主にオートバイ。時々クルマ。
なんだかんだと永年のブログです。
風に向かう刻
『だろう』はどんな時も過ちのもとです。 ~ 立ちごけ修復名目でカスタムにこじつける方法論 ~ <CBR600RRカスタム21>
さてさて。いよいよ11月も目前。
まだまだ日中の通勤などは暑かったりすることもありますが、それでも朝晩はすっかり秋の静かな空気ですね。
そんな今日この頃。
私は先日の15年ぶり?の立ちゴケから失意の中にいたわけですけれども、
座して死を待つ・・・基、いつまでも引き摺ってメソメソしているタイプではありませんので、
『なんくるないさー』的なアレでやるべきことをやってリセットしてしまおうという算段でございます。
ということで改めてオートバイの状態を確認していたのですが、
前回の記事の段階で報告したダメージの範囲は以下のもの。
右にコケましたので、全て右側で『テールカウル』『タンデムステップ』『ブレーキペダル』『ミドルカウル』
『ハンドルバーエンド』『ブレーキレバー先端』『ウィンカーミラー(SC59用を転用)』『ウィングレットの先端』
ただ、一般的に立ちごけとなればそれだけで済むものでもなく、よく見てみると案の定さらなる被害がありました。
そう。クランクケースカバーですね。
場所的にはタイミングホールカバーの付近、中身的にはスタータクラッチでしょうか。
一般的に車種を問わずコケるとここが最初に削れることが多い印象です。
当初は『別に漏れているわけでもなし、下側だしなおすのも大変だし、頼むと高いしそのままでいいかなあ』なんて思ったのですが、
個人的に”樹脂の外装は消耗品”でいいのですが、”エンジンのカバーは重要な部品”という感覚もあり対応することに。
ここで取れる方法は2つ。
【1.削ってパテを盛って再塗装】【2.クランクケースカバーそのものを交換】 です。
一瞬 【1】もアリかなとも考えましたが、メタリックのフレーク入りの塗装ですし見ための難が。
そして仮に次にコケることを考えると、たとえ焼け石に水でも対策をしておきたかったので【2】に決めました。
決まればあとは早いもので必要なパーツをその場で発注。納期もある程度見えていますので出来る作業を進めてしまいましょう。
まずは最初の悩みどころはここだな・・・。クランクケースを開けるにはオイルを抜く必要があります。
そのエンジンオイルなのですが、お店で交換すると13,000~15,000円ぐらい?かと思います。※注:私のCBR600RRでHONDA G4の場合。
私は頼みに行くのがめんどくさいのと状態を見たいので自分でやることが多いのですが、
前回交換から500kmも走っておらず、点検窓から見てもご覧の通り綺麗な琥珀色で透明ですので流石にもったいない。
となれば今回はオイルを回収して再利用をすることにしますので一旦ドレンからオイルジョッキへ。
(画像は冷間で1週間以上放置したあとなので若干レベルが高めですが、規定の暖機後数分経過での確認では適量です)
然らばクランクケースカバーの取り外し。
いくつかのボルトを抜いたらば手前に引くのですが、液体ガスケットが全周に塗られていますので簡単取れるものではありません。
一般的にはプラハンでど突きまわすのでしょうがそれも面倒くさいし、私の性格では傷だらけにしそうですのでより合理的に。
これ、木材なんかをカットするときや位置決めをするときのクランプなのですが、
それを使って慎重にぺりぺりと剥がしてゆきます。じつに手軽なものです。
無事にクランクケースカバーが外れました。
と。ここで大問題が発生!
