とりあえず、気になる文学賞の受賞作品は読んでおこうとは思うのですが、
いざ本屋へ行くと、他にも気になる本があったりして、それらを優先した
りして、どうにも追いつきません。
直木賞はもちろんのこと、ほかには山本周五郎賞、江戸川乱歩賞、本屋大賞、
そして、このミステリーがすごい!大賞、といったところ。
『さよならドビュッシー』は、このミステリーがすごい!大賞受賞作で、
映画化もされましたね。あ、今上映中でしたっけ。
ピアニストを目指す香月遥は、春から音楽科のある高校に通うことになって
いて、今日もピアノ教室で先生のキツイ指導を受けています。一緒に教室に
通っている片桐ルシアは、遥にとっては従姉妹。ルシアはインドネシア生まれ
で、両親はスマトラ沖地震で亡くなり、孤児となったルシアは香月家に来て、
遥の親はルシアを養子縁組したいと思っているのですが、日本国籍ではない
ルシアを、ましてや震災でゴタゴタしているインドネシア政府も確認は後回し
にしている状態で、なかなか正式に養子にはできません。
さて、ルシアもピアノの腕前はなかなかのもので、そんなある日、ピアノ教室
にお客さんが。なんと、期待の新鋭ピアニストの岬洋介ではありませんか。
遥は緊張してしまいます。
レッスンも終わって家に帰り、一緒に住んでいる祖父に、今日ピアノ教室に
岬洋介という有名なピアニストが来たんだよ、と告げると、なんと祖父は
「その男ならお前たちが出かけたあとにここに来た」と言うのです。
祖父の持ってる賃貸物件に引っ越してくることになり、その挨拶に来たとの
こと。
ところで、遥の祖父は、会社を経営している資産家で、脳梗塞で今は車椅子
での生活となり、母屋の横にバリアフリーの離れを建ててそこで寝起きして、
介護士のみち子さんがほぼ毎日お手伝いに来ています。
この家に暮らしているのは、遥、遥の両親、ルシア、そして研三叔父さん。
研三は遥の父の弟で、漫画家になる夢を追い続けて、仕事をしていません。
ある日のこと、両親が法事で出かけて、研三叔父さんもどこかへ出かけたので、
遥とルシアは、夜はお爺ちゃんの離れにある客間で寝ることに。
その夜、遥は苦しくなって目覚めます。あたりは煙。急いで部屋から出ようと
しますが、廊下は炎に包まれていて、やがて轟音とともに・・・
それから、どのくらい時間が経ったかわかりませんが、意識が戻ります。
お腹の皮膚になにか感じます。誰かが、指でお腹をなぞって、字を書いている
よう。そこで、全身大火傷で病院に運ばれて、皮膚移植手術で一命をとりとめ
たことが分かります。
それから数日、耳の鼓膜まで損傷は無かったらしく、包帯を緩めてもらい、
お医者さんの「聞こえるか?」という音が。そして「遥?お母さんの声が聞こ
える?」という懐かしい声も。
そこで、お爺ちゃんとルシアは残念ながら助からなかった、と聞かされて、
ショックに。
そこから懸命にリハビリに励み、家に戻れるようになってからも、祖父の介護
をしていたみち子さんが介護をしてくれることに。
それから数日、家に祖父の顧問弁護士がやってきます。遺産相続の話で、遺言
によると、総遺産の十二億円の半額は遥に、残りの二分の一は祖父の息子、
つまり遥の父と研三叔父さんに、みち子さんには三百万円が支払われる、と
書かれてあった、と弁護士。
ですが、遥と研三の遺産に関しては、信託財産に入るように指定されていて、
自由に使えないようになっています。
遥は全身包帯で松葉杖という状態で、遅れて高校の入学式に。しかし学校側
からは、推薦で入ったからには、他の生徒と例外なく、出席日数、そして
高校在学中にコンクールに出場して賞をとらないと、特待生資格が失われる、
と告げられます。
しかし、遥は、ピアノをあきらめないと誓います。が、リハビリの成果で
多少は腕が動くようになったものの、以前のようにピアノを弾けるまでは
