところに、中学生男子ならではのイタさを感じずにいられません。若さゆえのあやまちというのは、ほんっとうに認めたくないものですね!
 でも、こんなアホな発言にしっかり「前時代的~っ!」とツッコミフォローを入れているところに、2号機専用パイロットのどうしようもない愛を感じてしまいます。無視するのが当然なのに、あえて言葉をかぶせるドイツ娘。悪ぶってるけど生娘、天才ぶってるけどおバカさん。これが「惣流さん」の素晴らしい魅力なのです。式波さんは頭が良すぎてつまんない。

 さて、こんな具合にいつもとちょっと違うヘンな感じで開始されかけたエヴァンゲリオン3機による「謎の球体誘導作戦」だったのですが、ただ単に「挑発する」意味を拡大解釈してしまったのか、それとも功をあせってさっさと仕留めようとしてしまったためなのか、初号機は謎の球体がまだ第3新東京市の市街地にいる段階でビルの陰から飛び出してしまい、球体めがけてパパパンとハンドガンを発砲してしまいます。

 先手必勝、決まったか!? いや、相手はそれほど甘ちゃんではなかった!!

 ハンドガンから発射された3発の劣化ウラン弾が狙いあやまたず標的に着弾するのかと思われたその刹那! 上空の謎の球体はかき消すようにその姿を失ってしまいました。そこには、まるで最初からそんな球体などどこにも存在していなかったのかのような真夏の青空が残るだけ。

 これは、まさか……謎の球体は「おとり」だったのか!?

 次の瞬間、ズニュウという不気味な感触とともに、硬いアスファルトだったはずの初号機の足元が泥沼のようにやわらかくなり、みるみるうちに初号機が「自分の影」に飲み込まれて沈んでいくという奇っ怪な現象が発生。さらに、初号機のものだけだったはずの影が、地面いっぱいに円形に広がっていきます。
 円形? 初号機がハッと上空を見上げるとその頭上には、ほんの一瞬前まで遠くの地点にいたはずの白黒模様の謎の球体が浮かんでいた……


「てんめぇぇえええ、ごのガキンダラ!! しと(使徒)がのんびり街を探訪してる最中にいきなり発砲してきくさるたぁ、どういう教育うけとるんじゃぁ、ボケがぁああ!! いてぇよ、いてぇえよ~!! 弾は当たってへんけど、風圧で肩の骨が折れてもうたやないかいぃい!! どうしてくれるんじゃああああ!!!」


 うわぁ、キレた。謎の球体の「白」な部分が、あっという間に「黒」に変わってしまいました!
 あやうし初号機!! このおとしまえはいかようになってしまうのでありましょうか!?


 ということで、「ディラックの海」だとか「内的世界」だとかでムッチャクチャな物語の続きは、また次回のココロだ~。

 わたし、今回の第12使徒レリエルさんが使徒15体の中でもいっちばん大好きなのよねェ~♡
 まのび御免!! 心ゆくまでやらせていただきます。
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白黒つけましょうや!!  『新世紀エヴァンゲリオン』の第12使徒レリエルは永久に不滅です ホワイト

2012年12月28日 23時33分21秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
《前回までのあらすじ》
 2012年のしめくくりとして、「12つながり」で『新世紀エヴァンゲリオン』の「第12使徒」を検証するというシーラカンス感覚を発動させたそうだいだったが、エヴァンゲリオン名物「謎また謎のミルフィーユ」によって、ブログをまるまる1回ぶん使っても第12使徒の登場する第16話にたどり着けないありさまだった!
 これはもう……年またいじゃうか!?


 う~ん、丸一日のお休みがほしいよね。でも、そんなぜいたくなもの、2012年中はもうないのよねぇ。ま、お仕事をたっくさんいただけるこの状況には本当に感謝しなければなりませんわな! それにしても、去年のクリスマス以降のヒマヒマ感がまことに懐かしい……

 さてさて! 今回もどこまでお話が進められるのかはわかりませんけれども、雄雄しく『新世紀エヴァンゲリオン』の世界に突入してゆくことにいたしましょ~。2012年の終わりだけでは物足りない方々は、ぜひともこちらの古臭い2015年のほうへも足をお運びください。ほんとに古臭いから!!


