いやいやどうも、そうだいでございます~。
最近はもう、仕事で筋肉痛にはなるわ声はかれるわで、てんてこまいでございます。まぁ、まったく想定内の忙しさなので文句の言いようもないわけなのですが……30代なかばの全速力ダッシュは、いろいろ身にしみるよねぇ~。
先日、ありがたいことにかなり珍しく祝日でもないド平日に連休をいただくこととなりまして、これ幸いにと、去年初めに山形暮らしに戻って以来の「どうでもいいんだけど、ちょっと気になるかな。」レベルの懸案事項となっていた、「千葉時代にお世話になった金融機関の口座を解約する」プロジェクトを決行してまいりました。ほんとにどうでもいい~! 引っ越した時期は、まだ公共料金の引き落としが残ってたから解約できなかったんですよね。
それでまぁ、トータル千円弱の残金をいただくために、1日かけて新幹線で山形~千葉を往復してきたわけです。これを馬鹿と言わずに何と言えましょう。預金通帳なくしてたから支店から支店へとはしごするわ時間はかかるわ!
でもまぁ、おかげさまをもちまして、今回の旅でわたくしと千葉県千葉市さまとの形式上のゆかりは、きれいさっぱり全て消え去りました。
思い出深い土地です。恩をたっぷりいただいた土地です。それなのに……
日を追う毎に総武線に乗るのがおっくうになる、この身のドライさ加減よ!! え、津田沼ってこんなに遠かったの!? 船橋でさえあんま行きたくねぇ!!
もうね、いったん生活の場が変わると、電車の待ち時間ってものがこんなにも長いものに感じられてしまうのかと。車社会っていろいろ大変ですけど、自分の車があったら、出発するときに待たされるとか、乗り遅れるとかっていうことはあんまりないんですよね。
よもや、電車生活がこれほどに遠い存在になってしまうとは……人間にとって、今に慣れるっていうか、昔を忘れる能力っていうのは本当にすさまじいものなんですね。っていうか、そんなに過去に薄情なのは私だけですか! ガハハ!!
そんなこんなで引き続き山形ライフを謳歌しているわけなのですが、車検も無事に済んだまなぐるまを駆りまして、先日こんな映画を観てまいりました。
映画『スーサイド・スクワッド』(2016年8月公開 123分 ワーナー・ブラザース)
映画『スーサイド・スクワッド(Suicide Squad)』は、アメリカの DCコミックスが刊行する同名のコミックシリーズの実写映画化作品で、様々な DCコミックスの映画作品を、同一の世界を舞台にした作品群として扱う『DCエクステンデッド・ユニバース』シリーズとしては、スーパーマンが主人公となる『マン・オブ・スティール』(2013年)から数えて第3作となる。
DCコミックスが刊行する『バットマン』などのヒーローコミックの、複数の敵キャラクター(ヴィラン)を主役に据えた作品である。
スーサイド・スクワッドがコミックの世界で初登場したのは、1959年刊行のコミック雑誌『ブレイヴ&ボールド』の第25巻である。創刊当時の『ブレイヴ&ボールド』はロビン・フッドなどを主人公に昔の冒険活劇を描いた内容だったが、後に方針転換によって新しく創作したキャラクターの物語を描くこととなり、「自殺部隊」、「決死部隊」という意味の「スーサイド・スクワッド」が登場した。最初のメンバーは特殊能力を持たない普通の人間で、政府に属しながら恐竜や1つ目の巨人などの怪物らと戦う4人組であり、リーダーは軍人のリック=フラッグだった。しかし、物語が3巻続いたところでバットマンなどのスーパーヒーローたちの集団「ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ」が登場したため、初代スーサイド・スクワッドはその活躍を終えた。
それから時は過ぎて1986年。アメリカ政府機関所属のアマンダ=ウォラーにより、ヴィランたちに減刑を交換条件に危険な作戦をこなしてもらうという特殊部隊「タスク・フォースX」が創設され、現在の直接の原型となる2代目スーサイド・スクワッドが登場する。ここでもリックがリーダー役として返り咲き、彼らを導く存在となった。
この時のメンバーは暗殺者デッドショット、『ザ・フラッシュ』シリーズの宿敵キャプテン・ブーメラン、多重人格で魔女のエンチャントレス、怪力のブロックバスター、格闘家にしてリック同様ヴィランのお目付け役として参加したブロンズ・タイガーだった。
2代目スーサイド・スクワッドの任務はその名の通り死ぬほど過酷なもので、ブロックバスターが敵に殺されたり、今回の映画版にも登場するスリップノットなどのヴィランたちは逃げ出そうとして身体に装着した逃亡防止デバイスが爆発して死亡したりと、何人ものヴィランが命を落とした。それでも、それぞれの恩赦を目指す2代目スーサイド・スクワッドは、1992年まで66巻にも及ぶ活躍を見せた。
その頃には50名を超えるキャラクターが登場し、かつてはバットガールだったバーバラ=ゴードンが車椅子に乗るコンピューターの達人「オラクル」として描かれたり、さらにはデッドショットなど何名かのヴィランたちはソロのスピンオフ作品が展開された。
アクの強い悪人たちがひしめき合うチームとあって、個々の性格がぶつかり合ったり、愛憎劇がありつつも、表舞台のヒーローたちがこなせない裏の仕事を遂行してきた2代目スーサイド・スクワッドは、シリーズが終了しても他の DCコミックス作品にゲスト出演したり、第2シリーズや番外編が描かれたことで、その知名度を保ったまま活躍した。
そして2011年。DCユニバースが再編された「THE NEW 52」シリーズにて、スーサイド・スクワッドが現代版として生まれ変わり、ここにハーレイ・クインが加わり3代目スーサイド・スクワッドの中心人物となった。他のメンバーはデッドショットにキャプテン・ブーメラン、キング・シャーク、エル・ディアブロ、ブラック・スパイダーなど。
それ以降はアニメ化されたり、ドラマ『ヤング・スーパーマン』(2001~11年)や『アロー』(2012年~)にもゲスト出演している。特にデッドショットは、日本のアニメーションスタジオが製作した、映画『バットマン・ビギンズ』(2005年)と『ダークナイト』(2008年)の間の物語を描いている OVA作品『バットマン ゴッサムナイト』(2008年)にも登場している。
あらすじ
