名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(592);四間飛車に中央位取り(中原誠)

2017-07-26 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170726
昭和56年5月、中原誠先生と第38期棋聖戦です。


大山先生の四間飛車で、72銀や52金左が早いのは玉頭位取りを意識したものでしょう。そこで中原先生は中央位取りに。

持久戦の方です。

大山先生は6筋の歩交換は許しましたが、45の位を取る積極策です。

これに中原先生が68飛とまわるのは新鮮な感じです(65同歩としてもらえないときにはあったと思うが)。歩を打たせて

6筋を狙います。

桂馬の交換になり

桂を打ちあいます。

今度は3筋の折衝で

大山先生は3,4筋を狙います。

65歩には同歩以下面倒を見るのが大山先生らしいのかとも思うのですが、銀を出ての攻め合いを選びました。

銀をぶつけて

角取り。45歩では少し悪いでしょう。大山先生も踏み込んで

猛烈な寄せ合いです。

中原先生の方は一回78銀打もありそうでしたが、互いに銀で桂を取り合って、先手玉は詰めろ。後手玉は詰まなさそうに見えましたが72銀から

清算して

詰みがありました。

大山先生も晩年にさしかかり(まだ十年以上最前線でしたが)なので読む力は衰えているはず。一直線で勝ちだと思ったのでしょうが、中原先生の読みきりでした。もっとゆっくり指せばいいのに、と思うのですが、中原先生相手だと勝ちを焦っている感じがします。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:中原誠名人
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 5七銀(48)
16 5二金(41)
17 5五歩(56)
18 7一玉(62)
19 5六銀(57)
20 4三銀(32)
21 6八銀(79)
22 6四歩(63)
23 5七銀(68)
24 6三金(52)
25 6六歩(67)
26 7四歩(73)
27 6五歩(66)
28 同 歩(64)
29 同 銀(56)
30 7三桂(81)
31 5六銀(65)
32 4五歩(44)
33 6八飛(28)
34 6四歩打
35 5八金(49)
36 4四銀(43)
37 6六銀(57)
38 3五歩(34)
39 7七桂(89)
40 3二飛(42)
41 6五歩打
42 同 歩(64)
43 同 桂(77)
44 6四歩打
45 7三桂成(65)
46 同 銀(72)
47 8五桂打
48 8四銀(73)
49 8六歩(87)
50 5二桂打
51 6七金(58)
52 3六歩(35)
53 3八飛(68)
54 3七歩成(36)
55 同 飛(38)
56 3六歩打
57 3八飛(37)
58 1四歩(13)
59 6八金(69)
60 6二金(61)
61 5七金(67)
62 1三角(22)
63 6五歩打
64 4六歩(45)
65 同 歩(47)
66 3五銀(44)
67 6四歩(65)
68 同 桂(52)
69 6七銀(56)
70 6五歩打
71 同 銀(66)
72 4六銀(35)
73 同 金(57)
74 同 角(13)
75 4八飛(38)
76 4二飛(32)
77 5七銀打
78 同 角成(46)
79 4二飛成(48)
80 8七銀打
81 同 玉(78)
82 6八馬(57)
83 6四銀(65)
84 8五銀(84)
85 7二銀打
86 同 金(62)
87 同 龍(42)
88 同 玉(71)
89 4二飛打
90 6二歩打
91 6三銀成(64)
92 8一玉(72)
93 4一飛成(42)
94 9二玉(81)
95 8四桂打
96 投了
まで95手で先手の勝ち

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20170726今日の一手(その545); 悪手を重ねない

2017-07-26 | 今日の一手
20170726今日の一手

2013年3月の名南将棋大会から、私とIさんの将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうがかなり堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は54角35銀で2枚。

総合すれば後手が指しやすいです。

☆ 大局観として
後手の角交換四間飛車の将棋で、私が右の駒を使いつつ位取りにしたのですが、手数がかかったので銀冠から穴熊に組み替えられてしまいました。
私は穴熊を指しこなせないので、つい評価を低くしてしまいがちです。銀冠穴熊でも85歩同歩84歩・・・と攻めればすぐに崩せるから、と少し甘く見ていました。そのうち角を打ち込んで馬ができるだろうと楽観していました。
直前は後手が35歩と合わせて、悪くないと思っているので簡単に35同歩同銀と進んだのが問題図。でもこれは44にいた銀を攻め駒にさせた疑問手だったのです。
問題図で気が付いていればまだよかったのですが、さらに疑問手を指してしまいました。悪手を重ねないというのはとても大事なのです。