 前回は、第11使徒イロウルの「ネルフ本部侵入事件」と次なる第12使徒の出現までにどれほどの時間差があったのかを検証してみるということになったのですが、私としましてはまずそこを「およそ1ヶ月」と推測しておりまして、具体的にその2つのあいだにあった「第14・15話」でどのような時間が経過していたのかを見てみる、という途中で力尽きてしまいました。まず、イロウルの殲滅された第13話といよいよ謎なキーワードがもろもろ飛び出してくることとなった第14話『ゼーレ、魂の座』との間には、「約1週間」の経過があったのではないかとふんだんでしたっけね。

 そこからの続きなのですが、その第14話と次の第15話『嘘と沈黙』との間には、さらに「約2週間」のひらきがあったのではなかろうかと、私そうだいは考えております。

 やっぱり例によって、その決定的な根拠は劇中ではひとっつも提示されてはいないのですが、私が見逃せないと考えている状況証拠としましては、これはもうやっぱり「ネルフ関係者に蔓延する日常感とスケジュールの余裕」なんじゃないかと思うんだなぁ! これがものすごいんですよ、第15話は。

 同じように「新しい使徒とのバトルが展開されないエピソード」ではありながらも、「人類補完委員会の緊急会議」だの「0号機専用パイロットの唐突なモノローグ」だの「0号機の異常暴走」だの「動き出すダミーシステム計画」だのと、これから進んでいく物語にたいする緊張感をあおる出来事が満載だった第14話とは打って変わって、第15話の方は冒頭にちょっとしたスパイサスペンス、そしてとびっきりの重要キーワードを最後に1コだけとっておくという構成になっていながらも、全体的にはかなりの~んびりま~ったりとした人間ドラマに終始しているように見受けられます。それはそれで、レギュラー声優陣の非凡な実力が堪能できる素晴らしいエピソードではあるのですが……私が大好きなのは人類じゃなくて使徒だからなぁ~。

 具体的にいきますと、第15話で展開される出来事は「2号機専用パイロットの保護責任者として配属されてきたおじさんが日本政府のスパイであることが明らかになる」、「ネルフの作戦指揮官とエヴァンゲリオン計画開発主任(とスパイのおじさん)が出席する友人の結婚式」、「怪しい総司令とその息子の初号機パイロットがいっしょに墓参り」、「2号機専用パイロットの気のないデート」、そしてオーラスの「ネルフ本部の最深部・ターミナルドグマに隠された白い巨人が初登場」。こういったあたりになりますね。

 劇中で最近のネルフ本部がどんな空気感になっているのかを発言しているのは、エヴァンゲリオンに実際に登場しない形でのシンクロテストを終えたあとで2号機パイロットが「あ~あぁ、テストばっかでつまんなぁ~い!」とグチっていたことくらいしかないのですが、だいたいそれだけで充分であるような気もするくらい、全体的に「今週は使徒が来ないからのんびりしよっかぁ。」みたいなのんびり感があるんですよねぇ、この第15話は。
 ともかく、ネルフの総司令から専用パイロットにいたるまでがプライベートな行動をとることを許されており、果ては作戦指揮官がハレの席だとは言え、友人の結婚式のために日中から日がかわる深夜過ぎにまで本部をあけている(しかも泥酔状態で帰宅)という事態は、怠慢では決してなく、第11使徒イロウルの脅威が去ってから何もない日々がかなり続いたことからくる、「もうしばらく使徒は来ない。」という確信に基づいた判断なのではないのでしょうか。ともかくことは人類の存亡にかかわるわけなのですから、私はそう信じたいです……

 こういった状況から、私は第15話の時間設定を第14話の2週間後、つまり第11使徒の襲来から3週間後のことと推測いたしました。けっこういい感じかとは思うんですが、なにしろ証拠がひとっつもねぇんだからしかたがねぇ!

 我が使徒検証シリーズにかぎっていえば余談なのですが、この第15話は、スパイのおじさん役の山寺宏一さん、作戦指揮官役の三石琴乃さん、開発主任役の山口由里子さん、2号機専用パイロット役の宮村優子さんらの声優としてのポテンシャルがいかんなく発揮された名エピソードとなっています。特に山寺・三石ペアのやりとりが非常に味わい深くてステキなのですが、この出来事が観られるのが TVシリーズの『新世紀エヴァンゲリオン』だけ! というところがいいんだよなぁ~。マンガ版にも『新劇場版シリーズ』にもない、荒削りな TVシリーズならではの視点・楽しみ方の多さを証明する名シーンなのではないのでしょうか。
 また、これ以降の物語の中での「2号機パイロットのエース格からの残酷すぎる転落」のはじまりを知る上でも、具体的にはなにも起きてはいないものの、確実に何かが崩壊してきている彼女の「喪失」を非常に鮮明に描写しているこの第15話は、ものすごい重要度を持っていると思います。あのやりとりは、初号機パイロットが悪い。

