ふくいんちょのつぶやき

山形県 米沢市 笹生歯科医院 副院長Kazuyoshiの
日常を通してのつぶやき

口腔ケア

2009-03-07 12:52:47 | 歯と全身疾患
 「歯磨きでインフル発症率10分の1」は本当?
 

 歯磨き指導でインフルエンザ発症率が10分の1に―。NHKが今年2月4日、情報
番組「ためしてガッテン」で紹介したインフル予防法について、一部の内科医
や感染症医が「医師など専門家の裏付けコメントが一切なく、釈然としない内
容だった」と首をかしげている。また、ある一般視聴者は「番組を見て、数人
の歯科医、感染症医、歯科衛生士に話したところ、『そんな話は初めて聞いた』
という答えしか返ってこなかった」と話す。インターネット上の掲示板などでも
、予防法そのものを疑問視する書き込みが目立つ。番組内では、歯科衛生士がデ
イケアに通う高齢者に歯磨き指導をしたところ、発症率が10分の1になった事例
を挙げ、口腔ケアが予防につながるとしていたが、果たして「歯磨きでインフル
予防」は本当なのか―。

 2月4日、NHKは「ためしてガッテン」で「インフルエンザ特集」を緊急生放送。
番組中で、東京都府中市の特別養護老人ホームあさひ苑で歯磨き指導をしたとこ
ろ、発症率が10分の1になったという事例を紹介し、次のように説明した。

 「インフルのウイルスは気道の粘膜に付いて増殖するが、粘膜にはタンパク質
の覆いのようなものがあって、ウイルスが簡単にくっ付かないようになっている。
ところが、ある酵素がそのタンパク質を破壊してしまう。タンパク質が破壊され
た状態でウイルスが入って来ると、そこで大増殖してしまう」
 続けて、予防法を紹介した。
 「(粘膜の)タンパク質を破壊する酵素は、歯垢、歯石、舌苔(ぜったい)などか
ら発生している。つまり、口腔内を清潔に保つことで、酵素ができにくくなり、
ウイルスの増殖が抑えられる(インフル予防につながる)。正しい歯磨きで、歯と
歯茎の間の歯石、歯垢はきちんと除去。舌は、専用の舌ブラシか古くなった歯ブ
ラシで磨いて、舌苔を取り除く」
 同番組は11日に再放送された。

 NHKによると、番組で紹介した予防法は「東京歯科大の奥田克爾名誉教授(微生
物学講座)の研究内容に基づいたもの。2006年2月放送の『ためしてガッテン』で
最初に紹介した。その時は、奥田名誉教授にスタジオ出演していただき、解説も
していただいた」という。同研究については、「国内外の論文誌にアクセプトさ
れて(受け入れられて)掲載されており、科学的根拠の十分あるもの」だと説明する。

■「口腔ケアあり」は発症者1人、「なし」は9人

 そこで、奥田名誉教授の過去の論文を調べてみると、厚生労働省の03年度老人
保健健康増進等事業で、「地域保健研究会口腔ケアによる気道感染予防研究委員
会」の8人のメンバーによって、「口腔ケアとインフルの発症率」という調査が行
われていたことが分かった。

 同調査は03年9月中旬から04年3月中旬までの6か月間、あさひ苑と府中市内の
もう一つの通所介護事業所の協力を得て行われた。65歳以上のデイケアに通う在
宅介護高齢者を、年齢、性別、残存歯数、ADL(日常生活動作)、既往症(脳血管障
害や肺炎など)の有無、痴呆の有無、インフル予防ワクチン接種率などの条件で
偏りが出ないように2グループに分類。あさひ苑の高齢者98人のグループを歯科
衛生士が積極的に介入してケアする「専門的口腔ケア実施群」(平均年齢81.0歳)、
もう一つの施設の高齢者92人のグループをこれまで通り自分で口腔ケアをする「
コントロール群」(同83.5歳)とした。前者のグループには、歯科衛生士が口腔ケ
アと集団口腔衛生指導を1週間に1回実施した。
 調査開始から半年後、前者の口腔内を調べると、細菌数が減り、プロテアーゼ
とノイラミニダーゼの細菌性酵素活性の低下が確認された。インフル発症者は、
前者は1人、後者は9人だった。研究委は、調査結果を厚労省に報告し、海外誌な
どにも発表した。

