ミラクルリープの現象面を掘り下げてみる。
【リープする世界】
ハグプリ世界の「時間」の仕組みとして、考えられるのは概ね下記の3種です。
(1)未来は改変可能。改変するとパラレルワールドに分岐する(平行世界)
(2)未来は改変可能。ただし世界はひとつ。元の未来の消滅や、タイムパラドクスが起きる(歴史改変世界)
(3)未来は改変できない。(未来不変世界)
ミラクルリープで表出した事象は、直接にはこの3つのいずれも、決定的には肯定も否定もしません。
未知の現象なので分析はナンセンスとも思いますが、タイムトラベルやタイムリープでもないため、「未来を変える・変えない」には関与していないです。
イメージ:
「タイムトラベルやタイムリープ」
過去から未来に伸びる一本の時間の線があり、その一点から別の点に移動する。
肉体ごと移動するのがタイムトラベル、精神だけの移動がタイムリープ。
「ミラクルリープ」
過去から未来に伸びる一本の時間の線があり、その線がぐるぐると1ヶ所で曲がり続けている。リープが終わったあとは、未来に向かって伸びていく。
※現代物理によれば「過去から未来に伸びる線」のようなものはなく、「過去と未来は同時に存在する」そうなので、上記はあくまでイメージとして。
あえていえば(1)平行世界は厳しくなります。
元々平行世界説は、ミラクルリープのように何度も同じ時間に戻るシチュエーションが苦手です。戻る度に「戻ってきた場合」と「戻らなかった場合」に分岐します(しなくても矛盾とまではいかないが説明が苦しくなる)から、「同じ時間を繰り返す」とやらが随分と曖昧になってしまう。
決定的な否定にはならないものの、現象としては「リフレイン(やミラクルン)が自分だけリープ」しても同じ状況が生まれますから、「実のところ、花寺さんさんらは同じ毎日を繰り返してはいない。平行世界の別人である」のような、「何だかな」な方向にも行きかねません。
【ララの落下法則】
(2)歴史改変や(3)未来不変は、どちらが正しいとも(ミラクルリープの現象からは)いえない。
先に書いたイメージでいえば、リープの後は時間の矢印が未来に向かって進んでいきます。
歴史改変なら以前とは違う方向にいく。未来不変なら同じ方向にいく(ぐるぐるとリープしていたことが元から正史)。
どちらの世界設定が正なのかは、リープの描写からは分かりません。
花寺さんの経験した3回のループは、毎回基本は似ているけれど、変化しています。この変化は、前回のループの知識を花寺さんが持っていたから。また、リフレインやミラクルンの動きにより、大小はともかく、何らかの影響はあるでしょう。
「同じ1日」は繰り返しておらず、その意味では「歴史改変」にも思える。ただし、上述のとおり「99種類の異なる土曜日を繰り返した後に未来に進む」ことが「正史」であり、何も未来は変わっていないとも言える。
一方、些細なプロセスは違っても、結局は同じといえば同じになっています。
ワープしたララは繰り返し星奈さんの上に落下していた。野乃さんは毎回顔面から転倒していた。
何度繰り返そうとそれが起きるなら、「歴史の復元力」的なものがあり未来は変わらないともいえる。
もちろん、単に起きやすいことが起きただけで、リープを1万回やれば9997回はララが星奈さんの上に落下するが3回は外れる、なども観測できるのかもしれない。復元力だのではなく、ただの確率の問題なのかも。
よって歴史改変か未来不変かは、ミラクルリープの現象からは分からない。
【つまりシャウトすればいいのです!】
(ヒーリングっど♥プリキュア」29話OPより)
そもそもどちらなのかを特定する意味はないのかもしれません。
劇中人物にとっては、いずれにせよ全てに確信を抱くのは不可能ですから、本人の主観で納得がいくなら、それで十分といえます。
では、えみるはこのミラクルリープ現象から、何を読み取るんだろう?
