長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

ヒト型兵器はなぜ踊る ~第7使徒イスラフェル~ グレーのほうが乙です

2011年01月30日 22時30分21秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
《前回までのあらすじ》
第5使徒ラミエル以来、1ヶ月ぶりに日本に上陸した新たなる刺客・第7使徒イスラフェル。なんとヤツは、「分体」するという大技を持っていた。ビックリ!


 エヴァンゲリオン2号機のソニック・ブレードによって真っ二つにされたイスラフェルは、短時間のうちにオレンジとグレーの2体に増えて再生してしまいました。
 仕方なく初号機と2号機はバラバラになって使徒と戦う流れになったのですが、なんとイスラフェルには、さらに恐るべき性質が!
 その名も、「二身一体バックアップ再生機能」! なんかデジタル。

 この性質の具体的なズルッコさは、初戦での分体後の経過が丸ごとカットされてしまったアニメ版ではわかりづらいのですが、貞本義行によるマンガ版(単行本4巻)で詳細に描写されています。
 たとえば、2号機がイスラフェルの片方をもう一回ソニック・グレイブで斬り裂いたとしても、すぐに斬った部分がつながって再生してしまい、「使徒の弱点」であるはずのコア(核)をかち割っても、それもまたすぐに復元してしまうのです!
 「人間型」の使徒に共通している特徴なのか、サキエルとシャムシエル同様、イスラフェルもおなかのど真ん中に弱点であるはずのコアを誇らしげにつけています。弱点でてる! でてるよ!
 しかし、今回の場合はちと勝手がちがうんです。いくらコアを集中攻撃しても、イスラフェルは平気のへいざ! ピンピンして応戦してきます。な、なぜ?

甲「はい! 説明いたしますと、わたくしどもの身体は2体に分裂していながら、身体の情報をおたがいに共有しているのでございます。」
乙「したがいまして、それが弱点であるコアだったとしても、ダメージを受けた瞬間に、もう片方の無傷なバックアップ情報を受信して再生させてしまうというスグレものなのでございますよっ。」

 なんということだ……ということは、さしものエヴァンゲリオンが2体で闘っても、その攻撃法がバラバラになっている限り、イスラフェルには傷ひとつつけることができないということなのか!? ネルフ、ピンチ!

 結局、ネルフはそんなイスラフェルの秘密を解明することができず、戦闘開始後30分もたたない午前11時。2体のイスラフェルによって初号機と2号機が駿河湾からはるか遠くの地点に投げ飛ばされて機能停止におちいってしまい、ネルフは作戦指揮権を国連軍にゆずって撤退してしまいます。
「おっしゃあ、俺たちの出番がまわってきたぞ! 今度こそ、やったんでぇ!」
 と言ったか言わずか、第3使徒サキエル戦以来およそ2ヶ月ぶりに作戦のメインをしきることになった国連軍。間髪入れずに最新兵器「N2航空爆雷」の投下を決行します。

 「N2航空爆雷」とは? これは、サキエル戦のなかで山ひとつ吹き飛ばす勢いで炸裂し、サキエルを半日動けない状態にしたという国連軍の最終兵器「N2地雷」を、上空から大型戦闘機で地上に投下できる形にアレンジした最新兵器である。はっきり言って、国連軍の持っている兵器の中で使徒に通用するものは、これだけなのだ!!

 ズズ、ズドドォ~ン……

 盛大なキノコ雲をあげるN2航空爆雷。数分後、爆心地には炭のように真っ黒焦げになった2体のイスラフェルが。

甲「ゲホッゲホッ……な、なかなかの火加減でございましたわね。」
乙「今日のところはヤケドの治療に専念することにいたしますが……今に見ておれでございますよ。」

 N2兵器は、今回も使徒に通用した! またしても殲滅することはかなわなかったのですが、ネルフの分析によるとイスラフェルは全身の約28%を損傷、回復して動き出すまでには6日間かかるという予測が報告されました。
 やったぜ国連軍。前回のサキエルは半日だったのに、今回は6日間の足止めに成功だ! まぁ、代償として駿河湾がなくなっちゃったけど……
 サキエルにくらべてイスラフェルの回復速度が遅すぎるという点が気にかかるのですが、それはまぁ、N2航空爆雷がN2地雷にくらべて格段に強力なものになっていたからなのかもしれないし、2体に分裂したことでイスラフェルの回復能力が多少おちていたからなのかもしれない。
 いずれにしろ、イスラフェルは先ほどにあげた特異な再生能力を持っているわけなので、回復速度の差をもって「サキエルよりもイスラフェルの方が弱い」と判断してはいけないと思います。

 さて、イスラフェルの再侵攻までに6日の猶予ができたネルフ側。しかし、イスラフェルに投げ飛ばされて機能停止になった初号機と2号機も、修理完了までに6日かかるというギリギリスケジュール。
 ならば、他にこの貴重な6日間を使ってネルフにできることは?
 むろん、回復したイスラフェルは当然のように第3新東京市に侵攻してくるでしょうから、急ピッチでラミエルの遺骸をかたづけて市街地の迎撃体制を復旧させる必要があります。
 そしてもう一つ。映像などによる解析によってイスラフェルの「二身一体バックアップ再生機能」を理解したネルフ作戦本部は、2体に分裂したイスラフェルに対しては、2体のエヴァンゲリオンによるまったく同じタイミングで同じ部位を攻撃する共同作戦が有効であり、最終的には2つのコアに同時に致命的なダメージを与える「二点同時荷重攻撃」しか通用しないという結論に達します。

 そこで採用されたのが! 「62秒の楽曲にあわせて2体のエヴァンゲリオンが寸分たがわない振り付けで踊りながらイスラフェルを殲滅する」という作戦。正気か!?
 うーん……しかし、パイロットが1週間前に会ったばかりの、しかも性格の合いそうにない2人である以上、手っとり早く同じ振り付けをおぼえるという作戦がいちばんマシなのではあるのでしょうが。
 人類の命運が、華麗にステップを合わせながら舞い踊る2体の身長40メートルの巨人にかかっているとは! 頭がクラックラするようなステキな展開です。

 そんな流れから生まれるのが、「明るいロボットヒーローアニメ(ロボットじゃないけど)」の大傑作として記憶されるべき中期『新世紀エヴァンゲリオン』を象徴する名場面、初号機パイロットとドイツ娘の汗ひかるダンスレッスンなんですなぁ!
 今現在、『エヴァンゲリヲン新劇場版』3部作のうち『序』と『破』が公開されている時点では、TVアニメ版でのドイツ娘こと「惣流=アスカ=ラングレー」が大活躍するこの「エヴァンゲリオン中期」の明るくむちゃくちゃなノリは、なんとなくなかったことにされているような気がします。具体的には、TV版の第6~11使徒戦あたりがその「中期」にあたるんでしょうが、私はそれが哀しくてしょうがありません!
 もちろん『新劇場版』はおもしろいです。はっきり言って作品のクオリティは全ての面においてTV版とは比較にならないほどアップしているし、謎のばらまきがとっちらかり過ぎて収拾がつかなくなった(ように見えた)TV版に対して、見間違えるほどスマートな展開になった新劇場版は格段に観やすくなっています。

 でもさぁ、1990年代のフワフワした熱っぽさをそのまんま作品に投影している中期の雰囲気もいいんだよなぁ。あのまま、ドイツ娘が元気なままで進んでいたら、いったいどんな物語になっていたのだろうと時々夢想してしまいます。
 『新劇場版』で、どこからどう見ても「惣流さん」な彼女が「式波大尉」になっていたのは、まことに慧眼だと思います。別人だものねぇ、あの2人。惣流さんはあんなにオトナじゃないからねぇ!

