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HV世界販売3割増でEV逆転 23年、トヨタは過去最高

2024-02-19 07:39:03 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


トヨタ自動車の23年のHV販売台数が過去最高となった(主力のHV新型「プリウス」)

 

 

欧米、中国、日本を含む主要14カ国のハイブリッド車(HV)の販売台数が2023年、前の年から30%増えて電気自動車(EV)などの伸び(28%)を上回った。

トヨタ自動車のHV販売台数も過去最高を更新した。品ぞろえの豊富さや使い勝手の良さが支持されたもようで、拡大を続けてきたEVの成長ペースが踊り場を迎えている。

 

調査会社のマークラインズによると、日米欧中など主要14カ国の23年のHV販売台数は前年比30%増の421万台。

増加率ではEVとプラグインハイブリッド車(PHV)の合計(28%増の1196万台)を上回った。

 

市場全体に占めるHV比率は23年に7%と21年(5%)から2ポイント上昇した。PHVはガソリンを使わず充電のみでも走行が可能なため、EVと同じ分類にしている。

 

環境先進地域でEV市場の立ち上がりで先行した欧州でもHVが足元で増加している。

欧州自動車工業会によると、23年のHVの販売台数は339万台と前年比で28%増えた。EVも28%増の201万台と伸びたが、前年比で3割増加した22年と比較し、鈍化が顕著になっている。

 

アリックス・パートナーズの鈴木智之マネージングディレクターはHVが支持されている背景に、EVに対する消費者の不安や不満もあると指摘する。

「北米の大寒波などで寒さに対するEVの弱さが露呈したことや、EVで低価格モデルの市場投入が進んでいないことも背景にある」という。

 

EV充電で渋滞や乗り捨て 現実的なHVを消費者が支持

テスラの23年10〜12月期のEV平均単価は約4万4500ドル(約670万円)となった。品ぞろえは主要4車種にとどまり、値下げの影響で1年前から15%下がった。

一方、トヨタはHVを100万円台からそろえる。2000万円台の商品も用意するなど車種は多く、23年に発売した新型「プリウス」は275万円からとした。ホンダ日産自動車も広い価格帯を準備している。

 

1回の充電で走行できる航続距離が150キロメートルのEVの場合、充電時間は短い場合でも30分程度だ。

エンジン車やHVに対する給油時間の約10倍の時間を要することから、北米の都市部などでは充電のための渋滞やEVの乗り捨ても見られるという。使い勝手に対する懸念から「いきなりEVに行かず、現実的なHVやPHVを購入する消費者が増えている」(鈴木氏)という。

 

各国のEV補助金効果も一巡している。欧州ではドイツが23年12月中旬からEV補助金の支給を前倒しで停止し、中国でも中央政府によるEV購入の補助金などを22年末に終了した。

米バイデン政権が進める北米で生産したEVへの税優遇を盛り込んだインフレ抑制法を背景にEVシフトを進めてきたメーカーが戦略を修正する動きもある。

 

フォードはHV販売が4割増 ホンダや日産は新商品

フォード・モーターは総額120億ドル(約1兆8000億円)分のEV投資の撤回・縮小を進めて、資金配分を抜本的に見直す方針だ。実際に1月のEV販売が前年同月比で11%減った一方、HVは43%増加した。

HVで先行する日本勢には追い風が吹く。トヨタの23年のHV販売台数は344万台と22年比で32%増え、過去最高だった。25年にも500万台を超えるペースだ。

 

トヨタは同年までに世界の全ての販売車種でHVを含む電動車を発売するとしている。

トヨタの中嶋裕樹副社長は「電力事情や充電インフラを考えると、まだまだHVが主役になる」と語り、35年ごろまでHVの需要が増えるとの見通しを示す。

 

ホンダは24年夏に北米で主力車「シビック」のHVを発売し、販売を積み上げる。同社のHVのグローバル販売実績と新車販売に占める構成比は23年に約20%と22年(17%)を超えた。

日産も26年後半以降、米国で独自のHV技術「eパワー」を搭載した車種の発売を検討している。

 

 

一方、中長期的にはEV需要は増えると見られている。現在も主要14カ国の車種別の販売台数ではEVとPHVの合計が市場の2割を占めている。

英調査会社グローバルデータは、EVの世界需要が26年に23年の倍の2000万台を超え、35年には5000万台を上回って、HVやエンジン車を含めた乗用車需要の過半を占めると予測する。

 

アリックス・パートナーズの鈴木氏は「メーカーはEVの弱点を克服したモデルを今後出していく。

車両の軽量化など多様な分野で研究開発を進め、EVの普及を狙っており、HV増加の傾向が永久に続くことはない」としている。

 

