太陽電池の価格下落が続いている(中国東部の山東省)=AP
【大連=藤村広平】
太陽電池向けシリコンで中国大手の通威股份と新疆大全新能源股份(大全能源)は24日、国内の生産拠点で減産すると発表した。両社とも太陽電池の大幅な価格下落を理由に挙げた。
減産幅は明らかにしていないが、期間中は各拠点で設備の全面的な保守・点検や社員訓練にあてると説明している。
通威は四川省や雲南省、内モンゴル自治区に拠点を持ち、高純度の単結晶・多結晶シリコンを生産している。年産能力は90万トン超で、同社によると世界シェア1位。
24日の発表文では減産について「高純度シリコン事業に由来する損失を減らすのに役立つ」と説明し、生産量の回復時期については「市況を見極める」とした。
同じ日に減産を発表した大全能源は新疆ウイグル自治区と内モンゴル自治区に拠点を持つ。高純度多結晶シリコンの年産能力は30.5万トンある。
両社ともどれだけ生産を減らすかは明らかにしていない。ただ減産期間中は「生産設備に対して全面的なシステム検査を行う」(通威)、「関連する社員に職業教育を実施する」(大全能源)としており、生産量は大きく落ち込む可能性がある。
太陽電池は供給過剰の影響で価格が低迷している。
米ブルームバーグNEFの調査によると、今年8月時点の太陽光パネル価格は(発電容量を示す)1ワットあたり9.6セント(約15円)と、2年前の3分の1近くまで下がった。太陽電池はシリコンでつくった半導体に光をあてることで発電する。
太陽電池世界大手の隆基緑能科技(ロンジソーラー)も今月、中国東部で予定していたモジュール工場の建設プロジェクト延期を発表した。