 初号機パイロットとドイツ娘の涙ぐましい努力の日々は、ぜひともアニメでごらんになっていただきたいと思います。様々な表情を見せる『新世紀エヴァンゲリオン』の中でも、とびっきりハイで楽しい一面を目の当たりにすることができるはずです。
 ちなみ、のちに中期エピソードのほとんどをカットしてしまうという哀しい展開におよんでしまった貞本義行のマンガ版『新世紀エヴァンゲリオン』も、この「対イスラフェル戦」だけはアニメ版以上に力を入れて描写しており、特にこのダンスレッスンのくだりは、その並はずれた画力もあいまって、さまざまなレギュラーキャラが表情豊かに生き生きと活躍する素晴らしい物語になっています。マンガ版は、とにかく初号機パイロットの中学生男子が人が違ったようにしっかりした「自分」のある子になってるから、初号機パイロットとドイツ娘がしだいにその精神的距離を近づけていくあたりはもう感動的でねぇ……はずすことができない名場面です。

 さて! 無惨な敗戦を喫してしまってから6日後。ネルフの予測通りに回復したイスラフェルは侵攻を再開し、やはり予測通りに芦ノ湖の南を東に回ってから強羅温泉を通って北上し、第3新東京市にその姿をあらわします。

 イスラフェルが市街地に侵入したタイミングを見はからって、ネルフ本部から射出口をつうじて文字通り地上へとおどり出る初号機と2号機。前回は敗れた2体でしたが、今回は気合いの入り方がちがっていた!
「62秒で決着をつける!」
 62秒の曲に合わせて見事に息のあったアクションを展開する2体のエヴァンゲリオン。
 第3新東京市の迎撃体制もある程度は復活したようで、ミサイル攻撃や装甲シールドなどで2体を援護します。

甲「あらっ、見間違えるような的確な攻撃! やりますわね。」
乙「これはいけません。わたくしたちも本気を出さなければならないようですね!」

 対するイスラフェルも、目(らしい部分)からのビーム、手の先の鋭利なツメ、ちょっとだけ空を飛ぶなどの手段を駆使して反撃します。
 どことなくサキエルに似た攻撃をくり出してくるイスラフェルなのですが、やはりサキエル同様、N2兵器によるダメージからの回復後に攻撃力などの面で進化しているような様子がうかがえます。

 しかし、ピッタリと完璧な一心同体攻撃を続ける初号機と2号機にはついに勝てなかった。
 たまらず、甲乙の2体が合体して1体にもどってしまうイスラフェル。
「今だっ。てやぁーっ、」
 一瞬のスキをついて中空に跳び上がる初号機と2号機!

「ダブル・エヴァンゲリオン・キーィッック!!」
 ドゴぉ~ン!!
 きまった! イスラフェルのコアに同時にヒットする2体のキック。あまりの勢いに、イスラフェルは蹴られたまま市街地から近隣の山まで吹き飛ばされてしまいます。どんだけ~!?

「ぐバハぁア~ッ!! や、やられましたわ……ムラサキと赤のおふたり、これからも、そのコンビネーションを忘れずにお幸せに……」
 コアにヒビがはいった! ドッカ~ン。
 こうして、第7使徒イスラフェルは山ひとつを消すほどの大爆発とともに華々しく散っていったのでした。もうちょっとでネルフ本部に行けたのになぁ~。でも、グッジョブ!

 グッジョブと言うのならば、蹴りながらイスラフェルを、市街地に爆発の影響のない山あいまでもっていったエヴァンゲリオンパイロット両名もグッジョブです。
 というか、登場人物たちのセリフによると、どうやらイスラフェルが姿をあらわした翌日にその対策法を考案して、それにぴったりの楽曲と振り付けを用意したらしいネルフ本部がいちばんグッジョブですよ! だって、イスラフェルがビームをはなったりちょっと空を飛ぶってことも予測できてたってことでしょ? これは使徒側にとっては恐るべき脅威ですよ。
 ネルフ本部の頭脳ともいうべき、すべての作戦の案出とシミュレーションを一手に引き受けるスーパーコンピュータシステム「MAGI(マギ)」は、2010年に赤木ナオコ博士(物語に登場するリツコ博士の実母)が完成させたものなんですが……ナオコさん、天才すぎ。もしかしたら、あの楽曲を作曲したのも、MAGI? やりかねません。さすがは特務機関ネルフ。総司令の外見のあやしさはダテじゃありません。

 さきほどあげたように、マンガ版でも重要なエピソードとして取り上げられていた対イスラフェル戦だったのですが、残念ながら『新劇場版 破』ではみごとにカットされてしまっております……
 ま、「惣流さん」の登場しない『新劇場版』である以上、しかたのない処置なのでしょうが、要するに、『新世紀エヴァンゲリオン』の中期は惣流さんのあの性格とその成長がなくては成立し得ない物語になっていたんですなぁ。
 しみじみと、惣流さんと惣流さんのいた1990年代に想いをはせる「対イスラフェル戦」なのでした……いや、惣流さんがいたのは2015年だけどさ。


《ほんとに蛇足ながら》
 本来、イスラフェルはイスラム教で音楽をつかさどる天使の名前なので、アラブ語読みにしたがって「イスラフィール」と表記したいところだったのですが、一般的な呼称のとおりとしました。ひとりだけちがう語感なのもかわいそうですし。
 でも興味深いことなんですが、キリスト教の天使もイスラム教の天使も、上司はいっしょなのね! 天使にもカブッてる方がいて、ガブリエルがジブリールだったり。宗教はホントに深いわ。
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ヒト型兵器はなぜ踊る ~第7使徒イスラフェル~ オレンジのほうが甲です

2011年01月28日 15時34分30秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
 こっんにっちは~。そうだいですぜ。なんか最近、鳥インフルエンザだヒトインフルエンザだ、カゼだ火山だとなにかと物騒な話題が広がっているんですが、みなさんはお元気ですか? 私のいる町は平和そのもの。天気も良かったやね。