方針としては後手の攻め駒を増やさないことです。が、形勢が思わしくないのでかなり難しいです。


× 実戦は55歩と突きだして

76角と切られて「しまった」という感じです。(角を逃げてもらえるわけはないですよね。)76同金36歩

34歩37歩成33歩成38と同銀21飛

二枚換えでも と金ができてまだまだ、ではありません。玉の堅さはさらに差が開き、入玉くらいしか勝ちようがないです。しばらく進んで

飛を封じて馬や角で受けているのですが、重くても確実な攻めで寄せ切られました。

問題図の少し前に55歩だったら

まだ指せたのです。ここで76角と切るのは早いので、36角85歩同歩同銀84歩76銀

くらい。これは44の銀が攻め駒になっていません。


○ 55歩はほぼ1手パスです。すぐに34歩のほうが手の流れとしては本筋。

36歩33歩成37歩成22と38と同銀48金

89飛38金32飛

これで金銀の取りが受けにくくて、46銀38飛成76角同金57銀成79桂47銀

という進行でなんとか受け続ける展開です。どこかで反撃に転じられれば勝負になります。


× 51角32飛34歩

というのは工夫できるところなのですが、同じように進めて36歩33歩成37歩成(52飛もある)32と38と同銀48金89飛38金

32飛が打てないですし、51角の働きもありません。


× 31角52飛34歩

も工夫ですが、36歩33歩成37歩成同金76角同金48銀

後手の飛を先に逃げられているわけで、先手が良くなる理屈がないです。


× 55角はひねった手で

44銀で殺される(64角と逃げても質駒になるだけ)けれど、45歩55銀同歩で角あたり。そこで45桂

が強い手で、こういうのを見つけられたらどうしようもないです。45同桂同角56銀打に37歩28金35桂

46銀48角49飛56角同金47桂成

変化はいろいろありますが、駒損で攻められているので、悪くなったらどうしようもないです。


△ 検討していて17角を見つけました。34歩(44銀もほぼ同じ)36歩44銀55歩

で角を切るのは早いから、引いてもらえばまだこれからです。

しかし強く36歩と打たれたら

35角37歩成同金76角同金48銀

89飛37銀成58銀48成銀67銀25桂

という図は32飛を食らいそう。53角成には57歩で返されます。ここで手が難しいから少し悪いです。


× 36歩は自然に見えるかもしれませんが、歩切れになります。

36同銀同銀同角

で58銀があるし、47銀54角55歩63角65歩同歩同桂(歩を入手した)36歩

37歩成から48銀があるので簡単に悪くなります。


△ 45桂は狙われる桂をさばく手ですが

45同桂同歩32飛

後手の攻め駒が増えてきます。41角31飛23角成46銀33歩37歩

この歩が好手で、48金47銀成同金38歩成32歩成61飛

飛を封じたらそんなに悪くもなさそうなのですが、後手からは37と同金48銀という筋があります。と金を入れれば後手の攻め駒は4枚になっているので受けきりはできないでしょう。


○ じっと29飛と我慢したらどうか。

両取りの筋を回避しました。(問題図の前に一度29の飛を59に回っているので、手の調子はおかしいわけですが。)36歩に45桂同桂同歩、後手から強攻するのは76角同金46銀打

ですが、27飛47銀成同飛

と受ければまだまだ。


× 49飛も受けの手ですが

36歩45桂に25桂

の跳ね違えがあって、この場合は後手が十分。


× 65歩は角切りを避けた手で

36歩45桂同桂同歩65歩33角に32飛

11角成は26銀で3筋を破られます。55角成26銀33歩62飛36銀に66歩

突き捨てをとがめられました。こうなると悪くなります。66同馬しかなく、同飛同金37銀成同金48角

これはボロボロです。


☆ まとめ
問題図の前の疑問手(35同歩で銀を進出させた)を指した、と気が付いたら、気を取り直して修正手順を考えるしかないです。
多分対局中は34歩36歩で駒の取り合いを読んでいたのだと思いますが、角を追ったら指しやすくなるなあ、と変なタイミングで気が付いて、ふらふらと指してしまったのでしょう。角を切られてほぼ1手パスです。悪手疑問手は2手続けるとあっという間に負けてしまいます。

予定の34歩はやや自信なし。でも勝負にはなりました。

じっと我慢するなら29飛でした。問題図だけではわかりませんが、明らかな2手パスということになるので、「私が悪うございました」を認める手ですが、やってみれば大変です。

角打ちの工夫は17角。それでも36歩とやってくるのかなあ?34歩と思いとどまってもらえるような気もするのですが。それなら角の働きの比較になり、やや先手よしになっていると思います。

あとは軽く45桂、これくらいまでが合格点です。

形勢が悪くなると、自分に都合の良い変化が減ってくるわけで、つい楽な道を考えてしまうのですよね。55歩63角で少し良いのではないか、とおもいついたら飛びついてしまいます。相手の応手もしっかり考えておかないと落とし穴があるものです。

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