スーパーマンが死去してからしばらく経った後、アメリカ政府の高官アマンダ=ウォラーはスーパーマンの後継者として、死刑や終身刑となって服役していた悪党たちを減刑と引き換えに率いる特殊部隊タスクフォースX、通称「スーサイド・スクワッド」を結成する。
主なキャスティング
フロイド=ロートン / デッドショット …… ウィル=スミス(47歳)
百発百中のスナイパー。離婚した妻との間にゾーイという娘がいる。
『バットマン』シリーズのヴィランであるデッドショットがコミックに初登場したのは1950年であり、実写版としてはスミスが演じたデッドショットは3代目、映画初登場となる。
ハーリーン=クインゼル博士 / ハーレイ・クイン …… マーゴット=ロビー(26歳)
ゴッサムシティの精神病院アーカム・アサイラムに勤める精神科医で穏やかな性格だったが、ジョーカーによって精神を歪められてサディスティック・殺人的・幼児的なサイコパスになり目的達成のためには手段を選ばない犯罪者となった。
プロデューサーのリチャード=サックルは彼女のキャラクターについて、「楽しい人気者で、狂っている。彼女がしでかす様々なことを説明するのには形容詞が足りなくなる。」と述べた。演じたロビーは、ジョーカーとの関係については「恐ろしく機能不全な状態。文字通り、彼に関して狂っている。彼女は狂っていて彼のことを愛してる。本当に不健康で壊れた関係であるが、夢中になれる。」と語っている。
『バットマン』シリーズのヴィランであるハーレイ・クインが初登場したのは1992年放送のアニメ版であり、実写版としてはロビーが演じたハーレイは2代目、映画初登場となる。
ジョーカー …… ジャレッド=レト(44歳)
『バットマン』シリーズのヴィラン。
演じたレトは、キャラクターについて「シェイクスピアに近い」や「美しい災厄」と述べている。ジョーカーを演じることについて「深くのめりこんだ。他にないような機会だった。このような心理的なゲームをやるのは楽しかった一方、大きな苦痛も伴った。」と述べている。また監督のエアーはジョーカーの外見について、メキシコの麻薬カルテルのボスと、アレハンドロ=ホドロフスキー監督の作品から影響を受けている。身体に入っているタトゥーの数々は、監督の「ジョーカーに現代的なギャングスターのような外見を合わせる」という意図により加えられたものである。
『バットマン』シリーズのヴィランであるジョーカーが初登場したのは1940年であり、実写版としてはレトが演じたジョーカーは5代目(?)、映画版は4人目となる。
リチャード=フラッグ / リック=フラッグ大佐 …… ジョエル=キナマン(36歳)
スーサイド・スクワッドを指揮する軍人。当初はトム=ハーディがキャスティングされていたが、スケジュールが合わずに降板している。
フラッグ大佐は初代『スーサイド・スクワッド』が連載開始された1959年から登場している。実写版としてはキナマンが演じたフラッグ大佐は2代目で、映画版初登場。
アマンダ=ウォラー …… ヴィオラ=デイヴィス(51歳)
アメリカ政府の秘密組織 A.R.G.U.S.(アーガス)のトップで、「DCエクステンデッド・ユニバース」シリーズの前作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)に登場したレックス=ルーサーJr.とは面識がある。
エアー監督は彼女のキャラクターに満足しており、精神面と強靭さに関して「力強い黒人女性で丈夫、その気になれば即座に銃を手に取って人を撃つ」、「悪に対しては情け容赦ない。彼女の強みはその知性と罪悪感の欠落」と述べた。
ウォラーは2代目『スーサイド・スクワッド』が連載開始された1986年から登場している。実写版としてはデイヴィスが演じたウォラーは3代目、映画初登場となる。
ディガー=ハークネス / キャプテン・ブーメラン …… ジェイ=コートニー(30歳)
ブーメランを扱う犯罪者。強盗に及んでいたところをフラッシュに阻止され投獄された。演じたコートニーは、彼について「真にだらしない人間」と述べている。
『ザ・フラッシュ』のヴィランであるキャプテン・ブーメランが初登場したのは1960年であり、実写版としてはコートニーが演じたブーメランは2代目で映画初登場となる。
チャト=サンタナ / エル・ディアブロ …… ジェイ=ヘルナンデス(38歳)
ロサンゼルスギャングの元構成員。掌から炎を出す。妻と子供を失い、警察に自首した。
演じたヘルナンデスは彼のキャラクターを他のメンバーとは違うようにしており、「他のメンバーが獄中から外へ出て殺しを楽しむ一方、彼は戦いから身を置いている。」と述べた。
チャト=サンタナはコミック『エル・ディアブロ』シリーズ(1970年~)の主人公としては3代目(2008年~)であり、初のヴィラン的ヒーロー。実写版初登場である。
ウェイロン=ジョーンズ / キラー・クロック …… アドウェール=アキノエアグバエ(49歳)
爬虫類のような肉体をしている犯罪者。演じたアキノエアグバエは彼について、「怒りに燃える人喰い人種」と述べた。
『バットマン』のヴィランであるクロックが初登場したのは1983年であり、実写版初登場。ちなみに今作の公開までキラー・クロックがスーサイド・スクワッドに参加するという設定はコミック版ではなかった(公開に合わせたコミック版から参加)。
ジューン=ムーン博士 / エンチャントレス …… カーラ=デルヴィーニュ(24歳)
長い間封印されていた古代の強力な魔女。探検家のジューン=ムーン博士によって偶然解放されてしまう。エンチャントレスは今作の設定ではスーサイド・スクワッドの正式メンバーには加入していなかったが、その強力な力がアマンダ=ウォラーの目を引いた。デルヴィーニュは彼女について「野性的」と述べた。
1966年に連載開始された『エンチャントレス』シリーズの主人公であり、実写版初登場。コミック版『スーサイド・スクワッド』ではデッドショットらと同じく2代目スーサイド・スクワッド以来の古参メンバーとなっている。
クリストファー=ワイス / スリップノット …… アダム=ビーチ(44歳)
縄を使う犯罪者。使っている縄はとても頑丈で、自らが開発した新素材のものである。また銛を付けた縄を発射する銃も持ち、それを利用して建物を上ることもできる。
『ファイアストーム』のヴィランであるスリップノットが初登場したのは1984年であり、実写版初登場。
