舞うが如く 第三章
(15)池田屋
やがて、目星をつけていたうちの一軒、
池田屋へ近藤隊が到着しました。
まずは援軍や逃亡ををふさぐ意味で、池田屋のふたつの出入口を固めます。
表の入口には、槍使いの武田観柳斎と谷万太郎の二人が立ちました。
裏庭には、長州藩邸がすぐ近くにあるということから、
奥澤栄助、安藤早太郎、新田革左衛門の3人が回りこみました。
近藤が玄関をくぐり
「主人はおるか、ご用改めである。」と声をかけます
会合に遅れてきた客人だと思って応対に出た池田屋の主人・惣兵衛が
鎖帷子(くさりかたびら)に身を固めた近藤たちを見て、仰天します。
青ざめた主人が、緊急事態を知らせに裏階段へと走りました。
何かあると直感した近藤が、永倉新八と藤堂平助を階下に待機させると
沖田と共にすぐさまそのあとを追って、
その裏階段を駆け上りました。
2階では、20名余りの浪士たちが、
酒盛りの真っ最中でした。
「御用改めである、
手向かいたすと、容赦なく切り捨てる!」
近藤の大怒号に、浪士たちの顔が一瞬にして緊迫します。
一番右手にいた浪士の一人が、抜刀して立ち上がり、
近藤をめがけて奇声とともに突進をしました。
近藤を押しのけて、脇から踊り出た沖田が、
一刀のもとに、この浪士を斬り伏せてしまいます。
激しく土器や茶碗が砕ける音と共に、膳が舞い上がります。
騒然とする中で明かりが吹き消され、
二階があっというまに闇に包まれてしまいました。
池田屋の二階は構造上、天井が低く、
刀をふりかざして闘うことはできません
さらに多くの浪士たちが、先を争って吹き抜けとなっている
中庭へと飛び降りて、池田屋からの脱出をこころみました。
その一方で、階段から階下へと逃げる
浪士たちも増えてきました
近藤は2階は沖田に任せて、
自らも浪士を追って階下へと駆けおりました。
近藤が主戦場に選んだのが、
もっとも広い階下の奥座敷でした。
土間の台所付近で待機していた永倉新八は、
籐堂とともに、戸外に逃げようとする敵と遭遇しました。
裏庭から表口に逃げようとする敵を後ろから斬り、
脇の3畳間に逃げ込むとする敵は、
気合もろとも串刺しにします。
さらには籐堂が額に傷を負った時には、
傷を負わせたその敵を一刀のもとに切り捨てました。
しかし、その敵に最後のとどめを加えた時、
土間に当たって、永倉の刀が折れてしまいました。
あわてて敵が使っていた刀を拾い挙げましたが、
いつの間にか左手の親指付け根に刀傷を受け、
激しく流血していることに
初めて気がつきました。
その藤堂平助が負傷したのは、一階の中庭でした。
吹き抜けの2階からは、次ぎ次ぎに敵が飛び降りてきます
大奮闘を続けた藤堂の刀は、刃こぼれがひどく、
今にも折れる寸前でした。
そんな籐堂を不幸が襲います。
一人と斬りむすび、脇から突き刺して
振り返った瞬間のことでした。
不覚にも敵の刀を眉間に受けてしまいました。
駆けつけた永倉によって傷をおわせた敵を切り捨てますが、
籐堂の傷は深く、その出血は視界を妨げたため、
戦闘に支障をきたして、
まもなく戦線を離脱することになりました。
その一方、2階では、
数人を相手に奮戦する沖田の身に、
信じられない異変が生じてしまいます。
・本館の「新田さらだ館」は、こちらです http://saradakann.xsrv.jp/
(15)池田屋
やがて、目星をつけていたうちの一軒、
池田屋へ近藤隊が到着しました。
まずは援軍や逃亡ををふさぐ意味で、池田屋のふたつの出入口を固めます。
表の入口には、槍使いの武田観柳斎と谷万太郎の二人が立ちました。
裏庭には、長州藩邸がすぐ近くにあるということから、
奥澤栄助、安藤早太郎、新田革左衛門の3人が回りこみました。
近藤が玄関をくぐり
「主人はおるか、ご用改めである。」と声をかけます
会合に遅れてきた客人だと思って応対に出た池田屋の主人・惣兵衛が
鎖帷子(くさりかたびら)に身を固めた近藤たちを見て、仰天します。
青ざめた主人が、緊急事態を知らせに裏階段へと走りました。
何かあると直感した近藤が、永倉新八と藤堂平助を階下に待機させると
沖田と共にすぐさまそのあとを追って、
その裏階段を駆け上りました。
2階では、20名余りの浪士たちが、
酒盛りの真っ最中でした。
「御用改めである、
手向かいたすと、容赦なく切り捨てる!」
近藤の大怒号に、浪士たちの顔が一瞬にして緊迫します。
一番右手にいた浪士の一人が、抜刀して立ち上がり、
近藤をめがけて奇声とともに突進をしました。
近藤を押しのけて、脇から踊り出た沖田が、
一刀のもとに、この浪士を斬り伏せてしまいます。
激しく土器や茶碗が砕ける音と共に、膳が舞い上がります。
騒然とする中で明かりが吹き消され、
二階があっというまに闇に包まれてしまいました。
池田屋の二階は構造上、天井が低く、
刀をふりかざして闘うことはできません
さらに多くの浪士たちが、先を争って吹き抜けとなっている
中庭へと飛び降りて、池田屋からの脱出をこころみました。
その一方で、階段から階下へと逃げる
浪士たちも増えてきました
近藤は2階は沖田に任せて、
自らも浪士を追って階下へと駆けおりました。
近藤が主戦場に選んだのが、
もっとも広い階下の奥座敷でした。
土間の台所付近で待機していた永倉新八は、
籐堂とともに、戸外に逃げようとする敵と遭遇しました。
裏庭から表口に逃げようとする敵を後ろから斬り、
脇の3畳間に逃げ込むとする敵は、
気合もろとも串刺しにします。
さらには籐堂が額に傷を負った時には、
傷を負わせたその敵を一刀のもとに切り捨てました。
しかし、その敵に最後のとどめを加えた時、
土間に当たって、永倉の刀が折れてしまいました。
あわてて敵が使っていた刀を拾い挙げましたが、
いつの間にか左手の親指付け根に刀傷を受け、
激しく流血していることに
初めて気がつきました。
その藤堂平助が負傷したのは、一階の中庭でした。
吹き抜けの2階からは、次ぎ次ぎに敵が飛び降りてきます
大奮闘を続けた藤堂の刀は、刃こぼれがひどく、
今にも折れる寸前でした。
そんな籐堂を不幸が襲います。
一人と斬りむすび、脇から突き刺して
振り返った瞬間のことでした。
不覚にも敵の刀を眉間に受けてしまいました。
駆けつけた永倉によって傷をおわせた敵を切り捨てますが、
籐堂の傷は深く、その出血は視界を妨げたため、
戦闘に支障をきたして、
まもなく戦線を離脱することになりました。
その一方、2階では、
数人を相手に奮戦する沖田の身に、
信じられない異変が生じてしまいます。
・本館の「新田さらだ館」は、こちらです http://saradakann.xsrv.jp/
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