 さらに余談なのですが、この回の中で30手前の友人たちの結婚式ラッシュについて作戦指揮官と開発主任がダベっている、いかにものんきなシーンがあるのですが、このときに主任が話しながらいじっているコンピューターパネルが、な~んかおもしろいです。
 なにがおもしろいって、画面上はカメラ位置の関係でパネル自体の構造は見えないのですが、主任がいじるたんびに「ぎーっ、ぎーっ」っていう「ダイヤルが回っているような音」が聞こえてくるんですね。
 「しょっちゅうダイヤルをまわす必要のあるコンピューターパネル」……2012年の段階ではかなり絶滅危惧な機材になっていると思うんですが、2015年にはブームが再燃するのでしょうか。このシーンにかぎったことではないのですが、こういうのがあるから1990年代後半につくられた『新世紀エヴァンゲリオン』は、おもしろいんですよねぇ~。今となっては、2号機専用パイロットが使っていた「折りたたまないストレート型の携帯電話」だってクラシックなアイテムになっちゃってるんですからねぇ。風化してゆく小道具を楽しむのも一興というものです。


 さてさて、おまんたせいたしました!! そして本題の第16話『死に至る病、そして』であります。

 まず最初に、さっきまでと同じように第16話の時間軸を決めておきましょう。
 これまた例によってはっきりした確定要因は物語の中にいっさい出てこないのですが、ここもわたくしめの独断で決めるのならば、第15話の1週間後、つまりは第13話の第11使徒イロウルの襲来&殲滅から「1ヵ月後」のことなんじゃないかと推定させていただきます。

 その根拠はただひとつ、「作戦指揮官とスパイのおじさんの交際についての周囲の反応の感じ」です。手札がこれしかないっていうのが、にんともかんともキビシ~っ!
 3~4ヶ月前に2号機専用パイロットとともに日本に帰国したおじさんが、大学時代の作戦指揮官の彼氏だったということはすでに明らかとなっていたのですが、そのヨリが戻ったのが第15話の友人の結婚式のあとの深夜のことで、この時点では2号機専用パイロットただひとりがその事実に気づきはするものの、本人たちにそのことを問いただすことさえできないようなショックに襲われるという演出がなされています。

 ところが第16話になると、2号機専用パイロットは来日前から好きだったおじさんを奪っていった(と勝手に解釈している)作戦指揮官にたいして敵意をあらわにした発言を堂々と言い放ち、言われた作戦指揮官も「そんなんじゃないわよ~」と軽く受け流すという、おじさんと作戦指揮官との関係がかなりおおっぴらになった空気がただよっているのです。ちなみにこの2人のやりとりは、初号機専用パイロットの中学生男子もいる部屋の中でなされていますが、彼はすでにその情報を把握しているようでなんのショックも受けていないご様子。ともあれ、そんな「柳に風」な作戦指揮官の態度に2号機専用パイロットはさらに激昂し、彼女の不満は同居している作戦指揮官と初号機専用パイロットの生活全体のことにまで拡大していってしまいます。

「最近ミサト(作戦指揮官)、シンジ(初号機専用パイロット)に甘すぎるんじゃない!?」
「加持さん(スパイのおじさん)とヨリが戻ったからって、他人に幸せ押しつけないでよねェ~」
「どうせ私は、フケツな大人の付き合いなんてしたことないわよ!」
「なによ、保護者ぶったりしてさぁ。偽善的! ヘドが出るわ!!」

 この2号機専用パイロットの一連の発言は、言葉だけをこうやってながめると、地球人類の存亡にかかわる超重要な役割をになっている特殊防衛チーム内の人間関係としてはかなり最悪な状況におちいっていることを明確にあらわしていますし、「保護者ぶってる」もなにも、本当に14歳のガキンチョ2人の生活を保護している(が、料理はしない)作戦指揮官に対して、これ以上の指図は受けたくないという決定的な絶縁宣言のようにも解釈できてしまう大変な内容になっています。

 ところが! そんな思いのたけをぶつけられた当の作戦指揮官と初号機専用パイロットはそうとうに冷めた表情で「あぁ、また始まった……別に家出する気もないくせに。」くらいにしか受け取っていない様子で、言った彼女本人も、どうやらその後はふつうにお風呂に入りに行ったようです。なんか、この辺のどうしようもないとっつきにくさが実に「惣流さん」ですよね……今の「式波さん」はもっと賢くなっちゃったから。
 なんでしょうか、この緊張感のなさ!! 4~5ヶ月前に本当に家出をした初号機専用パイロットの事件が懐かしく思えてしまうダラダラっぷりです。うぬら、よもや人類の大敵たる使徒の脅威を忘れたのではあるまいな!?

