きっと明日は雨のち晴れ

六甲道診療所での仕事は忙しいけど、それなりに楽しい。ちょっとくじけそうなことがあっても、雨のち晴れです

クリニカルイナーシャとポリファーマシ

2025-01-13 17:40:21 | 診療
年明けのお勉強第1弾 3日の一日かけて、
「治療」という雑誌で 2024年10月の「心不全治療のfantastic Four どう考え、どう使うか?」
という特集を全部よんで、ポイントのまとめをしてました。
 以前から、心不全で紹介した人の返事や退院時処方で、
エンレスト や 糖尿病でもないのにフォシーガ10㎎が処方される機会が多くなってきています。
 数年前からのガイドラインでいろいろかわってきているところは、入院中の循環器の先生まかせではいけない、
プライマリーケア医の役割もちゃんと認識しておかないといけないとは自覚しながらも、勉強が今になってしまいました。
 心不全パンデミックといういわれるほどに、心不全が当たり前になり、左室の駆出率が低下した症例を HFrEF 、
駆出率がたもたれた症例をHFpEFとよんで、わけたうえで、数々の臨床試験をへて、
この、fantastic Fourという4グループの薬剤をつかう時代になってきたということのようです。
 当初は、4種類の薬剤をいろいろ使いわけるのかと思っていたふしもありましたが、
しっかり読んでみると、水分貯留の状態、重症度や副作用、忍容性などを考慮しながら、
4種類の薬を全部つかって、それも最大容量にまで上げてのんでもらうというのが目標のようです。
最後のほうで、ガイドラインに基づく標準治療(GDMT)が使われているか?評価するスコアー
シンプルDGMTスコアまで準備されいます
そもそも、薬剤の数がおおい、 エンレストやフォシーガ10㎎などは、
それまで、心不全につかわれてきた、利尿剤やβブロッカーに比べるとけた外れに高い、、
さらには、血圧低下があっても可能な限り増量する、腎機能悪化しても
(initial dipといいって長い目でみたら、それは一次的なものであるというのです、、、)
カリウムがあがってきても、カリウム下げる「ロケルマ」という薬をたして(
また、薬剤がふえるわけですが)でも 最大容量をめざすといわれます。

そんな折、年明けの醫亊新報はいつものごとく、
炉辺閑話 といういろんな、ドクターからの一言が掲載される特集号です。
その中に、トヨタ記念病院の篠田先生が、糖尿病治療における「クリニカルイナーシャ」と
「ポリファーマシー」というタイトルで書かれています
糖尿病治療も昔と一変して、数々の薬剤を投入され、GLP1製剤やインスリンなど注射剤も
様変わりしています。
結果的に招く、ポリファーマシーということに至る問題に対して、
この先生は 「境目」という言葉をつかって、なげかけています。
みきわめる力がもとめられますね。


コメント
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