オヤジ達の白球(74)ボランティア
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/e1/3265ca99acdf21b9fcb29c43200d08fb.jpg)
「そうだよな。こんなことは、はじめて見た」岡崎がつぶやく
「朝起きたらよ。ビニールハウスが潰れていた。信じられない光景だった。
悪い夢でも見ているのかと思った。しかし夢じゃねぇ。目の前でおきている現実だ。
しかもひとつじゃねぇ。
見える限りのビニールハウスが倒壊している。
こんな光景、俺は生まれて初めてみた」
あるんだな、こんなことが、あまりの光景に心が痛んだ、とつぶやく。
「何かできないかと考えた。
だがよ。どうしたらいいのかわからねぇ。
もどかしい気持ちが堂々巡りしているだけで、いい考えなんか浮かんでこねぇ。
だけど、いまのあねごのひとことで、やっと気がついた!」
「おれも同感だ」消防上がりの寅吉が座り直す。
「気が付いただろう、熊。
仕事じゃねぇ。ボランティアとして立ち上がろうじゃねぇか、俺たち」
「チームとして、慎吾のハウスを片づけに行こうというのか。
たしかにボランティアとしていくのなら、なんの問題もネェな」
「できるかな、おれたちに?」
「その点なら大丈夫だ。熊がいれば鬼に金棒さ。
あねご。実行にうつすぞ。こんどの日曜日、全員を集めてくれ。
朝8時。集合は、慎吾のハウスの前。
手弁当だぞ。おれたちはあくまでも、ボランティアとして行くんだからな」
寅吉の提案に「全員分の弁当は俺が作る」まかせろと祐介が、
厨房から声をあげる。
祐介の全身に電気が走った。
(なんてことだ。簡単なことだ。ボランティアという方法があったんだ)
なぜそのことに気がつかなかったのだろうと祐介が、自分自身をふりかえる。
朝。電話をいれたとき。慎吾の声は冷静だった。
慎吾はキュウリを守るため、ビニールハウスに積もった雪を、徹夜でおろし続けた。
朝を迎えた時、ようやくほっとしただろう。
(助かるかもしれねぇ・・・これで)
そんな期待が慎吾の胸の中で生まれていただろう。
慎吾だけじゃない。
雪と格闘したおおくの農家が、そんな風に考えたことだろう。
空が明るくなってきた午前7時。ほとんどの農家が休息を入れた。
ハウスの倒壊を目撃した農家は少ない。
この時間。ほとんどの農家が自宅へ戻っている。
疲れた身体をやすめ、食事をとり、お茶を飲み、のちの作業に備えていた。
慎吾も自宅へ戻ろうと、軽トラックのドアを開けていた。
油断していたわけでは無い。
つぎのたたかいにそなえて、おおくの農家がひとときの休息をもとめた。
その矢先。ハウスへ最後の打撃がやってきた。
崩壊していくハウスの姿を、慎吾はどんな気持ちで見つめただろう。
おおくの野菜農家もまた、どんなおもいでこの変わり果てた姿を見つめただろう。
一帯には400棟をこえるビニールハウスが有る。
そのほとんどがわずか15分の間に、連鎖的に倒壊していった。
陽子が22名の選手全員へ、メールをおくる。
文章は簡潔。「つぎの日曜日。潰れた慎吾のハウスの前へ、朝8時に集合」
たったそれだけの連絡文。
「一斉送信で全員に送ったよ」陽子がちいさくつぶやき、携帯を閉じる。
寅吉の心配は無用だった。メールの反応は早かった。
つぎからつぎに、返信があつまって来た。
「祐介。返事がかえってきた。
国道18号で立ち往生を処理している県職の柊さん以外は、全員が、
朝8時に慎吾のハウスへ集まって来る。
あ・・・また柊さんから、メールが届いた。
『くやしいが現場から離れられねぇ。気持ちは、潰れたハウスへ行きたい』だってさ。
粋だねぇ。ホント、ウチの男たちは。いいチームだねぇ」
陽子がそっと背中を向ける。携帯の画面を見つめたまま、目頭をぬぐう。
(75)へつづく
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/e1/3265ca99acdf21b9fcb29c43200d08fb.jpg)
「そうだよな。こんなことは、はじめて見た」岡崎がつぶやく
「朝起きたらよ。ビニールハウスが潰れていた。信じられない光景だった。
悪い夢でも見ているのかと思った。しかし夢じゃねぇ。目の前でおきている現実だ。
しかもひとつじゃねぇ。
見える限りのビニールハウスが倒壊している。
こんな光景、俺は生まれて初めてみた」