 まぁこんなていたらくで、この、第16話のサブタイトル前にあたる1分20秒ほどのコミカルなシーンは、前週の第15話後半でのシリアスな大人の会話や、ラストの衝撃の白い巨人登場シーンで作り上げられた緊張感を見事にぶち壊す、放送順を間違えたかのようなのんびり感をかもし出しており、その後のネルフ本部内のシーンでも、第15話ではカヤの外だった開発主任がおじさんがらみのネタで作戦指揮官をからかう発言をしています。もちろん、この会話のときにも周囲には聞こえる範囲にネルフ所属の通信オペレーターが2名いました。第9使徒マトリエルが襲来した時にエレベーターの中でからみあっていた(誤解)作戦指揮官とおじさんを見て「フケツ……」とつぶやいていた女性オペレーターが今回の会話に関してまったくノーリアクションであることを考えれば、この交際の事実は第16話の時点でネルフ本部内でかなり浸透していた情報だった、ということになるのではないのでしょうか。なんか……せまさが実に日本的!!

 つまり、第15話と16話のあいだには、この「2人の交際が再開した」という、人類にとっても使徒にとってもファッキンどうでもいい情報が広まるタイムラグが必要だったわけで、おそらくこれはおじさんのほうのチャラチャラした言動が媒介になったのでしょうが、それが誰も驚かない周知の事実となるのに1週間くらいの時間が経過していたのではないか、と私は推測したわけだったのです。

 いやぁ、ずいぶん長々と失礼いたしました……ともかく、我が『長岡京エイリアン』の観測といたしましては、今回とりあげる第16使徒の襲来した日は、それぞれの中間エピソードごとに「1+2+1=4週間」ということで、第11使徒イロウルのネルフ本部侵入事件から「およそ1ヶ月後」のことである、と決定させていただくこととします。なにはなくとも、時間経過をはっきり示さない原作サマが悪いんだよ~う! ということでちゃっちゃとお話を前進させていきましょう。ンも~これ、慢☆画太郎先生の『珍遊記』なみに進みが遅いよ!!


 とにもかくにも、第16話についてのあれこれを考えていく上でまず念頭においておかなくてはならないのは、ネルフ本部全体、特にエヴァンゲリオンに直接かかわる初号機・2号機専用パイロットと作戦指揮官が対使徒というポイントにおいてそうとう「コンディションを落としていた」という点です。ネルフ本部は前回の使徒襲来から1ヶ月の時がたつうちにかなり緊迫感を失っており、ことエヴァンゲリオンの実戦運用に関しては、前々回の第10使徒サハクィエルの奇跡的殲滅から1ヶ月半のあきがあったということ。ここなんですよね。

 さぁそれでは、久しぶりに「人間同士のごたごたもいいけど、たまには使徒もね☆」という気概を持って第3新東京市に出現した待望の第16使徒についてのあれこれは……


また次回のココロだぁ~!! ひえ~。


 ……結局2013年に持ち越しになっちゃった。『新世紀エヴァンゲリオン』の人間ドラマは奥が深いです、ほんと……
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白黒つけましょうや!!  『新世紀エヴァンゲリオン』の第12使徒レリエルは永久に不滅です ブラック

2012年12月26日 08時09分40秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
 うぼあ~!! おはようございます! そうだいでございます。みなさま、今日も一日、がんばってまいりましょ~!

 いや~、こないだミュージカルの『ウェディング・シンガー』の話題をしたと思ったら! ウワサをすればなんとやらでございますねぇ~。
 大澄賢也さん、ご再婚まことにおめでとうございます~。よかったよかった。

 あ、さてさて。なにはなくとも年の瀬。年末進行でございます。
 もう2012年中に更新できる我が『長岡京エイリアン』の回数も残りわずかになってきたのでありますが、とにっかくお仕事が忙しい忙しい!
 じっくり腰をすえてやりたいにしてもよォ~、家に帰ってきたらヘトヘトで寝るくらいしかやれることがないし、寝たら寝たで朝に起きたら、またお仕事ある一日の始まりなんでございます!

