連休真っ只中の今日、いかがお過ごしですか。
実は今日は、先回予告した通り、ジオパシック・スト
レス防御用の製品を使用してみた感想を書こうと思
っていたのですが……
気分がすっかり休日モードになってしまったので、一
息入れる意味も込めて、ロージー・セレクションに変
更したいと思います。(このカテゴリーは実にほぼ3年
ぶり。)
昨日、街へ買い物に出かけました。
浄水器のフィルター、お茶の時間用のチコリコーヒー、
シャンプー、それに、ルームウェアとして着るカーディ
ガン……
そんな物を求めて、連休の街の歩行者天国の雑踏を
縫うように歩き回って、いささかぐったり。
その途中で、以前にも立ち寄ったことのある、お香の
お店へ。
実はついこの前まで、ここで選んだ水仙の香りのお香
を使っていたんです。
早春にぴったりの、若草の青みを含んだ清楚な香りが
お気に入りだったのですが……
季節が移って、もうそろそろかな……ということで、次の
香りを探そうと思っていたところでした。
そこで、同じお香屋さんのつくっている同じシリーズの並
んでいるコーナーの前で足を止め、サンプルの一つ一つ
の香りを嗅いでみました。
十種類くらいあって、どれもとても魅力的な香り。
今月の香の「藤」は上品な甘さでちょっとパウダリー。「茉
莉花」や「白桃」もとても惹きつけられたけれど……
「石榴」
今回は、これに決めました。
そうして持ち帰ったそのお香を、さっそく焚いてみました
よ。
みずみずしくはじけそうな、芳醇な甘酸っぱさがいっぱ
いで、果実味たっぷりの赤ワインを楽しむときにも似た
幸福感で、心が満たされるような感じ。
そういえば……
この香りに、ふとお気に入りのエッセイのことを思い出
したのでした。
その一部を、ご一緒にどうぞ。
机に向かっている私に茶を持って来た妻が、去り際
に、
「ざくろがきれい」と、つぶやくのを聞いた。何を言うの
かと思い、顔を上げると、すぐ目の前の窓が、隣りの
家のざくろの花の咲いた枝で、ふさがるように一杯に
なっていた。若葉が柔らかく青く繁った中に、あかい
花が点々としている。その美しい色に夏と言う季節の
おごそかな誇りを存分に示しているように見えた。
炎のような花だが、暑い季節と、思いのほか、よくう
つる。(後略)
(大佛次郎「ざくろの窓」、『ちいさい隅』所収、六興
出版、1985)
すぐ目の前に、枝もたわわに花をつけた石榴に気づか
ぬほど、作家は言葉の糸をつむぐのに気を集めていた
のでしょう。
この大佛次郎の随筆集は、私にとって、まるで懐かしい
伯母の形見の指輪をおさめた宝石箱のような一冊。
今でも時々思い出しては、書棚から取り出してながめて
います。
ざくろを書いたこの一篇は、早くも夏のほてりの中へと
私をいざなってくれました。
実は今日は、先回予告した通り、ジオパシック・スト
レス防御用の製品を使用してみた感想を書こうと思
っていたのですが……
気分がすっかり休日モードになってしまったので、一
息入れる意味も込めて、ロージー・セレクションに変
更したいと思います。(このカテゴリーは実にほぼ3年
ぶり。)
昨日、街へ買い物に出かけました。
浄水器のフィルター、お茶の時間用のチコリコーヒー、
シャンプー、それに、ルームウェアとして着るカーディ
ガン……
そんな物を求めて、連休の街の歩行者天国の雑踏を
縫うように歩き回って、いささかぐったり。
その途中で、以前にも立ち寄ったことのある、お香の
お店へ。
実はついこの前まで、ここで選んだ水仙の香りのお香
を使っていたんです。
早春にぴったりの、若草の青みを含んだ清楚な香りが
お気に入りだったのですが……
季節が移って、もうそろそろかな……ということで、次の
香りを探そうと思っていたところでした。
そこで、同じお香屋さんのつくっている同じシリーズの並
んでいるコーナーの前で足を止め、サンプルの一つ一つ
の香りを嗅いでみました。
十種類くらいあって、どれもとても魅力的な香り。
今月の香の「藤」は上品な甘さでちょっとパウダリー。「茉
莉花」や「白桃」もとても惹きつけられたけれど……
「石榴」
今回は、これに決めました。
そうして持ち帰ったそのお香を、さっそく焚いてみました
よ。
みずみずしくはじけそうな、芳醇な甘酸っぱさがいっぱ
いで、果実味たっぷりの赤ワインを楽しむときにも似た
幸福感で、心が満たされるような感じ。
そういえば……
この香りに、ふとお気に入りのエッセイのことを思い出
したのでした。
その一部を、ご一緒にどうぞ。
机に向かっている私に茶を持って来た妻が、去り際
に、
「ざくろがきれい」と、つぶやくのを聞いた。何を言うの
かと思い、顔を上げると、すぐ目の前の窓が、隣りの
家のざくろの花の咲いた枝で、ふさがるように一杯に
なっていた。若葉が柔らかく青く繁った中に、あかい
花が点々としている。その美しい色に夏と言う季節の
おごそかな誇りを存分に示しているように見えた。
炎のような花だが、暑い季節と、思いのほか、よくう
つる。(後略)
(大佛次郎「ざくろの窓」、『ちいさい隅』所収、六興
出版、1985)
すぐ目の前に、枝もたわわに花をつけた石榴に気づか
ぬほど、作家は言葉の糸をつむぐのに気を集めていた
のでしょう。
この大佛次郎の随筆集は、私にとって、まるで懐かしい
伯母の形見の指輪をおさめた宝石箱のような一冊。
今でも時々思い出しては、書棚から取り出してながめて
います。
ざくろを書いたこの一篇は、早くも夏のほてりの中へと
私をいざなってくれました。