農協おくりびと (35)尼僧2人は、肉食系?
尼僧の連絡先は、苦もなく判明した。
「私も連れて行ってくれるなら、尼さん2人を、間違いなく口説いて見せる」
ちひろの耳へマネージャ格の先輩が、自信たっぷりにささやいた。
どうやら祐三との会話を立ち聞きしていたらしい。
「松坂牛のA5ランクでしょ。庶民には手が出ない垂涎もののお肉です。
1人や2人増えたって、女が増える分には祐三さんも文句ないでしょ。
あそこのお寺には、少しばかり顔が利くの。
まかせて。必ずいい返事をもらってくるから、私も合コンに混ぜてちょうだい」
A5ランクの肉の魅力につられて、思わぬ援軍があらわれた。
ちひろにしてみれば、大歓迎の援軍だ。
引き受けてはみたものの、正直、口説き方に苦慮していたからだ。
可能性が有るのなら先輩の申し出に甘えたほうが、好結果を得やすいだろう。
「私こう見えても、仏教学部を出ているの。
今日来た尼さん2人のうちの1人、妙子はわたしの学部の後輩なのよ。
住職はもちろん、妙子にも絶対に嫌とはいわせないわ」
絶対の自信を見せて、先輩が胸を張る。
仏教学部を置いている大学は、かなりの数で存在している。
独立した学部ではなく、文学部仏教学科として置いている大学なら、さらにある。
駒沢大学や京都大学、広島大学などが有名だ。
「わたしに任せなさい」と胸を叩いた先輩は、東洋大学を卒業している。
自信をもって胸を張った結果は、すぐにあらわれた。
「いつでもいいわよ。期日を指定してくれれば、2人とも合コンに顔を出すわ」
ちひろのラインに、先輩からのコメントが届いたのは翌朝の事だった。
さすがにやることが早い。
「尼さんと言うのは、暇な職業なのですか?」と書き送ると、
「わたしと同じです。A5ランクの魅力に負けて、生き方を変えたのよ」と
返事が返ってきた。
祐三のほうも、素早い反応をみせる。
「明日の晩でもいいぞ」と、こちらもおおいに乗り気の返事がかえってきた。
「ただし。頼みが有る」とひそめた声で、追加注文が出た。
「2人とも、尼さんの正装で来てくれないか。
普段着で来られたんじゃ、どこの誰だかわからない。
俺たちは尼さんのあの姿と合コンすることで、精神的な満足を得るんだ。
頼んだぜ。そのあたりのところを、抜かりなく手配してくれ」
じゃ任せたぜ、と通話が切れる。
尼さん姿の合コンはさすがにまずいだろうと思いながら、ちひろがささやかな
可能性を信じて先輩へメールを送る。
「先方は尼さん姿が所望だそうです。大丈夫でしょうか? あの2人から
反感などを買いませんか?」今度も、返事が返って来るのが早かった。
「そちらの件も了解を取り付けました。
A5ランクの焼き肉、プラスしゃぶしゃぶで、2人とも了解しました」
見かけによらず2人とも、どうやら肉食系の女子らしい。
ただし。松坂牛のA5ランクなどは、滅多なことでは口に出来ない。
しゃぶしゃぶまで食べられるというのなら、禁断の衣装くらいお安いご用らしい。
ともあれ。焼き肉プラスしゃぶしゃぶで、簡単に話がついた。
祐三へ電話を入れると、こちらも快諾の声が響いてくる。
「焼き肉に、しゃぶしゃぶの追加か、お安いもんだ。
ついでだ。お前と先輩にも同じように、しゃぶしゃぶを食わせてやろう。
明日の6時。隣町の松坂亭の個室を予約しておく。
尼さん2人と、お前と先輩の合計4人だから、男どもも4人用意しょう。
いまから楽しみだな、明日の合コンが。
松坂のA5ランクの肉は口に入れただけで、あっというまに、とろけるぞ」
(36)へつづく
新田さらだ館は、こちら
