名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(584);四間飛車に中央位取り(佐藤大五郎)

2017-07-18 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170718
昭和56年2月、佐藤大五郎先生と第22期王位戦です。


佐藤先生の四間飛車(マキ割り流四間飛車ですからね)に大山先生は中央位取りです。

持久戦のほうを選びました。佐藤先生は石田流へ。

大山先生は珍しく36歩を受けます。

左銀でけん制すれば、佐藤先生は角を引いて石田流本組を目指します。

金を寄るのは苦心の手で

ここで1歩持つときに33桂にひもを付けているというわけです。(64同歩同飛に54歩を避けた。)

陣形整備が終わって、大山先生から動きました。

この歩が間に合うようには見えませんが(12香の形ですし)

と金を作って46歩。素直に交換させてもらえるわけはなくて

飛交換です。

11飛が狙いでした。飛で縦に香を取るのは良い手が多いです。32金も浮いていると。佐藤先生は42金~52金というのもありますが

マキ割り流は攻め将棋です。金を見捨てて攻めます。

大山先生の香打もぴったりした受けではないので(埋めただけ)

大変そうに見えます。

しかし香が手に入るのでこの反撃は厳しいです。大山先生が優勢になりました。

佐藤先生は歩を成り捨てて受けるのでは望み薄です。大山先生は端を攻め

詰めた後は手堅く底歩を打って

投了図。


22歩が良い手になるとは思いませんね。大山先生の感覚の良さが目立ちます。佐藤先生にしつこく攻められても大丈夫だとわかっているのです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:佐藤大五郎8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 5七銀(48)
16 7二銀(71)
17 9六歩(97)
18 9四歩(93)
19 5五歩(56)
20 4三銀(32)
21 5六銀(57)
22 5二金(41)
23 6六歩(67)
24 3五歩(34)
25 2五歩(26)
26 3三角(22)
27 6八銀(79)
28 3二飛(42)
29 1六歩(17)
30 4二角(33)
31 2六飛(28)
32 3四飛(32)
33 5七銀(68)
34 1四歩(13)
35 4六銀(57)
36 3一角(42)
37 6五歩(66)
38 3三桂(21)
39 6六角(88)
40 1三角(31)
41 6八金(69)
42 1二香(11)
43 6七金(58)
44 4二金(52)
45 5七銀(46)
46 4五歩(44)
47 8八玉(78)
48 6四歩(63)
49 同 歩(65)
50 同 飛(34)
51 7八金(68)
52 3四飛(64)
53 6八銀(57)
54 5二銀(43)
55 1五歩(16)
56 同 歩(14)
57 2四歩(25)
58 同 角(13)
59 2二歩打
60 3二金(42)
61 2一歩成(22)
62 6三銀(52)
63 4六歩(47)
64 3六歩(35)
65 同 飛(26)
66 同 飛(34)
67 同 歩(37)
68 4九飛打
69 1一飛打
70 2九飛成(49)
71 1二飛成(11)
72 7四桂打
73 7五角(66)
74 6六歩打
75 7七金(67)
76 4六角(24)
77 5七香打
78 1九龍(29)
79 3二龍(12)
80 6七香打
81 7九金打
82 6八香成(67)
83 同 金(79)
84 6七銀打
85 同 銀(56)
86 同 歩成(66)
87 同 金(77)
88 6六歩打
89 7七金(67)
90 6七銀打
91 6五香打
92 6八銀成(67)
93 同 金(78)
94 6七歩成(66)
95 同 金(77)
96 6四歩打
97 9五歩(96)
98 8五金打
99 9四歩(95)
100 9二歩打
101 6九歩打
102 7五金(85)
103 同 歩(76)
104 投了
まで103手で先手の勝ち
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20170718今日の一手(その541);力をためる

2017-07-18 | 今日の一手
20170718今日の一手

2013年1月の名南将棋大会から、私とNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はないのですが、と金を作られていますから先手が少し駒損です。
玉の堅さは同程度。この瞬間ならやや先手のほうが堅いかも。
先手の攻め駒は29飛45桂と持ち駒角で3枚。
後手の攻め駒は97と と持ち駒角で2枚。54銀は攻め駒のような受け駒のような状態です。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
実際は先後逆で、後手Yさん(実際は先手)の中飛車に糸谷流右玉の将棋です。中飛車に対する糸谷右玉はまだ有力だと思っています。
端は破られましたが先手玉からは遠く、97と ですぐに取れる駒もないです。今は桂取りですし、長引けば98歩から香を取る手もありますし、持久戦にはしたくないです。ですから攻める手を考えたい、ただし45桂を守るべきかどうか、というのが考えるべきところです。


