本棚7個じゃ足りません!

引っ越しのたびに蔵書の山に悩む主婦…
最近は二匹の猫の話題ばかりです

『大正ロマン手帖』

2010年04月06日 | 
大正ロマン手帖---ノスタルジック&モダンの世界 (らんぷの本)

河出書房新社

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この本も図書館で借りました。

ミーハー気分で、モガ風ファッションが格好いいぞう、と思っていたら、
モガ大流行は大正最後の年(大正15年)だったのですね。
そうか、数少ない断髪のモダンガールが頑張っていたのは、
大正末期~昭和初期ぐらいだったのか。
この時代はコラムで紹介されていたお葉さんや、
柳原白蓮や、松井須磨子などのスキャンダルが有名ですが、
そうした(良くも悪くも激しい)自我を表した女性は、全体から見るとごく一部。
きっと、恋愛結婚などができない時代でも秘めた恋があったろうし、
抜群にすぐれた教養を生かす場もなく、一生を終えた人もいただろう。
青踏のフェミニズム運動は、すぐには日本全国へ波及しなかったろうけれど、
時代に先駆けた彼女たちの熱い生き様には、
ひそかに羨望を覚え、共感する人も多かったのではないか。

不思議だったのよね。
江戸時代の江戸というエリアの庶民の女性は、
男性よりも強くて(数的に少なかったから大事にされたっていうし)、
元気に働いていて、性的にも割合自由なところがあったのに、
明治政府の体制でぎゅーっと締めつけられて、
全体的に武家社会の文化が押し付けられて、
富国強兵の中、良妻賢母が女性の理想のような感じになってしまっても、
その流れに黙って呑みこまれるだけだったのだろうかって。

でも、どんな時代でも、健気に頑張っている女の子はいるんだよね。
功績を残さなくても、自分が生きる場所で自分ができることを、
こつこつ積み上げて行った女の子たちがいる。
熱情を堪えきれず、まっしぐらに愛人の元に走った女の子もいる。
聡明さを武器に、既存の社会と戦った女の子もいる。
今とそんなに変わらないんだろうな、と思いました。

さて、大正ロマンというと、やはり竹久夢二が象徴的存在なのですが、
他の抒情画家の作品も、何とも言えぬ風情を漂わせていて素敵でした。
優しく、寂しげな画風は、時代を超えて乙女に好まれるものでしょう。

ハイカラで和洋折衷な大正文化。
遠くて近い、しかし近くて遠くもあるから、面白いです。
(戦争を知らない世代のわたしは、激動の時代に生きた人々の逸話を聞くたび、
想像力の限界を思い知るのだった。
武田百合子の生涯における戦争の影響を考えた時のように、
その心情の変化が分かるような気もするけれど、
所詮甘っちょろい感覚で、当時の人の気持ちを真に悟ることは無いように思う。
池上さんがTVの番組で、バブル経済は、はじけた時の大騒ぎを知らない世代が、
気付かずにまた繰り返すので、数十年ごとに来る、と言っていたけれど、
それと同様にわたしたちの世代は、
無知の為にまた危うい方向へ傾いてしまうかもしれないから、
過去の戦争をよく学んで、用心しないといけないね)


   ***********************


避けられない対人関係のストレスのために、またも苦しんでおります。
“眠り姫”の幼名を持つわたしとしたことが、ここ数日、不眠気味。
夢の中でも心安らかにはなれず、目が覚めてもぐったり。
で、裏日記をつけることにした。
喜びも苦しみも幸せも悲しみも、心のまま、率直に書きますぜ、
死後焼却のこと、というリアル日記。

武田百合子さんも「富士日記」を清書する際に、慎重に取り除けただけで、
原本では人の悪口くらい書いていただろうから。
(友達への手紙では、さらっと悪口書いてますもんね)
わたしなどの場合は、文学作品でも私小説でもないし、
自分と向き合うための道具にすればいいかなって。
毎日つける気もないし、気がおさまらない時だけ、文字を綴ればいいって。

そう考えて軽い気持ちで書き始めたら、5時間ノンストップ。
冒頭から苦境の説明やら事態の分析やら。濃い濃い。
とりあえず今日の苦悩を形にして、
読み返したら…結構面白いんだな、これが。
そういうのを書いたら、破り捨てた方がさっぱりする、という意見もあるけれど。
赤裸々な人の悪口って面白いんだもん!
あたし、ちょびっと文才あるかもしれない!と自画自賛したり。
(↑その辺り、もうノンフィクションではなくなっている)
門外不出ものではありますが、少し前向きな気持ちになって筆を置いたのでした。

