天使のエナジー

「すべてなるものの源」への、愛の告白

ドラマ「ごちそうさん」を味わう

2013-12-21 17:54:30 | Weblog
連続テレビ小説「あまちゃん」が終わって二か月余り。

毎日楽しみに観ていた私は、いわゆる「あまロス」に
なるんじゃないかとの危惧があったのですが……

幸い、その心配はいりませんでした。
後番組の「ごちそうさん」も面白いですね。

もちろん、「あまちゃん」とは時代設定も、見せ方描き
方もかなり違うけれど、私には、毎日観たいと思える
魅力があります。

まず、毎回画面に登場する食べ物がおいしそうだし、
興味をそそられます。

特に、今の舞台が大阪で、関西ならではの料理や食
習慣は、東海地方で生まれ育った私には珍しいもの
がいっぱい。

(私は鱧〔はも〕は多分、一度も食べたことがないし、
お母さんが遠足なんかに作ってくれたおにぎりはいつ
も三角。でも関西では三角のおにぎりは法事やお葬
式のものだなんて、ちっとも知りませんでした。え?じ
ゃあ、大阪ではコンビニのおにぎりも俵型なの?)

そんな美味しそうなものたちに彩られて描かれるのは、
朝ドラにはつきものともいえる、「嫁」と婚家の家族の
間で起こる、さまざまなかたちの「交流」。

その中には、いわゆる「嫁いびり」も含まれます。

「ごちそうさん」では、いびられるのは、西門家に嫁い
だヒロインの、め以子。いびる人は、義姉の和枝です
が、このいびり方が圧巻でしたね。

和枝の数々のひどい仕打ちに我慢できず、め以子が
家出宣言をすると、和枝はなんと、め以子の家財道具
一式を大八車に積んで一人で運び、め以子の実家に
送り返そうとまでするのです。

これまで相当の数の「嫁いびり」をドラマの中で見てき
ましたが、これはその中でもウルトラ級のきつさだと思
いました。

そもそも、嫁と小姑が同じ屋根の下で、仲良くやってい
けるというのは、実生活でも稀なことではないでしょう
か。

ましてや、「ごちそうさん」の和枝は細かいところに気
のつく几帳面な人だけに、花嫁修業もあまりしていない
め以子のやることなすこと、すべてが気に入りません。

そんな和枝になんとか気に入ってもらいたくて、おいし
いごはんを食べてもらおうとめ以子が作った心づくしの
お膳をひっくり返されたりして、め以子のほうもずいぶ
ん傷つきます。

こんな二人が一緒に暮らしていることは、お互いに傷
つけ合って消耗するだけで意味がないという見方もあ
るでしょう。

でも、本当にそうでしょうか。

め以子はそれまで、家族みんなの仲がよかった実家
での生活しか知りませんでした。

そんなめ以子にとって、和枝との同居生活は、実家では
不可能だった、さまざまなことを味わい、知るための場
になったのです。

その経験の中には、人間の視点で見れば辛いこと、悲
しいことがたくさん含まれていました。

でも、それを味わうことで、一人の人間としてのめ以子
が大きくなるだけでなく、宇宙の記録の貯蔵庫の中身
がほんの少しずつ豊かになっていく、そんなふうに考え
られないでしょうか。

和枝のほうも、思いっきりいじわる(関西では「いけず」)
をしても、逃げずに自分の置かれた境遇に向き合おうと
しため以子を見て、自分を改めて見つめざるを得なくなり
ます。

め以子に「いけず」をする自分を一番許せないのは、実は
和枝本人だったのでは。

そんな濃密な時間が流れた後、和枝は新しい環境を求め
て、農家に嫁ぐため西門の家を出て行きます。

こうして、二人のレッスンは終わったのです。

これはドラマに描かれたフィクションだけれど、実際に彼女
たちと同じような関係にある二人は、生まれてくる前に、
魂と魂の間で、予め役割を取り決めた間柄であるのかもし
れませんね。


「ごちそうさん」の視聴率は、「あまちゃん」を超えていると
か。

それはきっと、こんなめ以子たちの味わう人生の「醍醐味」
に心をひかれる人たちによって支持されているからに違い
ない。

そんなことを感じています。