近ごろ、キャディーなしのいわゆるセルフプレーを導入するコースが増えてきました。
私がゴルフを始めたのはおよそ40年前。その頃のキャディーは(今でもそうなんでしょうが)年齢50がらみの女性が殆どでした。今のように電動やモーター付でない、文字通りの手押しカートに4人分のバッグを載せて、起伏の激しいコースを一日中動き回るのです。自分の母親の姿にダブって、「申し訳ないなぁ!」という思いが先に来て、急な上り坂なんぞでは、背中を押したり、一緒になってカートを引っ張りあげたりした経験が誰にもあると思います。
その頃の名残なんでしょうか、キャディーへの心づけ、お土産というのは。確かに当時の重労働をねぎらうには、所定のキャディーフィーに加えてお土産のひとつも差し上げたい気持ちに自然になったものです。600円~1200円ぐらいのお土産がコースの売店に置いてあるのは、重宝といえば重宝ですが、いかにも日本的なシステムですね。
時代が変わり、ゴルフ人口の増加に伴ってのキャディーの人手不足のせいでしょうが、ゴルフの知識も少なくコースの癖もろくに知らないキャディーと一日お付き合いさせられることも珍しくありません。厄介なのは、そんなキャディーさんでも「お土産」に関する知識だけはあって、それを期待しているふしがあるのです。日本におけるゴルフの一つの流儀だと割り切って、心づけ、チップの本来の意義を棚に揚げて、こんなキャディーにもお土産をあげたときもありました。あげなかった場合の反動を恐れたわけでもなく、深く考えずに「ま、そういうモンだから」と。
「キャディーへの心づけは辞退します」なんて張り紙を出しているコースも最近見かけます。義務感でお土産を買っている気の小さいプレーヤーに対する福音と言えなくもありません。キャディーのサービスが本当に気に入った客はお土産でもチップでもはずんだらいいし、そうでない客はお土産なんて気にせずにプレーに集中すればよい、ただそれだけの当たり前のことでしょう。
私も最近はよほど際立ったサービスがない限りチップ・お土産はキャディーに差し上げないことにしています。これもセルフプレーが目覚めさせてくれたものの一つです。
セルフプレーだとキャディーへの余計な気遣いをしなくて済むし、快適です。セルフに慣れてくるとキャディーの存在が余計なものに思えてくるから不思議なものです。グリーンまでの距離を推し量ったりパットラインを読んだりと、所詮は自己責任でコースに挑戦するのがゴルフ本来の姿でしょうから、キャディーへの過度の依存は邪道と思い知るべきなのでしょう。自立でき、お土産の出費も防げるセルフプレー万歳!!