晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ディケンズ 『大いなる遺産』

2014-06-10 | 海外作家 タ
ようやく読みました。買ったのはずいぶん前だったのですが、わりかし長編
なので、後回しにしてました。

原題は「Great Expectations」で、expectは期待するとかいう意味なので、
つまり”遺産を相続できる可能性は期待していい”ですね。

イギリスの田舎に住む少年ピップは、幼くして父母を亡くし、姉夫婦のもと
で育ちます。姉は夫のジョー、そして弟に「とっとと飯を食えこの豚野郎」
と言ったり、ときたま棒でひっぱたいたり、恐怖の存在。

そんなわけでピップとジョーは(被害者の会)のような仲良し。

ある日、ピップが教会で自分の両親の墓にお参りをしていると、囚人服を
着て足枷をはめたままの男が食べ物とヤスリを持って来いとピップを脅します。
なんとかして家から食べ物を盗んで、鍛冶職人であるジョーの仕事場からヤスリ
も持ち出し、脱獄囚のもとへ。

そんな忌わしい出来事があったのち、ピップはあるお屋敷の女主人ミス・ハヴィ
シャムの世話をすることに。世話といっても話し相手になるだけで、女主人は
暗い部屋にこもって意味不明な言動をし、養女のエステラにひどい言葉でなじられます。

ピップは自分では意識していなかったのですがエステラの美貌に惹かれ、
お屋敷に通い続けますが、しかしエステラはパリに旅立ちます。

やがてピップはジョーに鍛冶職人の弟子入りすることに。そんな矢先、ピップは
弁護士を名乗る男に、どこかの富豪から遺産相続の見込みがあると告げられます。

そのためにはロンドンに住んで紳士になる教育を受けるとあり、ピップは
ロンドンに旅立ちます。

ミス・ハヴィシャムのお屋敷で出会った青年ハーバートと一緒に住み、財産管理
をいている弁護士から月々の生活費を与えられ、贅沢な生活を送ります。

放蕩三昧な暮らしの中、ピップは田舎で世話になったジョーたちを疎ましく感じる
ようになり、紳士というよりは”鼻持ちならない都会人”になってゆくのです。

やがてピップは、自分に遺産を相続してくれる謎の人物の正体を知るのですが・・・

「オリヴァー・ツイスト」でもあったように「あの人とあの人がじつは」といった
ような”都合のよい”展開があったりしますが、そこはそれ、物語として面白ければ
いいのです。

文中で特に笑ってしまったのが、ピップと同郷の人が出演する芝居を観に行くシーンで、
ここが素晴らしいのが芝居のタイトルを敢えて説明せずに物語の舞台(デンマーク)や
登場人物(かの優柔不断な王子、王の亡霊)で描写しているところ。
客の野次など絶妙で、なんというか古き良き芝居文化がそこにあるような。

それにしてもイギリス文学ではちょくちょくシェィクスピアを”教養として当然知って
いるもの”として引用しますね。

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