いま読んでいる本の中に、心に訴える部分があります。
岩永雅也先生の本です。
「教育社会学概論」
=以下抜粋=
生まれて間もない乳幼児は、通常、母親と最も密度の濃い接触を持つ。
母親は子どもを無条件に受け入れ(絶対的受容)
子どもは母親を無条件に信頼する(絶対的信頼)という関係の中で、
自然に自他の区別というもの、内界と下界の別というものが
理解されるようになる。
抱っこやおんぶなどの状態で、母親の行動様式を同一化して体験し、
それを日々反復することは、その後の子ども自身の視点を定める意味で、
非常に重要である。
このように母親への同一化は、「母子一体化」と呼ばれる状況の中で
最も効果的に進行することになる。
母子一体化というと、「甘やかし」とか「自立不全」あるいは
「マザコン」などと混同してネガティブに語られることが多い。
しかし、この時期に家庭内にあって母子一体化が達成できていない場合、
「自己愛」が形成されにくくなり、子ども自身のものを見る目や
判断基準が十分に形成されなくなるおそれすら生じるのである。
通常、家族の中で、子どもはかけがえのない宝物として扱われる。
そうされることで、子どもは自分には重要な意味があり、
大事に扱われるべき存在であるという意識を植え付けられるのである。
こうして植え付けられた自分を強く肯定する態度を『自己愛』と呼ぶ。
家族の中の誰よりも自分が大切で、これから先の永い生活の中で
常に自分が自分の中心にある、あるべきだという信念が『自己愛』である。
子どもは、家族によって十分な自己愛を形成されることで、それ以降の
発達をより確かで効果的なものとすることができるのである。
「自己愛」は近代的社会成立の原理的出発点とも言える個々人の資質であり、
それなしには近代市民社会が成立することすら困難になるような
絶対的条件だと言ってよい。
*尚、
ここでの「自己愛」は自己中心主義や利己主義、エゴイズムなどと言った
一般的で相対的な評価とは異質の概念である。
以上、抜粋終わり。
とても大切な乳幼児時期ですが、はたして、
親としての自分はどうだったのか?
今さらながら、自問自答しています。
もう、後悔しても手遅れですが。