ルネさんは、私に例の宗教への入信を決意させようと
説得し続けていましたが、私の躊躇する様子を見て、
あと一押し必要だと思ったのでしょう。
強力な助っ人を呼び寄せました。
なんと、私にエネルギーを送ってくれたセドさんを、
病院に連れて来てしまったのです。
これには、あわてました。
私は病棟の食堂に呼ばれ、ルネさん、セドさんと差
し向かいで、二人の話を聞く羽目になりました。
二人としては、信者を増やしたいとの思惑だけでは
なく、私を何とか助けたいという思いもあってのこと
でしょう、その熱意のこもった言葉には圧倒されて
しまいました。
食堂はオープンなスペースなので、他の入院者の
人たちや看護師さんの目も気になったし……
ちょうどその日は母も来てくれていたので、心配さ
せてしまったかなと思いました。
その上、婦長さん(現在は師長さんですね)にもこ
のことが伝わってしまい、後で「大丈夫ですか?」
と声をかけられて……
気にかけていただいて、申し訳ない気持ちでいっ
ぱいになりました。
元はといえば、私の煮え切らない態度が招いたこ
とです。
嫌なら嫌と、はっきり断ることができれば、こんなこ
とにはならなかったはずでした。
でも、その時の私には、そうすることができません
でした。
手かざしのエネルギーで救われる可能性を、自ら
断ってしまう勇気がなかったのです。
結局その日、二人は、私からはっきりした返事を
もらうのを諦めて、帰って行きました。
ただ、このままにしておくわけにはいきません。近
いうちに、Yesか Noかを決める、そんな宿題を私
はもらってしまったのです。
そんな私に、声をかけてくれた人がいました。
レオさんです。
レオさんは、「悪性リンパ腫」の抗がん剤治療のた
めに入院中でした。
薬の投与期間は体調が悪くなり、体重がぐんと落
ちるなど、過酷な療養生活を送っていました。
実は私は、そのレオさんと、確かこの日の直前の
入浴日に、お風呂で一緒になったのでした。
レオさんとは、その時点ではまだ、ほとんど話した
ことはなく、彼女は私に対して、「おとなしい」といっ
た漠然としたイメージしか持っていなかったそうで
す。
当然、私が悩んでいることについても、全く知らない
状態でした。
ところが、不思議なことに、ルネさんとセドさんが自
分の病室の前を通った時、二人が何のために来た
のかも知らず、目が合ったというわけでもないのに、
なぜか彼らが私のところへ来たことが、わかってし
まったというのです。
そして、私のことがすごく心配になったのだそうです。
それでレオさんは、すぐに私を見つけて、「誰か来て
た?」と尋ねてきました。
事情を話すと、レオさんは、(ほとんど付き合いのな
い、)お風呂で一緒だっただけの自分が言うのも何
だけど、と前置きしてから……
よく考えずに入信するのはやめて、自分の気持ちを
大事にしたほうがいいのでは、そんなふうにアドバイ
スしてくれたのです。
これは、ほんとうにありがたく感じました。
自分の治療のことだけでも精一杯のはずなのに、知
り合ったばかりの私のことまで、こんなふうに気にか
けてくれたのですから。
このレオさんのアドバイスのおかげで、私はもう一度、
じっくり自分の心の声に耳を傾ける余裕が持てたよう
に思います。
そして、その結果……
入信は、しないことに決めました。
手かざしのエネルギーの助けを借りず、開腹手術を
受ける決心を固めたのです。
リラさんのことも、きっとリラさん自身の力で骨髄移植
を乗り越えることができる、必ずそうなると信じること
にしました。
そんな私に、思いがけないニュースが飛び込んで来
ました。
リラさんが骨髄移植を受ける病院、それは県外の別
の病院だと言うことは知っていました。
しかし、病院名を聞いて非常に驚きました。
それは何と、私が最初にバリウム注腸検査を受けた
病院だったからです。
しかもアパートから歩いて、ものの3分の距離。
まさに「奇跡」でした。
これなら、毎日顔を見に行くことだってできる!
私にはこの「偶然」が、何か目に見えない力によって
アレンジされたもののように思えました。
ようし、私は毎日、リラさんのお見舞いに行くんだ!
