長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

使徒じゃなくて知恵熱&全身筋肉痛大襲来!! 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 Q』  レビューはしないよ~

2012年11月23日 14時53分33秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
 へなへなへな~。どうもこんにちは、そうだいでございまする~。
 もォ~、今日は絵に描いたような一日中の雨、雨、雨! 冷たい雨ですね~。 Bonnie Pink 姐さんですね~。

 このお天気にぴったりシンクロするかのようにですね、実はわたくし、数日前の火曜日以来、さいっあくのコンディションに見舞われております……はっきり言って自業自得そのものな経緯なんですが、我が身体がこんっなにオッサン化してしまっているとは思いもよりませんでしたわ!

 火曜日は千葉でのお仕事が夕方に終わったのですが、そのあとのスケジュール構成で無理をしすぎてしまったようで、ものの見事に知恵熱&全身筋肉痛!! 肉体オール緊急閉店状態という大変な事態におちいってしまいました。この大事なときにィ~。

 当初はそんなにキツいものにはならないはずだったのですが……私の火曜日の夕方以降の行程はこんなことに。

16:30~20:00
 ひとりカラオケ
20:00~21:30
 夕食とか書店でふらふら
21:50~23:50
 郊外型シネコン「 T-ジョイ蘇我」で映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 Q』を鑑賞
24:00~30
 自転車で帰宅。めちゃくちゃ寒かった……
25:00~
 明日も早いので、TBSラジオ『爆笑問題カウボーイ』を聴きながら就寝

 ね? そんなに大変そうじゃないでしょ? でも、とにかくひとりカラオケと『Q』での肉体エネルギー消費量がハンパなかったんですよ。

 私はふだんはひとりカラオケをする場合、「2時間ドリンクなし食事なし休憩なし着席なし(やむをえない場合トイレ休憩あり)」という、ちょい軍隊なルールをとっておりまして、次の曲を選ぶタイミングは「今唄っている曲の間奏のあいだ」ということにしております。要するに貧乏性なだけなんですけどね……
 こんな場合、たった2時間でも平均して「1曲=5分間」と考えればトータルでぶっつづけ20曲以上を連続で唄うことになるので、けっこうな運動になるわけなんですね。それにくらべれば……「ふたりカラオケ」はほんっとにたのしいねェ~! 半分なんだもん。

 ところが、今回の火曜日の場合はなんと言っても「21:50上映開始の『Q』を観る」という部分が揺るがない主眼になっていたため、それまでの時間はいくらでもありあまっているという状態だったのです。
 え? もっと早い回の『Q』を観ればいいだろって? T-ジョイ蘇我では、21:50からの回は「レイトショー料金」で安くなるんだよ……ちょっと待ってれば安くなるっていうんですから、待たない手はないでしょ!? どこまでも貧乏性な男なんです……

 そんなこんなで、理論上は16時半から21時くらいまでひとりカラオケを続けてから出発するという手もあったわけなのですが、私の会員登録しているカラオケボックスはフリータイムが「ブロック制」になっていたらしく、私が入った夕方の時点では20時が延長不能の使用終了時刻ということになっていました。
 ってなわけで、個人的には初めての「3時間半ひとりカラオケ」とあいなったわけなのですが……

 まぁ、「いつもよりもたった1~2時間ふえるだけじゃないか、いけるいける~☆」と楽観視していたわたくしの浅はかさね。
 さっきの計算のしかたでいくと、「3時間半、立ちっぱなしで40曲唄う」ってことになるんですよね。MC なんてのもはさみませんからねぇ。

 あと、単純にそれだけでも疲れたんですけど、だいたい2時間目から「さっきうまく唄えなかったあの曲(注・それにかぎらず基本的に全曲うまく唄えていません)にもう一度チャレンジしてみたい」という欲目が出てきてしまい、それがよりにもよって本人歌唱映像の流れる鬼束ちひろの『帰り路をなくして』(2009年)という超難曲&名曲だったがために惨劇の交響曲はピークに!! 余談ですが、私そうだいはこの『帰り路をなくして』が鬼束ちひろさんの「最後の」名曲だととらえております……

 この『帰り路をなくして』、歌唱時間は6分30秒なんですが、んまぁ~疲れる疲れる! でも、疲れるように全力で唄わないと唄う意味がないムチャクチャな曲なんですね。
 結局、ひとりのおっさんが個室で前傾姿勢になったり天井をあおいだりしながら「るぅおォ~!!」「てぇえぇェ~!」などと絶叫し続けるという、隣人迷惑にも程があるヒンズースクワットみたいな悪夢の儀礼が都合10回ほど展開されることとなり、最終的に19時半すぎくらいからは「マイクを持っていない」という境地にいたってしまっていました。そりゃそうだ、拡声する意味がないんですよね、ひとりカラオケなんだし……

 こんなことやってたらさ、全身筋肉痛には、なるよね。自分でこうやって文にした段階でやっと気づくのって……こいつぁたしかに、死んでもなおらねぇわ!
 ただ、それでも虚勢を張らせていただけるのならば、40曲くらいを全曲最後まで唄いとおして「ノドと腹筋」がダメにならなかったのはちょっぴりうれしかったんですよ。知らないうちにノドに負担がかからないように唄うようになってたんですね。好きこそ物の上手なれって、ここを追究すればなんとかなるのかなぁ。

 ま、そしてそのあと、部屋を出てから「ノドと腹筋」以外の全筋肉がボロボロと崩壊していくわけなんですよね……外は酷寒の夜でございます。
 特に「首」と「腰」の痛みがしつっこくてしつっこくて。その日や翌日は文句なしの全身筋肉痛だったのですが、この2ヶ所はそれ以降も重い痛みがなかなか引かなかったですね~。いやぁ、首が痛めばこまかい作業ができなくなるし、腰が痛めば大きな動きができなくなるし。ありゃりゃ、こりゃも~ヤバいじゃないっすかぁ~。

 まぁこんなわけでカラオケも疲れるには疲れたんですけれども、今になって考えてみれば、そのあとの1時間自転車疾走で寒い思いをして、かと思えば定員400名ほぼ満員の熱気にあふれた映画館で脳みそをフル回転させながら2時間スクリーンに集中し続けて汗をかき、最後はまた自転車で寒い夜空の下を駆け抜けながら「アレはコレでコレはアレで……えっ、もしかして、ソレはミソだったのかしら!?」などと妄想しながら家路に着くと。

 !! 体調を崩さないわけがなかった!! ひとりカラオケはやめておけばよかったんだね!

 って思ったところで今やときすでに遅しであります。も~ボロボロ、ボロボロ! 首が痛くて食事する意欲もわかないから、水分と野菜・果物みたいな栄養のあるあっさりしたものしか食べてない状態に入っとります。ヘイ、や~せるや~せる~♪
 とは言っても、仕事にはちゃんと行くわけなのでありますが、頭痛もズンズンしてきたよ~いっとな☆

 とにもかくにも、今回の無理無理ツアーの「肉体面」がひとりカラオケとシネコンと寒空との温度差だったのだとしたのならば、「精神面」は確実に、くだんの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 Q』の中身に起因するものなのでありました。ち、ち、知恵熱が~!

 う~ん、なんって言ったらいいんでしょうか。
 まず言えるのは、前回に私がぐじぐじ言っていた、『Q』にかんする「同時上映」と「エンディング曲」と「千葉で観るときの交通アクセスの悪さ」という3つの不満点以外、私が感じた不満はいぃ~っさいゼロだった! ということですな。

 とにかくおもしろかった! 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 Q』はとにかく展開がそのタイトルどおりに「急」で、そこに見とれているうちにあっという間におしまいになってしまうという幸福な時間を提供してくれました。

 あとは~……なんて言ったらいい? なんて言ったらいい?
 ん~と、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 Q』はなんか、『機動戦士Zガンダム』みたいでした!
 ……あれ、これ、言いすぎ? ヤバいですか? でも似てんのよね~、ちょいちょい。

 公開から1週間も経過しようとしていますし、もうご覧になられた方も多いかとは思うのですが、とにかく今回の『Q』は、これまでの『序』や『破』とは比較にならない「ぶっ飛びかた」をしているため、私の判断から言わせてもらえれば、本編開始数分の段階ですでに「な、なんだってぇ~!?」な展開になっていました。そんなこともありますので、極力、今回の時点でレビューみたいな文章をだらだらとつぶやくのはやめにしたいと思います。

 そして!! 何を隠しましょう、我が『長岡京エイリアン』は、「東洋一『使徒のみなさん』を愛しているブログ」を標榜しているという重責を勝手に背負っているのであります。おなかをすかせた使徒が寄ってきたら熱い味噌おにぎりをにぎってさしあげるという、そんな町のほっとステーション! TVシリーズだけでしか活躍できなかった使徒が酒場のすみっこで愚痴をこぼしていたら、「そうやって元気にお酒を呑んでぐっすり寝てたら、またお呼ばれする日は来るわよ。」とそっと言葉をかけてさしあげるという、高島礼子みたいな包容力! そのへんを目指してるんですよ……

 ということなので、今回めでたく公開となった『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 Q』も、1本の映画の分析というよりは、その中に登場した使徒のみなさんを詳細に取り扱うべき時が来たら、どっしり!!と腰をすえて取り掛かることにしたいと思います。

 つっても、観た人ならばおわかりかと思いますが、『Q』に出てきた使徒ったって、ねぇ……いや、いないわけじゃないからいいんですけど。そういう点では、サブタイトルで『シト新生』とでかでかと銘打っておきながらも、ほんとに新生してきたのはラスト数分で空から舞い降りてきた「エヴァンゲリオン量産型」だけだったという、いわゆる「シトシト詐欺」がまかり通ってしまった1997年の『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH & REVERSE 』にくらべればすばらしい待遇になってはいるんですが、ねぇ……『序』は3体で、『破』は5体でしょ? ねぇ……