23年世界車販売、ベスト20に中国勢5社 首位はトヨタ

中国の比亜迪(BYD)の2023年の世界新車販売台数は302万台と初めて世界トップ10に入った。中国勢は電気自動車(EV)を中心に海外市場でも存在感を高めており、上位20社にランクインした5社の合計販売台数は前年から3割伸びた。
 
日本メーカーではトヨタ自動車が4年連続首位で、ホンダや日産自動車も10位内を死守した。
 
 
 
 
 
調査会社マークラインズのデータや各社の開示をもとに世界の販売台数を集計した。
 
中国勢ではBYD、浙江吉利控股集団、中国長安汽車集団、奇瑞汽車、上海汽車工業集団の5社がトップ20に食い込んだ。5社合計の23年世界販売台数は前年比32%増の1143万台だった。



上位20社の中で、増加率が最も大きかったのはBYDで、前年から62%伸び、順位は14位から10位に上げた。
 
20万元(約400万円)未満からの価格設定で、EVとプラグインハイブリッド(PHV)をそろえた「宋」シリーズなどが消費者から支持された。海外でも多目的スポーツ車(SUV)「ATTO3(アットスリー)」などを展開し始めた。
 
 

BYDは「宋」シリーズなどの人気で販売台数が伸びた
 
 
浙江吉利控股集団のグループ総販売台数は20%増の279万台で、11位に浮上した。EVブランド 「ZEEKR(ジーカー)」から発売した小型車「X」などが好調だった。

BYDと吉利に押され、前年の10位から13位に転落したのが独メルセデス・ベンツグループだ。前年比1%増の249万台にとどまった。BMWグループも6%増で、前年の11位から1つ順位を落とした。足元で両者は台数規模よりも1台当たりの利益率を重視する戦略を堅持しており、24年以降も復活は難しいとの見方がある。
 

日本勢ではトヨタグループの世界販売台数(ダイハツ工業、日野自動車含む)は4年連続世界首位となった。
 
日産は8位だった。これまで仏ルノー、三菱自動車を含めた日仏3社連合で集計していたが、日産とルノーの資本関係の見直しに伴い、個別でカウントした。
 

【豊島晋作】セカイ経済“半導体”セレクション(米中半導体戦争/日の丸半導体/半導体不足の展望)(2022年8月10日)

2024-02-19 07:21:46 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


【豊島晋作】セカイ経済“半導体”セレクション(米中半導体戦争/日の丸半導体/半導体不足の展望)(2022年8月10日)

https://www.youtube.com/watch?v=1Ql4cLwktFQ

 

 

 


膨らむ軍事費、防衛株押し上げ 世界330兆円過去最大

2024-02-19 05:12:51 | 安全保障、戦争・軍事・テロ・ハニトラ、マフィア、スパイ・犯罪・詐欺


    ロシアのウクライナ侵攻は丸2年を迎える=ロイター

 

 

英シンクタンクの国際戦略研究所(IISS)は世界の軍事情勢を分析した「ミリタリー・バランス」の2024年版を公表した。

23年の世界の軍事費は前年比9%増の2兆1999億ドル(約330兆円)と過去最大を更新した。全体の77%にあたる118カ国・地域が増やした。

 

ロシアのウクライナ侵攻や米中対立、中東情勢の緊迫で、抑止力の確保に向けた兵器の増強が進む。

23年の世界の軍事費はウクライナ侵攻前の21年から15%増えた。IISSは24年も最大を更新するとみる。

 

ロシアの脅威で欧州の増加目立つ

全体の4割を占める米国は9054億ドルで8%増やした。2位は2194億ドルの中国、3位は747億ドルのロシアでいずれもドルベースではほぼ横ばい。それぞれ人民元とルーブルに換算すると、5%と25%の増加となった。

増額が目立ったのは欧州だ。ロシアの脅威の高まりを受け、ウクライナに兵器を提供しながら自国の防衛力の強化も必要になった。国防費を国内総生産(GDP)の2%に引き上げると宣言したドイツは20%増やした。フランスは11%、英国は2%増加した。

 

ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を併合した14年以降、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州諸国の軍事費は累計32%増えている。

IISSは「ロシアの行為がいかに西側諸国を突き動かしたかを示している」と指摘する。

 

長年の投資不足で低下していた欧州の防衛産業の生産能力は回復しつつある。

ウクライナ支援の打ち切りやNATO加盟国の防衛義務を順守しない可能性に言及したトランプ前米大統領が復帰すれば、欧州にさらなる軍事費の増額圧力がかかる。

 