■幅広い年齢層の大規模調査で、エビデンス蓄積を

 「地域保健研究会口腔ケアによる気道感染予防研究委員会」のメンバーとし
て研究に携わった阿部修さん(歯科医)は、「調査前からある程度インフル発症
は減るだろうと仮説は立てていたものの、10分の1という結果には驚いた」と振
り返る。
 「過去の研究結果で、細菌性プロテアーゼがインフルウイルス感染を助長する
ことは証明されており、口腔内の細菌が(インフル感染に)影響を与えることは、
理論的整合性が高いとみられる。耐性ウイルス出現などワクチンでの予防に限界
がある中で、個人レベルで可能な予防法はできるだけ実践した方がよい。口腔ケ
アもその予防法の一つであると考えている」
 その一方で、「現時点で言えることは、口腔ケアがインフルの予防に寄与する
可能性があるというだけで、その効果の程度については、今後さらなる検証が必
要」とクギを刺している。
 「調査結果は『口腔ケアがインフル予防に寄与する可能性がある』ことを示し
、この研究分野における最初の一歩となった。大規模調査をしたときに、同じよ
うに発症率10分の1という劇的な数字になるかどうかは分からないが、エビデン
スを蓄積していくためにも、この研究を基に1000人、1万人を対象とした大規模
臨床研究や基礎研究を進める必要がある」

 また、阿部さんは、同研究では歯科衛生士が「正しい歯磨き法」の指導を行っ
たことにも注目すべきだと指摘する。
 「あさひ苑では、専門知識を持った歯科衛生士たちが高齢者の歯垢や歯石など
を徹底的に除去し、さらに家族や介護者にも徹底的に『正しい歯磨き法』の指導
を行った。指導を受けていない人が漠然と歯磨きしただけでは、口腔内細菌は減
少しないし、インフルの予防効果が高まるとは思えない」

 「発症率10分の1」という結果が出たことで、あさひ苑では高齢者の口腔ケアに
力を入れて取り組むようになった。ある職員は「口腔ケアがインフル予防につな
がっているかどうかは分からない」としながらも、「確かに、ここ3年ほど感染者
が出たという話は聞いたことがない」と話す。

■科学的に証明なら、衛生士の活躍の場広がる

 この研究報告を見たある内科医は、「エビデンスはないが、口腔内を清潔に
しておくことが、ウイルス感染予防に効果があるのは間違いないと考えている。
例えば、高齢者の肺炎の発症率は、口腔ケアをすることで下がることが明らかに
なっている。高齢者は、口腔内を不潔な状態にしておくと、異物が入って来たと
きに『せき反射』が起きにくくなる。せきが出なくなると、異物を追い出すこと
ができないため、ウイルスに感染しやすくなる」と説明する。
 その上で、「この調査結果を活用しないのは、もったいない。国内の研究者
でも海外の研究者でも構わないので、子どもから大人まで幅広い世代を対象に、
大規模調査をぜひ行ってもらいたい。歯磨きの時間と頻度、うがいの頻度、口
腔内の細菌数、マスクの有無、インフルウイルスへの曝露時間と回数、湿度な
ど、さまざまに条件を絞って調査を重ね、口腔ケアがインフル予防につながる
ことを科学的に証明してほしい。口腔ケアで発症率が下がることが証明されれ
ば、歯科衛生士の活躍の場も一気に広がるだろう」と期待を寄せている。

 厚労省健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室の高山義浩さん(感
染症医)は、「こういった話(研究結果)があることは把握しているが、エビデン
スが蓄積されていないので、まだ国として(予防法として)推奨する段階には至っ
ていない」との見解を示し、その上で、「専門家の調査、意見が集約されるのを
待ちたい」とコメントした。 



                      3月6日18時9分配信 YAHOO

 お口の中を清潔にしておくとインフルエンザ予防になるとは私も聞いたこと
はありますが、それはまだ確固たる証拠、裏付けがまだのようなんですね
 
 勤務医時代に往診していた経験から(あくまでも経験ですが)高齢者のお口
の中のケアをしている方は肺炎になりにくくなっていたのは実感します。また、
ご家族も、お口の中のケアを定期的にしてもらう前は、よく肺炎になっていた
けど、お口の中のケアをしてもらうようになってからはならないとも言ってお
られたのを覚えています。
 誤嚥性肺炎はお口の中のケアが有効なのは明らかになってますね。

 インフルエンザに関しては確固たる証拠、エビデンスがまだのようですので
そういった可能性があるというところにとどまるようですね。今後、どのように
推移していくのでしょうか。

キレイにしておくにこしたことはないんですが
山形県 米沢市 笹生歯科医院 副院長のKazuyoshiでした。


 誤嚥性肺炎
 動脈硬化の若年齢化

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