小林製薬による紅麹(こうじ)問題が収まる気配を見せません。
よかれと思って摂取したものが逆に作用するとは誰も思ってもいなかったでしょう。被害者の怒りが収まらないのは当然のことです。
小林製薬は2024年3月29日、記者会見を開きました。参加した日経ビジネスの記者によれば、会見は4時間30分近くに及んだとのこと。
日経バイオテク発「小林製薬の紅麹問題、絞り込まれてきた『成分X』の正体」で詳報していますが、被害をもたらした成分の解明が進んでいる実態が明らかになりました。
問題となっている「紅麹コレステヘルプ」は機能性表示食品です。日経ビジネスTIME MACHINEで遡ると、制度が開始された15年4月から記事が出始めていることが分かります。
機能性表示食品に押される形で翌年16年から特定保健用食品(トクホ)の許可品目数が減少を始めました。
審査に2年近い時間がかかるほか、費用が数億円に及ぶことから、企業によるトクホ離れが始まっていることを18年9月の「『健康飲料』が乱立し、トクホ苦境」で報じています。
小林製薬がルールを逸脱した行為をしていたかというと、そうではありません。品質管理に問題があったからこそ起きた惨劇ではありますが、機能性表示食品制度という新たな枠組みの中で事業を営んでいたことは事実。
であれば、国が定めたルールははたしてどうだったのか。この論点に移っていくのは至極当然なことです。
「小林製薬『紅麹』問題、海外向けでは厳しい品質管理 機能性表示食品制度の怪」では、制度そのものを問題視した論考が展開されています。
恥ずかしながら今回の事故を受け、初めて消費者庁が運営する「機能性表示食品の届出情報検索」を使って手元にある機能性表示食品を調べました。
一般の消費者を取材すると「これまでトクホとの違いも分からず無意識に購入していたがためらうようになった」という声も聞こえてきます。
消費者庁は現在、約7000の機能性表示食品の緊急点検を進め、制度そのものの方向性を検討する対策チームも立ち上がりました。
小林製薬が引き起こした事故がきっかけではありますが、同様の悲劇を繰り返さないためにも抜本的な制度改革が急務といえます。
(日経ビジネス電子版編集長 原 隆)
日経記事2024.04.06より引用
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