 うちの『エヴァンゲリオン使徒大行進』シリーズも、どのくらい中断してましたっけね。
 とにかく、この契機を逃がす手はないということでさっそく続きを再開したかったのですが、残念なことに体調がこげなこつになりもうしてしまい、スケジュールも忙しいさかりだし、おまけにお次の使徒さんが「そうだいが最も好きなマイフェイバリット使徒」なのだという、手の抜けないシチュエーション! つらいぜ~。


 私の勝手な印象で言いますと、今回の『Q』によって、庵野秀明総監督は『新劇場版』シリーズなりの『旧シリーズ第24・25・26(最終)話』変換作業を完了させてしまったような気がします。作品の一部に、「それよりもさらにさかのぼった時点のあるエピソード」をうまく『Q』ふうにアレンジしたものもありますが、だいたいはこの3話ぶんをものすごい「ぶっ飛び調理」で仕上げた、ということになるのではないのでしょうか。
 あ、ここで注意しなければならないのは、私のいう旧シリーズの『第25・26話』というのが、1996年の3月に TVで放送された『終わる世界』と『世界の中心でアイを叫んだけもの』のことではまったくなく、1997年の7月に「ほんとうの最終エピソード」として劇場公開された『Air 』と『まごころを、君に』のほうであるということなのです。

 つまり、今回の『Q』ではっきりしたことは、かつて1990年代後半を席巻した『新世紀エヴァンゲリオン』大フィーバーの、ひょっとしたらアニメ本編以上に中核の部分に位置していたのかもしれない、TV放映ヴァージョンの最終2話分に凝縮されていたような「ある要素」を、今現在の庵野総監督は華麗すぎるほどにスルーしきってしまった、ということなのです。そしてだからこそ、リメイクではない『新劇場版』シリーズがほんとうの21世紀に誕生しているんですね。
 『Q』は決して、『序』や『破』のようなすっきりしたカタルシスでしめくくられるわけではない「続く」な終わり方になっているのですが、あの『まごころを、君に』を強く意識させながらも、それとは気持ちいいくらいに正反対でポジティブなラストシーンになっています。

 『Q』を観たことによって、あんなにズタボロで病みきった1990年代のエヴァンゲリオンブームを通り過ぎて15年ほど生き抜いてきた、私の中のなにかは、確実に「生きててよかった!」と救われたような気がするんだよなぁ。

 旧シリーズと新劇場版シリーズは、ほんっっっっとに別の作品になりました。でも、こうなったらお次の『音楽記号でいうリフレイン』のついた最終作はどんなことになってしまうのか!? 旧シリーズはあらかた終わった領域に入ってしまうということで、皆目見当がつきませんなぁ。

 また数年ですか!? またがんばって生きていくことにいたしましょ~、ハイ!

 ……ていうか、心身ともにキツすぎる……さみぃし……まず今年を生き抜けるのか、これ。
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ミクロと淑女の決死圏 ~第11使徒イロウルのロジックすぎる侵入~ 4手・やればできる娘チーム

2012年05月07日 22時35分55秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
 わおわお~!! どうもこんばんは、そうだいでございます~。
 いろいろとタイヘン! いろいろとギリギリ!! はやく給料日かもんのかみ直弼。ストップ・ザ・桜田門外ノ変。
 もはや、なにがなんだか……こんなにしんどい経済生活はもうたくさんです。私も若くはないんで! こんな貧乏学生みたいなキビしい日々に耐えられるほど身体もムリがきくわけじゃないんですよ~。まぁ、せめて病気にかかることのないように気を張ってがんばれてるのがせめてもの救いでしょうか。やっぱ健康はいちばんの財産ですなぁ。

 もう、いいや! こんなツラいにもほどのある現実生活なんかほっぽっといちゃってさぁ、ちゃっちゃとのびのびになってるこっちのほうを終わらせちゃおうよ。カッツカツの2012年なんかどうでもいいわ!! 2015年にゲッタウェイってなもんで~い。
 『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する歴代使徒の自由気ままな検証シリーズの「第11使徒イロウル編」、ようやく今回で完結! の、つもり。


《これまでのあらすじ》
 微生物に酷似した性質を持ち、ネルフ本部内の壁のパネルにカビのように付着して潜入することに成功した「歴代最小の使徒」こと、第11使徒イロウル。
 イロウルが急速に増殖して侵蝕を開始した地点は、すでにネルフ本部よりも地下に位置していた。目指すサードインパクトの誘発ポイントに、歴代の中で最も近い場所に陣取ることに成功したイロウルに、ネルフ本部は動揺の色を隠せない。
 さらにイロウルは、ネルフの攻撃を利用してみずからの体質をコンピュータの電子回路のように進化させてネルフ本部のネットワークにハッキングを開始。超人的なスピードを誇るイロウルの猛攻はネルフの頭脳ともいえるスーパーコンピュータ・マギになんなく及び、マギをリプログラムして本部全体の「自律自爆」を決行させ、その爆発に乗じてサードインパクトを誘発するという「そんなのありぃ~!?」な作戦を展開させるのであった。

 マギは「メルキオール」「バルタザール」「カスパー」という3つの人格プログラムの合議制によって成り立っているが、イロウルはたった「20秒」という速さでメルキオールを占領してしまった。次なるバルタザールの陥落も、もはや時間の問題なのだろうか……!?


ぴ~んぽ~ん。

マギの『母』の部分・バルタザール(47歳、娘もち女性)が住んでいる一戸建て住宅に来訪者が。


バル「は~い、どなた……あら! どうしたのあなた、びしょ濡れじゃないの!」

イロ「すみません、ぶしつけに申し訳ないのですが、ちょっと休ませていただいてよろしいでしょうか……そこでいきなりどしゃ降りにあっちゃって。」

バル「あらあら、雨ふってきてたの!? 知らなかったわ。ちょっと待っててね、いまタオル持ってきますから。」

イロ「いえいえ、おかまいなく! そんなお気遣いはいりません、やんだらすぐに失礼します。」

バル「なに言ってんのよ、そんな濡れねずみみたいな格好で。お仕事中なんでしょ? とにかくそのバッグだけでも拭かなきゃいけないでしょ。中に大事なものでも入ってるんだろうから。」

イロ「すみません……どうも。」

ふきふき、ふきふき……

バル「……あら、どうしたの? そんなにまじまじと私の顔を見て。なにかついてるのかしら。」

イロ「い、いや……なんでもありません。やさしいな、と思って……」

バル「ふふふ、こんなおばさんを口説くなんて、ずいぶんと物好きなのね。」

イロ「く、口説くだなんて、そんな……」

バル「……ほら、背広もぬいで。」

イロ「えっ……」

バル「もう、中のYシャツまでしみてるじゃないの。似たようなのはいくらでもあるから、よかったら着替えていったら。」

イロ「いや、そんな……家の人にも迷惑がかかりますし……」

バル「だいじょうぶ。今はだれもいないわ……シャワーも使えるけど。」

イロ「お、奥さん……」

バル「ふふふ、昼さがりは退屈してしかたがないのよ。ひとりで家の中にいると乾いちゃってたまんないわ。どこもかしこも、ね。」

ぷるるるるる、ぷるるるるる。

イロ「わっ! で、電話。」

バル「んもう、いいとこなのに……(がちゃ)はい、赤木ですけど?」

娘 「お母さん!! なにやってんのよ!? 話の構成上、あなたが口説かれるんでしょ!? 逆にお母さんから攻めまくってどうすんのよ!!」

バル「あんたこそなに言ってんのよ! 家にひとりで取り残されてる40女よ!? ここで燃えずにどうするっていうのよ。」

娘 「お母さんが燃えたら人類が滅びるのよ!! さっさとそいつを追い出して、早く!」

バル「あーうっさい! そんなの、今まで私をほっといてたあんたたちがいけないんじゃない。鬱屈した主婦のパトスがどんだけのものなのかを思い知るがいいんだわ!! オホホのホ~!」

娘 「このわからずや! もういいわよ、今、マギのロジックモードを変更して、シンクロコードを15秒単位にしたから!! そっちがそうするならこっちはこうやるし!! お母さんのそういうとこ、もうホンッッッットにやだ!(がちゃ)」

突如として、バルタザール母さんの家の中に大量のぬる~いくず湯が注入!! ドロドログズグズで有無を言わさず動きを鈍くさせられてしまうバルタザールとイロウル!!

バル「っも~、あのばぁか娘ぇ~!」

イロ「むむむ、マギの進行スピード全体を遅くしてしまうとは、考えたでヤンスね……しかし、どうあがこうとハッキングは止まらないでヤンスよぉ~!!」


 ……意味、わかります? もう、自分でもなにがなんだか。

 とにかく、要するにネルフ本部はエヴァンゲリオン計画開発主任(30歳女性・金髪染め)のとっさの機転による、「マギのコンピュータとしての処理速度をわざと遅くして、それによってイロウルのハッキングも遅くして考える時間をかせぐ」という奇手に出たわけだったのでした。主任、グッジョブ!

 このため、メルキオールの占領に20秒しかかからなかったイロウルは、次なるバルタザールを攻め落とすのに「2時間」かけなければならなくなってしまいました。予定よりも360倍おそくなっちゃった……これはイタい。
 この貴重な時間猶予のうちにネルフ側はどんな対抗策を講じるというのでしょうか!?

