名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(578);四間飛車に玉頭位取り(米長邦雄)

2017-07-12 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?

☆ 今日の棋譜20170712
昭和56年1月、米長邦雄先生と第6期棋王戦挑戦者決定戦です。大山先生は一度米長先生に負けて、裏街道を勝ち上がりました。2勝必要です。


大山先生の四間飛車に米長先生は玉頭位取りです。

44銀の形は飛をまわるのが常識で、棒銀のさばきを避けます。

大山先生はそれから石田流に。

5筋の歩も交換します。

米長先生は5筋まではおとなしく、玉頭方面は強く戦います。6筋の位も取って角筋を通し

角がぶつかりましたが、金を締まります。

6筋の歩交換には銀を上がるのが良さそうな手です。左側は強気です。

大山先生は飛をさばく準備。

歩の手筋で

飛車をさばきました。米長先生は桂を逃げるのが先手で

桂を捕獲される間に5筋を攻めます。

これで5筋が破れます。

飛車取りには一度角を出て

角を切ってからの取り合いで

金銀だけですが、後手玉はかなり薄いです。3手すきか4手すきにはなっているでしょう。先手玉はどれだけ危ないかですが

64歩に69と、まだ先手玉は詰みません。

63歩成はまだ詰めろではなく、先手玉はとりあえず詰めろ。

米長先生は決めるだけ決めて玉の早逃げでした。

先手玉に詰めろがかからず(78飛成も詰めろにならなかった)、73銀不成ならさらに安心で投了図。

玉頭位取りの優秀性がよくわかる将棋ですが、米長先生が好調過ぎました。相手のいうことを聞いているばかりのようで、有利にもっていくのは大変なのです。位取りの好きな方にお勧めの棋譜です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄棋聖
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5八金(49)
12 7二玉(62)
13 5六歩(57)
14 4三銀(32)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6八銀(79)
18 8二玉(72)
19 7五歩(76)
20 7二銀(71)
21 7七銀(68)
22 4五歩(44)
23 5七銀(48)
24 5四歩(53)
25 6六歩(67)
26 4四銀(43)
27 4八飛(28)
28 3五歩(34)
29 7六銀(77)
30 3二飛(42)
31 3八飛(48)
32 3四飛(32)
33 7七角(88)
34 5五歩(54)
35 同 歩(56)
36 同 銀(44)
37 5六歩打
38 4四銀(55)
39 6五歩(66)
40 5二金(41)
41 8八玉(78)
42 3三角(22)
43 6七金(58)
44 5三銀(44)
45 7八金(69)
46 6四歩(63)
47 同 歩(65)
48 同 銀(53)
49 6六銀(57)
50 4六歩(45)
51 同 歩(47)
52 4七歩打
53 6五歩打
54 5三銀(64)
55 5五歩(56)
56 3六歩(35)
57 同 歩(37)
58 4八歩成(47)
59 3五歩(36)
60 2四飛(34)
61 4八飛(38)
62 2六飛(24)
63 3七桂(29)
64 4四歩打
65 5八飛(48)
66 3六歩打
67 5四歩(55)
68 6二銀(53)
69 7四歩(75)
70 同 歩(73)
71 8六角(77)
72 3七歩成(36)
73 5三歩成(54)
74 4七と(37)
75 6四角(86)
76 7三銀(62)
77 同 角成(64)
78 同 銀(72)
79 5二と(53)
80 5八と(47)
81 6一と(52)
82 2八飛成(26)
83 6四歩(65)
84 6九と(58)
85 6三歩成(64)
86 8六桂打
87 7三と(63)
88 同 玉(82)
89 6二銀打
90 6三玉(73)
91 5三金打
92 7二玉(63)
93 9七玉(88)
94 7八龍(28)
95 7一と(61)
96 8二玉(72)
97 8一と(71)
98 同 玉(82)
99 7三銀(62)
100 投了
まで99手で先手の勝ち


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20170712今日の一手(その538);駒得は味が悪い

2017-07-12 | 今日の一手

20170712今日の一手

6月24日の名南将棋大会から、私とNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答
仕掛けは

この形から。実際は先後逆で、筋違い角四間飛車でした。ここか2手後でもよいのですが、25歩同歩を入れておくとよかったのになあ、という反省です。飛車先を突き捨て損ねることが多いのです。
45同歩同桂同桂同銀で問題図。

