名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(576);中飛車に玉頭位取り(森安秀光)

2017-07-10 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番米長先生の次の手は?

☆ 今日の棋譜20170710
昭和56年1月、森安秀光先生と第6期棋王戦です。


森安先生の中飛車で、大山先生は持久戦模様。

森安先生は石田流への組み替えを目指します。

35歩を待って7筋の歩交換です。大山先生はこの交換を避けないのですが

34銀には(72歩62銀を入れるかどうかはわかりませんが)77桂で飛交換を避けられなくなります。

位の歩を取られては作戦失敗です。

森安先生は飛を切って

4筋1筋を突き捨てて、65歩から角で王手。

12歩から11角、こんなところに手がありました。

馬を作れば少し有利です。

7筋を攻めるのが自然ですが

馬だけですからここまで。こうなってみると少し指し過ぎたのかと思えます。

1筋から手を作りに行きました。22玉はかなり怖い(11に玉を呼んで45馬の筋でしょうか)です。

大山先生は と金を作らせても馬を追い

角を攻めます。

森安先生は角を見切って桂を取り

香を取っての二枚換え。

46桂も厳しいですが、64角のラインも急所です。

銀を取って香を打つのも攻防で

45歩に56銀もよさそうな手です。

駒を取りあってみると、ほぼ損得なし。うまくバランスを取るものです。後手玉が薄いのでやや先手もちですが

先手玉も安泰ではないのです。持ち駒がないので手段が乏しく

歩を手に入れても後手玉がしっかりしてきました。

63歩に53玉で後手玉が広く見えてきます。ここでは後手よしになっているようです。

45歩には36桂から

銀を取る手が間に合って

手順に銀取りをかわしました。

森安先生も手駒を得たので攻めますが

下から攻めているので後手玉を捕まえるのは大変です。

先手玉は攻められると狭いのです。

上に逃げ出すのは大変です。とりあえずは39金と打っておくのが良かったはず。

39飛から69飛成は攻防の手になりました。

それでも詰めろで竜を取って

詰めろで金も取って

好手連発なのですが、後手玉が捕まらなくなりました。

先手玉はどうやっても上部に逃げ出せませんでした。

投了図。

大山先生の序盤のミスは少ないのですが、森安先生はうまく攻めました。馬を作ったところは有利のはずですが、馬角だけでは攻めが決まらず。急がないで1筋だけ狙うのが良かったのでしょうね。
長い終盤ですがずっと気を抜けない攻防で見ごたえがあります。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:森安秀光8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 6八銀(79)
6 6二銀(71)
7 5八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5二金(61)
13 2八玉(38)
14 1四歩(13)
15 1六歩(17)
16 5四歩(53)
17 6七銀(68)
18 5三銀(62)
19 3八銀(39)
20 4二銀(31)
21 7五歩(76)
22 8五歩(84)
23 7七角(88)
24 4四歩(43)
25 7八飛(58)
26 9四歩(93)
27 6八角(77)
28 4三銀(42)
29 4六歩(47)
30 3五歩(34)
31 7四歩(75)
32 同 歩(73)
33 同 飛(78)
34 7三歩打
35 7五飛(74)
36 6四銀(53)
37 3五飛(75)
38 3三角(22)
39 5六歩(57)
40 2二玉(32)
41 3三飛成(35)
42 同 玉(22)
43 4五歩(46)
44 8六歩(85)
45 同 歩(87)
46 4五歩(44)
47 1五歩(16)
48 同 歩(14)
49 6五歩(66)
50 5三銀(64)
51 7七角(68)
52 5五歩(54)
53 1二歩打
54 同 香(11)
55 1一角打
56 3二玉(33)
57 5五角成(11)
58 3三歩打
59 7四歩打
60 6四歩(63)
61 7三歩成(74)
62 同 桂(81)
63 6四歩(65)
64 8四飛(82)
65 1三歩打
66 同 香(12)
67 1二歩打
68 6四銀(53)
69 6六馬(55)
70 7四飛(84)
71 1一歩成(12)
72 7五銀(64)
73 5五馬(66)
74 5四歩打
75 4五馬(55)
76 6六歩打
77 5八銀(67)
78 1六歩(15)
79 1八歩打
80 7六銀(75)
81 4四歩打
82 3四銀(43)
83 7五歩打
84 6四飛(74)
85 4六馬(45)
86 6五飛(64)
87 2一と(11)
88 6七歩成(66)
89 1三馬(46)
90 7七と(67)
91 4六桂打
92 6四角打
93 5五歩(56)
94 同 角(64)
95 3四桂(46)
96 同 歩(33)
97 4六香打
98 4五歩打
99 5六銀打
100 4六角(55)
101 同 馬(13)
102 同 歩(45)
103 6五銀(56)
104 同 桂(73)
105 1三角打
106 4二玉(32)
107 6一飛打
108 5五角打
109 2二角成(13)
110 5一香打
111 2三馬(22)
112 3二金(41)
113 3四馬(23)
114 3三銀打
115 5六馬(34)
116 4四銀(33)
117 6三歩打
118 5三玉(42)
119 4五歩打
120 3六桂打
121 同 歩(37)
122 4七歩成(46)
123 5五馬(56)
124 3八と(47)
125 同 金(49)
126 5五銀(44)
127 6二歩成(63)
128 同 金(52)
129 7一角打
130 7三銀打
131 7四桂打
132 6四玉(53)
133 6二桂成(74)
134 7五玉(64)
135 6三成桂(62)
136 5六角打
137 7三成桂(63)
138 4六歩打
139 4八金(38)
140 3七歩打
141 同 玉(28)
142 2五歩打
143 5一飛成(61)
144 3九飛打
145 3八香打
146 6九飛成(39)
147 5三角成(71)
148 6四歩打
149 7四金打
150 8六玉(75)
151 6九銀(58)
152 8七玉(86)
153 8二飛打
154 8五歩打
155 3二飛成(82)
156 4七金打
157 2八玉(37)
158 8八玉(87)
159 4九金(48)
160 5七桂(65)
161 3九金(49)
162 6九桂成(57)
163 2六歩(27)
164 1五銀打
165 2七玉(28)
166 3八金(47)
167 5七金打
168 3九金(38)
169 投了
まで168手で後手の勝ち
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20170710今日の一手(その537); 飛の位置をずらす

2017-07-10 | 今日の一手

20170710今日の一手

6月24日の名南将棋大会から、私とMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂歩と銀の交換です。持ち歩があるので歩はカウントせず、先手がやや駒得です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は14香と持ち駒銀で2枚。
後手の攻め駒は持ち駒桂1枚。86歩同歩が入れば82飛はすぐに使えるのでほぼ2枚です。

総合すればやや先手有利です。

☆ 大局観として
実際は私が後手なのですが、うそ矢倉で来られました。Aさんは矢倉の大家、教えてもらおうという気分で、矢倉を受けました。後手番ですが、27歩のまま攻め合いに出来たので十分な形勢です。
51に香を打たれて、52歩同香53歩同銀(64銀で取った)という局面です。

今は銀取りなので、それを避けるのが自然な指し手です。形勢がやや良いのですから、自然な指し手で悪くなることはほぼありません。
銀を逃げない指し方もあって、銀を取られても実質は桂損だけ。攻めて勝とうと考えるのもあります。68角57飛の形なので、飛角はあまり働いていませんが、55銀や57飛が働くようにして、さらに68角が寄せに働くようにできれば勝ちが見えてきます。