回復できていません。ピアノ教室の先生は、教えるのは無理と言いますが、
そこに「遥さんのレッスンは僕に任せてもらえませんか」と、岬洋介が・・・
そこから、まさに血の滲むようなレッスンがはじまります。といっても
強烈なシゴキなどではなく、岬洋介の指導はとても理にかなっていて、遥
の上達はとても早く、これには学校側も、そして病院の先生も驚きます。
なんと遥は、まだ包帯も取れず松葉杖での歩行なのに、有名な学生ピアノ
コンクールに、学校推薦で出場することに。
ですが、そんな遥につきまとう根性の腐った同級生が数人いて・・・
遥は、回復はしたといっても、全力でピアノを弾けるのは5分が精いっぱい。
コンクールの課題曲、自由曲は高度なテクニックを要する難曲で、しかも
5分を超えます。しかし諦めてはいられず、岬先生と特訓します。
ところが、そんな練習も気が入らなくなる事態が。遥が家の階段を登ろうと
したら、滑り止めがはがれて、危うく頭から転倒するところ。
そして今度は、松葉杖に細工がしてあったのか、留め具が外れて、またも
転倒しそうに。
遥は岬先生に相談します。犯人は家の中にいるはずだ、と。遺産の分配に
納得のいっていない研三叔父さんなのか、たった三百万しかもらえなかった
介護士のみち子さんか、それとも、まさか両親が・・・
やがて、この一家の中で殺人事件まで起こってしまいます。が、岬先生は
何か分かっている様子で・・・
ひょっとしてあの火事はただの事故ではなかったのか。香月家に起きた
殺人事件の犯人とは。そして、それらの謎を解く岬洋介は、ただのピアニ
ストなのか。
最後の最後の大どんでん返しで、思わずうなってしまいました。
登場人物の描写、キャラ設定、相関なども見事で、文も読みやすく、
読み終わるやいなや、続編の「おやすみラフマニノフ」を買ってきて
しまいました。
いざ本屋へ行くと、他にも気になる本があったりして、それらを優先した
りして、どうにも追いつきません。
直木賞はもちろんのこと、ほかには山本周五郎賞、江戸川乱歩賞、本屋大賞、
そして、このミステリーがすごい!大賞、といったところ。
『さよならドビュッシー』は、このミステリーがすごい!大賞受賞作で、
映画化もされましたね。あ、今上映中でしたっけ。
ピアニストを目指す香月遥は、春から音楽科のある高校に通うことになって
いて、今日もピアノ教室で先生のキツイ指導を受けています。一緒に教室に
通っている片桐ルシアは、遥にとっては従姉妹。ルシアはインドネシア生まれ
で、両親はスマトラ沖地震で亡くなり、孤児となったルシアは香月家に来て、
遥の親はルシアを養子縁組したいと思っているのですが、日本国籍ではない
ルシアを、ましてや震災でゴタゴタしているインドネシア政府も確認は後回し
にしている状態で、なかなか正式に養子にはできません。
さて、ルシアもピアノの腕前はなかなかのもので、そんなある日、ピアノ教室
にお客さんが。なんと、期待の新鋭ピアニストの岬洋介ではありませんか。
遥は緊張してしまいます。
レッスンも終わって家に帰り、一緒に住んでいる祖父に、今日ピアノ教室に
岬洋介という有名なピアニストが来たんだよ、と告げると、なんと祖父は
「その男ならお前たちが出かけたあとにここに来た」と言うのです。
祖父の持ってる賃貸物件に引っ越してくることになり、その挨拶に来たとの
こと。
ところで、遥の祖父は、会社を経営している資産家で、脳梗塞で今は車椅子
での生活となり、母屋の横にバリアフリーの離れを建ててそこで寝起きして、
介護士のみち子さんがほぼ毎日お手伝いに来ています。
この家に暮らしているのは、遥、遥の両親、ルシア、そして研三叔父さん。
研三は遥の父の弟で、漫画家になる夢を追い続けて、仕事をしていません。