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損ですが、持ち歩があるので損得なしとします。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は66角56銀と持ち駒桂で3枚。
後手の攻め駒は45銀と持ち駒桂、23角も数えてよいでしょう。ほぼ3枚です。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
右側で戦う形にしてしまったのが問題で、作戦勝ち(65の位を取って筋違い角の働きが悪くなっていた)が消えています。
形勢は全くの互角ですから、互いの飛角の働きの良し悪しに注目します。どちらの飛も攻めには働いていないです。だから25歩同歩が入っていれば指しやすかったはず。66角は攻防に働いていますし、11角成から馬を引いて使うイメージ。後手の角は馬にはなれませんが、78の金を射程に入れています。
当面はぶつかっている銀をどうするか。取るのも取らないのもあります。また、桂馬のふんどしもありますね。それを決行するかどうか。悩みそうです。駒得よりは守備陣形の良さを中心とした駒の働きを考えたいです。


× 35桂で勝てるかどうか。

56銀同歩34角43桂成同飛44歩41飛

後手からは74桂55角54歩があるので35銀と押さえておく感じ。あるいは44歩ではなくて46歩から22角成を見るべきか。これは駒得なのですが、後手も攻め駒4枚はあるわけで、あまり味が良くないです。受けきりにはできなくて、どうにか後手の飛角を抑え込めるかどうか。

44歩のところで44金は悪手で、74桂55角54歩

でまずいです。駒得は味が悪いものなので、欲張るとひどい目に合います。

戻って、感想戦では56銀に同金かという話をしたのですが

56同角同歩54金43歩62飛

駒得でも35桂が遊んでいて自信はありません。

対局中は56銀の前に46歩だと思っていました。

23桂成47歩成同銀37金

まあ例によって37金が見えていないわけですが、47銀としたところが自信がなく、見送りました。

でもこれは45銀を取るほうが良くて

46と44歩45と43歩成同飛33成桂

は先手よしです。

つまり後手は35桂には56銀同歩34角で金と桂の交換でも、攻め駒が増えて飛が使いやすくなれば悪くないわけです。(43金がさばけたとも言えます。)


△ 45同銀が普通の手で

後手からみた予定の筋でしょう。45同角46歩に78角成

角を引いても抑え込まれそうなので切ります。78同玉74桂11角成45歩同歩66金67銀打46歩

どんどん攻められそうです。ただし形勢は互角。56金とかわして、将来は75歩から桂を取るのが攻防になります。


○ 受けるなら46歩のほうが良くて

56銀に同歩

このほうが角筋が止まっているので切られないです。持ち歩が無くなるのが難点ですが、11角成を楽しみにしておきます。次に35桂は打ちたいような打ちたくないような。


× カウンターは44歩ですが

44同金に45銀同角33銀

78角成同玉55銀

と打たれて、飛車を取る余裕がないです。角を逃げたら43飛で効果なし。


△ 実戦は74歩と打ちました。

74同歩に11角成

という予定です。何かの時に55馬があるので先手よし。66桂と打つのが決め手になるかも(62桂がない時に)しれません。

74歩は手抜いて46歩と打たれました。

48金84桂87銀56銀同歩同角

57金78角成同玉47歩成同金54金

後手の飛が働きだしました。46歩55銀に33角

としたのですが、55同角同銀33角のほうが良かったですね。この図は形勢互角です。
あとは66銀同角成64歩(疑問手)85歩65歩33馬62飛84歩66角

という進行です。ここで馬をかわした(34馬)のですが、73歩成同銀83歩成同玉66馬同歩75桂

で寄り筋でした。
この将棋は最終盤で受けたつもりが受けになっていなくて、その先の勝負手ものがして負けました。


○ 他には48飛

というのが振り飛車感覚の手です。46歩45銀(46同金よりも得)47歩成同飛

46歩同飛44歩56銀54桂

で飛角の両取りです。でも55角46桂74桂92玉95歩

あれ?これは受けにくいですね。先手有利かも。


× 他には55銀や67銀とかわす手、もっと歩があれば95歩と攻める手も場合によってはありますが、この問題ではうまくいきません。



☆ まとめ
35桂が成立するかどうか、が課題だったわけですが、相手の守備駒でもない駒を取りに行くときは慎重になったほうが良いです。43金は遊んでいるような駒なので、持ち駒の桂を使って取っても効果が薄いです。後手の攻め駒を増やす結果になりました。
35桂というのは筋が悪い、というわけです。桂馬は玉頭方面に使って、後手玉を攻略したい駒でした。

振り飛車感覚の48飛、なかなか思いつきませんでしたが、これは案外に有力です。後手も桂で両取りが見えるのですが、それで悪いとは。やはり駒得は味が悪いものなのです。

受けるなら46歩が手堅く、45同銀では角を切られる手が残ります。

実戦の74歩は攻め合いに持ち込む狙い。いつでも美濃囲いを崩せるので、後手の攻めを制限しています。ただしすぐに73歩成は76歩と攻められることになるので、そのタイミングを間違いました。自玉を気にしすぎて負けたのです。

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