× 24飛は15角で王手飛車

ですから飛車をさばいてよし、とはいきません。29飛は攻め駒に見えるのですが、24飛と出られないのなら攻め駒ではないのかも。


× 実戦では41角と打ちました。

強攻して楽勝だと読んでしまったのです。42飛63角成同銀53桂成

飛車はどこに逃げても強攻できます。しかし44角

と打たれて困りました。42成桂66角~77角成というのは後手の駒得です。気を取り直して43歩22飛23歩同飛63成桂66角57銀

飛車を追って銀を取っての勝負です。駒損というか攻め駒が少ないので銀を打たずに57金が正しいのですが、団体戦なので簡単に負けないほうを選びました。77角成75歩43飛73成桂同玉54金41飛64金82玉74歩72歩73歩成同歩74歩同歩79飛

78銀同飛同馬84銀72金73歩

細い攻めですがどうにかつながって互角に持ち込み、きわどかったのですが玉を上に逃げて勝ちになりました。


○ 後で44角の両取りがあるのなら46歩

と桂を守っておくのが正しい手でした。44歩なら41角

42飛63角成同銀53桂成

これは楽勝です。44角がありません。

戻って

ここでは41角のほかに44角もあります。両方受けるなら42飛でしょうか。85桂

と跳ねて、84銀64歩62金引53角

拠点ができたら、露骨な手でも勝てそうです。


△ 他の角打ちを見ておくと、44角は

53桂成と11角成の両狙い。45銀46歩に同銀(54銀では11角成でやや先手よし)同銀54桂

57銀左46桂同銀42飛45歩44飛同歩66角

後手は飛を切って入玉を目指します。これは互角です。


× 23角は

34角成とできればよいのですが、31飛には22歩くらい。
45銀46歩

54銀21歩成となればまあまあです。54桂(先に46同銀同銀54桂でも同じようなことになる)57銀46銀同銀直同桂同銀66角

から77角成と取られます。先手は21歩成に33飛で後手を引くのが少しつまらないです。23角は働きが弱い感じです。


△ 単に22歩

のほうが23角よりは良いかもしれません。取れば44角(これも互角ですが)の狙い。やはり45銀46歩54桂

57銀46銀同銀直同桂同銀66角

先ほどの23角31飛を入れていない分だけ得をしているようなしていないような。互角ですがやや後手が良いのでしょう。


○ 85桂は攻め駒を増やす手で

84銀なら64歩62金引41角42飛74角成

83歩に55銀と出るのが好手。73歩54銀74歩63歩成

どう応じても63歩成が実現します。

よって85桂には45銀

と桂を取るのでしょう。46歩54銀55歩43銀73桂成

銀を追ってから73の銀を取るのが正しく(63銀と引かせないため)、73同金75歩同歩74歩同金41角

桂桂と銀の交換で駒損ですが、馬を作って後手の飛をいじめていく感じです。守りの銀を取った効果で、玉の堅さで優るようになり、十分に指せます。


△ 75歩でも同じようですが

45銀46歩に54桂

57銀46銀同銀直同桂同銀66角

で77の桂を取られてしまいます。57銀(金が良いのかも)77角成55桂

で馬を作られている分だけ駒損が広がりましたが、角を使わせたので24飛も可能ですね。入玉を防ぎつつ後手玉を攻略できるかという将棋になります。


☆ まとめ
41角から強攻して桂を成れるところなので、45桂を守る必要がない、と思える局面でした。しかし両取りが痛かったです。(正確には66角と取られたのが王手桂取りなので、それが痛かった。)こういうのが見えないのですよね。

44角を見越して46歩と打っておけば大正解。そもそも46歩と叩かれる傷があるのですから、感覚的に46歩と打っておくのは本筋なのです。こういうところ、手厚い将棋を指せていないなあ、と反省します。

45桂を取らせるのはかなりの代償がないといけないのですが、44角、23角31飛22歩、単に22歩は代償(桂か香を取り返せる)があります。一番良いのは85桂で73の銀を剥がす手でした。これらは少し読んでみないとわかりません。

ちょっと良い手(41角からの53桂成)が見えた時に、後で必要な手(46歩)を指して力をためる。こういうのを考えるようになるともっと強くなります。その時に相手にどんな手を指されるかを考えておかねばなりませんから、それが自分の指した力をためた手よりも効果が薄い、というところまでわかるかどうか。力をためておくと後の攻めがより強烈になるのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする