家にいてもあまりテレビは見ないのですが、地上波はニュースぐらいで見るといえばほぼBSの番組で、主に旅番組と料理番組と動物番組。中でもここ最近ハマってるのが月曜の「酒場放浪記」、火曜の「町中華で飲ろうぜ」、そして金曜の「おんな酒場放浪記」。酒ばっかり。番組が始まる時間になるちょっと前にお酒と冷奴とかししゃもを焼いたのとかちょっとしたつまみを用意して、ちびちび飲みながら見てます。毎週欠かさず見られるわけではないのですが、休みの日に見られればラッキー。でも見られなくても見逃し配信があるので安心です。いい時代になりました。
家飲みだと家で飲んでるという安心感と他の人と会話しないので発散しないせいか酔いが回るのがはやくて、そんなにたいした量を飲まずに眠くなるのである意味経済的ですね。
以上、酒とバラの日々。
さて、ジェフリー・アーチャー。2011年から7部におよぶ大長編「クリフトン年代記」が続いて、これが終わったらもしかして断筆宣言でもするんじゃないかと思っていたのですが、その後に出版されたこの『運命のコイン』、の前に短編集も出て、まだまだ現役だそうです。
あれは2015年、イングランドでラグビーのワールドカップが開催されたのですが、決勝戦がオーストラリア対ニュージーランド。そのときジェフリー・アーチャーさんはツイッターで「ラグビーワールドカップの決勝がトゥイッケナム(ラグビーの聖地といわれるロンドンのスタジアム)でオーストラリアとニュージーランドとはなんて屈辱だ」とつぶやいていたのをよく覚えています。
この作品は「サーガ」と呼ばれる、本来は出会うはずのない2人の登場人物を描く長編もので、「ケインとアベル」が代表ですね。
1968年、ソヴィエト連邦、レニングラード。高校生のアレクサンドルは友人のウラジーミルといっしょに家に帰ります。ウラジーミルはKGBに入ること、アレクサンドルはモスクワの大学進学を夢見ています。アレクサンドルの父は港の同志主任監督官として、母は食堂の調理人として働いています。ある日の夜、アレクサンドルの父がでかけます。それを見かけたウラジーミル。後をつけていくと、教会の中へ。すると他にも数人の男が教会に入っていきます。ウラジーミルはこっそり話を聞くと、港湾労働者の労働組合を作るという話し合い。ウラジーミルは急いで港湾司令官をしているKGB少佐ポリヤコフの家に行きます。
その翌日、アレクサンドルの父が出勤して、作業を始めようとしたとき、クレーンの積荷が真上に来て、積荷が落下し・・・
コンスタンチン・カルペンコの葬儀が行こなわれますが、妻エレーナと息子アレクサンドルをはじめ、コンスタンチンの友人たちはあれは事故死ではないとわかっていますが、それを口に出すことは許されません。さらに、コンスタンチンにはソヴィエト連邦英雄の称号が与えられ、妻エレーナは年金が満額支給され、息子アレクサンドルは父の後をついで港湾労働者になるという「美談」が用意されていました。
港湾労働者であるエレーナの弟がやって来て「金曜に外国船が2隻入ってきて翌日出港するので、そのどちらかに隠れることができる」と、亡命の手助けをしてくれるというのです。土曜日、どうにかこうにかエレーナとアレクサンドルは倉庫に着きます。そこには大きな木箱がふたつ。行き先はアメリカかイギリスのどちらか。アレクサンドルはポケットから5カペイカ硬貨を出し、「表ならアメリカ、裏ならイギリス」と決めて、硬貨を頭上に弾き上げます。
エレーナとアレクサンドルは木箱に入り、蓋が釘で打ち込まれ、クレーンでゆらゆら揺れながら宙に浮くのを感じて貨物船の倉庫に収まって・・・
ここまでが第1部。はたしてエレーナとアレクサンドルはどちら行きの船に乗ったのか、ということになるのですが、第2部のはじまりが文庫の上巻の60ページから。上下巻合わせて残り800ページぐらいがその「どちらか」という話で、ただこれを書いてしまうと豪快なネタバレになってしまうので書けませんが、一応、ふたりは亡命した地で、アレクサンドルは持ち前の頭脳明晰で出世し、エレーナは料理の腕を見込まれてこちらも成功します。
相変わらず面白いです。そして読みやすい。クレームをつけるとするならば面白すぎて読みやすすぎてあっという間に読み終わってしまったのでもっと文中の世界観に浸っていたかったという誰のせいでもないクレーム。
訳者あとがきによれば、この作品は「『ケインとアベル』以来の大作と作者自身が豪語」したとかですが、「ケインとアベル」は若い頃に心震わせながら夢中になって読んでしかもその後に数回読み直してますから、まあ「思い出補正」ありきですがやっぱり「ケインとアベル」が一番ですね。
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