 さてさてぇ! 今回はタイトルを見ておわかりのとおり。あいかわらずエッチラオッチラと進めている恒例の『新世紀エヴァンゲリオン』歴代使徒検証シリーズの第5弾をお送りしたいと思います。
 このシリーズをやっていて、ふと「これを続けていてよろこぶ人って、いるのかな?」とわれにかえってしまう時があります。エヴァンゲリオンネタなんて、それこそもっと詳しくて読みやすくてプロフェッショナルな記事なんか、くっさるほどあるでしょうしね。
 しかぁし! そんなことを気にかけているだけ時間のムダだっ。人がよろこんでいなくても、使徒はきっとよろこんでくれるはず!
 だいたいねぇ、これは個人ブログなんですよ。もともと、わたくしが楽しいからやってることなんだもの。それを読んでくださるみなさまがいらっしゃることは非常にうれしいし、パワーになる。しかし、そういった方々のことを「私の読者だ」なんて勘違いしてしまってはいけない。
 まずは、「やりたいことをやる」。それがわが『長岡京エイリアン』の本分であり、「使徒検証シリーズ」に限定して言えば、その私のバカさ加減こそが、死んでいった使徒のみなさんへのささやかなたむけになるはずなのですから。
 ということで、今回もがんばんぞー!


 ドイツのネルフ支部からやってきた、エヴァンゲリオン2号機とその専属パイロット・謎のドイツ娘(14歳 4分の1日本人)。
 移動中に旧伊東沖で第6使徒の奇襲にあいますが、初号機パイロットとのダブルシンクロの甲斐もあって見事に初戦を勝利で飾りました。
 さっそく翌日から、初号機パイロットや0号機パイロットの通う第3新東京私立第一中学校に転校し、当たり前のように2人のクラスメイトとなります。もうドイツで大学を卒業してるらしいんですげど。

 ところで、今回の主役となる第7使徒イスラフェルはいつ日本にやってきたのか? 例によってドイツ娘来日からどのくらいの日数がたっているのかは明らかにされていません。

 その日。いつもどおり朝の登校時間に第一中学校に集まってくる生徒たち。どうやら学校は「パツキンのすっげぇかわいい女の子が外国から来たゼ!」という話題でもちきりのようで、校舎裏ではドイツ娘の盗撮写真が男子間で売り買いされるというごく健康的な事態まで発生していました。まぁ、彼女の本性を知っている初号機パイロットとその友だちのジャージとメガネは冷めきった態度なんですが……
 いっぽう、朝から無数の男女のせん望のまなざしをバッシバシ全身にあびて現れたドイツ娘は、登校中になぜか街のベンチで『分子生物学』の専門書(英語で書かれているらしい……おそろしい中学生です)を熟読していた0号機パイロットに「仲良くしましょ!」と文字通りの上から目線で声をかけますが、0号機パイロットは目も合わせずに
「命令ならばそうするわ。」
 とかえします。
「へんな子ねぇ?」
 とけげんな顔をするドイツ娘。いや、それは変なんじゃなくて、明確に拒絶されてるってことなんじゃ……

 だいたい、こういったドイツ娘のちやほやされ方、そして盗撮された体育などの授業をすでにいくつか受けている感じ、クラスメイトであるはずの0号機パイロットに初めてらしい名乗りをあげているという感じから見て、私は、第7使徒がやってきた日は第6使徒がエヴァンゲリオン2号機を襲った日から経過1週間以内くらいかと思うんですけど、いかがでしょ。

 そんなやりとりがなされていた午前中。アニメ本編が中学生の登校シーンから大きな時間の跳躍もなく自然に流れていたとしたら9時前ということになりますが、ネルフ本部に重大な報告が入電されます。
 報告したのは警戒中の巡洋艦「はるな」。紀伊半島沖に謎の潜行物体を発見したという情報で、ネルフは即座に分析。問題の物体は第7の使徒であると断定しました。

 脱線しますが、この時登場した「はるな」がどこに所属している巡洋艦なのかが、ちょっと気になります。ネルフの直轄じゃないですよね。海上自衛隊か、はたまた国連軍か……これ以降は物語に登場しない名前なので答えは出ないのですが、2011年現在、海上自衛隊は「巡洋艦」クラスの軍艦を保有していません。
 さらに脱線すると「巡洋艦」とは、「戦艦」よりもひとまわり小さい排水量1万トン以下の軍艦のことです。さらにさらに脱線すると、海上自衛隊は巡洋艦よりもさらに小さい「護衛艦」で「はるな」という名前のものを実際に所有していたのですが、おしくも2009年に退役してしまいました。いろんな意味でほんとにおしい!

 話を本題にもどしまして、せっかく登校したのにさっそくネルフ本部に召集されてしまった初号機パイロットとドイツ娘は、エヴァンゲリオン初号機と2号機に乗り込んで駿河湾岸に待機し第7使徒を迎撃することとなります。
 今回、ネルフ本部がいつもどおりの第3新東京市での決戦を行わずに太平洋側までくり出したのは、その時点で第3新東京市の機能がまだ使徒を迎撃できるまでに回復していなかったためです。
 第5使徒ラミエルとのドンパチはやはりすさまじかったようで、あれから1ヶ月ほどたっているはずなのですが、迎撃システムの回復率は26%。街のど真ん中に横たわったラミエルの遺骸もまだ撤去されていないという惨状でした。しかも、その時にラミエルの加粒子砲攻撃を初号機よりも多めにくらってしまったエヴァンゲリオン0号機は修理中というていたらく。こりゃいかんわ……


 ということで、海岸で第7使徒の出現を待ち受ける初号機と2号機。特に2号機のパイロットであるドイツ娘のほうは、前回の第6使徒戦が初号機パイロットのシンクロヘルプをもらった上での勝利だったことに不満を持っているらしく、「今度こそ単独でブッ倒して日本のネルフにガツンといわしたる!」と鼻息も荒いです。
 そして、ネルフ側の準備もととのった午前10時半すぎ、ついにハデな水しぶきをあげて第7使徒が出現!

 えっ、10時半すぎ!?

 だって、「はるな」ちゃんが紀伊半島沖で使徒を見つけたのが、少なくとも第一中の生徒がエッチラオッチラ登校してた時間の8時半~9時ごろなんでしょ?
 ということは、第7使徒は紀伊半島沖から駿河湾までを約2時間で泳いできたことになります……紀伊半島から駿河湾ったら、距離にして350~400キロありますよ。
 
 第7使徒の泳ぐ移動速度、ざっとみつもって時速200キロ!
 これはすごい……前回の第6使徒ガギエルもそうとうなスピードで泳いでいたんですが、今回の第7使徒もなかなかのものです。最初に現れた第3使徒サキエルが時速40キロで泳いできたことを考えると、素晴らしい進歩だ!
 さぁ、そんなハンパないジェットでやってきた第7使徒。いったいどんなナリをしたヤツなんだ?