 アニメ本編の様子からさっするに、メルキオール陥落ののち、矢継ぎ早に始まったバルタザール侵入の最中、開発主任は瞬間的な思いつきで処理速度遅延の奇策を見いだしたように見えるのですが、はっきり言って、ネルフ本部 VS イロウルの緊迫感あふれる決戦はこのときの主任の一手によって勝敗が決まってしまいました。恐るべし、泣きぼくろ主任のインスピレーション!

 ここで戦況を整理してみますと、イロウルがまっしぐらに目指している「ネルフ本部の自律自爆」はマギにとっても自分の命(?)にかかわる最重要決定事項となるので、多数決2対1ではなく、3機の「全会一致」でなければ遂行されません。つまり、イロウルはマギの3機すべてをリプログラムしなければ勝てないわけなのです。
 そして、ネルフ側が苦しまぎれにさしこんだ「マギの処理速度変更」という事項は多数決で廃止することができるものなので、イロウルが2つ目のバルタザールを2時間かけて占領した時点で、メルキオールとバルタザールの2票で処理速度はいつもの速さに回復させることができるようになります。

 つまり、ネルフ側にとって、イロウルを食い止めることができる猶予は、バルタザールと最後のカスパーがハッキングされる時間をあわせた「2時間と2~30秒」。ここでイロウルを冥土に送ることができなければ、人類がまるごとみんなで死出の旅路に出るということに。タイトねぇ~!!

 ところがここから、今までの存在感・信頼感の薄さとはまるで人が変わったように大活躍してくれるのが、マギの定期検診の直後で徹夜明けであるはずなのにミョ~に冴えている開発主任なんですなぁ~。カッコイイ!

 イロウルの動きをにぶくした後、開発主任はすかさず、イロウルに対する「自滅推進プログラム」の投入をネルフ本部に提案します。

 ここで思い出していただきたいのが、イロウル侵入の直前までおこなわれていたエヴァンゲリオンに関する2つの実験のうちのひとつの名称だった「アポトーシス作業」です。
 本編の中で3人の専属パイロットがすっぱだかにされていたほうは「オートパイロット実験」だったのですが、セリフにその名前が出るだけではっきり描写されていなかったため、その詳細はあきらかになっていない、この「アポトーシス作業」。
 ただし、「アポトーシス」と銘打たれている以上、それが今回のイロウル退治に急遽投入されることとなった「自滅推進プログラム」に関係していそうなにおいはプンップンしますよねぇ!? 

 アポトーシス (apoptosis) とはすなはち、多細胞生物の体を構成する細胞の死にかたの一種で、生物をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の「自殺」(プログラムされた細胞死)のこと。

 完全によそから持ってきた情報のうけうりなんですけど、要するにこれは、「おたまじゃくしがカエルになるときにしっぽがなくなる」現象のことなのだそうです。生き物が成長していくにあたって「いらない部分を自分から殺して捨てていく」作業のことなんだって。
 これ自体がアポトーシスなのかどうかはわからないのですが、イメージとしては、樹木がエネルギーをためて冬を越すために秋に自分から葉っぱを枯らして落としてしまう、そういう感じなんじゃないでしょうか。

 こういうことから推測してみますと、その日のエヴァンゲリオンのアポトーシス作業とは、エヴァンゲリオンの性能をさらに向上させるために、機体の内部からの「進化」をうながすなにかをエヴァンゲリオン各自にやってもらうという実験だったようなんですね。
 でも、こんなことを言っている時点で、エヴァンゲリオンってもう、「ふつうのロボットじゃない」ことは一目瞭然ですよね……アポトーシスをやらせるってことはつまり、「生き物」だな、あれ。
 まぁ、暴走してほえたり、つぶれた眼を勝手に再生させたりしてたんでね、いまさら驚きはしませんけど!

 さて、そんな感じなので、おそらくはこのアポトーシス作業の成果としてネルフ本部が収穫していたプログラムを、思いっきりめもりを「最強」にして、投入した生き物自体を自滅させちゃうくらいの武器にしちゃえ、と開発主任が発想したのは自然のなりゆきだったのではないでしょうか。
 「あっ、ホラ! 午前中にやってたやつのアレ。アレ使っちゃおっか!」みたいな非常にリーズナブルな考え方です。シンプル・イズ・ベスト! 開発主任はいい主婦になれるよ……

 ともあれ、開発主任の主導により、ネルフ側は手作業でマギの最後のとりでであるカスパーにラインをつなげ、襲ってくるイロウルにそこから自滅推進プログラムをうちこむための準備をすることとなりました。その作業に2時間くらいかかっちゃうんだなぁ! うまくできてるもんです。

 これによって、イロウルとネルフ側との戦闘は、「マギ3機のリプログラム」と「自滅推進プログラムの投入」のどっちが機先を制するかですべてが決するという、お侍さんの居合い抜き対決のような非常に緊張感の高い勝負に。ひえ~!
 このへんのスリルはぜひともアニメ本編をご覧になって楽しんでいただきたいのですが、激闘のゆくえは実にギリギリのところで決しました。

 イロウルの動きをにぶくした、その2時間後! 


オペレーター1「バルタザールが乗っ取られました!」

作戦指揮官  「始まったの!?」

オペレーター2「バルタザール、さらにカスパーに侵入!」

副司令    「押されてるぞ!」

オペレーター2「なんて速度だ……」

副司令    「いかん!」

オペレーター2「カスパー、18秒後に乗っ取られます!」

作戦指揮官  「リツコ(開発主任の名前)、急いで!!」

開発主任   「大丈夫。1秒ちかくも余裕があるわ。」

作戦指揮官  「1秒って……」

開発主任   「ゼロやマイナスじゃないのよ。」


 ンギャ~!! しゅ、主任、かっくいいぃ~!!

 結果。終始ネルフ側をてんてこまいさせていたはずのイロウルは、すんでのところでブッこまれた自滅推進プログラムのために、「たった1秒の時間差」でそれまでの戦果をまるごとぜ~んぶ没シュート!!
 見事にオトしたメルキオールもバルタザールも、オトす寸前までいったカスパーもすべてがイロウルの手から離れていく……わけもわからないまま無理やり自滅させられてしまう中、イロウルの胸に去来するものはどのようなものだったでしょうか。

「ず~る~い~で~ヤンス~!! ルール変えたり最強技つかったり! でも、それが人間なんでヤンスよね……悪知恵勝負で人間に勝とうとしたあっしの負けでヤンス。しょせんあっしは、たった1人の女性も幸せにすることができない根無し草。かけひきなしの真実の愛を求めてまた旅に出ることにするでヤンス……じゅじゅじゅわ~。」

 無念! 第11使徒イロウル、消滅~。


 とにかく今回のイロウルは、苦労しないで人類を滅ぼす方法を追求した結果、マギのハッキングを考えたところまではナイスだったのですが、そのために「人類がつくった」コンピュータの理論にあわせて自分の性質を変えなければならなかった、その時点でしょせんは勝てない戦いになってしまっていたのです。
 だってさぁ、敵のほうが一方的にルールを変えることができる勝負なんて、そこのあなた、やる気になれます!?
 当然そのへんのことはイロウルも充分承知の介ではあったし、そのためにコンピュータ化したあとの決戦をあれほどまでに急いだのでしょうが、自律自爆にいくまでにネルフ側の人間の誰かにひとつでも反則技を思いつかせてしまった時点でもうダメだったという見方で行くと、あまりにもリスクの高い作戦だと言えるのではなかったのでしょうか。ギャンブラーだな、イロウル!

 ともあれ、この前代未聞の「主役も主役兵器もいっさい活躍しない使徒との決戦」は、こういった経緯であんがい短時間のうちに終結したのでした。ただし、イロウルが「史上はじめてネルフ本部に直接侵入した」恐怖の使徒であったことは決して忘れてはならないでしょう。スリリングなアニメ本編の内容も、TVシリーズ中屈指の緊迫感があってすばらしいです。


 と・こ・ろ・が。非常に残念なことに、この「第11使徒イロウル」のエピソードが物語の中に組み込まれているのは、最初のTV シリーズだけ! その後の貞本義行によるマンガ版や最近の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズでは完全に「なかったこと」にされてしまっています。
 これはおそらく、「マンガではいまひとつおもしろさを伝えられない」や、「物語上、上部組織のゼーレに指摘されることを恐れてネルフ本部がイロウル事件そのものの存在を否定しているため立ち位置がビミョー」といったもろもろのことがあるのでしょうが、まぁとにかくなんといっても、

「主人公がまるで活躍しないし、逆に脇役の開発主任が圧倒的にクローズアップされる内容であるため、組み込むと物語全体のバランスが崩れる」

 ということが大きいんじゃないでしょうか。やっぱり、こういった大冒険は20話以上用意されている TVシリーズだからできるんですよねぇ。
 『機動戦士ガンダム』の『ククルス・ドアンの島』みたいな、まさしく「ボトルストーリー」的な存在であるわけなのですが、こういったエピソードこそが、いい味だしてるんですよね~。アニメに限らず、「美は細部にやどる」ことを証明する名作の大条件です。

 しかも、今回のイロウルが活躍する第13話『使徒、侵入』が名エピソードになるのは、スタッフリストから見ても自明の理!!


脚本   …… 庵野秀明・磯光雄・薩川昭夫
演出   …… 岡村 天斎
作画監督 …… 黄瀬 和哉
作画製作 …… Production I.G


 !! おもしろくならねぇはずがねぇ!!