生憎と彼女にとっては、今回の事件は「何だか分からん女に呼び止められ、行った先で謎の敵に掌底を見舞い、でかい奴に一撃喰らってぶっ倒れ、ライトを振った」だけのことです。我々にとっては大事件でも、えみるにとっては日常ですね。ろくでもない生活だ。
したがって、えみるが事件の概要を知るのは、小学校跡での花見の時でしょう。
これまた私らの感覚では大勝利を肴に一日中でも宴をしそうですが、プリキュアさんらは大して話題にすらせず、何か趣味のこととかで盛り上がってそうだ。あの子らおかしい。
ただそうは言っても、彼女たち自身のエピソードは話しそうです。たとえば、花見の最中にララが星奈さんと衝突、それを見て「そうそうリープした時も、ひかるちゃんの上にずっと落ちてたんだよ」とか。
この時は聞き流したとしても、2030年、トラウム研究室に行くかどうかの岐路にたったとき、えみるは思いだし、考え悩むかもしれない。
以前の記事で書いてきたように、劇中人物たる愛崎えみるの認識では、ハグプリ世界は歴史改変か未来不変かのどちらかに絞られる(平行世界は、ルールーの言葉「未来で待つ」と矛盾するので棄却される)。
もしも歴史の改変が可能なら、トラウム研究室に行くタイミングにより未来が変わってしまい、ルールーと再会できなくなる恐れがある。だから「いつトラウム研究室に行くか」はとてもとても厄介だ。
悩むえみるにとって、ミラクルリープの体験はもしかしたら救いになるかもしれない。
はな先輩は、毎回毎回、顔面から倒れこんでいた。仮にこの世界が歴史改変可能な世界だったとしても、「いかにも起きそうなことは、繰り返してもやはり起きる」。言い替えると「自由に振る舞ったなら、その結果は、おそらくは元々の歴史と同じだ」とも言える。
細部は変わっても、大筋は同じ。これと「未来不変」の境い目はいまいち分かりませんが、定義に拘る意味は、えみるにはない。
このことから、
「未来不変なら研究室にいつ行ってもよい。行ったときそのタイミングが、元々からの正史」
「歴史改変だとしても、いかにも起きることは繰り返しても変わらず起きる。だから私が行きたいと自然に思ったそのタイミングなら、多少の変化はあっても歴史は変わらない」
と、えみるは考えるのではなかろうか。
「自分の思うままに動けば、自ずと正しい」は、えみるの価値観とも合致しますから、納得はしやすそう。ギュイーンとソウルがシャウトしたときに研究室に行けばよいのです。
ララが毎回、星奈さんの上に落ち続けてくれたおかげで、えみるの迷いが少し晴れそうです。体重を受け止め続けた星奈さんや、毎回転倒してくれた野乃さんらに感謝しよう。
参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
【リープする世界】
ハグプリ世界の「時間」の仕組みとして、考えられるのは概ね下記の3種です。
(1)未来は改変可能。改変するとパラレルワールドに分岐する(平行世界)
(2)未来は改変可能。ただし世界はひとつ。元の未来の消滅や、タイムパラドクスが起きる(歴史改変世界)
(3)未来は改変できない。(未来不変世界)
ミラクルリープで表出した事象は、直接にはこの3つのいずれも、決定的には肯定も否定もしません。
未知の現象なので分析はナンセンスとも思いますが、タイムトラベルやタイムリープでもないため、「未来を変える・変えない」には関与していないです。
イメージ:
「タイムトラベルやタイムリープ」
過去から未来に伸びる一本の時間の線があり、その一点から別の点に移動する。
肉体ごと移動するのがタイムトラベル、精神だけの移動がタイムリープ。
「ミラクルリープ」
過去から未来に伸びる一本の時間の線があり、その線がぐるぐると1ヶ所で曲がり続けている。リープが終わったあとは、未来に向かって伸びていく。
※現代物理によれば「過去から未来に伸びる線」のようなものはなく、「過去と未来は同時に存在する」そうなので、上記はあくまでイメージとして。
あえていえば(1)平行世界は厳しくなります。
元々平行世界説は、ミラクルリープのように何度も同じ時間に戻るシチュエーションが苦手です。戻る度に「戻ってきた場合」と「戻らなかった場合」に分岐します(しなくても矛盾とまではいかないが説明が苦しくなる)から、「同じ時間を繰り返す」とやらが随分と曖昧になってしまう。
決定的な否定にはならないものの、現象としては「リフレイン(やミラクルン)が自分だけリープ」しても同じ状況が生まれますから、「実のところ、花寺さんさんらは同じ毎日を繰り返してはいない。平行世界の別人である」のような、「何だかな」な方向にも行きかねません。
【ララの落下法則】
(2)歴史改変や(3)未来不変は、どちらが正しいとも(ミラクルリープの現象からは)いえない。