この手のカバーやシリンダーなどには位置決めの為のノックピンが使われているものなのですが、
CBRにはそれが4箇所。うち3つまでは手やプライヤーで取り外せたものの、シリンダー横のピンがどうしても外れません。
最初は素手で不能、続いてプラハンで衝撃を与えたり、センタをポンチで叩いたり、浸透潤滑剤を吹いたり、ヒートガンで炙ったりするもビクともせず、
途中で諦めてピンを再度購入するつもりでバイスプライヤーやネジザウルスでガッチリ噛んで回しても全くどうにもならず。
結局なにをやっても外れませんで、こうなったら最後の手段しかありませんでした。
そう。折れたボルトなどを取り外すときのあの手法ですね。
このCBRのものは中実のスチールのノックピンですから、まずはセンターにドリルで穴を穿って適切なサイズにし、
その後タップで回してゆきます。(エキストラクタは持ってませんが今回の件で近いうちに買おうと思いました)
クランクケースカバー自体が取れてから苦節1時間。ここでやっと取れました・・・。
盛大に錆びてカジっとるやないかい!(画像左手がエンジン側、右手はプライヤーでついた傷です)
そしてここまでの戦いでこちらにも犠牲が。
こちらはクランクケース側。
オイル漏れを誘発してはならんということで叩く際に”外側”から叩いたのですが、その名残で合わせ面に若干の打痕が。
ガスケットはそちらを通さないので大きな問題はないのですが、面が荒れてしまったので後で面を出しておかないとなりませんね。
ここで理科のお話ですが、ケースがアルミ製、ピンがメッキのかかった中実のスチール製。
メーカーもそれを解ってパーツの選定をしているわけでしょうが、
私もステンレス製のピンじゃあるまいしイオン化傾向的にも面積比的にもそこまで派手にカジることはないのかと思っていました。
ところがどっこいこのシリンダー横のピンだけがこの有様。要因は熱でしょうか?こりゃあバイク屋さんも難儀だなあと思った次第。
NSRの頃に外したスタッドボルトの通る中空のピンはここまで頑固じゃなかった気がします。
ここでアテにしていたピンが使えなくなる状況となり作業が頓挫したわけですが、
再調達にあたり ”純正部品” ”社外品” の選択肢があり、当初は純正部品をと思ったのですが150円のピンに500円の送料も馬鹿らしい。
さりとてバイク屋さんに頼んだら更に長期間かかるのでそれはそれで面倒くさい。
そもそもが、純正のピンでこの状態になっているわけで同じ轍を踏むのも馬鹿らしい。ゆえに社外品にすることにしました。
サイズは10mm*16mm。当初はたまたまamazonで売っていたステンの中実ピンが目につき一旦購入してみましたが、
上述の問題で余計に悪いことになりそうでしたので、改めてKITACOから出ているスチールの中空ピンにすることにしました。
ただ、この辺は自己責任というやつですね。真似はされないほうがいいかとは思います。
続いてクランクケース側のガスケットとノックピンが収まる穴を清掃し、続いて発注した新品のクランクケースカバーの準備へ。
ここで取り出だしたりますは ”NSRのクランクセンターシール抜けの時にクランクケースを割って交換した際に使った液体ガスケット”。
モノとしてはスリーボンドの1207Bと何ら問題のない確かなものなのですが、なにせ20年単位で工具箱にあったものなので少々不安です。
とはいえ『アルミチューブで穴もなく気体は通さないはずだし、蓋の回りだけ固着してたけれど中は流動性も問題ないし。
そもそもチューブ1本で3000円もして高いし手持ちのものを使ってみるか。』と、もったいない精神でGO!
若干アテにならないガスケットを、実に久方ぶりに1発勝負で塗るという無謀な挑戦に出ました。
拡大してみると蛇行したり太さがブレたりと酷いものですが、
多分20年ぶり(笑)にしてはなんとなく、そこはかとなくそれっぽく塗れましたねー。
続いて、車体側のクランクケース合わせ部分にも所定の幅でガスケットを塗布。
ここの中央上の薄い線がクランクケースの合わせ目です。左右にありますので両方に塗ります。
このスリーボンドの1207Bなるガスケット、表面硬化は早いのですが完全硬化は24時間ぐらいかな。
耐熱性にも耐油性にも優れ、少々待てばすぐに使って問題ないガスケットですが、
今回は急ぐ旅でもありませんのでクランケースカバーを取り付けたらばひとまず別の作業に進みます。
そして遂に登場のこのアイテム!