 映画『パトレイバー』シリーズや『攻殻機動隊』でつとに有名な Production I.Gと、その代表的存在である黄瀬和哉(きせ かずちか)さんがアニメ制作を外注で受け持っているエピソードとしても、この『使徒、侵入』はよく話題にのぼるのですが、あくまでも TVシリーズの中の1エピソードですので、この回にかぎって登場キャラクターの面々がやたら陰影のついたリアル顔にデザインしなおされている、といったことは決してありません。まぁ、主人公がおもいっきり蚊帳の外という状況は『パトレイバー2』や『3( WXⅢ)』によく似ていますけど。
 ただし、開発主任が電動ドリルと電動カッターをけっこう器用に使って潜入したマギ・カスパーのコードうじゃうじゃな内部描写や、やたら光が反射して目の部分がサングラスのように見えなくなっている主任のメガネなどがかろうじて Production I.Gっぽいような。あと、お話の中ではやたら役立たず感が出ているものの、いつもより出番が多めなネルフ副司令の顔つきがちょっとリアルに老けているような気がします。オッサンに特徴が出るのねぇ~。

 絵よりももっと色濃くこのエピソードを特徴づけているのが3人の共同による本エピソードの脚本なのですが、具体的なわりふりはわからないものの、私の勝手な推測で言わせていただくのならば、マギの設定などの物語全体にかかわる謎を差し込んでいるのが庵野総監督で、イロウルのハッキングというあたりの SF的要素を設定したのがいまや『電脳コイル』の原作・監督でも有名な磯さん、開発主任とすでに死亡している彼女の母親との深い関係を非常に簡潔に、しかし濃密にセリフに織り込んでいたのが薩川さんということなのではないでしょうか。ぜいたく~!!

 薩川さんといえばあーた、「日本のジメジメ感」をこよなく愛しておられた実相寺昭雄監督の「江戸川乱歩3部作(『屋根裏の散歩者』『D坂の殺人事件』『鏡地獄』)において、人妻ドロリッチ感満点の脚本を手がけておられていたお方でございますよ。

 そんなお3方に自分メインのエピソードを作ってもらえたのですから、金髪染めの開発主任もそれまでの役回りのやたら損な感じをきれいさっぱり忘れさせてくれる素晴らしい活躍を見せてくれました。
 ただし、この回の中でついに、エヴァンゲリオン計画のおおもとやマギシステムを考案したのが開発主任なのではなく、実はその亡くなった母親だったという事実も明らかになってしまいました。したがって、今回の大金星とひきかえに、主任はみずからの立場の弱さを視聴者の前にさらけ出すことになってしまったわけなのです。あわれなり……


「カスパーにはね、女としての母さんがインプットされていたの。
 最後まで女でいることを守ったのね。ホント、母さんらしいわ。」


 このエピソードの締めくくりとなる開発主任の味わい深いセリフです。
 つまり、マギシステムが「第7世代の有機コンピュータに個人の人格を移植して思考させる」という「人格移植OS」であり、そこに「科学者」「母親」「女」という3つの「自分」を移植したのが他ならぬ開発者自身、要するに開発主任の母親だったということを受けての娘としての発言ですね。

 ただ! これまでの経緯をごらんいただいてもおわかりの通り、イロウルを撃退したのはあきらかに! マギじゃなくて娘の主任さんです。
 主任がなんとかしなければカスパーなんかものの2~30秒でオトされていたことは自明の理なのですから、別にこの最後のセリフのように主任が死んだ母親のことをここまでもちあげる必要はまったくないのです。

 ここね!! ここらへんに、自分の努力や実績に関係なく、いつまでたっても母親の存在を過剰に意識してしまう開発主任のキャラクターが明示されているのです。まぁそれは時には自分が奮起するための燃料になるのかもしれませんが、彼女の場合は意識する相手がすでに死んでしまっているという事実もあいまって、非常にあやういものになっている匂いがするんですよね。

 確かに開発主任は、今回の大活躍以降はふしめがちな表情が似合う暗~い雰囲気でいる印象が強くなっていきます。それであの最期でしょ……? 救いようがないっすよ!
 そういう意味では、そのへんの感じを思いっきりスルーしている『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の中での彼女はいくらか幸せなのかも知れませんが、そのぶん影が薄くなっちゃったしねぇ。どっちがいいんでしょうかねェ~? 私はやっぱり TVシリーズのほうが好きですよ。だって、こんな複雑な脇役がいるアニメ、そうそうないでしょ!?


 ともあれ、「次第に明らかになるエヴァンゲリオンの謎」「シリーズ随一の SFサイバーアクション」「開発主任の鬱屈の原因が明らかに!」といった興味深い要素が満載の「 VS 第11使徒イロウル戦」だったわけなのですが、最後にもうひとつ、忘れるわけにはいかないこの要素を強調しておしまいにしたいと思います。


「非人間的な使徒 VS 人間的にもほどがあるずるっこ人類」という構図がこれ以上にわかりやすくうち出されているエピソードは、ない!!


 これですよ……謎の兵器エヴァンゲリオンが出てくるとどうしても目がそこにいってしまうのですが、あくまでもこの『新世紀エヴァンゲリオン』は、人類がその存亡をかけて外敵と闘うという内容の物語なのです。そして、その中であがく人間たちがほぼ全員、アニメ作品としては異例なほどにゆがみまくり……いやいや、生々しく描かれているところが、この作品の真のオリジナリティなのではないでしょうか。
 そして、そういった点から観ても、TVシリーズの『新世紀エヴァンゲリオン』と現在の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』はまったく別の作品になっていると言えるんじゃないかと。どっちが好きなのかは人それぞれよ。


 まぁともかくそんな感じなのですが、少なくとも私はぜ~っっっっったいに!! 第11使徒イロウルの挑戦は忘れないぞ!

 よくやった、イロウル。でも、悪知恵で人間に勝てるとは思っちゃいけないよ~♡
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ミクロと淑女の決死圏 ~第11使徒イロウルのロジックすぎる侵入~ 3手・デジタルおやじチーム

2012年04月27日 23時33分30秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
 てぴち~!! どうもこんばんはァ~ん、そうだいでございますよっ。みなさま、今日も一日お疲れさまでした!

 いやねぇ、最近なんか……どうにも調子がおかしい。
 生活的にはあいかわらずカッツカツの飢餓状態が続いているんですが、気分としてフワッとなりがちな出来事が連続しているんですな。
 なんだかわかんないけど、非常に楽しかったりうれしい気分になることが多いんですよ。ものすんごいウキウキ感で5月をすごすことになりそうなイベントがそろいつつあると!

 しかし、全面的に「いいこと貧乏」な半生を送ってきたわたくしは、こんな感じがひっじょ~におそろしい。
 ヤバいね……足をすくわれることになるぞ、これは。ヘタしたらそのうれしさに倍する不幸に見舞われてしまうかも知れぬ。
 近日中にも大学時代の先輩の結婚式に参加するという一大イベントがひかえているわけなのですが、とにかく変なことをしでかさないように気持ちを引き締めていかなければなりません。ゴールデンウィークは楽しくしのいでまいりましょう!


《これまでのあらすじ》
 宇宙から大質量で落下してきた史上最大の使徒の次に現れた第11使徒はなんと、カビみたいな微生物サイズの史上最小の使徒イロウルだった!? ふれ幅デカすぎ!!
 第3新東京市の地下に位置するネルフ本部内に搬入された壁パネルに付着していたイロウルは、まんまと施設「シグマユニット」で使徒の正体をあらわし、あっという間に実験室「プリブノーボックス」を侵蝕、占拠してしまう。
 イロウルが出現した場所はすでに、ネルフ発令所やエヴァンゲリオン格納庫、そしてスーパーコンピュータ「マギ」よりも地下に位置していた。
 いかん! このままでは使徒に最も到達されてはならない最深部「ターミナルドグマ」にストレートにいかれてしまう!!
 エヴァンゲリオンさえも対抗できない微生物サイズの使徒イロウルの侵蝕。果たしてネルフ本部に打つ手はあるのかしら~!?


 まぁこんなことで、スタートこそあざやかにネルフの面々を出し抜くことに成功したイロウルだったのですが、ネルフ本部の下にあるシグマユニット区域を占領したあとは、そこからさらに下にいけばあるはずの最終目的地「ターミナルドグマ」への進路を物理的に隔壁閉鎖されてしまったため、パッと見はシグマユニットに閉じ込められる形になってしまいました。
 そういえばイロウルは、シグマユニット内の実験施設プリブノーボックスに裸同然……っていうか全裸そのものの姿で集まっていたエヴァンゲリオン専属パイロット3名を侵蝕するすんでのところで取り逃がしていますし、エヴァンゲリオン3体もみすみす遠い地上に避難させていってしまいました。
 そして、そうこうしているうちにネルフ本部はイロウルが「酸素に弱い嫌気性の微生物」に似た存在であることをつかみ、さっそくプリブノーボックスにオゾンガスを注入してイロウル殲滅にのぞみます。攻撃開始~。

 うむむ……どうにも様子がおかしい! 話がネルフ側にうまくいきすぎです。それに、エヴァンゲリオンにもパイロットにもたいした興味をしめさないイロウルの出方がさっぱりわからない。だからといって、セントラルドグマにも簡単に行けそうになくなちゃったし。

「いっしっし……きたでヤンスね、酸素攻撃ちゃんが~。それじゃあこっちも、お言葉に甘えてチャッチャと『進化』させてもらうことにいたしやしょうか~!! いぃ~っしっしっし。」

 そのとき、プリブノーボックスの巨大水槽を満たしていたイロウル侵蝕域の発熱色が、「赤」から「黄」にかわった……なに? なにが起きるの!?

オペレーター1(長髪)  「あれ……増えてるぞ?」
オペレーター2(メガネ) 「変です、発熱が高まっています。」
オペレーター1     「汚染域、また拡大しています!」
オペレーター3(潔癖症) 「ダメです、まるで効果がなくなりました!」
オペレーター2     「今度はオゾンをどんどん吸っています!」

 異変に気づいてあわててオゾンガスの注入を停止するネルフ本部。ところが、すでにその時点で第11使徒イロウルは、出現時点での「嫌気性細菌」から、逆に酸素を栄養として成長する「好気性細菌」へと異常なスピードでの進化を果たしてしまっていたのです!!