タツ・ヤマシロ / カタナ …… 福原 かれん(24歳)
日本人の暗殺者で、カタナはコードネーム。師匠に剣術と格闘術を幼い時から習い、古代の流派において高い次元に達している。リック=フラッグのボディガードとしてスーサイド・スクワッドの中で唯一、志願して参加したメンバーである。
『バットマン』のヴィランであるカタナが初登場したのは1983年であり、実写版としては福原が演じたカタナは2代目、映画初登場となる。ちなみに今作の公開までカタナがスーサイド・スクワッドに参加するという設定はコミック版ではなかった(公開に合わせたコミック版から参加)。
ブルース=ウェイン / バットマン …… ベン=アフレック(44歳)
前作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』までの20年間、相棒のロビンと共にゴッサムシティで自警活動を行っていたが、2005年にジョーカーにロビンを殺されている。
1939年に連載開始された『バットマン』シリーズの主人公であり、実写版としてはアフレックが演じたバットマンは6代目(ウェインが幼い『ゴッサム』シリーズを除く)となる。
ジョニー=フロスト …… ジム=パラック(35歳)
ジョーカーの腹心。
コミック版のフロストは、『バットマン』シリーズからのスピンオフ作品『ジョーカー』(2008年)の主人公で、やはりジョーカーの手下である。
ゾーイ …… シェイリン=ピエールディクソン(13歳)
デッドショットの娘。11歳。
グリッグス …… アイク=バリンホルツ(39歳)
ベルレーヴ刑務所の看守長。
インキュバス …… アラン=シャノワーヌ(?歳)
エンチャントレスの弟。姉と同様に封印されていた。
コミック版ではエンチャントレスに弟はいないが、コミック版『スーサイド・スクワッド』にヴィランとして登場した悪魔インキュバスが今作でエンチャントレスの弟という設定で登場している。実写版初登場。
主なスタッフ
監督・脚本 …… デイヴィッド=エアー(48歳)
音楽 …… スティーヴン=プライス(39歳)
撮影 …… ローマン=ヴァシャノフ(35歳)
観てきてしまいましたね~。わたくし仕事ではちょっと気が抜けない状況が今月いっぱい続くっていうのに、こんな思いっきり肩の力の抜けきった映画を観ちゃったよ! この前に観た映画が『シン・ゴジラ』なもんですから、落差ものすごいです。いや、どっちもエンタテインメントなんですからいいんですが。
最初に言うと、私は市井のしがないジョーカーファン兼ハーレイ・クインファンであります。つまりは、あさ~いバットマンファンということになるわけですが、口が裂けても「DCユニバースファン」とまで言いきる自信はございません。
なもんですから、1989年の『バットマン』以来「ノーラン3部作」まで映画はいちおう観てきましたが(もちろん1966年版もです)、今年の『バットマン vs スーパーマン』は観ておりません。『スーサイド・スクワッド』と直結してる前作なのに! それだけバットマン以外の DC系には興味がないということなんですな。だから多分、『スーサイド・スクワッド』の次にあるっていってた『ワンダーウーマン』なんか観るはずもないだろうし、来年の『ジャスティス・リーグ』もどうだか、みたいな。
つまるところ、今回そんな私が『スーサイド・スクワッド』を観に行く気になった原動力は、ひとえに新キャスティングのジョーカーと悲願の映画初登場のハーレイ・クイン! このお2人でしかなかったということなのです。
それで観てみたんだけど……まぁ~くだらない、くだらない! 強いて良く言えば「荒唐無稽」だけど! ばかばかしいったらありゃしない内容でした。
だって、物語の中で発生した大事件っていうのが完全に、スカウトしたヴィランを管理しきれませんでしたっていうだけの政府の自爆なんだもの。さすがのデッドショットでも、そんな他人の尻拭いなんかやってらんねぇっつうの!
頑張って倒れた人の人工呼吸をしただけなのにあっという間に殺されちゃった、あの地下鉄のお医者さんも浮かばれませんよ……
人工呼吸といえば、なんだあの、アフレックバットマンの思わせぶりなハーレイとの接吻は!? 人工呼吸はちゃんとあごをクイッと上にあげて気道確保してからやれや!!
話をジョーカーとハーレイだけに限定しちゃいますけど、まぁね、ハーレイが出てきたらジョーカーの質感が軽薄になるのは、それは当然の作用だと思います。それはもう、ロビンのいるのといないのとでバットマンの感じが変わるのと全く表裏一体、おんなじことでしょう。
ところが、これは私の個人的な見解なんですが、「ジョーカーとハーレイの恋愛関係」というのは、あくまでもジョーカーが周到にハーレイに刷り込んだ幻影なのであって、ハーレイがそれをどこまで信じようが入れ上げようが、ジョーカー本人の真意はまったく不明、どっちかっていうとおもしろい手駒くらいにしか考えてないんじゃなかろうかと。おもしろくなくなったらいつでもポイできるっていうスタンスが最高だと思うんですよね。それでこそジョーカーっていうか。
だから、今回あそこまでハーレイ奪還にこだわったのも「ヒマだったから。」ってくらいの動機で充分で、ハーレイがいなくて自室で悶々としてるジョーカーというシーンは全くいらないと強く思いました。
ましてや、ジョーカーの部屋に何着かベビー服が置いてあるだなんて! それはねぇだろう!! ジョーカーに後継者はいらん。ジョーカーは何が嫌いって、自分の異形の孤独を慰め合うために同類と徒党を組むのがいちばん嫌いなのではないのでしょうか。だからこそロビンを殺しちゃってるわけで。まぁ、おもしろいからって理由で他のヴィランと一時的に手を組むことはあるにしても。
なので、私はジョーカーとハーレイが共同でロビンを殺害したっていう今作の設定もどうかと思うんです。そこは「とっておきのお楽しみ」だったでしょうから、きっとジョーカー1人でやってたでしょう。
だいたい、バットマンが1人なのに対してジョーカーとハーレイで2人っていうのも、な~んかアンバランスすぎるような。ロビン殺害っていうどうしようもない要因でダークになっているバットマンと闘うのが、まるでジョエル=シュマッカー監督の世界から飛び出してきたみたいな趣味の悪い原色やらヘビ皮パープルやらタトゥーだらけやらの能天気ヴィランカップルなんだもの。ロビンも草葉の陰で泣いてますよ!