武田百合子さんが好きで日記を書こうと試みるというのは、
彼女の天賦の才を思うと、恥ずかしいことなのかもしれない。
けれど、やっぱり憧れちゃうのだ。
自らの負の感情も否定せず、全部受け入れる、その大きさに。
人間なんだから、恨んだり怒ったりする時もあるし、
心が折れなければ、いつかは回復する。
それでいいのよね。

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『百合子さんは何色』

2010年04月05日 | 
百合子さんは何色―武田百合子への旅
村松 友視
筑摩書房

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虚実入り混じった雰囲気というのは、確かに武田百合子の文章に見られることである。
「富士日記」では生を謳歌する、積極的でエネルギッシュな日々が綴られているが、
読み手は日常的に垣間見える死の淵の描写などに、度々ドキリとさせられる。
百合子さんって、どんなひとなの?
喜怒哀楽を素直に表しているけれど、時折ふと虚無的なものも感じる。
頭でっかちなインテリには敵わない、無の心と、肯定感。
「富士日記」はシンプルであるがままの生活を描いた、私的日記のように見えるけれど、
本当はすごく複雑で、奥行きの深い作品なのではないかしら?

武田泰淳の妻として、また秘書代わり、口述筆記者、運転手として、
それに花さんの母として、多忙な日々と送っていたはずの百合子さん。
「富士日記」以前の人生のステージで、様々な表情を見せる百合子さん。
生前の百合子さんを知る人々の言葉が集まるほど、さらに謎が深まるのだけれど、
不思議と“そういうもんだ”という気もする…。
矛盾も全部ひっくるめて、武田百合子というキャラクターなのだって。
喫茶店の「ランボオ」で働いていた、戦後の闇雲な時代も、
「富士日記」で見られる、元気で無鉄砲な作家の妻の時代も、
どこかで通じているような、そんな感想を持つのでした。

ちなみに、上の本は図書館から借りました。
下の本は、出版社が増刷したタイミングを見計らい、購入。
(こちらの感想はブクログのsayukiの本棚にあります)

KAWADE夢ムック 文藝別冊 武田百合子

河出書房新社

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最近は、武田百合子さんの著書だけではなく、こうした研究本も読んでいます。
でも読み終えると、また「富士日記」や「犬が星見た」を
読み返したくなっちゃうんだよな。
危ういのに健やかだったりと、アンバランスなところが魅力的。


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また、図書館の着物本 2

2010年04月04日 | 
はじめてのアンティーク着物
アンティーク着物を楽しむ会
PHP研究所

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一万円からコーディネートというので、
着物と帯でお値段がそれぐらいなら気安いわ、と借りて読んでみたら、
“一万円から~(それ以上もあり)”でした。
それに、着物と帯のほかに、半襟や帯揚げや帯締め、足袋、下駄など、
ばっちり揃えて行こうと思ったら、当たり前の話だが予算は増大するのだった。
なかなか甘くない世界…。

それはともかく、コーディネートのほうは、季節感に溢れていました。
特に春向きのは、ピンクやオレンジなどの色彩が鮮やかで、可愛い可愛い♪
四季折々に、その時期に相応しい着物を着たりして、
美術館やカフェなどに出かけたら楽しいだろうな。
アンティーク着物を買う時の注意点としては、
よく当時の人と現代っ子との身長差が挙げられているけれど、
わたしは小さいから多分サイズはイケると思うんだ。
しかし、着物と帯を合わせるセンスが心配なので、当分はこういう本でお勉強しなきゃ。
あと、この本で紹介されている通崎睦美さんの着こなしって素敵だけど、
おそらく個性的なほう??
初心者には真似し難いお洒落だと思いました。


もめんの着物―着物1年生、2年生に贈るやさしい着物本 (別冊美しい部屋)

