名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(570);四間飛車に袖飛車急戦(富沢幹雄)

2017-07-04 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番二上先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170704
昭和55年12月、富沢幹雄先生と第20期十段戦です。


大山先生は四間飛車、富沢先生は当然急戦です。右桂を45に捨てる急戦が得意。

大山先生はいつもの32金で

富沢先生は袖飛車から35歩の交換です。ただ、32金の形に対してはもっと中央を厚くしておいてから交換するのが普通です。大山先生は当然に45歩。

これに飛車を切って66角打ちというのが富沢先生の狙いの手でした。3筋に飛を打って受けるのは、45歩とされて後続がないので

大山先生は桂を逃げて飛を打ち込みます。

富沢先生は端に手を付け、角を使って攻めます。

飛を取ったものの後続がなくて、12飛は32歩で止められるので効果なし。

33金と出るのは相手の顔を見た手でしょうか。富沢先生なら、馬引きを防げば切ってくるわけで

端を攻めさせて

角打ちが反撃です。94金76角は決まっています。

角をつないで

55歩を誘って75桂で決まりです。でも55歩ではなくて金銀で67と87を守れば決まらなかったのですが。形作りをさせた、ということかもしれません。

簡単に投了図。

富沢先生の指したい手を知っていたような大山先生の指し方でした。最初の仕掛けが少し無理で振り飛車よしなのですが、先手が粘りの棋風ならば簡単ではないはず。派手な将棋をみた、ということで。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:富沢幹雄8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 6八玉(59)
10 4二飛(82)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 5八金(49)
14 7二玉(62)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 3六歩(37)
18 8二玉(72)
19 4六歩(47)
20 3三角(22)
21 2五歩(26)
22 3二金(41)
23 3八飛(28)
24 7二銀(71)
25 3五歩(36)
26 同 歩(34)
27 同 飛(38)
28 4五歩(44)
29 3三飛成(35)
30 同 桂(21)
31 6六角打
32 2五桂(33)
33 1一角成(66)
34 2七飛打
35 9五歩(96)
36 同 歩(94)
37 3四歩打
38 同 銀(43)
39 3三角成(88)
40 4三銀(34)
41 4二馬(33)
42 同 金(32)
43 1二飛打
44 3二歩打
45 1三飛成(12)
46 2九飛成(27)
47 2三龍(13)
48 2二歩打
49 同 馬(11)
50 3三金(42)
51 同 馬(22)
52 同 歩(32)
53 9三歩打
54 同 香(91)
55 9四歩打
56 同 香(93)
57 8五金打
58 6五角打
59 3九歩打
60 2七龍(29)
61 6六香打
62 7六角(65)
63 8六金(85)
64 5四角打
65 5五歩(56)
66 7五桂打
67 5四歩(55)
68 6七角成(76)
69 8八玉(78)
70 8九馬(67)
71 同 玉(88)
72 8七桂成(75)
73 投了
まで72手で後手の勝ち



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20170704今日の一手(その534); 目標を作る工夫

2017-07-04 | 今日の一手

20170704今日の一手

6月10日の名南将棋大会から、HさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。後手に持ち歩があります(し、45の歩も取り返されそうです)から損得なしとします。
玉の堅さは同程度ですが、49金が離れている分だけ後手のほうがやや堅いか。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は持ち駒角のほかに、45の歩を取れば34銀か42飛(または両方)は攻め駒になります。現状は2枚、3枚に近いです。

総合すればやや後手が指しやすいです。

☆ 大局観として
元は後手が三間飛車で、3筋の歩を切って、左銀が前に出て、4筋に転戦した、という図です。後手の調子が良さそうですね。
先手としては主張できるところが見当たらず、とりあえずは4筋の攻撃をしのいでおくしかなさそうです。
感覚としては左右を逆にして、先手が振り飛車で後手が右四間飛車というのに近いです。先手は美濃囲いではないから損をしています。

