本棚7個じゃ足りません!

引っ越しのたびに蔵書の山に悩む主婦…
最近は二匹の猫の話題ばかりです

『ルピナス探偵団の憂愁』

2008年04月07日 | 

『ルピナス探偵団の憂愁』津原泰水 東京創元社

作家が女の子のバリエーションを描きたいという時、
よく使っている手段が“仲良し三人組”だと思う。
それぞれに位置づけられた性格や境遇が際立ち、
なおかつキャラがカブらないほどの人数(読者も容易に区別できる)。
そしてそれは、時に閉鎖的になる一対一の関係から抜け出た、一つの小さな社会。
交わされる会話にも幅が出る、トライアングルなのだ。

古今東西、小説・漫画を問わず、いろんな作家が三人組を創造してきた。
(北村薫だと“円紫さんと私シリーズ”の私、正ちゃん、江美ちゃん。
加納朋子だと“駒子シリーズ”の駒子、愛ちゃん、ふみさん。
谷原秋桜子だと“美波シリーズ”の美波、かのこ、直海。
少女マンガだと、川原泉の『笑う大天使』の史緒、和音、柚子。
マツモトトモの『美女が野獣』の詠美、涼、操。
なかじ有紀の『隣はSCRAMBLE』の愛久美、薫、理緒。
椎名軽穂の『君に届け』の爽子、ちづ、あやね。
ざっと思いついただけでもこれだけいる!)


『ルピナス』では、彩子、キリエ、摩耶の三人と、
付かず離れずの距離に祀島君がいるわけだが。
まあ、彼は素敵少年代表だから。
(↑少女時代、近くにこんな男の子がいたらなあ!と思ったのは、
わたしだけではあるまい…。潔癖な年頃に一時苦手感を持つ、
思春期男子の生々しさがないの。まさに少女小説のヒーロー的存在)
愛おしい女の子の世界を築いているのは、やっぱりあの三人。

前作では本当にただ“美貌だけがとりえ”の摩耶だった。
(申し訳ないけど、非常に印象が薄かった)
今作ではいきなり摩耶が他界してから始まり、
“ルピナス探偵団”の解決した事件は、彩子たちの大学時代、
ルピナス学園高等部の卒業、と時を遡って語られる。
摩耶という女性がどういう人だったかということも、
読み進めるうちに分かるような気がするのだ。

本を閉じてから、読者は悟る。
彼女がこの世から去ってしまっても、
三人が共有した少女時代の輝きは褪せずに、
永遠に彩子とキリエの宝物であり続けるだろう、ということを。
摩耶。無邪気で勇気があって、友に誠実だった、綺麗な、綺麗な女の子。

…ところで、彩子と祀島君の仲は今後どうなるのだろうか。
結構マイペースな二人だもんなぁ。



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つれづれに、日本の昔話の中で何が一番好きか、という話になったのです。

夫の答え「泣いた赤鬼」
理由:人情噺が好きだから。
妻の答え「絵姿女房」
理由:入れ替わりトリックが奇想天外で秀逸。

互いの趣味が見事に反映された結果となりました…。
なかなか愉快だったので、世界の童話では何が好き?と重ねて聞いてみたら。

夫の答え「裸の王様」
理由:王様が面白い。
妻の答え「こわがることをおぼえるために旅にでかけた男」
(恐怖を覚えない男が様々な試練を強心臓で切り抜け、ついに王女を妻にするが、
「一度でいいからぞっとしたい」という口癖をやめようとしない。
王女がうんざりしてきたので、ある晩侍女が、
ぐっすり寝ている男の上に、突然生きているどじょう入りの水をかける。
男は初めて“ぞーっとする”ことを知る、という話)
理由:最後に水をぶちまけるところが痛快。
よほど男の口癖に奥さんイラついたんだろうと思うと…(笑)。

…これまた、互いの性格が現れた結果となりましたとさ。
皆さんはどんな昔話が好きですか?