○ 一番自然なのは65銀ですね。

73桂56銀76桂

76同金同歩74歩

と左側で戦うことになり、54銀73歩成55銀82と66角98玉69銀

と進むのはまだ難しいのですが後手がかなり盛り返した感じです。

73桂には74に銀をかわすのでしょう(1手早く銀取りになる)。後手は64銀

と出て、73銀不成同銀53歩

53同香には54歩、53同金には65桂、これはやや先手よし。


× ひねると85銀と歩を取るのですが

85同飛に94銀が狙い。

82飛93銀成同香に、54歩42銀44銀

という狙い筋があります。2枚換えでやや駒損でも攻めがあるのなら良いです。

54歩には同銀と取られて

54同銀同香55歩に56歩同飛69銀

いっぱい駒を渡した(二枚換えは終盤ならば2枚あるほうが良いことが多い)ので寄せ合い負けです。


× 54歩も有力(手の流れからは自然)に見えるのですが

銀を逃げてもらえず、54同銀同銀同香55歩

後手を引いてしまいます。単に76歩とされるよりも、56歩同飛64桂

のほうが痛そうです。


△ 実戦は41銀と打ちました。

42金寄ならば、52銀成同金54歩42銀65銀

銀香交換の取引は少し損ですが、トータルでは桂香交換くらい。中央を抑えてまあまあかと思ったのですが、実際は難しい形勢です。

実戦は76歩と銀を取られました。

後手としてはこちらが自然に見えるかも。でも12香成31玉32銀成同玉54歩

12香成が入ったのも大きいです。後手玉の危険度が増した感じで、54歩に62銀と逃げられたのですが、これが悪手。21成香同玉74桂

72飛62桂成同飛53銀72飛44銀上

と攻めれば優勢です。

途中54歩に同銀

54同銀同香55歩75銀(56歩同飛に69銀や75桂もある)

54の歩を取れば手番がまわってくるので、攻め合いになれば相当でした。


× 端のほうを攻めるのはどうでしょうか。11銀は33玉

で空振りをしている感じです。


△ 13歩は11歩

とほぼセット。この交換は、後で12歩成同歩同香成、と行くことになるなら同じです。12に駒を打ち込む変化になるなら、小さな駒を打ち込む(王手にならない)なら得で、大きな駒を打ち込むなら損、そういう微妙な取引です。後手から13歩と受ける余地を無くしている、というメリットはあります。でも現状は13歩同香成に同玉とは取りにくい(飛の移動で王手になる)ので、打たなくてもよいか、という気がします。


○ 12歩なら

受けるのは13歩しかありません(76歩11歩成は後手がやや損している)。11歩成同玉13香成同桂14歩

で12歩13歩成同歩、となるのも、

11歩成に14歩21と同玉

となるのもほぼ同じです。桂馬を得たので74桂が急所。72飛61銀92飛52銀成同飛44銀

という大技が決まります。44同金に62桂成。

74桂に83飛でも94銀

があります。(最初に84に逃げても75銀から94銀です。)つまり桂を持てば74桂が厳しかった、というわけです。


☆ まとめ
形勢が悪くなければ自然な手を心がける、言葉を変えれば自然な手で勝ち切るというのが一つの理想です。
75歩にはノータイムで65銀とかわしても悪いことはないです。その後も無難な手、ただし妥協しすぎない手を重ねていけば、だんだんに優勢になっていきます。
75の歩を進めさせなければ93角が遊びます。だから65銀とかわすのが一番自然ですが、実戦だと76桂と打たれる筋が気になってしまうのですよね。

実戦の41銀は強引なのですが、12香成があるからなにか受けさせて(42金寄か引か)香を取って5筋を抑え込むつもりでした。手抜きで難しいとは思っていなかったです。

54歩は打ちたくなりますが、強く取られると後手を引いて形勢逆転しているかもしれません。(それが嫌で実戦では41銀と打った。)

端に歩を垂らすのは一長一短だと思ったのですが、12歩から桂を手に入れて74桂が急所でした。82飛が攻防に働いているので、飛車取りで位置をずらすというのは、相居飛車ではよく出てくる手筋です。この場合は飛の移動するところが難しくて、決め手になりました。



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