 ありがたいことなんですけれどもね。だがしかし! それで「2012年中にやれませんでした。」で終わりにするわけにはいかないお題がいぃ~っぱいあんの!! これをやらずには精神的に2013年を迎えることがとうていおぼつかないという、よそさまにとっては心底どうでもいい極私的なわだかまりが大変なわけなんですよ。ほんとにどうでもいいですね。

 ということで! 今回はその筆頭である、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する魅惑の敵キャラクター「使徒」をおひとりずつ検証していくという、『長岡京エイリアン』の中でも指折りの不毛さを誇る企画の更新にチャレンジしていきたいと思います。いや~この、「誰もお待たせしていない感」からくる肩の荷の軽さがとってもここちよい。
 なんてったって、確か去年のクリスマスにやってたのが「第10使徒サハクィエル」だったんですからね。それで今回あつかうのが「第12使徒」なんですから、2012年は「半年に1使徒」という冨樫義博先生もビックリな発表ペースになっていたわけなのであります。今年は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 Q』の公開年だったというのになんなんでしょうか、この冷ややかさ!

 それでも、思い起こせば「第3使徒サキエル」から始まって、愛する使徒のみなさまの輝かしい功績をじっくりと見つめなおしていくこのくわだても、今回で記念すべき「10回目」ということになったわけであります。しかも2012年を「第12使徒」でしめくくり、おそらくは2013年を「第13使徒」から始めていくという本企画のキリのよさね! さすがに来年まるまる「使徒を振りかえらない」って選択肢はないでしょうからね……まぁとにもかくにも、この年末にきて満を持しての「使徒検証シリーズ」なのであります。


 いやぁしかし、つらつらかんがみまするに、今年ついに公開となった『Q』は、20世紀の『新世紀エヴァンゲリオン』と21世紀の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』とが、もはや同じ作品の原型とリメイク作と解釈することさえ困難な「じぇんじぇん別モン」という関係のものになったことを如実に証明する大問題作となってしまいました。
 ただ、わたくし個人的には『Q』を非常におもしろく観ましたので、「問題作」というレッテルをつけることには若干のためらいが残ります。『Q』はあれでいいんですよ! 押井監督の次回作が今から楽しみですね~☆ でも、こと「使徒 MY LOVE 」という観点から言わせていただけるのならば、今年の『Q』という作品は非常に「残酷な」結論をたたきつけて行ったような気がするのです。


すなはち、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズにもう使徒はいらない。


 なんたることか……天は『旧劇場版』のほかに、さらに『新劇場版』でも使徒に「あんたたち、もういらないや。」という苛烈すぎる宣告をくだされるというのか!! オーマイゴッドって叫んでも、そのゴッドの仕打ちに困ってんだからせんかたねぇ!
 ともかく、やっぱり公開されたばかりの作品なので『Q』の詳しい内容についてはここで触れることは控えておきたいのですが、『Q』は『新世紀エヴァンゲリオン』の全体像のうち、「最後のシ者」の登場する TVシリーズ第24話から「最終25・26話を完全にスルーしての」『旧劇場版2部作』をベースにしてムチャクチャものすごいアレンジを加えまくってしまった作品になっているわけなんです。ということはもう、次回作に使徒が出現する可能性はちょっと……もう打ち止めなのかなァ~。

 ただしそうはいうものの、『新劇場版』はすでに前作『破』のクライマックスの時点で『新世紀エヴァンゲリオン』との間に埋めようのないパラレルワールド的な「次元の差」が発生してしまっており、そういうポイントからざっくり見れば「第14使徒」(『新劇場版』でいう「第10の使徒」)との対戦あたりが決定的な分岐点になっているように見受けられます。

 でもねぇ……『新世紀エヴァンゲリオン』と『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』との「方向性のちがい」は、第14使徒の登場で唐突に発生したわけでは決してありません。エヴァンゲリオンの世界は、その答えがちゃんと出てくるのかどうかは別にしても「魅力的な謎」がゴロッゴロしており、異常な密度で伏線がいたるところに張りめぐらされているわけなのですが、両者には、そこにがんじがらめになったというか、むしろ自分から引きこもって出てこなくなってしまったのが『新世紀エヴァンゲリオン』で、回収されようのない伏線をバッサバッサと切り捨てて、身軽に新たなルートへと飛び立ってしまったのが『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』であるという、大きすぎる違いがあるのではないのでしょうか。今の『新劇場版』で「謎が多すぎ! わけわからん~」とか言ってる人は15年前を思い出してください! このくらいの数の謎なんか、『新世紀エヴァンゲリオン』だったら毎週毎週30分ごとに出てたんですよ!? ずいぶんと甘口になったもんですよ~。