 ザバーッと現れたその姿は、またしても奇々怪々なフォルム。

「ブハーッ!! 日本のみなさま、おはようございまーす! 黒潮にのってやってまいりましたーっつ!」

 おおざっぱに言うと人間型なんですが、サキエルに共通した首のない「ジャミラ型」で、胸に赤と青の「陰陽マーク」のような顔(?)がついています。身長はエヴァンゲリオンやサキエルと同じ40メートルほど。
 全体的に体色はグレーで、鋭い包丁のようなエッジのついた腕を持っています。人間型という意味ではサキエルに近いのですが、やせて骨っぽい印象のあったサキエルとはまったく違うずんぐりした体型をしています。
 うーん、これが時速200キロで海を泳いできたとは。なんか、まるまって弾丸みたいな形に変形してたのかな。

 ともあれ、海面から現れた第7使徒にすかさずパレットガンを連射する初号機。第4使徒シャムシエルの時と同様にやっぱり全然きかないのですが、それをATフィールドで防御する使徒の足止めにはなりました。
「いまだっ!」
 大きく跳躍して死角から使徒に接近する2号機。その手にはエヴァンゲリオン手持ちの武器ソニック・グレイブ(でっかいなぎなた)が!
「でやぁ~っ!!」

 バッサ~! ぱっかり。

 2号機による、大上段からのソニック・グレイブ唐竹割り。スキをつかれた使徒は脳天からの一撃を受けて見事、真っ二つに斬り裂かれてしまいました。
「決まった……!」

 ええぇ~、やられてしまったのか、第7使徒? せっかく朝イチで泳いできたのに。

 ところがギッチョン、使徒はまだ死んではいなかった! 当たり前よね。
 一拍おいてブルッと身震いする使徒。次の瞬間、2つにわかれた使徒の身体はズルッと脱皮し、それぞれ1コずつの完全体に復元してしまった!!

 オレンジ(甲)とグレー(乙)、それぞれの体色をしたおんなじ姿形の使徒。ありゃりゃ、使徒が2体にふえちゃった!

甲「ふふふっ、まんまとはまりやがりましたね?」
乙「これがわたくしどもの得意技、分裂なのでございますよっ!」

「なんてインチキ!?」
 作戦司令室で思わず絶叫してしまう作戦指揮官。おまえはプラナリアか!? ポ~ケット~の~なァかァにぃは~ビスケット~が~ふったっつ~。
 思わぬ展開に戸惑うネルフとエヴァンゲリオン2体でしたが、しょうがないからマンツーマンで戦うことに。

 しっかぁし、第7使徒イスラフェルには、分裂する以上の強烈な秘密が隠されていたのだった~!

 っつうことで、このあとの怒涛の展開は次回に続きま~っす。
 よ~し、相手はびっくりしてるぞ。ツカミはオッケーだ、イスラフェル!!
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もっとも正解に近かったのは君だ 第6使徒ガギエル キャッチ&爆破リリース

2010年12月17日 23時16分12秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
 どもどもー、こんばんは! そうだいです。
 今日は1日フリーだったので、またまた東京に行ってまいりました。目的は映画とお芝居! そればっかよね~。
 観てきたのは、渋谷イメージフォーラムで上映していたドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー』(監督・佐々木芽生)と、小竹向原サイスタジオで今日から上演している演劇ユニット・テアトロサンノーブルの第2回公演『この星にともる光』の2つ。
 あの~、どっちもおもしろかった! おもしろかったんで、詳細はまた次の機会に話すことにいたします。今日はアレだから、別のお題があるから。
 その2つのほか、あいた時間を使って渋谷~下北沢間を歩いて往復したり(所要時間1時間半 道に迷った迷った)もしたんですが、その理由とかなんとかも、また次のときに!

《前回までのあらすじ》
 第5使徒ラミエルの殲滅以後、束の間の平和がおとずれていた第3新東京市。ある日、ドイツのネルフ支部から日本のネルフ本部にエヴァンゲリオン2号機とその専属パイロットがやってくることになった。
 国連海軍の太平洋艦隊に護衛されて日本に輸送されてきた2号機だったのだが、到着直前の旧伊東沖で艦隊に異常事態が発生。すわ、新たなる使徒のおでましか!?


 突如として、30隻以上ある太平洋艦隊の一角で連続してあがる巨大な水柱。巡洋艦などの艦艇が次々に大破して沈没してゆきます。どうやら、海中を高速で移動している「何か」が、太平洋艦隊に衝突攻撃をかけているもよう。
 「何か」って、なぁに? 使徒に決まってんだろ! たまたま艦隊に加わっていたネルフのエヴァ作戦指揮官の眼が本気モードに変わります。

 そして、時たま水面からかいま見える新たな刺客・第6使徒ガギエルの姿は、またしても人類の想像を超えるものだったのです。今度はどんなんだ!?
 突如として大海原のどっかから出現したガギエルの特性は、まさに「海バトル専用の使徒」というひとことにつきます。
 名前の「ガギエル」からして、もともと「魚をつかさどる天使」の名前からとったそうですからね。でも、天使って魚も仕事の管轄内なんだ……手広くやってんなぁ。
 形状は、クジラかサメのような胴体にウミヘビのように長い尾。もっとも目立つのはワニのように細長い口で、そこには鋭いキバがズラリとならんでいます。体色は全体的に真っ白く、口の上の部分に第3使徒サキエルのようなドクロっぽい顔のようなモノがちょこんとついているのも見逃せません。
 そして何よりも特徴的なのは、そのデカさ! 前回の第5使徒ラミエルも体高300メートルという巨大さではあったのですが、今回のガギエルも胴体部分だけでゆうに300メートルを超えており、尾っぽもあわせると500メートル以上のビッグスケールになってしまいます。東京タワーよりデケェんだぜ! ちなみに実在する海洋生物の最大(陸上を含めても最大)は、シロナガスクジラの30メートルですからね。ケタがちがう! ディスカヴァリーチャンネルもビックリよ。
 正直なところラミエルのような強力なビーム攻撃はないようなんですが、そんなガギエルの最大の武器はなんといっても、その巨体を利用した猛スピードでの「体当たり」なんですね。ただの体当たりと笑うなかれ。現に今、1隻また1隻と太平洋艦隊の軍艦がいとも簡単にツブされてしまっている最中なのです。
「ってやんでぇ、どきやがれどきやがれ~! こちとら、どうしても見つけなきゃなんねぇモンがあるんでぇ~い!!」

 こうなったら、こっちのとる手段はこれしかない! エヴァ作戦の指揮官はとっさの判断で、たったいま届けたばかりの有線電源プラグを利用してのエヴァンゲリオン2号機の起動を、専属パイロットである謎のドイツ娘に指示します。
 急な話ではあったのですが、ドイツ娘もなかなかの肝っ玉。
「ちゃ~んす。この初陣で2号機が使徒をたたきのめしたら、日本の連中にもガツンといわしたることができる。セカンド(初号機パイロットのこと)! いっしょに2号機に乗りなさい。ほんとの闘い方を見せてあげる。」
 なんとまぁ、恐ろしい使徒との初戦から自分の売り込みを計算に入れているしたたかさ。さすがはドイツ娘。14歳なのにすでに大学卒業しているだけのことはある。