あるんだな、こんなことが、あまりの光景に心が痛んだ、とつぶやく。
「何かできないかと考えた。
だがよ。どうしたらいいのかわからねぇ。
もどかしい気持ちが堂々巡りしているだけで、いい考えなんか浮かんでこねぇ。
だけど、いまのあねごのひとことで、やっと気がついた!」
「おれも同感だ」消防上がりの寅吉が座り直す。
「気が付いただろう、熊。
仕事じゃねぇ。ボランティアとして立ち上がろうじゃねぇか、俺たち」
「チームとして、慎吾のハウスを片づけに行こうというのか。
たしかにボランティアとしていくのなら、なんの問題もネェな」
「できるかな、おれたちに?」
「その点なら大丈夫だ。熊がいれば鬼に金棒さ。
あねご。実行にうつすぞ。こんどの日曜日、全員を集めてくれ。
朝8時。集合は、慎吾のハウスの前。
手弁当だぞ。おれたちはあくまでも、ボランティアとして行くんだからな」
寅吉の提案に「全員分の弁当は俺が作る」まかせろと祐介が、
厨房から声をあげる。
祐介の全身に電気が走った。
(なんてことだ。簡単なことだ。ボランティアという方法があったんだ)
なぜそのことに気がつかなかったのだろうと祐介が、自分自身をふりかえる。
朝。電話をいれたとき。慎吾の声は冷静だった。
慎吾はキュウリを守るため、ビニールハウスに積もった雪を、徹夜でおろし続けた。
朝を迎えた時、ようやくほっとしただろう。
(助かるかもしれねぇ・・・これで)
そんな期待が慎吾の胸の中で生まれていただろう。
慎吾だけじゃない。
雪と格闘したおおくの農家が、そんな風に考えたことだろう。
空が明るくなってきた午前7時。ほとんどの農家が休息を入れた。
ハウスの倒壊を目撃した農家は少ない。
この時間。ほとんどの農家が自宅へ戻っている。
疲れた身体をやすめ、食事をとり、お茶を飲み、のちの作業に備えていた。
慎吾も自宅へ戻ろうと、軽トラックのドアを開けていた。
油断していたわけでは無い。
つぎのたたかいにそなえて、おおくの農家がひとときの休息をもとめた。
その矢先。ハウスへ最後の打撃がやってきた。
崩壊していくハウスの姿を、慎吾はどんな気持ちで見つめただろう。
おおくの野菜農家もまた、どんなおもいでこの変わり果てた姿を見つめただろう。
一帯には400棟をこえるビニールハウスが有る。
そのほとんどがわずか15分の間に、連鎖的に倒壊していった。
陽子が22名の選手全員へ、メールをおくる。
文章は簡潔。「つぎの日曜日。潰れた慎吾のハウスの前へ、朝8時に集合」
たったそれだけの連絡文。
「一斉送信で全員に送ったよ」陽子がちいさくつぶやき、携帯を閉じる。
寅吉の心配は無用だった。メールの反応は早かった。
つぎからつぎに、返信があつまって来た。
「祐介。返事がかえってきた。
国道18号で立ち往生を処理している県職の柊さん以外は、全員が、
朝8時に慎吾のハウスへ集まって来る。
あ・・・また柊さんから、メールが届いた。
『くやしいが現場から離れられねぇ。気持ちは、潰れたハウスへ行きたい』だってさ。
粋だねぇ。ホント、ウチの男たちは。いいチームだねぇ」
陽子がそっと背中を向ける。携帯の画面を見つめたまま、目頭をぬぐう。
(75)へつづく
速っ・・なんかもっとゆっくり楽しんだ
ほうが・・もったいないような・・
ハーフでこの時間、たぶんスコアへも
絶好調だったでしょう。(^o^ゞ
ただこの時期は熱中症に注意ですが
二時間ほどで回ってくるなら心配ない
ですね、そうは言いますが水分補給を
たっぷりと・・ちなみにビールは
水分補給にはならないようです
私も承知でゴルフの後は生ビールが
美味しいんですよね。
暫く忙しかったのでしょうから
ここらで、骨休み・・雨も降り続いて
いるでしょうから ゆっくりお休みください
チームプレーは素晴らしい西野Jも
よく頑張ってくれたが・・ソフトばかりが
チームじやないですよね (*^^*)
10時過ぎから青空が出て、晴れたり、曇ったりのくりかえしです。
長雨の影響で西日本に甚大な被害が出ています。
昨年もそうですが、異常な気象が日本を
襲うようになりました。
年間の平均気温が1℃あがっただけで、
野菜の生育が激変するそうです。
野菜の成熟は積算温度。
沖縄でつくられていたゴーヤが、群馬の
東部地域で特産化されつつあります。
異常気象は大きな被害をもたらしますが、
自然界にもおおきな影響をもたらします。