主婦と生活社

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わたしが今一番憧れているのは、木綿の縞の着物に乙女好みの帯を締めて、
小さく可愛い帯留に、履物は気軽な下駄、銘仙の羽織に洋風のバッグを持つ、
という、ごくカジュアルなスタイル。
なので、この本の木綿の着物の写真が目に入るたび、
こういうのをいつか…と思いを募らせてしまうのでした。
(縞だけじゃなくて、無地も格子も格好いい~)
木綿には、心和む温かさがありますよね。
普段着だから、洋服の延長線上で、敷居が高くない感じ。
わたしは所詮田舎娘なので、この手軽さ、柔らかさ、自由さに、
ぐっと心をつかまれてしまうのだった。
(この本ではレストランやパーティーに行く時の
コーディネートが載っているけれど、結構着て行って大丈夫なものなの?
本によって、紬や木綿などでは行けないフォーマルな席の規定が違うので、
どんどん訳が分からなくなるのでした。
地域差や年代差や個人の好みでルールは変わるからなあ…)


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『歌舞伎のかわいい衣装図鑑』

2010年04月03日 | 
歌舞伎のかわいい衣裳図鑑
君野 倫子
小学館

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ちょっと前に、歌舞伎初心者向けの特集が組まれたTV番組を観たので、
面白そうだなあ、と図書館で借りました。
役柄と衣装には深い関わりがあるのですね。
姫やお嬢様のコーディネートが、派手可愛い!
芸者は粋で色っぽく、花魁は絢爛豪華です。
これって、女教師はスーツに眼鏡とかいう類の、
キャラを強調するお約束と思えば良いのでしょうか。
(腐女子なんで、ついマンガ的例えになってしまいます…)

こうした初心者向きの歌舞伎関係の本は、
気が向いた時に興味深く読んだりするのだが
(特にあらすじを読んでいると、後世の様々なジャンルの作品への
影響が感じられて、ほほう…と感心したりする)
歌舞伎を実際に観に行く気にはなれないのだった。
だって、ドレスコードが怖い~~~。
劇場に慣れている人が着るものについて優しく指南してくれたら、
そこまで敷居が高く感じないけれど、
着物にしろ、洋服にしろ、気付かずに場違いなものを着て行って、
美意識の高いおばさま方に通り過ぎ様に嫌味を飛ばされた日には、
完全に歌舞伎そのものを嫌いになってしまうでしょう。
確かに格式は尊重するべきだし、わきまえた上で遊ぶ楽しみもあるけれど、
ある程度お金持ちじゃないと、出来ないことだからなあ。
(だから伝統芸能って、一般庶民には、入り口が狭いのよね…。
みんながみんな、裕福で教養があって物持ちで、
月に一度は歌舞伎座に行きましょうねって、世の中だったらいいのに)

でもTVで放送される歌舞伎くらいは、時折観てみようかな。
不景気で物質的な贅沢はしにくい時代だけど、
頭の中にどんどん知識を入れることが一番の贅沢だものね。
何よりTVなら、観ている側がどんな服装でも平気だし♪


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また、図書館の着物本

2010年04月01日 | 
洋服感覚で楽しむ コットン、リネン、ウールの着物
小砂 麻美
河出書房新社

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こちらは、10~20代の子が着たら可愛いかな?と思うコーディネート。
(わたしの年代では、着こなしが難しいかなと思うものもあった。
レースの帯揚げなど、洋を取り入れた独特な“遊び”がある組み合わせ。
こういう装いの日に、審美眼のキビシい母親世代には見つかりたくないぞー)
紹介されていた栃尾縮みが素敵。
洋風ショールや羽織の使い方は真似してみたい。
お着物に合わせたグラニーバッグも手作りしたいなあ!
(いや、まず着物を買わなきゃ始まらないのだった。先走り…)


着物の織りと染めがわかる事典
滝沢 静江
日本実業出版社

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↑で、こっちの本は正統派の視点な訳だ。
ふだん着物と正統派着物の本を同時に読むと、
価値観にズレがあって、非常に混乱します。
どちらの言い分にも一理あるのだが。

こちらでは、着物の種類を写真や解説で紹介しています。
分かりやすく系統立てて織りや染めを説明してくれる本って、
見つけるのが難しかったので、これは有難かった。
(しばらくすれば多分忘れちゃうから、本当はこういう本を所蔵したいけども)
お高い着物は買えないが、成り立ちや特徴を少しでも理解できれば、
今後博物館鑑賞などをする際に、より楽しめるのではないかと、
ちょっと学習意欲がわいているのです。
服装史は以前から好きでしたが、その興味は西洋に偏っておりました。
気の向くままに、これからは日本のことも勉強してみようと思っています。
それにしてもわたしって、形から入る性格だなあ。


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