 さっそく2人が乗り込み、有線電源ケーブルを装着して起動するエヴァンゲリオン2号機。海と空の青にはえる真っ赤なボディ!
「なんでいなんでい、邪魔しやがんねい、そこの赤いの~!」
 巨大空母の甲板で、水面から飛びかかってきたガギエルとがっぷりよつに組む2号機! しかし体格の差ありすぎ! ガギエルは自分の10分の1ほどの大きさの2号機をくわえこむと、そのまま海に引きずり込んでしまいます。
 しまった! 今の状態の2号機には、水中で闘う装備はなんにもない! 今ごろ気づいちゃった……
 輸送されていた2号機はほぼ丸裸の状態で、唯一の武器だったプログレッシブナイフ(2号機のものは文房具カッターみたいな形)も空母の甲板に落としてきちゃった。
 ガギエルの大きな口にならぶキバの威力は相当なもので、2号機の身体を軽く貫通してガッチリ離しません。このまま2号機は海の藻屑と化してしまうのか!?

 その時、艦隊から苦しい戦況を見ていた作戦指揮官が、甲板から2号機につながってビーンとのびている電源ケーブルを見てひらめいた!
「これだ! 今、使徒は2号機というエサをくわえて釣りにひっかかった魚みたいな状況になっている。だったら、釣り糸の電源ケーブルを巻き上げて近づけたところを仕留めれば勝てる!」
 すかさず2号機に指示を出す指揮官。
「これから、電源ケーブルを使って使徒を海面まで引っ張り上げるから、その間に全力で使徒のコアを見つけだしてATフィールドを中和させて! こっちは戦艦2隻を自沈させて使徒にブッこんで、全艦砲射撃と自爆で殲滅してやるから!」

 なんなんだ、この作戦は……これがうわさの「玉砕戦法」? 2号機はどうなんのよ。

「大丈夫! ちょっと衝撃はあるだろうけど、エヴァーはそれぐらいじゃあ壊れないから、たぶん。」

 あたし、とんでもない国に来ちゃったかも……

 とにかくやったれ!とばかりに、同乗していた初号機パイロットのシンクロも要請して2号機に「火事場のクソ力」を発動させるドイツ娘。ふんぬおっしゃあ~!!
 これも「本物のエヴァンゲリオン」2号機の性能のすごさなのか、それともたまたま初号機パイロットとドイツ娘の相性がピッタリンコだっただけなのか? スムースに2人の同時シンクロを受け入れ、ありえない怪力を発揮してガギエルの大口をガバッとあける2号機。
「うぐごご、なんでぇこの赤いの! チンチクリンのくせになかなか骨があるじゃねぇか~アガアガ。」
 こじ開けられたガギエルの口の中には使徒の弱点・赤いコアが! なんでそんなにわかりやすいところに……まぁいいや、とにかくATフィールド中和!
 その口にタイミングよくガボゴボと突っ込んでいく戦艦2隻。そしてコアめがけての全艦砲射撃と自爆!
 これにはたまらずガギエルの身体も内側からふくれあがって大爆発。

「モゴォ!? ちっきしょう、赤いのさえいなけりゃサードインパクトが……てやんでぇ、こちとら未練はねぇやい! わかれもスパっといさぎよくいこうじゃねぇかぁ!!」
 ドッカーン!!
 派手に上がる水柱。上空高く吹き飛ばされながらも、カッコよく空母に降り立つ2号機! 慣れない水中戦ということでしょっぱなから苦戦してしまった2号機だったのですが、初号機パイロットの同時シンクロのかいもあって、見事な初陣をかざって日本にやってくることとあいなったのでした。

 さて、こうして第6使徒ガギエルの登場した通称「旧伊東沖遭遇戦」は終わったわけなんですが、ちょっとした疑問が。
 今まで使徒といえば、第3新東京市の地下にあるネルフ本部を狙ってくるのが共通パターンだったのに、なぜ今回のガギエルはまったく当てはずれな太平洋艦隊を襲ったのか?
 事件当初、ほとんどの当事者は「使徒が2号機を襲うために出現した」と解釈していたのですが、どうもそうではないらしいんだなぁ。

 第6使徒ガギエルが太平洋艦隊を襲って本当に狙っていたもの。それはどうやら、2号機パイロットといっしょに日本にやってきた教育係のおじさんが隠し持っていた謎のアイテム「アダム」だったようなのです!

 それを裏付けるかのように、ガギエルが現れたことを知ったおじさんはいち早く「アダム」の入った特殊ケースをかかえて、1人だけ戦闘ハリアー機を操縦してスタコラサッサと第3新東京市のネルフ本部へと向かってしまいます。
 おじさんの持ってきた「アダム」を受け取る、ネルフ本部のあやしい総司令。特殊ケースに厳重保管されていた「アダム」とは、まるでたまごの中にいる状態のヒヨコのような、東南アジアの人なら喜んでツルツルッとかっこんでしまいそうな見てくれの、あやしげな胎児だったのです……
 え? 「アダム」ということは、あのセカンドインパクトの原因になったという、第1使徒アダムなの、これ? ガギエルはこれをさがしていたのか……

 ガギエルのこの動き以降、使徒はまた第3新東京市にしか登場しないようになります。そしてのちのち、人間語を話すことのできる第17使徒の発言によって「使徒が狙っていたもの」に関する衝撃の真実が明らかになるわけだったのですが!

 なぁーんだ。じゃあ、いちばん人類を滅ぼせる可能性が高かったのって、この時に太平洋艦隊の「アダム胎児」を狙ったガギエルだったんじゃないの~!!
 残念無念! もし電源プラグがなくて2号機が起動できない状態だったら。もしおじさんに逃げられないうちにガギエルがパッと出てきてペロッと「アダム胎児」を食べていたのなら……
 『新世紀エヴァンゲリオン』の最終回は、間違いなくこの時になっていたはずなのです。ドイツ人も日本にたどり着けず、初号機パイロットも初号機と離れ離れになったままで、第3新東京市もまったく平和なままで、第5使徒ラミエルの撤去作業も中途半端なままで、0号機パイロットにいたっては最終回にまるまる登場していないままで!! おそらく、考えられるパターンの中で最も地味な『まごころを、君に』になっていたことでしょう。実におそろしい話です……
 ところで、それとはまた別の展開で「アダム胎児には逃げられたものの2号機と太平洋艦隊はやっつけた」ということになったとしら、見たところ陸上には不向きな体型のガギエルは、どうやって第3新東京市にやってくるつもりだったんでしょう? 地上の活動はまた別の使徒に任せるつもりだったのか、それとも、ガギエル自身がおたまじゃくしみたいに手足をはやして地上に上がってこられる形状に変態していく予定だったのか……今となっては、すべての可能性は闇の中です。