尼僧の連絡先は、苦もなく判明した。
「私も連れて行ってくれるなら、尼さん2人を、間違いなく口説いて見せる」
ちひろの耳へマネージャ格の先輩が、自信たっぷりにささやいた。
どうやら祐三との会話を立ち聞きしていたらしい。
「松坂牛のA5ランクでしょ。庶民には手が出ない垂涎もののお肉です。
1人や2人増えたって、女が増える分には祐三さんも文句ないでしょ。
あそこのお寺には、少しばかり顔が利くの。
まかせて。必ずいい返事をもらってくるから、私も合コンに混ぜてちょうだい」
A5ランクの肉の魅力につられて、思わぬ援軍があらわれた。
ちひろにしてみれば、大歓迎の援軍だ。
引き受けてはみたものの、正直、口説き方に苦慮していたからだ。
可能性が有るのなら先輩の申し出に甘えたほうが、好結果を得やすいだろう。
「私こう見えても、仏教学部を出ているの。
今日来た尼さん2人のうちの1人、妙子はわたしの学部の後輩なのよ。
住職はもちろん、妙子にも絶対に嫌とはいわせないわ」
絶対の自信を見せて、先輩が胸を張る。
仏教学部を置いている大学は、かなりの数で存在している。
独立した学部ではなく、文学部仏教学科として置いている大学なら、さらにある。
駒沢大学や京都大学、広島大学などが有名だ。
「わたしに任せなさい」と胸を叩いた先輩は、東洋大学を卒業している。
自信をもって胸を張った結果は、すぐにあらわれた。
「いつでもいいわよ。期日を指定してくれれば、2人とも合コンに顔を出すわ」
ちひろのラインに、先輩からのコメントが届いたのは翌朝の事だった。
さすがにやることが早い。
「尼さんと言うのは、暇な職業なのですか?」と書き送ると、
「わたしと同じです。A5ランクの魅力に負けて、生き方を変えたのよ」と
返事が返ってきた。
祐三のほうも、素早い反応をみせる。
「明日の晩でもいいぞ」と、こちらもおおいに乗り気の返事がかえってきた。
「ただし。頼みが有る」とひそめた声で、追加注文が出た。
「2人とも、尼さんの正装で来てくれないか。
普段着で来られたんじゃ、どこの誰だかわからない。
俺たちは尼さんのあの姿と合コンすることで、精神的な満足を得るんだ。
頼んだぜ。そのあたりのところを、抜かりなく手配してくれ」
じゃ任せたぜ、と通話が切れる。
尼さん姿の合コンはさすがにまずいだろうと思いながら、ちひろがささやかな
可能性を信じて先輩へメールを送る。
「先方は尼さん姿が所望だそうです。大丈夫でしょうか? あの2人から
反感などを買いませんか?」今度も、返事が返って来るのが早かった。
「そちらの件も了解を取り付けました。
A5ランクの焼き肉、プラスしゃぶしゃぶで、2人とも了解しました」
見かけによらず2人とも、どうやら肉食系の女子らしい。
ただし。松坂牛のA5ランクなどは、滅多なことでは口に出来ない。
しゃぶしゃぶまで食べられるというのなら、禁断の衣装くらいお安いご用らしい。
ともあれ。焼き肉プラスしゃぶしゃぶで、簡単に話がついた。
祐三へ電話を入れると、こちらも快諾の声が響いてくる。
「焼き肉に、しゃぶしゃぶの追加か、お安いもんだ。
ついでだ。お前と先輩にも同じように、しゃぶしゃぶを食わせてやろう。
明日の6時。隣町の松坂亭の個室を予約しておく。
尼さん2人と、お前と先輩の合計4人だから、男どもも4人用意しょう。
いまから楽しみだな、明日の合コンが。
松坂のA5ランクの肉は口に入れただけで、あっというまに、とろけるぞ」
(36)へつづく
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