 ままま、ともかく我が『長岡京エイリアン』で前回あつかった「第11使徒イロウル」との決戦あたりから、『新世紀エヴァンゲリオン』の世界は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』でついぞ語られることのなくなってしまった「おいしい謎♡ 」がだだ漏れに大放出されることになってしまったのでした。


 まず第一に、「第11使徒イロウル」の存在は、それを無事に殲滅した対使徒特務機関ネルフそのものが「そんな使徒などいない。」とまるっきり否定しているという、実に不可解な対処をとられてしまっています。これにはネルフの上部組織であるとされる国連の「人類補完委員会」と、そこを公的な窓口としている世界的な秘密結社「ゼーレ」も困り顔で、イロウルが第3新東京市の地下に位置するネルフ本部内に侵入したことはほぼ事実とつかんでいながらも、それをかたくなに否定するネルフの怪しい総司令の態度に強い警戒をしめしつつも、具体的にこれといった制裁はとらずにことはうやむやになってしまいます。イロウル無残! 大きくない身体であんなにがんばったのにね~。
 あの~、私の言ってること、わかりますかね? 自分でも、ここまでうった文章を読んでうすら寒い気分になってきました……なんか、こわいわ!
 ともかく、第11使徒イロウルの脅威以上に波紋を広げた殲滅後の「イロウルもみ消し疑惑」はネルフとゼーレ、というか怪しい総司令とゼーレが一枚岩の信頼関係にあるわけではまるでないことを浮き彫りにする事態を生んでいるのですが、まぁそのへんは人類の内輪のなんやかやなので、使徒に対する愛だけを原動力としている本企画ではあんまり詳しく見ていかないことにします。

 でもねェ~、『新世紀エヴァンゲリオン』のストーリーラインは、第11使徒イロウルの現れた「第13話」のあとから、その「人類の内輪のなんやかや」をミョ~にクローズアップしたお話が実に2話ぶんも続くんですよ! 後半にさしかかってのこの異常なペース配分には、自分の出番を今か今かと待ち続けているベンチの使徒のみなさんも勢いあまってズッコケちった。じらすよね~!!


 第11使徒イロウルの活躍した第13話と第12使徒の登場する第16話とのあいだには「新しい使徒の登場しないエピソード」が2話ぶんも続いており、これまた具体的な時間経過が描写されていないために確たることは言えないのですが、そこをあえて! 毎度おなじみ我が『長岡京エイリアン』独自の調べで分析させてもらうのならば、だいたい第11使徒イロウルの出現&殲滅された日の「約1ヵ月後」に今回取りあげる第12使徒が出現した、ということが推測できると思います。

 まず、第11使徒イロウルが殲滅された次のエピソードにあたる第14話『ゼーレ、魂の座』は、まぁ~見事なまでの唐突な「?」ワードのつるべ打ちとなっているわけなのですが、こと「時間経過」というポイントにしぼるのならば、エピソード前半の「国連の人類補完委員会による怪しい総司令の特別招集会議」と、後半の「ネルフ本部内でのエヴァンゲリオン3機を利用した諸実験」というあたりが注目されるのではないでしょうか。

 国連さえをもまるっと掌握しているという、「エヴァンゲリオンの世界」でも最も謎の多い秘密組織ゼーレの公式な窓口となっているのが国連の「人類補完委員会」なのですが、委員会はかなり神経質に第11使徒の存在事実を総司令に問いただしており、この様子から見ると、ネルフ本部内での一連のバタバタがあった、その直後に総司令が呼び出しをくらったであろうことは容易に想像がつきます。おそらく、ゼーレ側もそれなりのリサーチをしてから正式に招集したのでしょうから、第13話の数日後といったところでしょうか。

 余談ですが、第2話から登場している、このネルフ側の関係者が世界各国の大国を代表するえらそうなおじさん5人組に呼び出されるかたちで行われる人類補完委員会の招集会議は、まだこの第14話の時点ではドイツ代表の変なメガネをかけた町工場の社長みたいな議長をはじめとして、アメリカ・イギリス・ロシア・フランスそれぞれの代表が「顔出し」で出席している形式になっています。ただし、この会議はネルフの代表以外は全員ホログラフィ通信で会議に参加しているようですね。ちなみに、会議のための通信ルーム自体はネルフ本部内のどこかに存在している可能性もあるため、ネルフ代表もそれほどの苦労はせずに会議に出席できているようです。