 まぁとにかく、ガギエルお疲れさんでした! 魚っぽいフォルムということで、全使徒中もっとも生物感のある使徒だったということも記憶しておきたいですね。

 最後に、TVアニメ版以外での第6使徒ガギエルのあつかいについて。

 貞本義行の連載マンガ版『新世紀エヴァンゲリオン』では、ガギエルは日本への移動中にあらかじめ使徒の襲来を想定して待ちかまえていたいた2号機と太平洋艦隊によって返り討ちにあうことになっています。日本のネルフ本部側の手助けはいりませんでした。ガギエルの外見や2号機との戦闘描写はアニメ版とほぼ同じなんですが、初号機パイロットのシンクロ参加がなくなった分、「2号機が自力で簡単にガギエルを倒した」というニュアンスになってしまっています。ガギエル、ちょっと弱くなっちゃった。マイナーチェンジとはいえ、これは使徒ファンにとっては残念な変更です。

 んで! ごらんになられた方々にとってはもう言わずもがななんですが、『新劇場版・破』に登場した「来日した2号機が初めて闘った第7の使徒」は、本来ならガギエルと同じかそれを発展させたような形の使徒になるはずなのに、実際にはまっっっったく!!形状のちがったものとなっています。生物的だったガギエルとは180度真逆! なんでも、ガギエルの登場したTV版第8話のセル画が紛失してしまっていたために、やむなく完全新作の使徒を創造せざるをえなかったのだとか。でも、こっちの使徒もいいんだよなぁ、実に使徒っぽくて!
 ということなので、今回『破』の「第7の使徒」は第6使徒ガギエルとは別モンということにさせていただき、またあらためて別のワクをもうけて検証していきたいと思います。

 さぁ、新たに謎のドイツ娘とナイスボイスのおじさんをレギュラー陣にむかえた『新世紀エヴァンゲリオン』。これで役者はそろった!
 これからはいったい、どんな使徒が襲いかかってくるのでしょーうか!?
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もっとも正解に近かったのは君だ 第6使徒ガギエル ポイント決め&キャスト

2010年12月16日 22時54分03秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
 どうもこんばんは! そうだいです。いや~、いよいよ寒くなってきましたねぇ! 12月もついに後半戦に入りました。2010年ももうすぐおしまいなんですね。

 いらっしゃるかどうかはわかりませんが、わが『長岡京エイリアン』内の「検証・『新世紀エヴァンゲリオン』の使徒」シリーズを「なんとなく好きだな。」「どっちかっていうと好きかな。」と心のすみっこでチョロッとでも思っておられた方。
 もし! 万が一ですよ! もし!そんなキリストのように清い御心をお持ちの方がこの世知辛い年の瀬ニッポンにいらっしゃったとしたならば……
 大変おまんたせいたしました! 先月やっていなかったので2ヶ月ぶりとなる使徒検証シリーズの続きでございます。

 今回とりあげるのは、第6使徒ガギエル!

 具体的な時間経過がほとんど語られないのがTVシリーズ版『新世紀エヴァンゲリオン』の常なんですが、いろいろな状況から推察するにおそらくは、あの超難敵・第5使徒ラミエルとの大決戦「ヤシマ作戦」が第3新東京市を舞台に展開されてから、およそ3週間ほどがたったある日のこと。
 第3新東京市の中心市街地では、いまだにラミエルの巨大な死骸(残骸?)の撤去作業が続けられていたのですが、その間とりあえずは新たな使徒が出現する兆候の見られない平和な時期がおとずれていました。
 とはいえ、第3・第4と、まがりなりにも南極付近から出現しているという共通点のあった使徒が、前回の第5にいたって突如として日本近海にパッとあらわれるという新展開になってしまった以上、いつまた突然の非常事態におちいるのかも予測のつかない不気味な沈黙期間ではあったわけなんです。

 第5と第6の使徒出現のあいだには、日本政府の後押しによって国内の重化学企業共同体が開発した巨大ロボット・ジェットアローン(JA ネルフのエヴァンゲリオンとほぼ同じ大きさ)の暴走騒動といったものもあったのですが、まぁとにかくおおむねは平和だったわけなんです。
 JAのことは、その後の作品本編には涙が出るくらいにからんできません。はっきりいって『新劇場版』の世界では「なかったことになっている」かもしれないという『ククルス・ドアンの島』みたいな境遇におちいってしまっているJAのくだりなんですが、ここで重要なのは、日本政府とネルフとの関係です。
 要するに、ネルフのエヴァとは別個の、自分達独自の巨大ロボットを開発しようとしていた動きから見てもわかるとおり、日本政府はネルフを信用していないという事実があからさまに明示されるのがJAのエピソードなのです。
 なるほど、旧シリーズ終盤における、ネルフと日本政府(もちろん自衛隊も含む)の残酷すぎる関係の伏線はすでにここでもしっかりと張られていたんですね。
 でもまぁ、ネルフを白い目で見ている日本政府の心境もわからんでもありません。だって、地球人類の存亡をかけた闘いの決戦兵器が、14歳の少年少女しか操縦できない(調子が悪いとそれでも動かなくなる)正体不明の巨大ロボットなんだって言うんですよ!? 本部は地下にあるし、総司令の風貌はあやしすぎるし。アニメじゃないんだから! アニメだけど。
 しかし、だからといって日本政府側の「原子炉をかかえている兵器ロボット」っていうのも、どうかな。デザインも、試作段階とはいえもうちょっと国民の支持を得られるような親近感のわく感じにしたほうが良かったんじゃない? あれじゃむしろ使徒に親近感を持たれちゃいますよ。

 そんなまったり危険な日々が日本では続いていたんですが、いっぽう視点を国外に移すと、世界ではエヴァンゲリオンに関するとてつもないビッグプロジェクトが着々と進行していました。
 なんと、ドイツのネルフ支部で開発されていたエヴァンゲリオン2号機(作品世界では「弐号機」と表記されるのですが、いろいろとめんどくさいので「2号機」とさせていただきます。)が、専属パイロットといっしょに日本のネルフ本部に移籍されることになったのです。

 ドイツ製のエヴァンゲリオン2号機は、真っ赤なボディと4つ目がインパクト大のエヴァンゲリオン・シリーズ「先行量産機」。これまで日本のネルフ本部が保有していたのは「試作機」である0号機(作品世界では「零号機」と表……以下略)と「実験機」である初号機の2体。
 初めて実戦向けに開発されたという「本物のエヴァンゲリオン(専属パイロットの談話)」2号機の、実力やいかに!?