私は別に、ジョーカーがチャラかろうがタトゥーだらけだろうが特にかまいません。かまわないんですが、行動があんまりおもしろくないジョーカーっていうのは、どうかね……レト版ジョーカーって、今までの実写版ジョーカーの中でいちばん笑い方が乾いてるっていうか、「ハ、ハ、ハ、ハ。」っていう作り笑いが多いですよね。なんか、笑いについてのこだわりが歴代の中でいちばん薄そう。ヒース=レジャーのジョーカーも笑いは少なかったんですが、笑うときはここぞとばかりに心底大爆笑してたでしょ。それがないだけに、解釈のしようによってはレト版がいちばん「心の闇が深いジョーカー」ってことにもなるのかもしれませんが、なんかつまんないですよね。
レトさんは、あの神がかり的な大傑作コミック『バットマン アーカム・アサイラム』(1989年)のジョーカーからインスピレーションを得て演じたっておっしゃられてるそうなんですけど、『アーカム・アサイラム』のジョーカーは最高におもしろいからなぁ。ちょっと、足元にも及ばない格の違いはあると感じました。だいたい、『アーカム・アサイラム』のジョーカーはハーレイ・クインなんていらないでしょ。バットマンにしか興味がないんだから。
あと、レトさんは口が小さい! 笑わなくなると一瞬でハンサムなお兄ちゃんの素顔が透けて見えてしまうという気がしました。
ジョーカーという大役を担う以上、それは尋常でない努力があったことはわかるのですが……そこに「怪物的な狂気」はなかったと思いました。ハーレイという「おもし」があるんだから、それは仕方ないことなんだけれど。結局、レトさんの真剣さと真面目さしか伝わってこなかったような。ジョーカーは本当に難しい~!
あ、あと、この1点だけは、ジョーカーファンとしてとうてい見過ごせなかった!
乗っ取った軍用ヘリで、ビルの屋上に出たスーサイド・スクワッドに強襲を仕掛けたシーンで、なんでタキシードに身を固めたジョーカーの前にミニガンをぶっぱなす腹心のジョニーが先に映るんだよう!! そこは最初にジョーカーが見えて一同ビックリが先だろう!
これはわかってない。ジョーカー心をまるでわかってない見せ方だ! こんなこと、もしニコルソン版ジョーカーでやったらジョニーは即ズドンですよ。カーツだこりゃ!!
でも、コミック版『ジョーカー』での苦労を振り返れば、あと今作での涙ぐましいまでに献身的な裏方っぷりをかんがみれば、これくらいの華舞台はジョニーに与えられても当然だったのかも……よかったね、ジョニー。ジョニー=フロストって、ほんとに平本アキラさんが好きそうな味わいのキャラクターですよね。
この映画の構造的欠陥として、映画いちばんの呼び物となっている「新ジョーカー」が物語の本筋にあんまりからんでこないという点がよく言われるのですが、私は映画を観ていて、バトルが盛り上がるにつれてそれ以上に「ハーレイって……なんでスーサイド・スクワッドに呼ばれたんだろう?」というほうが気になって仕方ありませんでした。
だって、いくら身体能力が優れてるっていっても所詮は若い女性だし、特殊能力もなければ特別頭がいいってわけでもないし、武器は木のバットだし……
でも、ハーレイが出なきゃスーサイド・スクワッドも映画化されなかったんだろうし……人気って、なんなんでしょうね。その点について、古参メンバーのデッドショットさんやキャプテン・ブーメランさんのご意見をぜひとも伺いたいところです。エンチャントレスがあんなになっちゃったのって、完全にハーレイに立ち位置を取られてスネたからですよね。「ピンクあたしだったのに!」みたいな。
あと、今作はスーサイド・スクワッドの義賊っぷりしか押し出されなくて「どこが悪役やねん」な感じが強かったわけですが、それはハーレイも同じことで、彼女が具体的にどんな悪人なのかがまるで語られないんですよね。ハーレイになった経緯とか収監中の奇行はひととおり描かれるんだけど、どんなことをしてバットマンにつけねらわれてるのかがさっぱりわかりませんでした。好きなひととデートしてるのがそんなに悪いんですか!? みたいなカーチェイスでしたよね。
いろいろ言いましたけど、たぶんこの『スーサイド・スクワッド』って、『バットマン vs スーパーマン』と『ジャスティス・リーグ』との間の箸休めみたいなエピソードなんでしょ? だったら、このくらいの軽さでもいいんじゃないかなぁ。
ともかく、私としてはハーレイ・クインのお姿が銀幕で拝めたからそれでひとまず満足なわけですが、うん、やっぱりできれば、1992年初登場時の全身道化師タイツの姿で活躍してほしかった! 私は今回のパンキッシュよりも「THE NEW52!」版のボンデージよりもゲーム版のゴスロリメイドよりも、やっぱり原点の道化師スタイルが一番好きなのです。実写化するにあたって布地の質感とかを失敗すると安っぽくなりかねないタイツであるわけですが、それこそシュマッカー風のラメラメの赤黒できめてほしかったなぁ。
おもしろいジョーカーが、また観たいなぁ。キャメロン=モナハン君、映画でジョーカーやってくれ~!!