おっと、その前に、自分のガンを治さなくちゃ。
私は体中に、新たなパワーがみなぎってくるような
気がしていました。
(あともう少し、続きます。)
説得し続けていましたが、私の躊躇する様子を見て、
あと一押し必要だと思ったのでしょう。
強力な助っ人を呼び寄せました。
なんと、私にエネルギーを送ってくれたセドさんを、
病院に連れて来てしまったのです。
これには、あわてました。
私は病棟の食堂に呼ばれ、ルネさん、セドさんと差
し向かいで、二人の話を聞く羽目になりました。
二人としては、信者を増やしたいとの思惑だけでは
なく、私を何とか助けたいという思いもあってのこと
でしょう、その熱意のこもった言葉には圧倒されて
しまいました。
食堂はオープンなスペースなので、他の入院者の
人たちや看護師さんの目も気になったし……
ちょうどその日は母も来てくれていたので、心配さ
せてしまったかなと思いました。
その上、婦長さん(現在は師長さんですね)にもこ
のことが伝わってしまい、後で「大丈夫ですか?」
と声をかけられて……
気にかけていただいて、申し訳ない気持ちでいっ
ぱいになりました。
元はといえば、私の煮え切らない態度が招いたこ
とです。
嫌なら嫌と、はっきり断ることができれば、こんなこ
とにはならなかったはずでした。
でも、その時の私には、そうすることができません
でした。
手かざしのエネルギーで救われる可能性を、自ら
断ってしまう勇気がなかったのです。
結局その日、二人は、私からはっきりした返事を
もらうのを諦めて、帰って行きました。
ただ、このままにしておくわけにはいきません。近
いうちに、Yesか Noかを決める、そんな宿題を私
はもらってしまったのです。
そんな私に、声をかけてくれた人がいました。
レオさんです。
レオさんは、「悪性リンパ腫」の抗がん剤治療のた
めに入院中でした。
薬の投与期間は体調が悪くなり、体重がぐんと落
ちるなど、過酷な療養生活を送っていました。
実は私は、そのレオさんと、確かこの日の直前の
入浴日に、お風呂で一緒になったのでした。
レオさんとは、その時点ではまだ、ほとんど話した
ことはなく、彼女は私に対して、「おとなしい」といっ
た漠然としたイメージしか持っていなかったそうで
す。
当然、私が悩んでいることについても、全く知らない
状態でした。
ところが、不思議なことに、ルネさんとセドさんが自
分の病室の前を通った時、二人が何のために来た
のかも知らず、目が合ったというわけでもないのに、
なぜか彼らが私のところへ来たことが、わかってし
まったというのです。
そして、私のことがすごく心配になったのだそうです。
それでレオさんは、すぐに私を見つけて、「誰か来て
た?」と尋ねてきました。
事情を話すと、レオさんは、(ほとんど付き合いのな
い、)お風呂で一緒だっただけの自分が言うのも何
だけど、と前置きしてから……
よく考えずに入信するのはやめて、自分の気持ちを
大事にしたほうがいいのでは、そんなふうにアドバイ
スしてくれたのです。
これは、ほんとうにありがたく感じました。
自分の治療のことだけでも精一杯のはずなのに、知
り合ったばかりの私のことまで、こんなふうに気にか
けてくれたのですから。
このレオさんのアドバイスのおかげで、私はもう一度、
じっくり自分の心の声に耳を傾ける余裕が持てたよう
に思います。
そして、その結果……
入信は、しないことに決めました。
手かざしのエネルギーの助けを借りず、開腹手術を
受ける決心を固めたのです。
リラさんのことも、きっとリラさん自身の力で骨髄移植
を乗り越えることができる、必ずそうなると信じること
にしました。
そんな私に、思いがけないニュースが飛び込んで来
ました。
リラさんが骨髄移植を受ける病院、それは県外の別
の病院だと言うことは知っていました。
しかし、病院名を聞いて非常に驚きました。
それは何と、私が最初にバリウム注腸検査を受けた
病院だったからです。
しかもアパートから歩いて、ものの3分の距離。
まさに「奇跡」でした。
これなら、毎日顔を見に行くことだってできる!
私にはこの「偶然」が、何か目に見えない力によって
アレンジされたもののように思えました。
ようし、私は毎日、リラさんのお見舞いに行くんだ!
おっと、その前に、自分のガンを治さなくちゃ。
私は体中に、新たなパワーがみなぎってくるような
気がしていました。
(あともう少し、続きます。)