 話題の2号機の輸送は地球規模に壮大なもので、ネルフに委託された国連海軍(アメリカ、ロシアなどの主要国による多国籍軍)の太平洋艦隊がほぼ全力をあげて護衛するというものものしさ。
 タンカーに収容された2号機を取り囲む国連軍太平洋艦隊は、空母5隻と戦艦4隻を主力とする総勢30隻以上の大艦隊! はっきりいって戦力としては20世紀からほとんど変わっていないものばかりではあるのですが、数にモノをいわせたという感じです。
 ドイツから出航した2号機艦隊は日本の新横須賀港を目指して予定通りに進んできたのですが、いよいよ日本が近づいてきたというところで、

「使徒が出現する可能性がありえないぐらいに高い日本に近づくにあたり、新たな使徒が輸送中の2号機を襲う可能性も高くなる。もしものために、すぐにでも2号機が起動できるような電源プラグを日本から持っていっては?」

 という提案が日本のネルフ本部からなされました。ちょーっちタイミングが遅いような感じもあるんですが……おそらく、電源プラグの届けついでに日本側のネルフチームがドイツから来た2号機専属パイロットに前もって会って感触をはかっておくということも重要だったのではないでしょうか。外見からは何を考えてるのかがさっぱりわからない総司令なんですが、彼らしからぬこまやかなはからいです。それとも、それ以外にもっと重要な意味が……?

 2号機艦隊が旧伊東沖(おそらくはセカンドインパクトのために水没した現在の伊東市街地?)にさしかかった時点で、電源プラグを届けた日本のエヴァ作戦指揮官とエヴァ初号機パイロット、その友だちであるジャージとミリタリーおたくが、ついにうわさの2号機専属パイロットと接触したわけなんですが……
 なかなかいいキャラクターの日独クォーターの娘さんでした。ドイツから来たのに持ちBGMがなぜかアメリカンカントリー調なのが不可思議なんですが、自分がエヴァパイロットであることに異常なまでのプライドを持っているハイテンションガールですね。

 ちょっと気にしておきたいのは、その謎のドイツ娘の教育係という名目でついてきた日本人のおじさんです(エヴァの世界は2015年なので、実はそうだいと同年代なのね。光栄!)。
 無精ひげに全盛期の志村けん的に長髪をうしろでまとめたヘアスタイル、日曜洋画劇場でほぼ毎週聞くようなナイスボイスの持ち主なんですが、大学生時代には日本のエヴァ作戦指揮官、エヴァ開発主任の2人とプライベートなかかわりがあったご様子。気になるのは、今現在の時点で日本のあやしい総司令となんらかの秘密を共有しているらしいこと。なんか、総司令にわたすモノを隠して持ってきてるみたいですね。なんだろナ~?

 余談ですが、TV版『エヴァンゲリオン』ではドイツ娘のつきそいとして登場して、ドイツ娘からもあからさまな恋愛感情を持たれていたおじさんだったのですが、『新劇場版・破』ではアメリカから来た謎のパラシュート娘のつきそいとして登場し、ドイツ娘との関係は希薄なものになっています。会話も交わしてなかったかな、『破』の段階では? ドイツ娘のおじさんへの想いはTV版では重要な要素となっていたので、それが無くなった(ように見える)『新劇場版』の今後の展開が気になります。先が読めない……

 さてさて、そんなこんなで和気あいあいとした空気の広がった2号機艦隊だったのですが、そこに突然というか予想通りというか、新たな使徒の影が迫ってまいりました!
 国連軍太平洋艦隊あやうし! 3週間の沈黙を破って登場した第6の使徒の戦法とは?狙いとは? そして迎え撃つ2号機の初陣や、いかに~!?
 
 つっづくぞーい!
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かたきはとる! 第5使徒ラミエル怒りの鉄槌 フルCG転生編

2010年10月29日 15時33分36秒 | エヴァンゲリオン使徒大行進
 こんにちは~、そうだいです。なーんだか今日も、雨こそ降ってはいないんですが風の強い寒々しい空気に包まれております。台風14号が来てるんだって?
 私の町では、近くにある大学で来週の月曜日から大学祭があるということで、なんとなくその準備でざわざわした雰囲気になっています。私も、大学時代には大学祭でいろんなことをやったなぁ……今にもましてバカだったねぇ~。

 さて、前回までやっていた『新世紀エヴァンゲリオン』の第5使徒ラミエル検証だったのですが、それ自体は終わったものの、まだちょっと言い足りないことがある!
 1995年から翌96年にかけて半年間放映されたTVアニメシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』と、その完結編に当たる1997年公開の2本の映画。私が大好きな「使徒」のみなさんが続々と登場する物語は、これらの作品をもって終結しました。
 ところが、そんな原典の衝撃から10年の月日がたった2007年、突如として「エヴァンゲリオン」シリーズの生みの親である庵野秀明監督おんみずからの手による新作映画『エヴァンゲリオン新劇場版・序』が公開! そして2009年には新作第2弾となる『新劇場版・破』があとに続いたわけなんです。
 『序』が公開されると聞いた時には、私はそりゃまぁビックラこきました。
「え! 庵野監督がまたエヴァンゲリオンをつくるの? ほんと~? ウソじゃないの?」
 これは、旧シリーズの完結編にあたる劇場版第2作『THE END OF EVANGELION』を観た人なら誰もがそう思ったことでしょう。そこには、エヴァンゲリオンとは「訣別する」という主人公、つまりは庵野監督本人の強い意志が映し出されていました。
 そんな庵野監督が、21世紀になってから改めて「エヴァンゲリオン」を手がける! いったいどんな新作なんだ?
 事前情報でもささやかれていたように、満を持して公開された『新劇場版・序』は、全26話あるTVシリーズのうちの第1~6話にあたる部分をリメイクした内容となっていました。つまりは、今まで検証したサキエル・シャムシエル・ラミエルの登場する部分です。もちろん、クライマックスはヤシマ作戦!

