共和党の下院トップ、ジョンソン下院議長は「つなぎ予算案」の調整を続けていた=ロイター
【ワシントン=高見浩輔、八十島綾平】
米政府予算の執行期限が21日午前0時(日本時間午後2時)に迫るなか、米連邦議会下院(定数435)は20日、つなぎ予算案の2度目の投票を実施した。3分の2を超える366の賛成票が投じられ、つなぎ予算案は可決された。
同日夜に上院でも採決する見通しで、21日の政府閉鎖が回避される可能性が出てきた。
米議会は与野党の議席が拮抗し、新たな会計年度に入っても正式な予算案を策定できない事態が常態化している。
前年度並みの予算執行が可能になるつなぎ予算は、期限が20日深夜のため延長が必要だ。
与野党の議会指導部は17日、2025年3月までつなぎ予算を延長する案で合意したが、その後、共和が一方的に撤回した。
米政府効率化省(DOGE)を率いる起業家のイーロン・マスク氏が強く批判し、政府債務の法定上限の引き上げなどを求めるトランプ氏も18日に反対を表明したためだ。
共和は19日、過半数を握る議会下院でトランプ氏の意向をくんだ独自の法案を採決したが、民主だけでなく共和の強硬派も30人以上が反対票を投じて否決された。
独自案には25年1月までとなっている政府債務の法定上限の無効化をさらに2年延長する条文が盛り込まれた。強硬派の一部は、それがさらなる財政悪化につながると批判した。
下院共和を率いるジョンソン下院議長らは20日、否決された独自案の修正版を作成。債務上限に関わる条項を省き、20日夕方に再び採決に臨んだ。
修正版には19日の案と同様に、大型ハリケーンによる被害への救済資金や農家向け支援も含まれた。
米メディアによると、共和党側は「債務上限を1.5兆ドル引き上げるかわりに、2.5兆ドルの支出削減をすることで合意した」と説明している。財政規律を重視する党内の強硬派に配慮したものとみられる。
19日時点では反対した下院民主議員らは、20日の採決直前に会合を開いて修正版を受け入れる方針を確認した。下院民主党トップのジェフリーズ院内総務は米メディアに、上院民主トップのシューマー院内総務も賛成する方向だと述べた。
米ホワイトハウスのジャンピエール大統領報道官も20日に「バイデン米大統領も法案を前進させることを支持している」との声明を発表した。
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日経記事2024.12.21より引用