「一期一会」・・・お茶の世界ではもちろん、商売をしていると
この言葉はよく目にし耳にする言葉です。
近頃特に私の身の回りでよく感じさせられる事です。
昨日まで開催していた米戸浄子さんの「刺し子展」において
ある出来事を今日はご紹介します。
13日に米戸先生が来店されたときの事です。
確か、さしこうには数回しか来店されたことのないSさんですが、
何やらすぐに先生と意気投合されて、話が弾んでおられました。
Sさんは写真を撮られる事が趣味で、一度コンテストに入選された作品を
見せて頂きましたが、素晴らしい感性をお持ちのかたです。
もちろん先生との話の成りゆきから今回の作品を写真に撮っていただきたい
と先生がお願いされて先生がお持ちのカメラを渡したのですが、
俗にいうバカチョンと言われるものなので、Sさんは自分のカメラで撮りましょう、と
言われて、お家に取りに帰って再度来店されることになりました。
フラッシュをたくとダメだからということで・・・・
すぐにまたお見えになり、先生の作品を丁寧に撮ってくださり、またそれをすぐに現像
しに行かれて、先生に渡されたのでした。
今日、数時間前に初めて出会った人の為ににこんな事をされる人が
いるでしょうか。またそうして戴かれた米戸先生の魅力も如何でしょうか・・・
そうして二人がこの「さしこう」という店で出会われて
お互いにたいへん喜ばれ、又の再会を約束されて別れていかれた・・・
私はこの出会いが展開していかれる様子を傍らから見せていただいて
「人の縁」というものをすごく感動して見せて頂きました。
私のこだわりはここにあります。
仕事がら、物つくりの方々と出会うことは多いのですが、
あくまで私は商売人です。
ですから、物を売って商いさせていただいています。
しかし、私は有り難い事に物を見るだけでなく、作り手の人物に接する事ができます。
最近特に感じることは、物を売ってはいますが、そのバックボーンにある作り手の
人間性というものがどれほど作品に魅力を与えるか、また影響していくのか
と云う事を考えて見るようにしています。
そしてその魅力を是非お客さんに知って戴きたいと思うようになりました。
特に米戸先生はその代表的な人です。
先日も一日講習会を開催しましたが、刺し子の技術もさることながら、
先生の人柄を紹介したいと思ったのです。
先生の考え方、人生観をさしこうの大切なお客さんに是非聞かせてあげたい・・・
先生に出会えて良かったと一つでも思ってもらえたら幸せだと感じていました。
Sさんもそういう意味で出会うべくして出会われたように思います。
「喜べば喜びごとが喜んで喜び連れて喜びに来る」と先生はよく
書に書かれますが、その通りです。
私も「人の縁」を大切にしていきたいものです。
お福さん