……それにしても、レトさんが44歳っていうのは、たまげました……ヒース版ジョーカーより一干支以上年上じゃねぇか! 若々しいっていうか、幼いっていうか……年齢不詳っていうのも、考えもんですね。
最近はもう、仕事で筋肉痛にはなるわ声はかれるわで、てんてこまいでございます。まぁ、まったく想定内の忙しさなので文句の言いようもないわけなのですが……30代なかばの全速力ダッシュは、いろいろ身にしみるよねぇ~。
先日、ありがたいことにかなり珍しく祝日でもないド平日に連休をいただくこととなりまして、これ幸いにと、去年初めに山形暮らしに戻って以来の「どうでもいいんだけど、ちょっと気になるかな。」レベルの懸案事項となっていた、「千葉時代にお世話になった金融機関の口座を解約する」プロジェクトを決行してまいりました。ほんとにどうでもいい~! 引っ越した時期は、まだ公共料金の引き落としが残ってたから解約できなかったんですよね。
それでまぁ、トータル千円弱の残金をいただくために、1日かけて新幹線で山形~千葉を往復してきたわけです。これを馬鹿と言わずに何と言えましょう。預金通帳なくしてたから支店から支店へとはしごするわ時間はかかるわ!
でもまぁ、おかげさまをもちまして、今回の旅でわたくしと千葉県千葉市さまとの形式上のゆかりは、きれいさっぱり全て消え去りました。
思い出深い土地です。恩をたっぷりいただいた土地です。それなのに……
日を追う毎に総武線に乗るのがおっくうになる、この身のドライさ加減よ!! え、津田沼ってこんなに遠かったの!? 船橋でさえあんま行きたくねぇ!!
もうね、いったん生活の場が変わると、電車の待ち時間ってものがこんなにも長いものに感じられてしまうのかと。車社会っていろいろ大変ですけど、自分の車があったら、出発するときに待たされるとか、乗り遅れるとかっていうことはあんまりないんですよね。
よもや、電車生活がこれほどに遠い存在になってしまうとは……人間にとって、今に慣れるっていうか、昔を忘れる能力っていうのは本当にすさまじいものなんですね。っていうか、そんなに過去に薄情なのは私だけですか! ガハハ!!
そんなこんなで引き続き山形ライフを謳歌しているわけなのですが、車検も無事に済んだまなぐるまを駆りまして、先日こんな映画を観てまいりました。
映画『スーサイド・スクワッド』(2016年8月公開 123分 ワーナー・ブラザース)
映画『スーサイド・スクワッド(Suicide Squad)』は、アメリカの DCコミックスが刊行する同名のコミックシリーズの実写映画化作品で、様々な DCコミックスの映画作品を、同一の世界を舞台にした作品群として扱う『DCエクステンデッド・ユニバース』シリーズとしては、スーパーマンが主人公となる『マン・オブ・スティール』(2013年)から数えて第3作となる。
DCコミックスが刊行する『バットマン』などのヒーローコミックの、複数の敵キャラクター(ヴィラン)を主役に据えた作品である。
スーサイド・スクワッドがコミックの世界で初登場したのは、1959年刊行のコミック雑誌『ブレイヴ&ボールド』の第25巻である。創刊当時の『ブレイヴ&ボールド』はロビン・フッドなどを主人公に昔の冒険活劇を描いた内容だったが、後に方針転換によって新しく創作したキャラクターの物語を描くこととなり、「自殺部隊」、「決死部隊」という意味の「スーサイド・スクワッド」が登場した。最初のメンバーは特殊能力を持たない普通の人間で、政府に属しながら恐竜や1つ目の巨人などの怪物らと戦う4人組であり、リーダーは軍人のリック=フラッグだった。しかし、物語が3巻続いたところでバットマンなどのスーパーヒーローたちの集団「ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ」が登場したため、初代スーサイド・スクワッドはその活躍を終えた。
それから時は過ぎて1986年。アメリカ政府機関所属のアマンダ=ウォラーにより、ヴィランたちに減刑を交換条件に危険な作戦をこなしてもらうという特殊部隊「タスク・フォースX」が創設され、現在の直接の原型となる2代目スーサイド・スクワッドが登場する。ここでもリックがリーダー役として返り咲き、彼らを導く存在となった。
この時のメンバーは暗殺者デッドショット、『ザ・フラッシュ』シリーズの宿敵キャプテン・ブーメラン、多重人格で魔女のエンチャントレス、怪力のブロックバスター、格闘家にしてリック同様ヴィランのお目付け役として参加したブロンズ・タイガーだった。
2代目スーサイド・スクワッドの任務はその名の通り死ぬほど過酷なもので、ブロックバスターが敵に殺されたり、今回の映画版にも登場するスリップノットなどのヴィランたちは逃げ出そうとして身体に装着した逃亡防止デバイスが爆発して死亡したりと、何人ものヴィランが命を落とした。それでも、それぞれの恩赦を目指す2代目スーサイド・スクワッドは、1992年まで66巻にも及ぶ活躍を見せた。
その頃には50名を超えるキャラクターが登場し、かつてはバットガールだったバーバラ=ゴードンが車椅子に乗るコンピューターの達人「オラクル」として描かれたり、さらにはデッドショットなど何名かのヴィランたちはソロのスピンオフ作品が展開された。
アクの強い悪人たちがひしめき合うチームとあって、個々の性格がぶつかり合ったり、愛憎劇がありつつも、表舞台のヒーローたちがこなせない裏の仕事を遂行してきた2代目スーサイド・スクワッドは、シリーズが終了しても他の DCコミックス作品にゲスト出演したり、第2シリーズや番外編が描かれたことで、その知名度を保ったまま活躍した。
そして2011年。DCユニバースが再編された「THE NEW 52」シリーズにて、スーサイド・スクワッドが現代版として生まれ変わり、ここにハーレイ・クインが加わり3代目スーサイド・スクワッドの中心人物となった。他のメンバーはデッドショットにキャプテン・ブーメラン、キング・シャーク、エル・ディアブロ、ブラック・スパイダーなど。
それ以降はアニメ化されたり、ドラマ『ヤング・スーパーマン』(2001~11年)や『アロー』(2012年~)にもゲスト出演している。特にデッドショットは、日本のアニメーションスタジオが製作した、映画『バットマン・ビギンズ』(2005年)と『ダークナイト』(2008年)の間の物語を描いている OVA作品『バットマン ゴッサムナイト』(2008年)にも登場している。