今まで長いこと『スライダーなんてダッセーよなあ。プレステのほうが面白いよなぁ。』(※ニュアンス)と思って生きてきましたが、
こと此処に至り立ちごけをしたという厳然たる事実が重く圧し掛かり候。買ってしまいましたよ禁断のアレを。
【 BabyFace タイミングホールプラグタイプS 】です。所謂 ”スライダー” というやつですね。
プラグホールの穴の規格が変わるわけではありませんのでHONDAのバイクの何種類かに対応している商品。
ちなみにこの製品、全体的にお高め路線のBabyFace製らしく 11,000円もします。
最初は見た目が圧倒的にかっこいいTSRのキャップスライダー(7,500円ぐらい)が欲しかったのですが、
その時に市場在庫がなく2週間ぐらいの納期感だったこと、
そもそもTSRのものはスライダー部がかなり薄く『これもしかして意味ないんじゃないの?』的な印象を受けたので今回は見送りました。
ひところ、町田のTSRのすぐ近くに住んでいた私はNSRのタイヤを抱えてチャリで交換をお願いしに行ったりと僅かなご縁もあり、
そもそもTSR製品の精度や品質は非常に高く信頼できるので欲しかったのですが・・・。
今でもバックステップは現在進行形で欲しいぐらいTSR製品は好きです。
横から見るとこんな高さです。今回の立ちごけでクランクケースの削れた箇所を見るに、この程度の高さは最低限必要な印象でした。
尚、これは ”Sタイプ”ですが、更にもう1層スライダーが重ねられた背の高い”M”タイプも存在しています。
取り付け箇所は純正のタイミングホールキャップと入れ替えになります。
Oリングだけは純正のものを再利用。
タイミングホールプラグをケースに取り付けたらば、
規定トルクで締め付けてから、樹脂スライダーをネジロックを併用し付属のボルトで装着。
それでは引き続き、ガスケットが固まるまでさらに別の作業を続けます。
対象はここ。テールカウルの張り出し部分です。
それなりにガリガリでしたので、画像のように一旦削ってからABS対応パテで盛ってプライマー吹いて(以下略
とりあえずはこんな感じですか。
若干ガタついて見える白いラインの上側が気になりますが、
この白/青部分のステッカーは2500円ぐらいで購入できるものの、赤い部分のガリガリさえなければバレないかなと(笑)
その他、右のミドルカウル、ロアカウル、ウィングの下などもごく僅かな削れがありましたのでタッチアップで処理しておきます。
さらに続いて。今度はハンドルバーエンドとウィンカーミラー(SC59流用)のカバー交換。
バーエンドも転倒時に真っ先に傷がつく場所ですね。
買っても高いものではありませんので、同時に削れてしまった長ボルトとともに発注し交換。
ミラー先端部の傷。実をいうと今回のコケが原因の傷だけではなく、主な傷はヤフオクで中古購入したミラーにもとからあったものです。
前後方向に最中合わせでカバーが装着されていますが、後方(ミラー側)はミラー本体のパーツですので買うと高いため、
前側のみ発注して取り寄せました。
この前川のカバーは1500円ほど。
2006年型 CBR1000RR の頃から使っていますので小傷が多かったのもありちょうどいい交換のチャンスでした。
と。補修塗装だのパーツ交換だのと余暇で数日かけて作業しているうちに液体ガスケットが硬化する充分な時間が稼げたので、
改めてガスケットの硬化状況を確認してみましょう。
・・・・・・・全く固まっておりません!!わはははは。
いやー。流動性はあっても流石に20年前のガスケットはダメでしたね。
固まらないガスケットほどたちの悪いものはなく、そこら中にベタベタと纏わりついて清掃には非常に難儀しました。
■教訓:液体ガスケットは新しいものを使おう!
