横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

はらぺこあおむしのロッキングチェアー(大手術の結果、退院しました!)

2021-06-14 23:24:02 | 活動の記録
子供絵本として、有名な「はらぺこあおむし」は、世界中で、5000万部以上が出版され、子供達に愛されてきました。穴の開いた仕掛け絵本は、子供たちだけでなく、読み聞かせる親たちも、夢中になりました。先日、作家のエリック・カールさんがお亡くなりになったとの訃報を拝見しました。ご冥福をお祈りします

大人気の「はらぺこあおむし」は、いろいろなグッズが販売されていますが。今回持ち込まれたのは、子供用のロッキングチェアー。絵本で大好きなったあおむし君に跨るなんて、考えただけでも楽しそう。


お客様が大切に使ってきたのですが、あおむし君がロッキングチェアーから外れそうに、グラグラしているので直して欲しいとのこと。このブログを見つけて、やってきてくれたお客様でした。原因は、あおむし君の骨格とロッキンチェアーを接続している部分が外れかかっていると推測できます。あおむし君の胴体を縫い付けている縫い目を開け、たくさん入っている”わた”を取り出してみると、木製の骨格全体が出てきました。


まず、ロッキングチェアーと接続されている土台の横板は、元々あまり質がよくないせいか、割れてしまっています。これは、他の板に交換するしかありません。また、骨格を形作っている土台の横板と縦板の接合部分は、針金のような金属を打ち込んで固定していたようですが、どれも折れてしまっていて、抜けかかっていました。抜けかかっていた針金は、子供の足にでも刺さったら大変です。

ここまで、初診で見極めたので、地区センターでの修理は不可能と判断し、お客様と相談の上、入院となりました。持ち帰って、家にある板を切って加工することで、ロッキングチェアーと接続されている土台の横板を作り直します。土台の横板は、家のあった厚さのある板(元の横板の2倍の厚さ!)を加工することにしました。まず、同じ大きさに切り、その次に縦板がしっかり固定できるように、両端に切り込みを入れ、縦板がぴったり嵌るように加工しました。大工さんが立てる家と同じで、縦板と横板の接合のように、接触面積が少ない場合は、木材同志に釘を打っただけではしっかり固定できません。その意味では、最初から作り方がいまいちだったような・・・。修理としては、木と木を刻み加工して、互いに嵌る木組みの構造を作る必要があります。その上で、木製ボンドをつけ、木ネジしっかり貫通させて固定しました。


これは、木製おもちゃの修理と言うより、子供用の木製椅子の作り直しといった感じでした。骨格が直ったところで、大量の”わた”をあおむし君の胴体に入れ、着ぐるみの開いたところをに縫い合わせて完成です。アマゾンでも新品は売っているし、メルカリでも結構出店されているようです。カールさんの”はらぺこあおむし”、絵本だけでなく、子供たちに人気なんですね、本当に。