晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

矢作俊彦 『ららら科學の子』

2012-08-30 | 日本人作家 や
前からタイトルは気になっていました。ということで読んでみることに。

「鉄腕アトム」のオープニングテーマ曲で有名な一節、とはいっても
ストーリー的にはロボットは関係ありません。

学生時代、学生運動に参加して、本拠地に機動隊が突入してきたところ
階段の上から物を落として、下にいた隊員が潰されてしまい、殺人未遂
になりそうだったところ、中国から来た青年に「本場の文化大革命を見に
きませんか」と誘われ、中国に逃げることに。

そして30年、中国南部の田舎で結婚もした「彼」は、日本に帰ることに
なります。蛇頭という密入国の斡旋グループに金を払い、ボロ船に詰め込
まれ、途中、伊豆あたりで「彼」は逃げ出します。そこから新幹線に乗って
東京に。
しかし、30年のあいだに東京は激変。カルチャーショックに「彼」は戸惑い
っぱなし。そこに、「彼」の昔の友達である志垣の使いである傑が「彼」の
前に現れます。
志垣は、都内の宿泊から食事から当座の金まで用意してくれて、そこまで
してもらう筋合いはないと「彼」は困惑しますが、傑は「志垣から頼まれた」
の一点張り。
それには、「彼」がひとりで中国へ行くことになった時に遡るのですが・・・

「彼」はちょっと出かけて、小腹がすいて牛丼屋に入ることに。そこで、制服
を着たままビールを飲んでる女子高生が。彼女をしげしげと眺めていると、
声をかけられます。
関わらないようにしますが彼女の方は「彼」に興味をもったらしく・・・

30年の間に変わったことといえば、実家の酒屋は無くなっていて、老人ホーム
ができるとのこと。地上げにあったようで、その際に「彼」の親は大金をもら
ってどこかに引っ越した、と志垣から聞きます。しかし両親はすでに亡くなって
います。
では「彼」が中国に行くころはまだ小さかった、なついていた妹は今どこに・・・

しかし、蛇頭のメンバーはとうとう「彼」を捕まえて・・・

東京都庁が「映画とかアニメで悪い組織の親玉が住んでいそうな」と感じてみたり、
しょう油の匂いに敏感になってみたり、その他「30年のギャップ」は想像するに
異国と故郷とが微妙に均衡を保とうとしているような。

コメント
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