店主敬白(悪魔の囁き)

栄進大飯店の店主さがみやがおくる日々の悪魔の囁き。競馬予想や文学・音楽・仕事のグチやちくりまでいろいろ。

知りすぎれば消される?

2009-12-08 19:57:59 | 小説・読んだ本
 野上弥生子の「秀吉と利休」を読んだ。
 利休の悲劇は、彼の活躍が「芸術」からどんどんはみだして、政治の世界にまで及んでしまったからだろう。
 秀吉とのあまりにもの密着が、近代的小役人タイプの石田光成との水面下の対立を生み、その密着ゆえに秀吉からも憎まれていく。
 そんな流れを、淡々と景色のように綴った作品だ。
 ここには合戦の激しさも、色気のある話もない。
 なんか安土桃山時代っていうと、秀吉の金ピカ趣味が反映された華やかな「キンキンキラキラの極彩色の世界」みたいに思えるけど、その極彩色の絵巻の裏側は、薄墨でただひとことこんなことを描いてるんじゃないのか。
「知りすぎれば消される」

 聡明ではいけない、小才がききすぎてもいけない。