 ところで、この『新世紀エヴァンゲリオン』の字幕テロップではこの会議のことを「召集会議」と表記しているのですが、まぁ確かにここに顔を出している5人組はそれぞれの国を代表するものすごい方々ではあるようなんですが、この日本で「召集」ができるのはやんごとなきあのオンリーワンなお方のみということで、他のお方に使うのは少々シャクなので「招集」に修正させていただきたいと思います。ともかく、「召集」という言葉が使われるほど超重要な会議である、ということなんですなぁ。

 さてこんなVIP な5人組、口先だけではやたら強気に「偽証は死に値する」とか「笑わせるな!」とか上から目線で怪しい総司令にたたみかけるのですが、総司令がかなりの余裕でつくろう「そんな事実はありません。」という態度はまったく切り崩せないまま、緊急会議をしめてしまいます。
 このように、それ自体はまったくやる意味のない会議ではあったのですが、結局、人類の存亡のカギを握っているのは世界の大国ではなく、3機のエヴァンゲリオンを現実に保有しているネルフなのだというパワーバランスがはっきりわかる印象的なシーンでした。
 でも、物語の上では確かに大事なんですけどその意図がつかみづらいというこのくだりに、それまでに華々しく大活躍しては散っていった歴代8名の使徒のみなさんの「正式な名前字幕つき」でのダイジェスト映像をさしこんでくる演出は、まさにさすがとしか言いようがありません。つまんないはずのシーンが、全国の使徒ファンにとって垂涎のサービスてんこもりになっているとは! ありがたいねぇ~。

 さらに余談なのですが、こういった感じで全体的に過去の製作カットが信じられないくらい大量に流用されているこの第14話『ゼーレ、魂の座』は、初放映スケジュールがお正月3ヶ日にかぶっていたため、他の回が放送されていた「毎週水曜日夕方6時半から」ではなくて「1996年1月3日の朝8時から」というムチャクチャな時間帯に変更されており、視聴者がキャッチしにくいという事情もかんがみてか、もともと「そこまでのまとめ」のような意味合いもこめて製作されていたようです。
 そのため、初放映時の視聴率がパッとしなかった TVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』(平均視聴率7.1% )の中でも、この第14話はダントツで「視聴率0.9% 」というものすごい数字をたたき出していました。こういう作品がのちに世紀をまたいだ超ヒットタイトルになるんですから、世の中というものは本当にわからないものであります……

 それはいいんですけど、「人類補完委員会の出席者が見ている資料映像」という設定になっているこの「歴代使徒 PV」の中に、ちょいちょい自爆直前の第3使徒サキエルの「くわっ!」という表情のアップとか、爆死直前の第6使徒ガギエルの口の中からのカメラ視点とか、浅間山のマグマ内での第8使徒サンダルフォンとエヴァンゲリオン2号機との死闘をバッチリ4~5台のカメラで撮影しているとしか思えない異常にわかりやすいカメラワークとか、「人類が客観的に撮影したとは思えないカット」が挿入されているのは、円谷プロ以来の特撮作品の伝統的ご愛嬌ですよね。だって、『ウルトラマンタロウ』の防衛チーム「ZAT 」(防衛組織史上最強)なんか、宇宙空間でウルトラセブンが帰ってきたウルトラマンに虎の子のウルトラブレスレットを譲渡する決定的瞬間も激写して資料映像にしてるんだぜ!? こまけぇこたぁいいんだよ!!

 まぁともかく、こんな感じの緊迫感のある人類補完委員会のシーンと比較すると、後半のネルフ本部内でのエヴァンゲリオン3機による実験シーンは、同じ基地内でつい最近に使徒が侵入したばかり、とはちょっと理解しにくい悠長さがあります。