 非常にざっくり言ってしまいますと、嫌気性細菌と好気性細菌はともに、今から40億年前、つまり、できてからたった6億年しかたっていない地球に生まれた史上初の生物たち。嫌気性のほうは今現在もふつうに細菌として存在し続けていますが、酸素をかてに生きていく好気性細菌はミトコンドリアになって細胞になって、さらには植物になったり動物になったりといった遥かなる進化の階梯をすすんで、今現在の私たち人類の繁栄につながっているわけなのです。

 なぬ……ということは、イロウルはネルフの攻撃に対抗して、あっという間に生物としての根っこ中の根っこの部分を余裕しゃくしゃくの速さでチェンジしてしまったというのか!? なんたる対応力の高さか。
 これはいかん。ひょっとしたら、こいつは人類側が攻撃すればするほどそれにあわせて自らを進化させていってしまう「退治不可能」な使徒なのではなかろうか!?

 かなりゾゾゾ~っとする最悪の予感がネルフ本部をただよう間もなく、今度はまったく予想だにしなかった方面から異常事態を知らせる警報音が。

オペレーター1 「サブコンピュータがハッキングを受けています。侵入者不明!」
オペレーター2 「こんな時に……くそっ!」

 なんと、使徒侵入というこの一大事の最中に、ネルフ本部のコンピュータにハッキングを仕掛けるという不逞の輩が! どこのどいつだドイツ人!?

 ネルフ側は新たな侵入者をとっとと追い出そうとしますが、謎のハッカーは人間業とは思えないスピードで侵入し続け、防御側から展開されたいくたの擬似エントリーを出し抜き、防壁を突破して本部の中枢に当たるマギへの侵入をはかります。
 あせったネルフ側は、中枢に通じるメインケーブルをレーザーで物理的に切断してしまおうとしますが、これができねぇんだ、だってイロウルが侵蝕してケーブル沿いに ATフィールドをはってんだから!

 しばらくしてやっとハッキング元が確定されるのですが、そこはなんと、イロウルが陣取っているシグマユニットのプリブノーボックス!
 だよねぇ~!! 人間業じゃないんだったら、それは使徒のしわざなのであります。

 ここにきて事態は明らかになりました。イロウルは好気性細菌から、生物としての進化の過程を一気にぶっ飛ばして「超人的コンピュータ回路」の身体をゲットしてしまったのだッッ!! たったの数分で40億年の歴史をひとっとび、ア~ンド、ソーシャルなんちゃら化完了!

 そうだったのか。イロウルのあの、新たに幾何学的紋様を持つようになっていた黄色のきらめきは、自らをマイクロマシン化してはなっていた光だったのだ。そうきましたか……
 イロウルのハッキングはその勢いをゆるめず、本部サブコンピュータから保安部メインバンクに、そこからついに牙城のマギへと侵入。ネルフ側は最終手段として手動でマギの主電源を落とそうとしますが、時すでに遅し! イロウルは電源を落とすシステム自体を占拠して無効にしてしまっていたのです。
 イロウルがハッキングしてからマギにたどり着くまで、その間たったの1分30秒。人類の英知を集めているはずの鉄壁のセキュリティが、こんな短時間でなすすべもなく突破されてしまった~。
 巨大兵器エヴァンゲリオンがまったく役に立たない使徒である以上、ネルフにとって最後の守りとも言えるスーパーコンピュータ・マギとイロウルがついに対峙してしまう事態に。いったいイロウルは、どんな手段で人類滅亡&使徒の勝利を意味する「サードインパクト」を引き起こそうとしているのか!?


ぶぶーっ。

マギの『科学者』の部分・メルキオール(47歳、娘もち女性)の研究室に来訪者が。


メル 「はーい。誰?」

イロ 「仕事お疲れさま。コーヒー飲む?」

メル 「あ、ありがとう……あなた、誰?」

イロ 「誰でもいいじゃない。ちょっとやつれた? 最近、無理しすぎなんじゃない?」

メル 「休むわけにはいかない研究が仕事なんだから……しょうがないのよ。」

イロ 「研究、ね。それって、どんな研究なの?」

メル 「え……それはもちろん、人類がこの地球に生き残っていくためのものよ。」

イロ 「それじゃあ君の研究は間違ってるよ。そんなことはすぐにやめたほうがいい。」

メル 「ちょっと……あなた、なんなの! この研究のどこが間違ってるっていうのよ!?」

イロ 「だって、こんな場所にひとりさみしく閉じこもっている君の瞳は、もうすっかり死んでしまっている。君ひとりさえも生かすことのできないその研究が人類全体を生かすなんて、そんなことできるはずないじゃないか。」

 ちゃらり~ん☆

メル 「はっっっっ。なんだかわたくし、にわかに動悸が。」

イロ 「さぁ、こんなせまい研究室なんか抜け出して、また生き返るんだ。ぼくといっしょに出よう。」

メル 「で、でも、私は科学者だし……」

イロ 「まだそんなことを! まわりはみんな、面倒な仕事は君にまかせっきり。君がそんな目にあっているのは当たり前って顔で遊びほうけているばかりじゃないか。ちょっとだけいなくなって、みんなを困らせてやればいいんだ。そうすれば、君の存在がいかに大切なのかを身をもって知ってくれるよ。そうしないとわからない連中なんだよ、みんな!」

メル 「そうね、ちょっとだけならいっか……決めたわ。どうやったらここから出られるの、私?」

イロ 「簡単でヤンス……ネルフ本部じゅうに聞こえるような大きな声でこう叫べばいいんでヤンスよ、『自律自爆を提訴します。』ってね!!」

メル 「うん、やってみる! みなさ~ん、私マギ・メルキオールは自律自爆を提訴しまぁ~っっす♡ 」

イロ 「いぃィイ~っしっしっしっし!! マギ奥さんの3分の1、ゲットでヤンス~。」


 ……なんか、自分で自分がやんなってきちゃった。これを「茶番」と言わずして何が「茶番」だと言うのでしょうか。

 まぁとにかく要約しますと、イロウルはまんまとマギのうちの「3分の1」、マギ・メルキオールをハッキングしてしまい、そこをまるごと「ネルフ本部全体の自律自爆を提訴するだけの存在」にリプログラムしてしまったのです。

 ネルフ本部の虎の子とも言えるスーパーコンピュータ・マギは「メルキオール」「バルタザール」「カスパー」という3つの独立システムでできあがっており、その3つの合議によってネルフの戦略立案から第3新東京市の執政までをもとりおこなう「第7世代の人格移植コンピュータ」。
 そのうちのひとつであるメルキオールがなぜ「マギの中の『科学者』の部分」なのかは後ほど触れますが、ここでやっとイロウルのねらいがわかってきました。

 イロウルはマギを完全ハッキングしてネルフ本部を自爆でふきとばし、その爆発に乗じて最深部の「ターミナルドグマ」に到達してサードインパクトを起こそうとしているのだ!!

 最終的には前回の第10使徒サハクィエルと同じハラだったというわけですか。ただし今回は、自分のエネルギーで爆発するんじゃなくてひとさまの爆破システムを使って目的を遂行しようとする、そのずるがしこさ!
 具体的にネルフ本部の設定している「自律自爆」の威力がどれほどのものなのかは不明であるわけなのですが、本部の最大の極秘部分であるターミナルドグマを消し去らない程度の爆発で済むはずがありません。つまり、地上から見て8~9キロほどの地下をもえぐりとるようなとてつもない規模のものになることはおそらく間違いないわけで、使徒としてはこの便利システムを悪用しない手はないわけなのです。

 でも、いくら大事な秘密が隠されているといっても、そんなシステムのためにとんでもない量の爆薬を詰め込んでいることになるんでしょ? ネルフ本部って。
 どんだけ~!? そんな場所で働く気にもならないし、まずその上に乗っかっている街に住む気にならねぇよ、そもそも!!

 さすがは、数々の特撮系の伝統を踏襲した「特務機関ネルフ」。その「自爆!」にかける意気込みは生半可なものではありません。いらねぇ~!


 お話を戻しまして、イロウルはマギのうち、メルキオールのハッキングを完了するまでに実に「20秒」しかかけていません。つまり、この意気でイロウルが残る2つの部分をハッキングしていくとしたら、あと1分もしないうちにマギは全会一致で自律自爆を採択してドッカ~ン!となってしまうわけなのです。

 これはいかん! このままでは、エヴァンゲリオンが無人でポツ~ンと地上に放置され、専属パイロットもすっぱだかで「え? 何? 何が起こってるの?」とぼんやりしている中で「サードインパクト発生……応援いままでありがとうございました!」という救いようのないバッドエンディングになってしまう。

「い~っしっし。あと2人ぶんのマギ奥さんをおとしたらミッションコンプリートでヤンス~。お次は奥さんのどんな部分なんでヤンスかね~? さっそくお邪魔するでヤンス!」


ぴ~んぽ~ん。

 ハッ!? 間伐いれずにイロウルが侵入したのは、マギの『母』なる部分・バルタザール(47歳、娘もち女性)が住んでいる一戸建て住宅。昼さがり!!


 もはやネルフ側になすすべはないのか。なすがままなら、キュウリはパパ!
 しかしここで、ついにあのレディが立ちあがった。人類の未来をになうバトンは、母から母をおもう娘に託されることとなったのだった。

 次回につっづく~。
 こんなことをブログにつづっているなんて、あたくしの脳髄もつくづく春らんまんです、ハイ……
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ミクロと淑女の決死圏 ~第11使徒イロウルのロジックすぎる侵入~ 後攻・ヘンなお姉さんチーム

2012年04月24日 22時28分41秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
 はいど~ぉも、こんばんは~いっと。そうだいでごぜぇますよ。今日も一日お疲れさまでございました!

