本棚7個じゃ足りません!

引っ越しのたびに蔵書の山に悩む主婦…
最近は二匹の猫の話題ばかりです

図書館本『白洲次郎』

2010年04月21日 | 
白洲次郎 (コロナ・ブックス)
白洲 正子,辻井 喬,宮沢 喜一,青柳 恵介,朝吹 登水子,中村 政則,三宅 一生
平凡社

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根っから庶民なので、近年のセレブ・ブームには「てやんでえ」と思うほうです。
上昇志向でこつこつ頑張って成りあがってみせるのは偉いが、
一般人が表面だけ上流階級の真似をしても仕方ないじゃないか、と。
むしろ庶民は、お偉方の文化を風刺するぐらいの
反骨精神を持ち合わせたほうがよいではないかと、考えてしまうのです。
(↑杉浦日向子さんの本の影響みたい。江戸っ子精神、大好き)

しかし、そういうわたしでさえ、“白洲夫妻”のカッコ良さには脱帽しました。
なんなの、この夫婦…。スケールが違いすぎるでしょう。
二人とも名門に生まれて、非常に裕福で(成長するまでは)、
海外留学の経験もあり、英語が達者。人脈も幅広い。
それぞれ分野は違えど(次郎さんは政治経済、正子さんは日本文化)、
お互いの道を尊重し、どちらかの人生に吸収されず個対個として添い遂げており、
その夫婦関係はとても日本人離れしている。
(もっとも、お嬢様育ちの正子さんには、ばあやのような人がいて、
家事育児を手伝ってくれていたというのだから、いささか次元が違う話でもある)

戦前に「日本は負ける」と予想していた知識人は結構いたそうだけど、
次郎さんは空襲まで予想して田舎に家を買い、
終戦までひっそり暮らしていたというのだから…すごい。
戦後はGHQとの交渉に一役買い、吉田茂のブレーンとして活躍。
(宮澤喜一氏によれば“従順でない側近”)
役目が終わればすっぱり身を退くという、潔さ。
私人としても一本筋が通っていて、相手が誰であろうと、臆せず物を言う。
“いらち”だが、目下の人間には優しく、案外可愛気もある。
(この本には、旧知の人々による彼の逸話が掲載されていますが、
さぞかし非凡な個性を持っていたんだろうな、と思います)
今はいないねえ、こういう気骨のある人は。

実はNHKのドラマ「白洲次郎」を録画したまま放置しているのだけど、
そろそろ観てみよう。
サムライ魂を持つジェントルマンって、なかなか興味深いお人柄です。


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