あらすじ
スーパーマンが死去してからしばらく経った後、アメリカ政府の高官アマンダ=ウォラーはスーパーマンの後継者として、死刑や終身刑となって服役していた悪党たちを減刑と引き換えに率いる特殊部隊タスクフォースX、通称「スーサイド・スクワッド」を結成する。
主なキャスティング
フロイド=ロートン / デッドショット …… ウィル=スミス(47歳)
百発百中のスナイパー。離婚した妻との間にゾーイという娘がいる。
『バットマン』シリーズのヴィランであるデッドショットがコミックに初登場したのは1950年であり、実写版としてはスミスが演じたデッドショットは3代目、映画初登場となる。
ハーリーン=クインゼル博士 / ハーレイ・クイン …… マーゴット=ロビー(26歳)
ゴッサムシティの精神病院アーカム・アサイラムに勤める精神科医で穏やかな性格だったが、ジョーカーによって精神を歪められてサディスティック・殺人的・幼児的なサイコパスになり目的達成のためには手段を選ばない犯罪者となった。
プロデューサーのリチャード=サックルは彼女のキャラクターについて、「楽しい人気者で、狂っている。彼女がしでかす様々なことを説明するのには形容詞が足りなくなる。」と述べた。演じたロビーは、ジョーカーとの関係については「恐ろしく機能不全な状態。文字通り、彼に関して狂っている。彼女は狂っていて彼のことを愛してる。本当に不健康で壊れた関係であるが、夢中になれる。」と語っている。
『バットマン』シリーズのヴィランであるハーレイ・クインが初登場したのは1992年放送のアニメ版であり、実写版としてはロビーが演じたハーレイは2代目、映画初登場となる。
ジョーカー …… ジャレッド=レト(44歳)
『バットマン』シリーズのヴィラン。
演じたレトは、キャラクターについて「シェイクスピアに近い」や「美しい災厄」と述べている。ジョーカーを演じることについて「深くのめりこんだ。他にないような機会だった。このような心理的なゲームをやるのは楽しかった一方、大きな苦痛も伴った。」と述べている。また監督のエアーはジョーカーの外見について、メキシコの麻薬カルテルのボスと、アレハンドロ=ホドロフスキー監督の作品から影響を受けている。身体に入っているタトゥーの数々は、監督の「ジョーカーに現代的なギャングスターのような外見を合わせる」という意図により加えられたものである。
『バットマン』シリーズのヴィランであるジョーカーが初登場したのは1940年であり、実写版としてはレトが演じたジョーカーは5代目(?)、映画版は4人目となる。
リチャード=フラッグ / リック=フラッグ大佐 …… ジョエル=キナマン(36歳)
スーサイド・スクワッドを指揮する軍人。当初はトム=ハーディがキャスティングされていたが、スケジュールが合わずに降板している。
フラッグ大佐は初代『スーサイド・スクワッド』が連載開始された1959年から登場している。実写版としてはキナマンが演じたフラッグ大佐は2代目で、映画版初登場。
アマンダ=ウォラー …… ヴィオラ=デイヴィス(51歳)
アメリカ政府の秘密組織 A.R.G.U.S.(アーガス)のトップで、「DCエクステンデッド・ユニバース」シリーズの前作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)に登場したレックス=ルーサーJr.とは面識がある。
エアー監督は彼女のキャラクターに満足しており、精神面と強靭さに関して「力強い黒人女性で丈夫、その気になれば即座に銃を手に取って人を撃つ」、「悪に対しては情け容赦ない。彼女の強みはその知性と罪悪感の欠落」と述べた。
ウォラーは2代目『スーサイド・スクワッド』が連載開始された1986年から登場している。実写版としてはデイヴィスが演じたウォラーは3代目、映画初登場となる。
ディガー=ハークネス / キャプテン・ブーメラン …… ジェイ=コートニー(30歳)
ブーメランを扱う犯罪者。強盗に及んでいたところをフラッシュに阻止され投獄された。演じたコートニーは、彼について「真にだらしない人間」と述べている。
『ザ・フラッシュ』のヴィランであるキャプテン・ブーメランが初登場したのは1960年であり、実写版としてはコートニーが演じたブーメランは2代目で映画初登場となる。
チャト=サンタナ / エル・ディアブロ …… ジェイ=ヘルナンデス(38歳)
ロサンゼルスギャングの元構成員。掌から炎を出す。妻と子供を失い、警察に自首した。
演じたヘルナンデスは彼のキャラクターを他のメンバーとは違うようにしており、「他のメンバーが獄中から外へ出て殺しを楽しむ一方、彼は戦いから身を置いている。」と述べた。
チャト=サンタナはコミック『エル・ディアブロ』シリーズ(1970年~)の主人公としては3代目(2008年~)であり、初のヴィラン的ヒーロー。実写版初登場である。
ウェイロン=ジョーンズ / キラー・クロック …… アドウェール=アキノエアグバエ(49歳)
爬虫類のような肉体をしている犯罪者。演じたアキノエアグバエは彼について、「怒りに燃える人喰い人種」と述べた。
『バットマン』のヴィランであるクロックが初登場したのは1983年であり、実写版初登場。ちなみに今作の公開までキラー・クロックがスーサイド・スクワッドに参加するという設定はコミック版ではなかった(公開に合わせたコミック版から参加)。
ジューン=ムーン博士 / エンチャントレス …… カーラ=デルヴィーニュ(24歳)
長い間封印されていた古代の強力な魔女。探検家のジューン=ムーン博士によって偶然解放されてしまう。エンチャントレスは今作の設定ではスーサイド・スクワッドの正式メンバーには加入していなかったが、その強力な力がアマンダ=ウォラーの目を引いた。デルヴィーニュは彼女について「野性的」と述べた。
1966年に連載開始された『エンチャントレス』シリーズの主人公であり、実写版初登場。コミック版『スーサイド・スクワッド』ではデッドショットらと同じく2代目スーサイド・スクワッド以来の古参メンバーとなっている。
クリストファー=ワイス / スリップノット …… アダム=ビーチ(44歳)
縄を使う犯罪者。使っている縄はとても頑丈で、自らが開発した新素材のものである。また銛を付けた縄を発射する銃も持ち、それを利用して建物を上ることもできる。
『ファイアストーム』のヴィランであるスリップノットが初登場したのは1984年であり、実写版初登場。
