先月は1冊しか投稿できませんでした。
さて、ネルソン・デミル。まだ2作品しか読んでませんが好きな作家です。
アメリカ陸軍犯罪捜査部を辞めたポール・ブレナーに、ポールの元上司のカール・ヘルマン大佐からメールの着信が。「明日16時、ザ・ウォールにて K」という文面のみ。ザ・ウォールというのはワシントンDCにあるヴェトナム戦没者記念碑のことで、なぜそんなところで会いたがってるのか全く検討がつきません。そこで、ポールの恋人で現在も犯罪捜査部の職員であるシンシアに連絡してみることに。するとこの件に関しては知らない様子。
指定された時間にザ・ウォールに行くと、カールがやって来て「この壁には戦死ではなく他人に殺害された者の名前がある」と告げられます。1968年にヴェトナムのクァンチ市で中尉が大尉に殺害されたという情報が犯罪捜査部に届いたというのです。その証人は当時の北ヴェトナム軍兵士で、負傷して廃墟に隠れていたときにふたりのアメリカ兵が廃墟に入ってきて激しく口論し、大尉が銃で中尉を撃った一部始終を目撃していたのです。彼らの階級は軍服の肩章でわかります。そしてこの目撃情報の手紙を同じく兵士の兄に出したのですがその兄は死亡、その手紙をあるアメリカ軍兵士が見つけて持ち帰ってトランクにしまいっぱなしにして、30年近く経って退役軍人会に送ったそうで、それを英語に翻訳したら、これは殺人事件の目撃情報だということになって犯罪捜査部に話が来たということ。
現時点で、クァンチ市にその日にいた第一騎兵師団所属の大尉と中尉をある程度までは絞り出していますが確定できておらず、ポールにヴェトナムに行ってもらい、その証人がまだ生きていたら探し出して写真を見せて確証を持って帰ってきてほしい、もしすでに亡くなっていたとしても、生家に行けば証人が中尉の遺体から盗んだとされる物を持ち帰ってきてほしい、とお願いします。
ポールは心のどこかでヴェトナムに行った「過去」と心の中で折り合いをつけなければならないと思っていて、ヴェトナムに行くことに。
手紙に書いてあった「タムキ」という村は地図には存在しません。
ポールはサイゴン(ホーチミン)に着き、アメリカからのメッセージを待っていると、アメリカ人女性が声をかけてきます。スーザンという女性はこのミッションにどうやら関係がなさそうなのですが・・・
はたしてポールは証人に合うことができるのか。
文庫の上下巻で約1600ページにおよぶ長編でして、ミステリーであり、サスペンスでもあり、アクションエンタテインメントでもあり、ロマンスもあり、またロードムービー的でもあり、読んでてものすごく疲れましたが、シリアスな内容の中にユーモアのエッセンスが散りばめられていてどうにかこうにか途中で諦めずに読み切ることができました。
若いスーザンにとっては「私にとってヴェトナムとは戦争ではなく単なる国名であり地名」と言いますが、ポールにしてみればそのような単純に割り切れるものではありません。あのヴェトナム戦争とはアメリカにとって、そしてポールにとってなんだったのか。
ポール・ブレナーが主人公の作品はこれが2作目で、この前に「将軍の娘」という作品があるのですが、読んでみたいのとどうしようかなという気持ちが半々。
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