店主敬白(悪魔の囁き)

栄進大飯店の店主さがみやがおくる日々の悪魔の囁き。競馬予想や文学・音楽・仕事のグチやちくりまでいろいろ。

偽書というものは・・・

2008-05-19 23:54:03 | 小説・読んだ本
 今回は読んだ本のレビューとは言えないので、ウェブログ。
 最近、ちょっと考えることがあって(どうせロクでもないことではあるが)、偽書についての本を何冊か読んでいる。
 中には「こんなものが出たら社会は迷惑」なトンデモ本や、利己的な目的で出されたものもあるせいか、学問の世界はおおむね偽書には評価が辛い。
 (そりゃそうだマジメな研究なんだから)
 二次創作に甘いのはコミケの世界だけなのか・・・。
 そんなことを考えながら「源氏物語・雲隠六帖」を読んだ。

 これは想像に過ぎないが、作者はたぶん「源氏フリーク」だったのだと思う。
 好きで好きでたまらない話、好きで好きでたまらないあのキャラ…そんなものへの熱すぎる思いが、贋作を書かせてしまったのではないか、とおいらもつい好意的に見てしまう。
 それは何故か、その結末からだった。
 無常に貫かれた本物と違い、これは「ハッピーエンド症候群」そのものの、みんな幸せ・・・な結末。
 個人的にはおいらはそれは好きではない。そして、本来の源氏物語の世界にも似合わないだろうとは思うが、それはおいらの問題だ。
 (なんだ、現実はヒドイから物語だけは幸福にっていう、ハッピーエンド症候群って昔から日本人にあるものだったんだ。何もトレンディドラマあたりから出た現代の新しい流行ってわけでもないんじゃないか)
 好きなキャラを、悲惨な目にあわせたくない、それはやはり「愛」のなせる業だ。もし、世間を驚かしたり、自分を認めてもらいたかったら「限りなく本物に近い偽者」として、「ハッピーエンド」はとらなかったんじゃないのか。
 よりリアルな偽作にそこ、贋作者のプライドは満たされるのだから。
 これはあくまでもおいらの想像に過ぎないけれど。 

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