ある日のこと、両親が法事で出かけて、研三叔父さんもどこかへ出かけたので、
遥とルシアは、夜はお爺ちゃんの離れにある客間で寝ることに。
その夜、遥は苦しくなって目覚めます。あたりは煙。急いで部屋から出ようと
しますが、廊下は炎に包まれていて、やがて轟音とともに・・・
それから、どのくらい時間が経ったかわかりませんが、意識が戻ります。
お腹の皮膚になにか感じます。誰かが、指でお腹をなぞって、字を書いている
よう。そこで、全身大火傷で病院に運ばれて、皮膚移植手術で一命をとりとめ
たことが分かります。
それから数日、耳の鼓膜まで損傷は無かったらしく、包帯を緩めてもらい、
お医者さんの「聞こえるか?」という音が。そして「遥?お母さんの声が聞こ
える?」という懐かしい声も。
そこで、お爺ちゃんとルシアは残念ながら助からなかった、と聞かされて、
ショックに。
そこから懸命にリハビリに励み、家に戻れるようになってからも、祖父の介護
をしていたみち子さんが介護をしてくれることに。
それから数日、家に祖父の顧問弁護士がやってきます。遺産相続の話で、遺言
によると、総遺産の十二億円の半額は遥に、残りの二分の一は祖父の息子、
つまり遥の父と研三叔父さんに、みち子さんには三百万円が支払われる、と
書かれてあった、と弁護士。
ですが、遥と研三の遺産に関しては、信託財産に入るように指定されていて、
自由に使えないようになっています。
遥は全身包帯で松葉杖という状態で、遅れて高校の入学式に。しかし学校側
からは、推薦で入ったからには、他の生徒と例外なく、出席日数、そして
高校在学中にコンクールに出場して賞をとらないと、特待生資格が失われる、
と告げられます。
しかし、遥は、ピアノをあきらめないと誓います。が、リハビリの成果で
多少は腕が動くようになったものの、以前のようにピアノを弾けるまでは
回復できていません。ピアノ教室の先生は、教えるのは無理と言いますが、
そこに「遥さんのレッスンは僕に任せてもらえませんか」と、岬洋介が・・・
そこから、まさに血の滲むようなレッスンがはじまります。といっても
強烈なシゴキなどではなく、岬洋介の指導はとても理にかなっていて、遥
の上達はとても早く、これには学校側も、そして病院の先生も驚きます。
なんと遥は、まだ包帯も取れず松葉杖での歩行なのに、有名な学生ピアノ
コンクールに、学校推薦で出場することに。
ですが、そんな遥につきまとう根性の腐った同級生が数人いて・・・
遥は、回復はしたといっても、全力でピアノを弾けるのは5分が精いっぱい。
コンクールの課題曲、自由曲は高度なテクニックを要する難曲で、しかも
5分を超えます。しかし諦めてはいられず、岬先生と特訓します。
ところが、そんな練習も気が入らなくなる事態が。遥が家の階段を登ろうと
したら、滑り止めがはがれて、危うく頭から転倒するところ。
そして今度は、松葉杖に細工がしてあったのか、留め具が外れて、またも
転倒しそうに。
遥は岬先生に相談します。犯人は家の中にいるはずだ、と。遺産の分配に
納得のいっていない研三叔父さんなのか、たった三百万しかもらえなかった
介護士のみち子さんか、それとも、まさか両親が・・・
やがて、この一家の中で殺人事件まで起こってしまいます。が、岬先生は
何か分かっている様子で・・・
ひょっとしてあの火事はただの事故ではなかったのか。香月家に起きた
殺人事件の犯人とは。そして、それらの謎を解く岬洋介は、ただのピアニ
ストなのか。
最後の最後の大どんでん返しで、思わずうなってしまいました。
登場人物の描写、キャラ設定、相関なども見事で、文も読みやすく、
読み終わるやいなや、続編の「おやすみラフマニノフ」を買ってきて
しまいました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます