九州も先日ついに梅雨入り。
車を運転できないわたしは、雨の日はいつも徒歩移動なので、
傘をさして、できるだけ近場で用事を済ませます。
大雨の場合はなるべく無理せず、家の中でまったりと。
怠惰な気分で静かに本を読みます。
雨の音と読書はよく似合う。
(あら、これって晴耕雨読の実施?)
最近図書館で借りて、うっとり眺めたのはこの本。
『針穴のパリ』(田所美惠子 河出書房新社)
昔ながらのピンホールカメラで、パリの風景や静物を撮影した写真集。
まるで、誰かの思い出の中のパリを観ているような、
ロマンチックで不思議な気分にひたれるのでした。
ソフトフォーカスでモノクロなのが懐かしい雰囲気をかもし出していて、
エッフェル塔もノートルダム大聖堂も、パッサージュも墓所も、
今はもうそこにはないような、現実の世界のものではないような、
心ときめく幻想的な光景になるのでした。
そして、にんにくやアスパラガスなどの静物は、違和感なく絵画のようです。
ほんとに素敵。ああ。この本、欲しいなー。
写真集はやはり文章がなく、お値段もそこそこするもので、
いざ購入となると、小説・文庫買いのわたしはよくためらうのであった。
『スモールプラネット』(本城直季 リトルモア)
この本もアマゾンさんで注文するまで長い時間がかかった。
雑誌で本城直季さんの写真を観てから、ずっと欲しかったんだけど、
「文字が少ないもんをお前は買うのかよ?!」という内心の声が。
でも、実際に手元に置いてゆっくり眺めると、
一枚一枚にいろんな物語があるような気がして、良かったですけどね。
実際の風景が模型のように見える写真…。
この可愛らしい世界を見下ろしていると、
人の営みの卑小さを感じるとともに、
それぞれ精一杯生きている姿が愛おしくなります。
(しかしムスカだったら…『見ろ、人がゴミのようだ!』と嘲笑うのかな。
アニメの悪役は、分かりやすく高みから夜の街を見下ろして、
ワイングラス揺らしながら『愚民どもめ!』というのがパターンだものね。
一般人を観て尊敬も感動もできない悪の美学の持ち主は気の毒かも)
他に最近買って読んだのは『無印良品の理由』とか。
わたしはシンプルなものに対する目覚めが遅くて、
無印の良さを感じるようになったのはここ数年ですが。
今ではそこそこファンです。
(あまり買わないけど、機能と値段を見て吟味するのが好き)
無印で売っていたこの本、要するにカタログなんだけど、
製造販売側、消費者側、双方の商品へのこだわりがよく分かる。
「そういう意図で作られているのね!」と発見することも多かったです。
『酩酊混乱紀行「恐怖の報酬」日記』(恩田陸 講談社)は文庫版で。
単行本(←図書館本で読んだ)未収録の番外編三本も載っています。
作家の思考過程や何気ない想像を読むのがとても楽しい。
恩田陸さん、飛行機恐怖症でビール好きということで、
その視点から見た旅先も、なんだか身近に思えるのだった。
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この間コンビニに入ったら、
映画『崖の上のポニョ』前売り券を買うと、
ポニョの姉妹が付いてきますというキャンペーンの放送が流れていた。
早速、夢の中に怖そうなポニョの姉妹(?)が出てきて怯えるわたし。
どうしてそんな風に勝手に想像が膨らんでしまうのか…。
よくよく考えたら、原因が分かりました。
「ku:nel」で川上弘美さんが小説を連載しているのですが、
以前その中の『海石(いくり)』という短編を読んだんですよ。
海に住んでいる、神秘的でちょっと不気味な生きものの話です。
(陸に上がってきて、気の合う人を連れ帰り仲間とするのですが、
たまに美味しくないって言いながら食べちゃうの!)
どうも、『ポニョ』と聞くとそれを連想するんだな。
それで、親しく接しながらも、どこかでかぱっと口をあけると牙がいっぱい、
みたいなイメージが湧いて来るんだ。
…恐怖映画じゃないっていうのに。
主題歌を思わず口ずさんでは、ひとりで怖い怖いと騒いでいたら、
夫が笑いながら、『妖怪人間ポニョ』という題名がいいよ、だって。
歌に「早く人間になりたい!」というセリフを入れたらどう?とか。
(怪しい手つきで「おいら、怪しいものじゃないよ!」ってか?!)
いろいろ言ってくるんです。
もう、完全にからかっている様子。
こちらは真面目にびびっているのにさ~。
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