タツ・ヤマシロ / カタナ …… 福原 かれん(24歳)
日本人の暗殺者で、カタナはコードネーム。師匠に剣術と格闘術を幼い時から習い、古代の流派において高い次元に達している。リック=フラッグのボディガードとしてスーサイド・スクワッドの中で唯一、志願して参加したメンバーである。
『バットマン』のヴィランであるカタナが初登場したのは1983年であり、実写版としては福原が演じたカタナは2代目、映画初登場となる。ちなみに今作の公開までカタナがスーサイド・スクワッドに参加するという設定はコミック版ではなかった(公開に合わせたコミック版から参加)。
ブルース=ウェイン / バットマン …… ベン=アフレック(44歳)
前作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』までの20年間、相棒のロビンと共にゴッサムシティで自警活動を行っていたが、2005年にジョーカーにロビンを殺されている。
1939年に連載開始された『バットマン』シリーズの主人公であり、実写版としてはアフレックが演じたバットマンは6代目(ウェインが幼い『ゴッサム』シリーズを除く)となる。
ジョニー=フロスト …… ジム=パラック(35歳)
ジョーカーの腹心。
コミック版のフロストは、『バットマン』シリーズからのスピンオフ作品『ジョーカー』(2008年)の主人公で、やはりジョーカーの手下である。
ゾーイ …… シェイリン=ピエールディクソン(13歳)
デッドショットの娘。11歳。
グリッグス …… アイク=バリンホルツ(39歳)
ベルレーヴ刑務所の看守長。
インキュバス …… アラン=シャノワーヌ(?歳)
エンチャントレスの弟。姉と同様に封印されていた。
コミック版ではエンチャントレスに弟はいないが、コミック版『スーサイド・スクワッド』にヴィランとして登場した悪魔インキュバスが今作でエンチャントレスの弟という設定で登場している。実写版初登場。
主なスタッフ
監督・脚本 …… デイヴィッド=エアー(48歳)
音楽 …… スティーヴン=プライス(39歳)
撮影 …… ローマン=ヴァシャノフ(35歳)
観てきてしまいましたね~。わたくし仕事ではちょっと気が抜けない状況が今月いっぱい続くっていうのに、こんな思いっきり肩の力の抜けきった映画を観ちゃったよ! この前に観た映画が『シン・ゴジラ』なもんですから、落差ものすごいです。いや、どっちもエンタテインメントなんですからいいんですが。
最初に言うと、私は市井のしがないジョーカーファン兼ハーレイ・クインファンであります。つまりは、あさ~いバットマンファンということになるわけですが、口が裂けても「DCユニバースファン」とまで言いきる自信はございません。
なもんですから、1989年の『バットマン』以来「ノーラン3部作」まで映画はいちおう観てきましたが(もちろん1966年版もです)、今年の『バットマン vs スーパーマン』は観ておりません。『スーサイド・スクワッド』と直結してる前作なのに! それだけバットマン以外の DC系には興味がないということなんですな。だから多分、『スーサイド・スクワッド』の次にあるっていってた『ワンダーウーマン』なんか観るはずもないだろうし、来年の『ジャスティス・リーグ』もどうだか、みたいな。
つまるところ、今回そんな私が『スーサイド・スクワッド』を観に行く気になった原動力は、ひとえに新キャスティングのジョーカーと悲願の映画初登場のハーレイ・クイン! このお2人でしかなかったということなのです。
それで観てみたんだけど……まぁ~くだらない、くだらない! 強いて良く言えば「荒唐無稽」だけど! ばかばかしいったらありゃしない内容でした。
だって、物語の中で発生した大事件っていうのが完全に、スカウトしたヴィランを管理しきれませんでしたっていうだけの政府の自爆なんだもの。さすがのデッドショットでも、そんな他人の尻拭いなんかやってらんねぇっつうの!
頑張って倒れた人の人工呼吸をしただけなのにあっという間に殺されちゃった、あの地下鉄のお医者さんも浮かばれませんよ……
人工呼吸といえば、なんだあの、アフレックバットマンの思わせぶりなハーレイとの接吻は!? 人工呼吸はちゃんとあごをクイッと上にあげて気道確保してからやれや!!
話をジョーカーとハーレイだけに限定しちゃいますけど、まぁね、ハーレイが出てきたらジョーカーの質感が軽薄になるのは、それは当然の作用だと思います。それはもう、ロビンのいるのといないのとでバットマンの感じが変わるのと全く表裏一体、おんなじことでしょう。
ところが、これは私の個人的な見解なんですが、「ジョーカーとハーレイの恋愛関係」というのは、あくまでもジョーカーが周到にハーレイに刷り込んだ幻影なのであって、ハーレイがそれをどこまで信じようが入れ上げようが、ジョーカー本人の真意はまったく不明、どっちかっていうとおもしろい手駒くらいにしか考えてないんじゃなかろうかと。おもしろくなくなったらいつでもポイできるっていうスタンスが最高だと思うんですよね。それでこそジョーカーっていうか。
だから、今回あそこまでハーレイ奪還にこだわったのも「ヒマだったから。」ってくらいの動機で充分で、ハーレイがいなくて自室で悶々としてるジョーカーというシーンは全くいらないと強く思いました。
ましてや、ジョーカーの部屋に何着かベビー服が置いてあるだなんて! それはねぇだろう!! ジョーカーに後継者はいらん。ジョーカーは何が嫌いって、自分の異形の孤独を慰め合うために同類と徒党を組むのがいちばん嫌いなのではないのでしょうか。だからこそロビンを殺しちゃってるわけで。まぁ、おもしろいからって理由で他のヴィランと一時的に手を組むことはあるにしても。
なので、私はジョーカーとハーレイが共同でロビンを殺害したっていう今作の設定もどうかと思うんです。そこは「とっておきのお楽しみ」だったでしょうから、きっとジョーカー1人でやってたでしょう。
だいたい、バットマンが1人なのに対してジョーカーとハーレイで2人っていうのも、な~んかアンバランスすぎるような。ロビン殺害っていうどうしようもない要因でダークになっているバットマンと闘うのが、まるでジョエル=シュマッカー監督の世界から飛び出してきたみたいな趣味の悪い原色やらヘビ皮パープルやらタトゥーだらけやらの能天気ヴィランカップルなんだもの。ロビンも草葉の陰で泣いてますよ!