 つうことは要するに、アニメ映画の長年の伝統でもあるTV版を多少豪華にした総集編みたいなもんかと、たかをくくって観に行った私だったんですが、まぁ~感動しましたね!
 物語の後半にさしかかるまでは、潤沢な予算と最新CG技術の投入された「絵のキレイさ」には感心しましたが、やはり想像の範囲内という印象でのんびり観ていました。サキエルにあたる「第4の使徒」の活躍もだいたいおんなじだったし、シャムシエルにあたる「第5の使徒」も胸の触手のワシャワシャ感アップくらいの進化にとどまっていました。
 ところが! ところが後半! ラミエルと同じ形状の「第6の使徒」が登場してエヴァンゲリオン初号機に1発目の加粒子砲をブッ放した時に、私は思わず映画館の椅子から腰を浮かしてしまいました。
 フルCG大活躍! ただの正8面体だったはずの形状がガッチャンガッチャン変形する変形する! 口で表現できないのがもどかしいんですが、加粒子砲を撃つたんびに4次元変化としか言いようのないカタチに変わるスタイルは最期までつらぬかれ、おかげで私はず~っと空気イス状態でスクリーンに魅入ってしまっていました。それでこそ21世紀リメイク版! よくやった「第6の使徒」。最後はやっぱり死んじゃったけど、アンタはエラい!!
 まぁそんなゴージャス感満載の「第6の使徒」によるハチャメチャアクションだったわけなんですが、結果、同じブルーの正8面体ではあるものの、ラミエルと「第6の使徒」には質感の面で大きな違いが発生することとなりました。
 ラミエルはずっと正8面体のまんま、死亡後も遺体に変化は見られません。もう1つの特徴であるドリルシールドも、削った土をどけるような部位のついた、人類が見ても「ドリル?」と理解できる形をしていました。つまり、ラミエルはそういう形状をした「機械兵器」ともとれる使徒だったんですね。
 ところが、「第6の使徒」はもう、瞬間瞬間でバラバラになるはでっかいウニみたいなトゲトゲになるは。ドリルも身体の下の部分がへにょ~んと伸びて不思議な光を発しながら掘り進んでいくというもの。しまいには死亡後、ドリルもふくめた身体ぜんぶが赤い血のような液体に変わってジオフロントのネルフ本部に降り注ぐというスプラッタなおまけつき。つまり『序』の「第6の使徒」は、どんな形状がほんとの正体なのかまったくつかめない変幻自在の「何か」だったということで、結局ラミエルとはまったく違う印象になっていたんです。
 そして、ここで見逃してならないのが、ラミエルにはなかった特性を「第6の使徒」が持っていたことなのです。それこそがダミーコア(デコイ)でした!

 ダミーコア。要するにニセのコア。『序』のヤシマ作戦でネルフは、TVシリーズと違ってふんだんにおとりのミサイル砲撃を雨あられと使徒に撃ち込み、スキができたところをねらって初号機によるポジトロンスナイパーライフルの第1射をはなち、見事に使徒の中心にあった赤い球体「コア」らしきものを撃ち抜きます。(TV版では、第1射は同時に放ったラミエルの加粒子砲と相撃ちになってはずれる。)くだけるコア、動きをピタッと止める使徒。だがしかし崩壊するはことなく、すかさず体勢をとりなおして再び加粒子砲を撃って反撃します。そしてその中心には、何事もなかったかのように本物のコアが!
 ただツメが甘いことに、「第6の使徒」のダミーコアは1コしかなかったらしく、ポジトロン砲の第2射によってまたコアを撃ち抜かれた使徒は、今度こそおっ死んでしまいます。
 ともあれ、ラミエルにはなかったダミーコアという進化をとげていた「第6の使徒」。TV版の時点で前の2体の失敗からの学習をにおわせる改良はあったのですが、さらにそれに「敵は自分の弱点をねらってくるから気をつけろ!」というポイントがついてきていたのです! すごいや使徒、日々成長だぜ!

 さて、今回のラミエルもしくは「第6の使徒」の活躍によって、使徒に関する新たな情報がわかってきました。その事実とは……
 すなはち、使徒はボ~ンヤリとしか自分たちの狙う目標の位置をつかんでいない!
 何回も言ってきたことですが、使徒はどうやら、第3新東京市の地下にあるネルフ本部を狙っていて、ネタばらしをすると、その目的地はネルフ本部のさらに地下7キロに位置する「ターミナルドグマ」という場所です。
 地下に目をやる余裕もないまま天に召されたシャムシエルは問題外として、サキエルはビームで地下に穴をあけて行こうとし、ラミエルはドリルシールドで地下を目指しました。
 ところが! 使徒の行きたい場所は1~2キロ下にあるジオフロントにはありませんでした。だったら、手っ取り早く加粒子砲で地面から400メートルある特殊装甲板を吹っ飛ばしてさっさとジオフロントに降りてきて、そこからドリル掘削を始めていけばいいわけなんです。
 つまり、ラミエルまでの使徒は、第3新東京市の地下に探している「モノ」があることは知っているんですが、それがどのくらい下にあるのか、さらには地下の構造がどんな感じになっているのかをまったく把握していなかったということになります。まさにさぐりさぐり!
 いろいろな点から、ある使徒の時にでた反省点が次の使徒で改善されていることが多い以上、ラミエルがつかんだ「第3新東京市の地下には空間がある!」という情報は、必ずや次なる使徒に受け継がれていくはずなのです。ラミエルの死もムダじゃあなかったんだ!

 ラミエルと「第6の使徒」に関する話はここまでにしておいて、TVシリーズと『新劇場版』シリーズとの関係は、『序』までは元版とリメイクという感じだったんですが、みなさんもご存じの通りにそのあと『破』が公開されたあたりから、
「あ、あれ……だいぶ話の流れが違うぞ?」
 という感じになってきました。デザインの細かい点からキャラクター造形などの大きな点まで、ちょっと同じ作品を元にしているとはいいがたい展開です。
 ここにきて、TV版と『新劇場版』の関係って、実は×××××んじゃないの? などといろんな憶測が流れているんですが……答えはまぁ、いつか公開される新作続編『Q』を待つことにしましょ!

 最後に、だいたいはTVシリーズに沿った内容だった『序』なんですが、気になる変更点はやっぱりチラホラありました。
 前回にも言ったかと思うんですが、TVシリーズ版では、使徒が狙っているものがなんなのかということを知っている人間はごく上層部の数人をのぞいてほとんどいません。ネルフ本部でエヴァンゲリオン作戦の指揮をとっている幹部さえ知らない状況だったんですから。ネルフに勤務する職員のみなさんの多くは、
「使徒がネルフ本部に到達したら、なんだかよくわかんないけど人類は滅亡するらしいよ。」
 といった程度の情報しか持っていません。使徒が狙うものの正体とは? この辺のサスペンスも、TVシリーズの重要な謎の1つとなっていました。

 でも、『序』はここが違う! 最初っから、使徒が狙っているものがネルフ本部の地下7キロの最深部で封印されている「第2の使徒リリス」であるということが明らかになっています。どのくらいの人までに公開されている情報なのかははっきりしていないのですが、少なくとも、TV版では最後までその事実を知らされることのなかった作戦指揮官は知っているし、初号機パイロットも早々にこの秘密を教えられます。第2の使徒リリス……全身真っ白だし、仮面はかぶってるし、下半身はないし、胸に深々となんか槍みたいなものは刺さってるし。なんなんだこいつは!?

 TV版と『序』との違いで大きなものはこれなんですが、あと小さなものとしては、ネルフの作戦指揮官(28歳 独身女性)がエラくなっています。
 TVシリーズでは一尉(大尉)から三佐(少佐)に昇進しているんですが、『新劇場版』では二佐(中佐)から一佐(大佐)に昇進しています。この違いはいったい……? 少なくとも、生活環境などに見た目の違いはありません。 

 いやぁ、謎が謎よぶエヴァンゲリオン!
 まぁ、物語自体のサスペンスはおいといて、わたくしそうだいは使徒のみなさんを全力で応援します!! さぁ、お次の使徒はどんなかな~?
 
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