※話によると1207Bの保存期間は4か月程度とのことですが、プロじゃあるまいしそんなに短期間では使いきれませんね。
それにしても『もしかしてダメかも』と解っていたことに対するやりなおしほど虚しいものはありません。
そうそう、クランケースカバーから生えているケーブルはクランクポジションセンサーのもの。
ケースの内側に見える金色のものがBabyFaceのプラグホールキャップ(スライダー)です。
この段階で再びクランクケースカバーを開けることになったということは、
即ちまたもやオイルを抜く羽目になったということで大変にめんどくさい状況ではありますが、
とりあえずはエンジンオイルのドレンガスケットも予備を沢山買ってあるのでよかったです。備蓄は大事ですね。
そんなこんなで新たなガスケットを塗って組付け、翌日に硬化良好を確認したらば組み上げてゆきます。
ドレンボルトを取り付けオイルを入れ、クランクポジションセンサーもしっかりと再接続した上で外装類の取り付け。
やっと元の姿に戻りましたね~。
不本意ながら、たかが立ちゴケ一つで大騒ぎとなりましたがこれで憂いもなくなりました。
そうそう。今回取り付けた 【 BabyFaceのプラグホールキャップS 】についてはこんな感じになりました。
色がオレンジ寄りのゴールドであるのは同ブランドのイメージカラーだとは思いますが、
私は画像後方のスイングアームにも、手抜き目的で同社のV字スタンド受けを使っていますので同じ色となります。
個人的にはそんなに好きな色ではないのですが・・・(笑) 古き良きゴールドスプロケットみたいな色味ですね。
尚、大して変わらない値段 というか ”むしろ割安の20,000円”で同社ではオーソドックスなエンジンスライダーが設定されており、
(商品コード:006-SH041)
それは実によく見る棒状のスライダーが左右ににょきっと飛び出るタイプなのですが、
取り付け先がM6のクランクケースボルトで強度的な不安があること、そもそも露骨すぎて個人的に非常にダサく感じることから見送りました。
最近は若年層のライダーも増え、メーカー純正オプションなどで同様のものが設定されていてすっかり市民権を得た感もありますが、
立ちごけした人間がいうことではないものの、なんかナイかなあって。
市場にはその他にもエンジンカバー全体を覆う”カバー” などの存在もありますがそちらはそちらで熱が気になります。
画像にも写っていますがこのホールプラグ、ちゃんとワイヤリング穴もあるのでそこはしっかりと利用。
適当に端材で誤魔化したワイヤー受けがアルミ地のままで若干存在を主張しておりますが、気が向いたら塗ろうかなと思っています。
別途、オイル注入口も取り外しに工具が必要なDAYTONAのキャップにしていますが、そこもワイヤリングをしてあります。
ともあれこれで無事に完成。
最後に肝心の今回の立ちごけへの振り返りとしては、
『このCBRは短足の人間は乗ったままスタンドのかけはずしをしてはいけない』です。
永年乗ったCBR1000RR(2006年型のSC57)ではこのような悩みは一切なかったのですが、
まさか600RRになってそんな悩みを生ずるとは夢にも思いませんで、このスタンドの使い難さには正直驚きです。
今後は、同様に足の長さ&体が固い関係で乗り降り時に少々の引っかかりの懸念はあるものの、
教習所スタイルで ”乗る前にスタンドは払う。降りてからスタンドをかける。”これで行こうかと思っています。
また、2024年型ではスタンド自体のかけはずしのし辛さへの改良もされているように見えるため、パーツが買えるようになったら導入も検討しています。
いくら15年ぶりとはいえ一度発生したことには何等かの対策が必要ですし、
もう学ばないで若さだけで乗り切る元気もありませんので(笑) この手の年寄りの感慨自体が寂しくもあります( ̄ー ̄)
おまけ。
完全にやらかした古い1207Bが固まらなかった問題については、
新しく買ったほうの保存に真空パックを施してみました。脱アセトンの湿気反応タイプとのことですのでこれで寿命が伸びるといいなあ。
そうそう交換はしないでしょうが、今度は左にコケたときにでも使ってみようと思います。
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