私は別に、ジョーカーがチャラかろうがタトゥーだらけだろうが特にかまいません。かまわないんですが、行動があんまりおもしろくないジョーカーっていうのは、どうかね……レト版ジョーカーって、今までの実写版ジョーカーの中でいちばん笑い方が乾いてるっていうか、「ハ、ハ、ハ、ハ。」っていう作り笑いが多いですよね。なんか、笑いについてのこだわりが歴代の中でいちばん薄そう。ヒース=レジャーのジョーカーも笑いは少なかったんですが、笑うときはここぞとばかりに心底大爆笑してたでしょ。それがないだけに、解釈のしようによってはレト版がいちばん「心の闇が深いジョーカー」ってことにもなるのかもしれませんが、なんかつまんないですよね。
レトさんは、あの神がかり的な大傑作コミック『バットマン アーカム・アサイラム』(1989年)のジョーカーからインスピレーションを得て演じたっておっしゃられてるそうなんですけど、『アーカム・アサイラム』のジョーカーは最高におもしろいからなぁ。ちょっと、足元にも及ばない格の違いはあると感じました。だいたい、『アーカム・アサイラム』のジョーカーはハーレイ・クインなんていらないでしょ。バットマンにしか興味がないんだから。
あと、レトさんは口が小さい! 笑わなくなると一瞬でハンサムなお兄ちゃんの素顔が透けて見えてしまうという気がしました。
ジョーカーという大役を担う以上、それは尋常でない努力があったことはわかるのですが……そこに「怪物的な狂気」はなかったと思いました。ハーレイという「おもし」があるんだから、それは仕方ないことなんだけれど。結局、レトさんの真剣さと真面目さしか伝わってこなかったような。ジョーカーは本当に難しい~!
あ、あと、この1点だけは、ジョーカーファンとしてとうてい見過ごせなかった!
乗っ取った軍用ヘリで、ビルの屋上に出たスーサイド・スクワッドに強襲を仕掛けたシーンで、なんでタキシードに身を固めたジョーカーの前にミニガンをぶっぱなす腹心のジョニーが先に映るんだよう!! そこは最初にジョーカーが見えて一同ビックリが先だろう!
これはわかってない。ジョーカー心をまるでわかってない見せ方だ! こんなこと、もしニコルソン版ジョーカーでやったらジョニーは即ズドンですよ。カーツだこりゃ!!
でも、コミック版『ジョーカー』での苦労を振り返れば、あと今作での涙ぐましいまでに献身的な裏方っぷりをかんがみれば、これくらいの華舞台はジョニーに与えられても当然だったのかも……よかったね、ジョニー。ジョニー=フロストって、ほんとに平本アキラさんが好きそうな味わいのキャラクターですよね。
この映画の構造的欠陥として、映画いちばんの呼び物となっている「新ジョーカー」が物語の本筋にあんまりからんでこないという点がよく言われるのですが、私は映画を観ていて、バトルが盛り上がるにつれてそれ以上に「ハーレイって……なんでスーサイド・スクワッドに呼ばれたんだろう?」というほうが気になって仕方ありませんでした。
だって、いくら身体能力が優れてるっていっても所詮は若い女性だし、特殊能力もなければ特別頭がいいってわけでもないし、武器は木のバットだし……
でも、ハーレイが出なきゃスーサイド・スクワッドも映画化されなかったんだろうし……人気って、なんなんでしょうね。その点について、古参メンバーのデッドショットさんやキャプテン・ブーメランさんのご意見をぜひとも伺いたいところです。エンチャントレスがあんなになっちゃったのって、完全にハーレイに立ち位置を取られてスネたからですよね。「ピンクあたしだったのに!」みたいな。
あと、今作はスーサイド・スクワッドの義賊っぷりしか押し出されなくて「どこが悪役やねん」な感じが強かったわけですが、それはハーレイも同じことで、彼女が具体的にどんな悪人なのかがまるで語られないんですよね。ハーレイになった経緯とか収監中の奇行はひととおり描かれるんだけど、どんなことをしてバットマンにつけねらわれてるのかがさっぱりわかりませんでした。好きなひととデートしてるのがそんなに悪いんですか!? みたいなカーチェイスでしたよね。
いろいろ言いましたけど、たぶんこの『スーサイド・スクワッド』って、『バットマン vs スーパーマン』と『ジャスティス・リーグ』との間の箸休めみたいなエピソードなんでしょ? だったら、このくらいの軽さでもいいんじゃないかなぁ。
ともかく、私としてはハーレイ・クインのお姿が銀幕で拝めたからそれでひとまず満足なわけですが、うん、やっぱりできれば、1992年初登場時の全身道化師タイツの姿で活躍してほしかった! 私は今回のパンキッシュよりも「THE NEW52!」版のボンデージよりもゲーム版のゴスロリメイドよりも、やっぱり原点の道化師スタイルが一番好きなのです。実写化するにあたって布地の質感とかを失敗すると安っぽくなりかねないタイツであるわけですが、それこそシュマッカー風のラメラメの赤黒できめてほしかったなぁ。
おもしろいジョーカーが、また観たいなぁ。キャメロン=モナハン君、映画でジョーカーやってくれ~!!
……それにしても、レトさんが44歳っていうのは、たまげました……ヒース版ジョーカーより一干支以上年上じゃねぇか! 若々しいっていうか、幼いっていうか……年齢不詳っていうのも、考えもんですね。