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(第23話)ひろがるスカイ!プリキュア「砕けた夢と、よみがえる力 」感想

2023年07月09日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第23話)ひろがるスカイ!プリキュア「砕けた夢と、よみがえる力 」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第23話より)

「「ひろプリ」は最初期の視聴者が新社会人になっていることを背景にしている」説で見ると、今回の話はより納得できるように思えます。

心が折れたソラさんは、実家にお戻りになられました。
逃げたようでいて、最善手の一つ。出先で挫けた時には、まず戻る。

新社会人の最初の数年で、この選択をできるかはリアルに命に関わります。
同僚や友人を頼るのも間違いではない。ただ、とにもかくにも自分の原点に避難し、生活等々の問題を取り除いて休養に専念するのは大事です。
現実としては、実家に戻ることが救いにならないケースも、少なからずありはしますけれど。

彼女の直面した問題は、大小はあれ20代前半で多くの人が気付く問題です。
「敵が強い」「失敗した」といった単純なことではなく、「ベストを尽くしても救えないかもしれない」構造上の恐怖。

萌芽は序盤からあって、全力を尽くして戦っても、ましろさんを守れないかもしれない悪夢を見続けていました。
同僚として信頼する、パートナーとして共に戦うという乗り越え方をしたわけですが、「傷つく」ことからは目を反らしているといえば反らしています。

現実として、どんなに工夫して努力しても、絶対の安全は保証されません。
身近な例でいえば、毎日の食事も健康管理・栄養管理を徹底しても絶対はない。赤ちゃんの離乳食等で、ノイローゼになる方は少なくない。
普段使っている道具も大量に注意書きがつけられているように、安全面では「妥協」されています。生産されている方々は、やむなくリスクに目をつぶっている。

完全な成功をしてすら、不幸な結果は起きます。
画期的な残業削減をしたおかげで、世話になった同僚が人員整理されたとか。市場競争の末、淘汰されていく競合会社とか。

OPの歌詞「果てしなく止めどなく押し寄せるノイズたち」が、非常によく刺さる。
最初に聞いたときは「ノイズ?敵とか不幸ではなくて、雑音?」と不思議に思ったのですが、解決不可能な負の確率は正に「ノイズ」。
絶対にゼロにはできない「ノイズ」の嵐にまみれながら、それでも進む。

ソラさんが憧れた「ヒーロー」は、おそらくはそういった事とは無縁の、完璧な「ヒーロー」だったはず。
でも現実にはそれは不可能。体現したかに思えていたシャララ隊長も、「美しい」自己犠牲の後に悪夢を生んだ。

だから今の自分には「ヒーロー」を名乗る資格はない。だけど「ヒーロー」であれと願ってくれる人がいるなら、あえて「ヒーロー」を名乗る。

従来のプリキュアシリーズ、特に「何かになる」を直接扱っていたハトプリ・ゴープリ・トロプリあたりに通じる思想です。
現実でいえば、「完璧な食事を毎食用意できない私は、親失格かもしれない。だけど、この子が親として頼ってくれるのなら、その期待を背負って親の自覚をもって頑張ろう」みたいな感じか。

今回、結果的には隊長を救えましたが、仮に死亡していたとしてもソラさんは折れなかったと思う。
それはもう覚悟の上だ。絶対の保証はなく、結果は受け入れる。もちろん悲しみはしても。

(テーマ的には死亡していた方が説得力はあったと思います。
月影父やアン王女の事例もあるのでおかしくはないのですが、「失敗した」イメージを持たれかねないので避けたのかもしれない)

上手く行ったんだから前回やっておけば良かったじゃないか…といえば結果としてはそうなのだけど、意味合いは大きく違う。
「実家に帰る」のは思いつかなかったのですけど、この描写のおかげで納得感が増しています。

なお「新社会人」を意識すると納得しやすいと書きましたけど、現在の視聴者の年齢に置き換えても分かりやすいと思う。
小学校で思うような活躍をできなかったとか、お友達と競争して傷つけてしまうような問題。

【オールスターズF】
ついにオールスターズの情報が出てきました。そして猛烈に情報量が多い。

「F」は「festival」と「fukkatsu(復活)」のようです。あらすじ上部にそう書いてある。
ただ、それほど強いテーマを感じるチョイスではなく、公式も大々的には推していません。一方で、テーマソングは「For "F"」で「F」に拘っている様子。
あらすじでは語呂合わせ的にとりあえず乗せただけで、本命やダブルミーニングで他にもあるのかも。

オールスターズで全員登場するものの、メイン構成は選抜メンバーっぽい?

ひろプリ:スカイ/プリズム/ウィング/バタフライ
デパプリ:プレシャス/フィナーレ
トロプリ:サマー/ラメール
ヒープリ:グレース/アース
スタプリ:ミルキー
ハグプリ:アンジュ
プリアラ:マカロン
まほプリ:フェリーチェ
ゴープリ:フローラ

現役の「ひろプリ」は全員採用、直近の3シリーズから2人(メインキュアと追加戦士)、その次の5シリーズから1人ずつ。
こうして見ると規則的に選ばれていますが、「不思議な未知の世界を探訪する」(これも新社会人を連想する)ようなので、スタプリ以前の5シリーズからは好奇心や探求心が具体的に強い面々が選ばれてる雰囲気があります。
テーマ的には「子供時代やこれまでの様々な体験を、新しい舞台での冒険を通じて再統合していく」みたいな感じかしら。

マカロンが選ばれているのは、個人的にかなり嬉しい。彼女は好奇心が代名詞ですから、この基準なら適任者だと思う。
単独で採用される立ち位置のプリキュアではないだけに、選ばれているのがすごく「分かってる」感あって期待が高まります。

アンジュも様々なことに興味を持っています。あとバランス的にありがたい。ボケとツッコミ、静止と暴走のできる方です。
妙に人外生物の比率が高い選抜なのでルールーもありえたのかもしれませんが、単独変身のハードルが高そう。

フェリーチェは「空を飛ぶ」「好奇心」「成長」等々からかなと。
ミラクル・マジカルだと2枠使ってしまうし、単独採用は困難。それに、もしかしたら来年の「まほプリ2」にはフェリーチェは登場しないのかもしれない。

フローラも意外性と納得感でテンション上がります。
キャラデザの方向性の都合か、それとも最も古いシリーズだからかは分かりませんが、妙に浮いてる気がする。が、同時にすごく納得できる。好奇心、学び、成長、具体的な夢を持つプリキュア。
プリンセスとヒーローは細かくは違いますが、相通じる部分もかなりある。
今回のソラさんの悩みの解決策の一つでもある。夢を追うなら、私の背についてこい。それは絶望と隣り合わせの苦難の道だが、お覚悟はよろしくて?

ミルキーはそのまんま異世界からの訪問者。適度な驚きと好奇心で、ちょうど良い立ち位置な気がする。
「ハグプリ以前/以後」の分け方でいえば、スタプリからも2枠あって良さそうですが、そうすると「スター/コスモ」なんですよね。
この2人が悪いとは思いませんが、収拾つかなくなりそうな気がする。

新キュア・キュアシュプリームも期待大です。
デザインが格好いいし、名前からして不穏な空気が全開すぎる。

いまだに「F」の意味合いの全容が見えず不安もありますが、一気に楽しみが膨らんできました。こういうのを待ってたんだ。

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