先に書いたイメージでいえば、リープの後は時間の矢印が未来に向かって進んでいきます。
歴史改変なら以前とは違う方向にいく。未来不変なら同じ方向にいく(ぐるぐるとリープしていたことが元から正史)。
どちらの世界設定が正なのかは、リープの描写からは分かりません。
花寺さんの経験した3回のループは、毎回基本は似ているけれど、変化しています。この変化は、前回のループの知識を花寺さんが持っていたから。また、リフレインやミラクルンの動きにより、大小はともかく、何らかの影響はあるでしょう。
「同じ1日」は繰り返しておらず、その意味では「歴史改変」にも思える。ただし、上述のとおり「99種類の異なる土曜日を繰り返した後に未来に進む」ことが「正史」であり、何も未来は変わっていないとも言える。
一方、些細なプロセスは違っても、結局は同じといえば同じになっています。
ワープしたララは繰り返し星奈さんの上に落下していた。野乃さんは毎回顔面から転倒していた。
何度繰り返そうとそれが起きるなら、「歴史の復元力」的なものがあり未来は変わらないともいえる。
(※但し「だから未来不変」ではない。「未来不変でも齟齬がない」の根拠は、先にも書いた「土曜日を99回繰り返すのが、元々の歴史だった」としても矛盾がないから)
もちろん、単に起きやすいことが起きただけで、リープを1万回やれば9997回はララが星奈さんの上に落下するが3回は外れる、なども観測できるのかもしれない。復元力だのではなく、ただの確率の問題なのかも。
よって歴史改変か未来不変かは、ミラクルリープの現象からは分からない。
【つまりシャウトすればいいのです!】
(ヒーリングっど♥プリキュア」29話OPより)
そもそもどちらなのかを特定する意味はないのかもしれません。
劇中人物にとっては、いずれにせよ全てに確信を抱くのは不可能ですから、本人の主観で納得がいくなら、それで十分といえます。
では、えみるはこのミラクルリープ現象から、何を読み取るんだろう?
生憎と彼女にとっては、今回の事件は「何だか分からん女に呼び止められ、行った先で謎の敵に掌底を見舞い、でかい奴に一撃喰らってぶっ倒れ、ライトを振った」だけのことです。我々にとっては大事件でも、えみるにとっては日常ですね。ろくでもない生活だ。
したがって、えみるが事件の概要を知るのは、小学校跡での花見の時でしょう。
これまた私らの感覚では大勝利を肴に一日中でも宴をしそうですが、プリキュアさんらは大して話題にすらせず、何か趣味のこととかで盛り上がってそうだ。あの子らおかしい。
ただそうは言っても、彼女たち自身のエピソードは話しそうです。たとえば、花見の最中にララが星奈さんと衝突、それを見て「そうそうリープした時も、ひかるちゃんの上にずっと落ちてたんだよ」とか。
この時は聞き流したとしても、2030年、トラウム研究室に行くかどうかの岐路にたったとき、えみるは思いだし、考え悩むかもしれない。
以前の記事で書いてきたように、劇中人物たる愛崎えみるの認識では、ハグプリ世界は歴史改変か未来不変かのどちらかに絞られる(平行世界は、ルールーの言葉「未来で待つ」と矛盾するので棄却される)。
もしも歴史の改変が可能なら、トラウム研究室に行くタイミングにより未来が変わってしまい、ルールーと再会できなくなる恐れがある。だから「いつトラウム研究室に行くか」はとてもとても厄介だ。
悩むえみるにとって、ミラクルリープの体験はもしかしたら救いになるかもしれない。
はな先輩は、毎回毎回、顔面から倒れこんでいた。仮にこの世界が歴史改変可能な世界だったとしても、「いかにも起きそうなことは、繰り返してもやはり起きる」。言い替えると「自由に振る舞ったなら、その結果は、おそらくは元々の歴史と同じだ」とも言える。
細部は変わっても、大筋は同じ。これと「未来不変」の境い目はいまいち分かりませんが、定義に拘る意味は、えみるにはない。
このことから、
「未来不変なら研究室にいつ行ってもよい。行ったときそのタイミングが、元々からの正史」
「歴史改変だとしても、いかにも起きることは繰り返しても変わらず起きる。だから私が行きたいと自然に思ったそのタイミングなら、多少の変化はあっても歴史は変わらない」
と、えみるは考えるのではなかろうか。
「自分の思うままに動けば、自ずと正しい」は、えみるの価値観とも合致しますから、納得はしやすそう。ギュイーンとソウルがシャウトしたときに研究室に行けばよいのです。
ララが毎回、星奈さんの上に落ち続けてくれたおかげで、えみるの迷いが少し晴れそうです。体重を受け止め続けた星奈さんや、毎回転倒してくれた野乃さんらに感謝しよう。
参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)