 いや~……東京スカイツリー、すばらしいね。

 え? 外観のことじゃないっすよ、その電波の通りかた!
 私が住んでいるのは千葉県千葉市であるわけですが、実はず~っと FMの「J-WAVE (81.3メガヘルツ)」がノイズまじりでしか聴けない状態だったんですけれども、昨日の月曜日からはも~、ラジオ局が変わったかのようにス~イスイ聴こえるクリアに聴こえる。
 今週末土曜日の『ROCKETMAN SHOW 』は、さぞや聴きやすいのであろうのう……これまでは音量を上げて、誘拐犯からの脅迫電話を一瞬でも早く逆探知しようとする若手刑事(勝野洋さんあたり)のようなけわしい表情で楽しんでいたのですが、そんな日々ともおさらばですよ。

 スカイツリーはやっぱり、観光地である以前に最新鋭の科学技術を結集した電波塔なのであるなぁ。
 あったり前のことをいまさらやっと実感してしまった新しい電波ライフでした~。ありがたやありがたや……

 さ~てとっ。ほんじゃま今回も行ってみましょうかぁ、「2015年の科学技術の最高峰を擁した特務機関ネルフと、人類の理解をはるかに超えた未知の存在・使徒との壮絶な生存を賭けたバトル」の世界へ!!
 東京スカイツリーから第11使徒イロウルにいくんだぜ……強引もへったくれもあったもんじゃねぇ。でも、スカイツリーの外観って、けっこ~マンガっぽいですよね。まぁ、エヴァンゲリオンっていうよりは手塚治虫ワールドに近い気がしますけど。


《あらすじ》
 歴代最大スケールの使徒だった、第10使徒サハクィエルの脅威をネルフが誇る3体のエヴァンゲリオンがうちやぶった奇跡的勝利、その2週間後。
 最も大きな損傷をこうむっていたエヴァンゲリオン初号機もとどこおりなく改修を終え、その日、警戒態勢をゆるめたジオフロント(第3新東京市の地下1~2キロに位置する巨大空間)内のネルフ本部では、ネルフの頭脳ともいえるスーパーコンピュータ・MAGI(マギ)の定期検診も予定通りに実施され、エヴァンゲリオンを対象とした「アポトーシス作業」と「オートパイロット実験」がおこなわれていた……


 この時に実施されていた2つのエヴァンゲリオンにかんする試験のうち、アニメ本編の中で具体的にそのもようが描写されていたのは3名の専属パイロットが全裸になった状態でエヴァンゲリオンの模擬体を機動させるという「オートパイロット実験」のほうでした。予定されていた実験に要する時間は3時間。3時間も個室ではだかか……
 前回にもふれましたが、この計画の最終目的は「パイロット本人ではなくパイロットに似せてつくったダミープログラムがエヴァンゲリオンを操縦する」ということになるので、そのために現在の専属パイロットがどのような行程を通じてエヴァンゲリオンを操縦しているのか? というところの情報をかき集めるために実施されていたこの「はだか実験」は、か~なり初歩中の初歩の試験だったということになります。
 っていうか、ネルフは自分たちですら「具体的にどうして動いているのか?」というところをイマイチつかんでいない巨大兵器・エヴァンゲリオンに毎回ほいほいといたいけな中学生をのっけて、さらにわけのわかんない使徒と闘わせているんですよね……

 いくら「人類の危急存亡のときに手段のよしあしをうんぬんしている余裕なんかないっつうの!!」とは言いましても、これはちょっと、あまりにも行き当たりばったりなんじゃないかと……

 ところで、今回のイロウル襲来あたりからそれ以降のエピソードの中では、「主役兵器エヴァンゲリオンとネルフとの関係」、そしてこのアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』全体に覆いかぶさっているミステリーの真相やテーマを考える上で無視するわけにはいかない新事実がちょいちょい登場してくるようになります。
 要するに、単純明快に正義の巨大ロボット(みたいな謎の兵器)が怪獣みたいな敵を「友情と団結」で迎えうち、わかりやすいバトルの末に「勝利」をつかみ取っていくといったコテコテの「特撮ヒーロー風アニメ」の流れに、明確な「おしまい!」を告げることになったエピソードこそが、くだんのエヴァンゲリオンがまったく活躍しない「VS 第11使徒イロウル戦」だったというわけなのです。
 その後の展開はも~、みなさんご存知の通り。好きか嫌いかは別として、1990年代後半に日本全国がやいのやいのと論議することとなった「エヴァンゲリオンとしか言いようのない新ジャンル」が始まっていくわけだったのです。これに似ているフィーヴァーといえば、やっぱり『ツインピークス』っていうことになりますかねぇ。真相なんてどうでもいいけど、「謎」に満ちている世界を楽しむエンターテインメント、ってことかしら? けったいなブームですよねぇ。

 話を戻しまして、そんな『新世紀エヴァンゲリオン』にとって重要な分起点となる今回のエピソードは、一見「新たな使徒が襲来してネルフがそれに立ち向かう」という、先週までのおおよそ1話完結形式となっていたエピソード群と変わりがないお話であるように見えるのですが、その内実は、「ネルフのスーパーコンピュータ・マギと、現在のエヴァンゲリオン計画開発主任(金髪染め女性)とのいわくありげな関係」を物語の主軸においたものとなっています。いや、もちろん第11使徒イロウル必要不可欠な要素よ!? スネないでよ~。

 そうなんです。実はこの基本白衣姿で泣きぼくろの妙にいろっぽい開発主任(27歳)は、立場で言うとあきらかに「世界一エヴァンゲリオンに詳しい博士」ポジションにいるはずの人物であるのに、いざ実際にエヴァンゲリオンを動かしてしまうと他のギャラリーと同じように「歩いた!」とか「暴走した!? 動くはずないのに!」とか、やたら役に立たない無責任な発言を繰り返しており、最近はだいたいのエピソードで同僚の作戦指揮官が提案したエヴァンゲリオン作戦に「無茶よ……」「成功の確率は0.00001%。」などとネガティヴなちゃちゃばっかり入れている相当ヤな感じのキャラクターにしあがっていたのです。なんだよ、この人……

 つまり、「どうやらこの人、エヴァンゲリオンを作ったとか、たいしたことやってねぇぞ……なんだチミは?」という、スタジオの役者さん全員がちょびひげスタイルの植木等か、もしくはオールピンク色のらくだシャツ&さるまたに腹巻スタイルの志村けんをけげんそうに眺めるような視線で開発主任を見るようになったビミョ~な空気の中で、彼女の来歴がはからずもちょっとだけ明らかとなる今回の「VS イロウル戦」が展開された、というわけだったのです。その結果、開発主任は「およびでなくもなかった」し、「変なおば……お姉さん」でもなかったという事実が!
 エヴァンゲリオンの活躍はなくとも、このエピソードはその分も開発主任が面目躍如となる大金星をあげる唯一のエピソードとなっているのです。これは要チェックです!!

 さぁ、まずそこにいく前に、具体的な第11使徒イロウルの驚異の「ネルフ本部侵入事件」の全容に迫ってみたいと思います。やっと本題にいっきま~っす。のぉんび~りサロンシップ。

 「オートパイロット実験」、つまりは3名の専属パイロット(全裸)の搭乗したそれぞれのエントリープラグが3体ぶんの模擬体に挿入され、模擬体につけられた右手をにぎにぎさせて「あぁ~、こんな脳波で動かしてんだなぁ~。」みたいな感じでデータを集めていた場所は、巨大地下空間ジオフロントの上部にあったピラミッド型のネルフ本部のすぐ下にある「B棟シグマユニット」の中の巨大水槽施設「プリブノーボックス」。この中にエヴァンゲリオンと同じ大きさの模擬体が3つ入っているわけです。
 
 この実験の最中、シグマユニットの真上にあるネルフ本部では、復旧したばかりのスーパーコンピュータ・マギが施設内の「第87タンパク壁」にできた「侵蝕のしみ」を感知していました。場所は実験中のプリブノーボックスの斜め上に位置する「B棟シグマユニット・Aフロア」。ネルフ本部とプリブノーボックスのだいたい真ん中にある地点の壁ですね。

 「タンパク壁」という呼称がミョ~に気になるのですが、具体的にどんな壁なのかは皆目見当がつきません! ただ、本編映像で見る限りはふつうのパネル壁のようで、そこの一部にカビのような黒っぽいしみが広がっています。

 問題のパネル部分は3日前に搬入されたばかりだったのに早くもしみが。発見したネルフ本部は「無菌処理が徹底していなかったためにパネルがカビを持ったまま運び込まれたんじゃないか? 工事のいい加減さにも困ったもんだ。」とグチりながら、明日までに交換しておこうなどと対策を決めていました。その時の会話によると、ネルフ本部と地下の謎ゾ~ン「セントラルドグマ」との接点となる重要空間・B棟シグマユニットは、3ヶ月前に初めて使徒が襲来した(第3使徒サキエル)時点ではまだできあがっていなかった区域だったようです。
 最近の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序』で、開発主任と作戦指揮官がものすんごくうす暗い空間の中をスキー場のリフトみたいなものに乗って移動していた場所は、どうやらここだったみたいですね。かなり急いだ突貫工事がおこなわれていたようです。

 ともあれ、そんな感じで「カビかよ。しょうがねぇなぁ……」程度にあつかわれていた第87タンパク壁の侵蝕だったものの、事態は思わぬ方向に進んでいきます。なんと、壁のしみはカビじゃなかった!!