 3機のエヴァンゲリオンのうちで、いつもやっているらしい「機体連動試験」の第87回に単独で参加していた2号機専用パイロットのドイツ娘はこの際おいておきたいのですが、いちおう分析しておきますと、パイロットがエヴァンゲリオンを操縦できるかどうかを機体を実際に操縦させることによって記録しているらしいこの試験は、ネルフ本部にエヴァンゲリオンに登場できる専用パイロットが0号機パイロットしかいなかった半年前(『長岡京エイリアン』調べ)から87回おこなわれているということになるので、だいたい「2~3日に1回」の割合で実施されていた、ということになります。さすがに3ヶ月前(これも『長岡京エイリアン調べ』)に来日したばかりの2号機専用パイロットと2号機だけの機体連動試験を87回やっているわけではないと思いますので(これだとほぼ毎日!)、ここは3機のエヴァンゲリオンすべてをひっくるめての「第87回機体連動試験」と解釈したほうが自然でしょう。パイロット1人1人の身になって考えてみれば、およそ「週いち」くらいでこの試験に参加しているということなので、毎日の中学校生活とか使徒殲滅とかいうスケジュールをかんがみればいい感じのペースだと思われます。

 それはいいんですが、問題は残りの0・初号機が行っていた「第1回機体相互互換試験」というものです。

 これはつまり、0号機と初号機それぞれの専用パイロットを「とっかえっこ」してみてもエヴァンゲリオンは動くのか? という実に素朴な発想から行われた簡単な実験のように見えるのですが、実験中にエヴァンゲリオン計画の開発主任(金髪染め)が発言しているように、これは「専用パイロット自身が搭乗していなくてもエヴァンゲリオンが起動できるようにする」ことを主眼に置いた「ダミーシステム」という、この『新世紀エヴァンゲリオン』の世界の中でもとびっきり重要なキーワードに直接かかわる大実験なのです! そのための第1歩がついにここで踏み出されたというわけ。この実験は、同時に行われている機体連動試験はおろか、第11使徒イロウルが襲来したときに実施されていた「アポトーシス作業」や「オートパイロット実験」をはるかに上回る重要性を持っていたということになるのです。

 ということなので、それほどにたいへんな意義を持つ実験を、他ならぬ「人類の敵」こと使徒そのものがネルフ本部内に侵入してきた直後にちゃっちゃと始めるわけがありません。おそらく、最低1週間は使徒の現れた原因の検証や実際に出現したネルフ本部地下の「B棟シグマユニット」などの徹底的な総点検の実施、施設の修復などがなされたあとでこの「ダミーシステム計画」が始められたはずなんですよね~。

 ところで、この「機体相互互換試験」について、立ち会ったネルフの作戦指揮官(酒好き)は、試験の行程にネルフのドイツ支部で製作されたエヴァンゲリオン2号機がまったく加わっておらず、日本の本部で製作された0号機と初号機だけが対象になっていることに若干の疑念をいだきます。この件もひとつの要素となって、作戦指揮官は徐々にネルフ上層部の思惑に対して「何かを隠している」という疑惑にとりつかれることとなり、その思いは次回の第15話で確信に変わるわけなのですが……まぁそれはどうでもいいや。使徒関係ねぇし。

 この相互互換試験の結果、0号機専用パイロットが初号機を起動させることに問題はないということがわかったのですが、そのいっぽうで、初号機専用パイロットが登場した0号機は半年前(使徒が日本に襲来する以前の出来事)にもやらかした「謎の暴走」を再発させてしまい、実験施設内で暴れたあとで強制的に機動停止されてしまい、まだまだ運用に大きな不安要素が残るという状況を露呈させてしまいます。
 改造してカラーリングもイエローからブルーにしたというのに、半年前と寸分たがわぬ役立たず感を発揮してしまった0号機……ふつうの企業だったら「もう廃棄しちまおっか!」などと考えてしまいそうな事態だったわけなのですが、そこはそれ、怪しい総司令がトップのネルフなのですから、0号機はすぐに凍結を解除されて0号機パイロットが搭乗し、総司令のトップシークレットミッション「超兵器・ロンギヌスの槍のジオフロント最深部ターミナルドグマへの運搬」を任されることとなるのでした。これは確かに「えこひいき」だわ……


 ハイッ、こういう感じで、我が『長岡京エイリアン』はこの第14話『ゼーレ、魂の座』が、第11使徒イロウル襲来から1週間後までのいろいろをまとめたエピソードであると勝手に決めちゃいます! 強引ね~。


 さぁ、その後、我らが第12使徒が登場するエピソードには、いったいいつになったらたどり着けるのでしょうか!? 本当にこんなペースで2012年内に終わらせることができるのでしょうか!?

 年の瀬の世間様にはまったく関係のない個人ブログの中で、私の不安とテンションはいやがおうにも高まってゆくのでありましたァ~ん。
 つっづく~☆
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