米欧の支援を受けて戦闘を続けるウクライナは8.7倍の308億ドルに増やした。22年の50位圏外から13位に浮上した。

日本は4%増の490億ドルだった。防衛力整備計画の初年度の23年度予算で大幅に積み増したものの、円安の影響でドルベースでは伸びが縮んだ。サウジアラビアに抜かれ、8位から9位に後退した。

 

21〜23年の軍事費を比較できる153カ国・地域を分析すると、22年に前年比で増やしたのは53%の81カ国だった。23年は77%の118カ国・地域に広がった。

冷戦の終結後、世界的に軍縮機運が高まったが、米国は01年の同時多発テロ以降、テロ対策として増強に転じた。ウクライナ戦争や東アジア情勢の緊迫で増強が世界に広がる。

 

23年は世界的なインフレが押し上げた面もある。それでもIISSによるとインフレの影響を除いた実質ベースでも5.7%伸びた。

 

スウェーデンのサーブ株は上昇基調

 

 

世界の防衛関連株の株価は欧州を中心に上昇基調が続く。

ロシアのウクライナ侵攻前の22年1月末と24年1月末の株価を比べると、戦闘機を手がけるスウェーデンのサーブが3.1倍、イタリアのヘリコプターのレオナルドや独レーダーのヘンソルトが2.3〜2.5倍となった。

 

軍需品は発注から納入までに時間がかかり、点検や修理をしながら長期間使い続ける。

多くの国は複数年にわたって予算を組むという構造的な要因もあり、投資家は長期にわたる業績拡大を期待している。

 

23年4月には防衛関連株を組み入れた欧州で初めての上場投資信託(ETF)が登場するなど、マネーが入りやすくなっている。

欧州では製品が人を殺傷する役割を持つ防衛産業に対して否定的な見方が多かった。

 

ただロシアの理不尽な攻撃に抵抗するための武器の供与は、民主主義や人権を守るために必要な手段だとの認識が広がった。

スウェーデンやデンマークといったESGを重視する北欧諸国が、ロシアの脅威をより身近に感じることで武器支援を後押しする立場に変わっている。

(ロンドン=江渕智弘、大西康平)

[日経ヴェリタス2024年2月18日号]

 

日経記事 2024.02.19より引用

 

 


中国外相「ロシアへ武器売却しない」 ウクライナ外相に

2024-02-19 05:09:17 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


中国の王毅外相㊨とウクライナのクレバ外相(17日、ドイツ・ミュンヘン)
=中国外務省ホームページから

 

【北京=田島如生】

中国の王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相は17日、訪問先のドイツ・ミュンヘンでウクライナのクレバ外相と会談した。

ロシアのウクライナ侵攻を協議し「中国は紛争地域や当事者に殺傷力のある武器を売却しない」と伝えた。

 

中国外務省が18日発表した。中国は隣国ロシアとの関係を重視し、経済や貿易、エネルギー分野の協力を深めている。

ウクライナ侵攻を巡っては中立的な立場をとり、ロシアに軍事支援をしていないと説明してきた。

 

王氏は会談で「一刻も早く停戦させ、平和を再構築するために建設的な役割を果たし続ける。中国は努力を諦めない」と述べた。

クレバ氏は「和平の促進に向け、中国が独特で建設的な役割を果たし続けるよう期待する」と語った。

 

ロシア反戦候補、大統領選の立候補拒否で最高裁に提訴

2024-02-19 05:04:42 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


ロシア大統領選挙への立候補が認められなかったナデジディン氏は
最高裁に提訴する意向を示していた(11日、モスクワ)

 

3月のロシア大統領選挙への立候補が認められなかったボリス・ナデジディン元下院議員の陣営は17日、登録を拒否した中央選挙管理委員会の決定を不服として最高裁判所に16日提訴したと明らかにした。タス通信などが伝えた。

最高裁は21日に審理を予定しているという。ナデジディン氏の陣営は中央選管の登録拒否後、選管手続きに関する訴訟も起こしていたが、最高裁が退けていた。

 

中央選管は8日、ナデジディン氏が提出した、立候補登録に必要な10万人超の署名について、規定を超える約15%の署名に不備があるとして立候補を認めないと決めた。

ナデジディン氏はウクライナ侵攻を続けるプーチン政権を批判し、明確な反戦姿勢を打ち出している。同氏の署名集めには市民の行列ができた。

 

大統領選には無所属で出馬した現職のプーチン氏のほか、ロシア共産党のハリトノフ下院議員ら4人が立候補登録された。

与党「統一ロシア」などの支持を得ているプーチン氏の当選が確実視されている。

 

 

日経記事 2024.02.18より引用