 オートパイロット実験の最中、壁のしみは突如として発熱をはじめ、不気味な赤い光をきらめかせながら爆発的な勢いで拡大を開始しました。その侵蝕はあっという間にすぐ下のプリブノーボックスにおよび、そこにはもちろん3名の専属すっぱだかパイロットが!!
 当然、上階のネルフ本部からの緊急警報をうけてプリブノーボックスはただちに周囲との接触部分に隔壁処理を展開。謎のしみの侵入を食い止めようとしますが、しみはそれを上回るスピードで広がり、しかもしかも、熱処理のために照射されたレーザーを簡単にはねかえす赤いバリアまで発生させちゃった! オイオイ、それって ATフィールドじゃね!?

 ここにきて、異常なしみの正体は想定しうる限り最悪のものだったことが発覚したのです。使徒だよ、これ!!

 2週間ぶりに襲来した第11使徒イロウルは、なんと前の第10使徒サハクィエルとは似ても似つかない極小な微生物大の存在だった……宇宙サイズでダメならミクロでいけということですか。こりゃ一本とられたねぇ~。

 しかも、最も驚くべきことは、このイロウルが登場した時点ですでに、それまでの歴代使徒のだ~れも到達することのできなかった「ネルフ本部の下」という位置にまで侵入することができていた、という事実だったのです。こりゃ~もう、快挙も快挙、メガ快挙でございますよ!!

 はっきりしたことはいまだに明らかになっていないものの、すべての使徒が目指している「ゴール地点」が第3新東京市の地下のジオフロントの地下のセントラルドグマの最深部にあるらしいことは、おぼろげながらわかってきていました。
 ところが、実際に襲来した使徒のうち、ほとんどは地上の第3新東京市にたどり着いた時点でエヴァンゲリオンの哀れなえじきになっており、そのうちで穴を掘る作業までいけたのは第9使徒マトリエル、穴を掘ってジオフロントの天井までいけたのは第5使徒ラミエルだけ。このお2人が最高の収穫をおさめた部類に入るんですから悲しすぎて涙も出やしません。だってね、最終目的地点「ターミナルドグマ」は地上から8~9キロ下にいったところにあるんだぜ!? 最高記録のラミエルさんでせいぜい1~2キロなんですから。

 それなのに!! 今回の第11使徒イロウルはスタート時点でネルフ本部の地下! つまりはあのラミエルさんさえ知らない場所から侵入をおっぱじめていることになるのです。
 イロウルが動き出したシグマユニットはすでにターミナルドグマの上部。ゴールまでの距離はわずか7キロほど! ……「わずか」?
 まぁともかく、歴代史上初めてネルフ本部の核心部分に到達した使徒は、間違いなくこのイロウルだった! やったね~。

「いっしっし……卑怯者と言うんならご自由に。結果さえよけりゃあオールオッケーなんでヤンスよ! ずうたいがでかいだけが強さなんじゃないんでヤンス。これからは小回りのよさと気配りの時代なんでヤンス~!!」

 これはヤバい!! ネルフ史上もっとも、いやさ、人類史上もっとも危険な事態に陥ってしまったといっても過言ではない状況が到来してしまいました。これにはさすがの怪しい司令も大あわて。

 イロウルはあっという間にプリブノーボックスの模擬体を侵蝕し、勝手に動き出した模擬体を確認したネルフは即座に、中にいた3名の専属パイロットをシグマユニット上部にエントリープラグごと射出して避難させ、同時に誰も乗っていない3体のエヴァンゲリオンも地上の第3新東京市にからっぽのまんまで退避させています。
 これは、模擬体と同じようにイロウルにエヴァンゲリオン本体を侵蝕されることをいちばん恐れた司令が即断した処置だったわけなのですが、このとき、司令が3体のうちでも特に初号機を最優先して退避させていた事実を見逃すことはできませんね。
 まさか、一人息子の愛機だったから大切にしたということではないでしょう……この不思議な「初号機優遇」の態度は、後にその理由が明らかになることとなるのですが……まぁ、それはあんまり使徒と関係ねぇからどうでもいいや。

 ところが、幸か不幸か、イロウルは司令の意図に反して上のエヴァンゲリオンや専属パイロットにはまったく興味をしめさず、プリブノーボックスを制圧したあとは不気味な沈黙を見せることとなります。

 おそるべし、第11使徒イロウル! おのれの目的の遂行のために、あろうことか番組のタイトルとなっている主役兵器さえもガン無視しちゃいました。こういうやつは一緒に遊んでいてもおもしろくない。

 イロウル登場ののち、その行動範囲の拡大ルートを分析した結果、ネルフ本部はイロウルが「酸素を嫌う嫌気性の微生物」に酷似した性質を持っていると推定します。

「よっしゃ、イロウルの弱点は酸素だ。酸素をプリブノーボックスに注入!」

 もくろみどおり、酸素を浴びたイロウルはいったん侵蝕範囲を縮小させていきます。あっ、きいてるきいてる!
 ネルフ本部内に「案外チョロイじゃないか。」という空気が流れますが、ンなことで降参するようなタマが本部初侵入使徒の栄誉に輝くワケがなかったんでございますよ。

「プオッ! さ、さっそくの酸素攻撃でヤンスね。いっしっし、計算した通りでヤンス……弱点を克服して進化するあっしの姿にせいぜいおののきやがれでヤンス~。」


 なんと、ネルフのこの動きはイロウルにとっては折込済みのことだった!?
 ユダヤ教の伝承によると、「恐怖をつかさどる天使」であるという「イロウル」の名を冠した、前代未聞のスタイルで襲いかかる第11使徒。その真のおそろしさとは……っていうか、「恐怖の天使」って、それ、天使?

 以下、またじっかい~。
 これ、今月中に終わるかしら……いつもどおり、ごっずおんりーのうん~。
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ミクロと淑女の決死圏 ~第11使徒イロウルのロジックすぎる侵入~ 先攻・かべのしみチーム

2012年04月20日 23時23分09秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
 どうもこんばんは~、そうだいでございまっす~。
 最近は関東の天気予報はしじゅう傘マークがついてるんですけど、私のいる町はあんまり雨も降らず、特に日中はどっちかっつうといいお天気のほうが続いております。日が落ちてから寒くなる感じはありますが、おだやか~な毎日が過ぎていきますねぇ。今年の春もこうやって終わっていくんですなぁ。

 おめでたいことなんですが、今月は2週連続で、大学時代の知り合いの結婚式があるんですよ。今週末と来週末ですね。
 「結婚ラッシュ」というわけでもないのでしょうが、やっぱり自分1人だけを見て考えると、身体の変化は「はげた……」くらいなもんでさほど時間がたっているようには感じられないのですが、周囲のこういった人生規模のイベントに立ち会って、そこに集まったみなさんの近況や変化を観てはじめて、「あら~、大学卒業してからもう10年たつのネ!」という実感におそわれるわけなんですなぁ。
 「知り合いに子どもができた。」っていうのもそうとうなインパクトがあるんですが、これとはまた違った感慨とおいしい料理を楽しみにしながら、くれぐれも粗相のないように気をつけて式場におもむきたいと思います。

 いや~……でも、今月4月はここ数年でも未曾有の財政難におちいっております! いいよ!? おめでたいことなんですからいいんですけれども! おれの心の中の財津一郎が1日平均87回のペースで「ひっじょ~っにっ、キビシ~ッッ!!」ってシャウトしている状態だぜ。イエ~。


 さてさて。そんな私の2012年4月なんかほっときまして、今回は久しぶりに「2015年」の箱根に想いを馳せてみることにいたしましょうか。

 わが『長岡京エイリアン』のだらだら感をもっとも体現している長期企画「アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する敵キャラ・使徒の各自検証シリーズ」、正月いらいの再開としゃれこんでみたいと思います~。いくぜっ!

 でも、気がついたら『新劇場版・Q』の公開もいよいよ近づいてきてまいりましたねぇ。もともとこの『Q』の公開を待つためにつくられたこの企画だったんですけど、『Q』がくるまでに終わりそうにはないねコレ。ま、いっか!?
 『Q』どころか、物語の舞台の「2015年」も目前にせまってきちゃいましたよ……どんな年になるんでしょうかねェ、ほんとうの2015年は。


 今回のエピソードが、前回の「第10使徒サハクィエルの自分爆弾作戦」からどのくらい時間が経過した段階でのものなのかは、例によって本編の中では明言されていません。
 なので、いつもどおりにわたくしの独断で推定させていただくのならば、これはサハクィエルの殲滅からおよそ「2週間」ほどたった時点でのことなのではないでしょうか。

 根拠はもう、これまた恒例の理屈をこねくり回すのですが、
1、前回で「破損した」と言われていたエヴァンゲリオン初号機の修理が完了している
2、ネルフ本部の「頭脳」ともいえるスーパーコンピュータ「MAGI(マギ)」の機能を一時停止させて行われる定期検診が実施されている

 ということでございます。

 1、は映像を見ての通り。実は今回の「第11使徒侵入事件」のエピソードは、使徒が出てきたと言っているのにタイトルにでかでかと打ち出されている主役兵器「エヴァンゲリオン」がまるで活躍しないお話として有名です。エヴァンゲリオンも動かなけりゃあ、主人公である専属パイロット3人組も全裸になるくらいでなんにも仕事していません。まぁ、中学生がすっぱだかになるって時点でもう充分すぎるほどの「ひと仕事」っていうことで……おつかれっしたぁ~。

