店主敬白(悪魔の囁き)

栄進大飯店の店主さがみやがおくる日々の悪魔の囁き。競馬予想や文学・音楽・仕事のグチやちくりまでいろいろ。

まあだかい

2005-06-21 22:30:10 | Weblog
 内田百という作家と、彼のドイツ語の教え子たちの話「まあだかい」という映画は、なかなかおもしろかった。
 なんたって天下のクロサワ映画だから・・・というわけではないのだが、この百先生、謹厳実直というより自分で授業をサボっちゃうようなとぼけた先生で、泥棒や立小便を撃退する方法を独自にあみだしたりして、なかなかおもしろい。
 そんなおもろい先生は、生徒にとっても慕われているので、先生のために家を探してきたり、先生の誕生会だの迷子のネコ探しだのに、生徒がいちいち出てきて先生のために働いている。
 「先生は金無垢」
 と生徒に言われるだけあって三帖ぐらいしかない物置みたいな小屋に暮らそうと、空襲で焼け出されようと成金野郎に日照権を侵害されそうになってもへっちゃらで、のんびり元気に暮らし、鬱だのノイローゼだのでへこたれてないで仕事を続けている。
(もう教師ではないが、作家の仕事をしているのだ)
 そんな純粋で、あんまり世間に強くなさそうな先生を、生徒たちが助けてやっているのを見ていると、なんだかとても微笑ましい「いい関係」なのだ。
 生徒のほうも、もうみんな子供がいるいいオッサンなのに、先生といるときはすっかり学生に戻ってしまってバカなイタズラをしたり、大声で歌い、遊んでいる。
 こんなに愛されてしかも「生徒に遊んでもらっている」先生ってなかなかいないと思う。
 ありえない夢のような「いい師弟関係」なのだ。

 なんか最近特撮怪獣ものとか、殺伐とギャンブルドラマとかを見ていたせいか、たまにはこんなオトナのほのぼのした映画もいいかもしれないと思う。