さて、4筋を受けるのですが、しっかり受ければつぶれることはないです。それ以上を求めるとかなり難しい選択になります。


× 実践は59金と飛の筋を避けました。後手は45銀

49飛成を防ぎつつ、4筋は軽く受け流して指そうと思ったわけですが、4筋を制圧されそうです。
66角33角同角成同桂66角に64角

角を据えてけん制するくらいですが、後手も自陣角です。18飛46歩に33角成

で勝負しに行ったのですが(銀を引いているようでは抑え込まれるとみた)、47歩成42馬同金43歩52金寄32飛41銀

後手は桂銀交換+と金 で駒得です。銀を投入して守り

55角打ちで竜取り。19角成から飛を取って簡単に寄せてしまいました。


△ 常識的には48飛で

こういうのは振り飛車みたいな感覚です。飛には飛で受ければつぶれにくいです。
後手としては33桂なら66角


64角には37角


なので、素直に45銀と取るほうが良いです。

45銀に46歩以下進めると

桂を跳ねると頭を狙われて厄介です。

また、桂頭をカバーすると

銀をぶつけられる(55銀にも63金から54歩)と、59銀の筋や銀を使っての角打ちの隙ができやすく、悪いわけでもないけれど、作戦負け気味です。後手に2歩もたれて、この後の駒組みが難しいのです。

45銀に37桂と頑張ってみると

銀を引いたらどこかで(陣形整備してから)46銀と出る意味です。46歩に45桂47歩成同飛46歩同飛37角

これは馬を作られた上に、45桂が負担なので先手不利。

つまり48飛はおとなしくて作戦負けになりそう。


○ 37桂と歩を守ったら

後手は33桂でしょう。桂の跳ね合いはどちらが得をしているか。66角と自陣角を据えます。

45桂同桂同銀11角成

46歩58銀36銀に44香

32飛33歩31飛22馬51飛32歩成

というのは先手よし。何度か書いた11角成は案外に大きな手という例です。

後手は33の桂を何かで守るのですが、32歩や43金や43飛では少し損なので24角

が普通の手です。25歩では15角なので、58金上として、46歩56銀45桂同桂同銀

が自然な応手でしょうか。(後手の変化も考えられますが。)45同銀同飛56銀41飛22角成

先手の角は馬になるのです。後手の角は成れないので狙われる駒、そういう差が出やすくて、先手が指しやすくなる変化が多いと思います。


× 56銀と歩を守るのは

45銀同銀同飛が金に当たります。48歩など守ったら64角

18飛は27銀、37角は46銀、37銀は35歩、どれも後手が指しやすいです。


○ 軽く44歩と突きだすと

かなり景色が違います。55角37角44角

というのは歩損ではないので全くの互角。

44同飛が普通で

48飛42飛(22角などを避ける)56銀

開き直って飛車交換を挑みます。48飛成同金28飛38角27角39飛

というのは善悪不明。飛を打たないで角を取るのもあります。

飛車を交換せずに46歩

かもしれません。44歩と対抗して、64角に65角

という戦いです。66から打って長期戦もあります。


× 後は角を打つ手で、44角

ここは質駒なのですが、45飛を防いでいます。33角と合わせるのは同角成同桂に66角

45飛58金上43飛と手順に守られて、48飛には27角

これは動きにくいです。これも悪いわけでもないけれど、進めてみると後手が指しやすい感じです。

では2度目も44から打ってみます。

32歩の時に困っていて、56銀45銀同銀同桂11角成57桂成

では44香が間に合いません。

浮き駒を避けて58金上なら

64角18飛45銀66角46歩38銀36銀34歩47歩成

これくらいまで一本道、桂を取れても金を取られて悪いです。

なお、44角に64角なら

18飛44飛同歩27角

58金上18角成同香28飛31飛

で歓迎なのですが。


× 66角だと

先ほどの33角の変化でも悪そうですし、45飛58金上33歩

という変化を選択されるかもしれません。


☆ まとめ
問題図の形勢が思わしくないので、当たり前の手ではじり貧という可能性が高いです。
形勢不利だと難しいのですよね。自分から動いて簡単に負けることも多いですが、あまり動かないとさらに形勢が悪化するというジレンマです。

常識的な48飛は、後手の作戦勝ちで終わりそうです。

37桂33桂に66角と打ってやや先手が指せるか、というところ。これは対振り飛車の右四間飛車で右桂を使う急戦が難しいというのと似ています。後手に33桂を跳ねさせるほうが角打ちの隙ができやすいのです。

ただし、自分から44や66に角を打って、33角同角成同桂を誘うのはやり過ぎで、47銀49金が浮いている先手陣の不備を突かれます。

目先を変えて、44歩と突きだすと、激しい変化になるかもしれません。そのときは34の銀が浮いているということもあり、後手が3筋の歩を切っているということはどこかに行ってしまいます。

37桂と跳ねて33桂を誘うとか、44歩同飛と取らせることで角打ちの隙ができるとか、ちょっと工夫が必要な局面でした。

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