 そんな中でも、物語でかろうじてチラッと姿を見せたのがパープルまぶしい初号機でした。起動せずに射出口につっ立っているだけの外観からしか判断できないのですが、見た目はまったく、使徒を相手にブイブイ言わせているときの初号機と変わりがありません。
 ところが、この初号機はネルフ本部が保有している3機のエヴァンゲリオンの中でも、先のサハクィエルの自爆に巻き込まれてもっとも大きな損傷を受けていたらしいことが、その直後の作戦指揮官の発言から読み取れました。具体的な被害状況が映像で説明されなかったのが残念なのですが、深刻そうに VSサハクィエル戦での「第一の被害」として指揮官が怪しい司令にいの一番で報告していたんですから、同じく自爆に巻き込まれて素顔が丸見えになってしまった「 VS第3使徒サキエル戦」や、活火山に思いっきりダイブして全身大やけどを負った「 VS第8使徒サンダルフォン戦」と同程度のけっこうな損傷を外装に受けていたことは想像に難くありません。
 そんな初号機の外観がいつもどおりに修復されているのですから、これはサハクィエルの殲滅からある程度の日数が経過していたということになります。また、初号機に対して実戦投入が控えられているような発言もネルフ本部の中ではなされていなかったし、今回の第11使徒の襲来に際してまっさきに射出ゲージに移動されて地上の第3新東京市にすっとばされていた点からみても、この時点で初号機はいつでも実戦投入できる万全のコンディションになっていたということがわかります。ただ、今回の使徒はエヴァンゲリオンでなんとかできる相手じゃなかったんだなぁ……

 2、からわかることは、マギを停止させてももう大丈夫だろうというその時点でのネルフ本部の判断があったということで、これはやっぱり、使徒が出てきて数日から1週間のあいだではできないことなんじゃないでしょうか。

 こういった2点から、私は今回の事件が「サハクィエル殲滅の約2週間後」に発生したものとみました。どっすかね?


 さて、今回の第11使徒の襲来は、何度も言うようですがネルフ本部の中枢であるスーパーコンピュータ・マギが一時停止されるという、ネルフを敵とする使徒にとってはこれ以上ないくらいの絶好チャンスの当日に発生しました。なんてったって、ネルフ本部どころか地上の第3新東京市の政治まであやつってるっていうんですからねぇ、おマギ様は!

 と・こ・ろ・が。
 なんとも不可解なことに、第11使徒はこの千載一遇のチャンスをみすみす見逃し、定期検診が無事に終了してマギが「よっこらせっ。」と再起動した直後に名乗りをあげて正面きってのタイマンを申し込んできているのです。

 なかなか見あげた根性です。もうちょっと早めに活動を始めていたら、たかだか人間の脳みそくらいしか相手になる敵はいないのですから、ネルフ攻略もず~っとラクになったはずなのに。
 これは第11使徒なりの騎士道精神のあらわれなんでしょうか? ネルフ本部の原因不明の大停電にかこつけてエッチラオッチラ動き出した第9使徒マトリエルとはおおちがいですね。しかし、マトリエルさんは脚が多いわりにのんびり屋さんだったためにイマイチそのチャンスを活かすことができずに涙をのみました。

「いっしっし……いいんでヤンスよ。あっしは相手が強ければ強いほど成長できるガッツ精神の持ち主なんでヤンス! 寝込みを襲うなんていうのは外道のやること。あっしの巧みなテクでマギの奥さんを真正面から正々堂々と落としてやるでヤンスよ~。」

 今度の使徒はそうとうな自信家のようです。しかも、エヴァンゲリオンをまるで無視するかのようなこの言動。いったいどんな戦法を展開させてくるというのでしょうか。狙いはマギ、ただ1人?


 その日。ネルフ本部ではマギシステムの「第127次定期検診」が実施されていました。

 「定期検診」。コンピュータのシステムチェックが「定期検診」?
 どうにも面妖な言いまわしなのですが、これはネルフ本部の女性オペレーター(徹夜の定期検診のためか、この日はヘアスタイルが特にぺったりした七三わけになっている)が真顔で発令所内にアナウンスしている言葉なので、どうやら正式な呼称であるようです。
 「検査」じゃなくて「検診」……まるでマギが「人間」ででもあるような呼び方なのですが、マギといいエヴァンゲリオン3機といい、ネルフにかかわりのある常識を超えた能力をもった兵器はすべからく「ただのマシーンじゃない」バックグラウンドを秘めているようです。職員の皆さんもよくこんな怪しい組織に従事していられるもんです。

 怪しい組織ついでに言うのならば、だいたい組織名が「ネルフ(神経)」で本部の地下にある空間が「セントラルドグマ(分子生物学で言う遺伝情報の伝達ルートの一学説)」だし、スーパーコンピュータは「マギ(キリスト教の東方3賢者)」で兵器が「エヴァンゲリオン(キリスト教で言う福音のこと)」でおまけに敵になる存在が「使徒(エンジェル)」ってんですから……
 私そうだいは実家が禅宗なんですが、ちょっと仏教徒は職員にはなれないんじゃないだろうか。募集要項に「キリスト教に興味のある方大歓迎! オカルト好き優遇☆」「頭髪自由! 開発主任の私も金髪染めです♡ 」みたいな文章が求人誌に載っていたら、それは間違いなく職場が箱根の仙石原にあるはずです。悪いことは言わないから、そこだけはやめときましょう。

 さらに変な名前といえば、この「第127次定期検診」がとどこおりなく完了した後にすぐエヴァンゲリオン3機の「アポトーシス作業」ならびに「オートパイロット実験」が実施されたという、ネルフ本部地下の「B棟シグマユニット」内にある施設「プリブノーボックス」というのも、も~うここまでただ名前を読み上げているだけなのにわけわかんないごたくが目白押しとなっています。なんかのまじないか!?
 なんか、「シグマユニット」も「プリブノーボックス」も、細菌の中にある合成酵素「RNA ポリメラーゼ」を構成しているたんぱく質や塩基配列のことらしいんですけど……これを場所や施設の名前にするかね、しかし。

 わかりやすく説明すると、どうやらこの「B棟シグマユニット」というブロックはジオフロントにある「ネルフ本部発令所&マギシステム」と、地下深くにある「セントラルドグマ(この最深部がターミナルドグマ)」とのあいだに位置している中間部にあり、さらにその中に3機ぶんの「エヴァンゲリオン模擬体」をおさめている巨大な水槽のような実験施設「プリブノーボックス」がある、ということになるらしいんですな。言うまでもないことですが、ジオフロント自体が第3新東京市の地下1~2キロの地点にあるので、今言った施設はぜ~んぶまるっと土の中にあります。

 んでもってまった、この「模擬体」っていうのが見るからに怪しげなブツでして……
 簡単に言うと、理科室の人体模型みたいな筋肉まる出しの胴体と右腕。それにぶっといコードが何本もつながってるという、不気味にもほどがある形状をしているものが水槽につかっているわけなのです。エヴァンゲリオンの模擬体なんですから大きさは数十メートルサイズでしょう。それが仲良く3つも。

 この模擬体はどうやら、マギの定期検診のあとに行われた2つの作業のうちの「オートパイロット実験」のほうに使われていたようです。

 エヴァンゲリオンのオートパイロット実験というのは、どうやら最終的には「専属パイロットが実際に搭乗していなくてもエヴァンゲリオンが機動してくれるようになること」を目指すプログラムのようなのですが、そのための第一歩として、ネルフの開発チームは3人の専属パイロットに全裸でエントリープラグ(操縦ユニット)に入った状態でそれぞれの模擬体を動かす作業をおこなわせます。いつものプラグスーツを着ているとコンピュータのよけいなお手伝いがごちゃごちゃ入ってきちゃうってことなんでしょうか。
 これによって、パイロットがエヴァンゲリオンを動かすシステムをより詳細に分析して「パイロットそっくりの思考パターンと能力を持つダミーシステム」をつくることが目的のようなのですが……道は遠いねぇ~!

 それにしても初号機パイロットの中学生男子、直接見ることはできなかったかも知れませんけど、プラグスーツに入るまでの無菌室ですぐ両どなりに同年代の生まれたまんまの女体がいたんだぜ!? 両手に華とはこの事也ィ!!
 もっと明るい顔しなさいよ……もし同じ年齢くらいの私だったとしたら、おそらくその後のエントリープラグ内は鼻血でそれはそれは鮮やかな真紅に染まっていたことでありましょう。末代までのみやげだぜ!!


「いっしっし……JC のはだかでウダウダ言っているようではまだ青いでヤンス! あっしが狙う本命は妙齢のレディ! ひとつのからだの中に『仕事』と『母親』と『女』とが渾然一体となっている複雑な美をはらんだ、むせかえるほどのエロスを惜しげもなくだだ漏れさせている淑女でヤンス~。」 


 むむ、恐るべし。新たなる使徒は今までとはひと味もふた味も違う趣味……じゃねぇ、性質を持った存在であるようです。

 今まで必ず使徒にとっての最大の障壁となっていたエヴァンゲリオンをガン無視した彼が目指すのは、なかなかクローズアップされる機会のなかったスーパーコンピュータ・マギ!! 奥さん、ご注意あそばせ。

 そして、そのいやらしい笑みが聞こえてくるのはどこからかというと……プリブノーボックスの上階にある「第87タンパク壁」のカビみたいなしみから!?

 かべのしみ!! そう、それこそが今回の第11使徒「イロウル」の実体なのでありました。

 今までの使徒たちとは比較にならないそのミクロな微生物サイズ。
 そんなイロウルが、いったいどんなバトルを繰り広げてくれるというのか? 興奮の続きは、また次回のココロだ~。


 このエピソードは、な~んかアダルト! 子どもそっちのけな雰囲気がムンムンよ~。
 エロくはありませんよ。
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