20170716今日の一手

6月の東海団体リーグから、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂歩と金の交換で と金を作られています。持ち歩があるので歩は数えなくて、損得としてはほぼありません。(中盤ならば と金が金銀と交換になりそうで駒損に見ておくものかもしれませんが。)
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角金香で3枚。
後手の攻め駒は97と と持ち駒角銀桂桂香で6枚。十分です。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
実際は先後逆です。
終盤の入り口で、後手の私は銀を取らせる間に端を破りました。悪くはないと思っていたのですが、流れが急になって、先手が先に攻める展開になりました。
先手はまだ玉が堅いのですが、76歩から攻められると後手の攻め駒が豊富なので受けきりにはできません。後手の76歩~77歩成でも詰めろにならないので、その2手分の間に後手玉を寄せてしまえば勝ちが見えてきます。
攻め駒が3枚しかないので、もう一枚増やしたいところです。37桂か48飛を使うのが普通、角を打って合駒を取るというのも考えられます。
寄せの前段階でも、
寄せのセオリーに準じて考えるとよいです。
厳しい手から考える
小さな駒から使う
というのが寄せのセオリーですが、これに加えて
4枚目の攻め駒を作る、そのためにも盤上の駒を使う
というのを意識しておきます。
× 小さな駒は歩ですが、直前に34金の形を35歩打24金としたところですし、34歩と突きだすのでは1歩損、後続の手もありません。
26歩や45歩は中盤の手で、ここでは遅いです。
○ とすれば香を使う手で34香

の王手が一番厳しいですね。取ってもらえるならありがたいです。42玉に43歩同玉61角

合駒は詰んでしまいます。42玉に83金62飛72角成52飛61馬

34香が生きているので飛車を取れば速いです。ただし角金と飛の交換ではもったいなくて、角1枚と飛の交換ならばよいです。83金も左右挟撃になっています。
ということで途中43歩に52玉

と逃げ出します。33香成62玉42歩成

小駒だけなので早逃げされると遅くなるのですが、まだ角を持っていますし、後手は攻めて桂を渡すと74桂が痛い、ということでかなり先手が勝ちやすいです。
△ 36香と下から打つ方が筋は良いのですが

42玉34歩32歩

形勢を損ねたわけではないですが、少し寄せにくくなりました。
△ 他には26香

と守りの金を狙うのはやや厳しさが劣ります。35金に25桂42玉38飛

と飛を使えるので魅力的なのですが。37歩同飛36歩同金59角

飛が動き出すと後手からの反撃筋もあって、難しい戦いです。
なお26香に76歩

と攻められるのは嫌なのですが、24香と取った形はもう一枚もらえば後手玉が51角からの詰み筋に入ります。なので少し受けにまわることになりますが先手有望です。
○ 次は金を使う手を考えます。34金

が一番厳しくて、清算してもらうのは攻めやすくなります。42玉に43歩52玉44金

として53の地点を狙います。つまり76歩に71角83飛45桂

4枚目の攻め駒ができたので寄り筋、後手の受けもなさそうです。
× 25金は42玉

と早逃げされて捕まえにくいです。
× 実戦は71角と打って早逃げをけん制し

52飛に25金を決行したのですが76歩

で寄せ合いです。34歩22玉24金同歩25桂

桂を捨てられて後手の私は負けたかと思いましたが、25同歩24香13玉33歩成24玉34金14玉

端の位が生きて、詰めろが続きません。68銀が少しおかしくて(76銀だったか)77桂同金88銀

69玉77歩成23と78金59玉68と49玉58金39玉48金同飛28銀

どんどん追いかけて詰み筋です。もっとも最後の詰みを見落として飛車を打って34の金を抜くことになってしまいましたが。
○ 角を打つなら51角の王手のほうが厳しい手で、先に考えるべきです。

合駒を打っても、42銀34香43玉33金

で取られてしまうので
後手としては43玉とかわします。これに45桂同歩44香

というのが格好いい寄せ方です。取れば24角成ですね。52玉42香成61玉74歩

歩を使って4枚目の攻め駒にします。これがかなり受けにくいので先手優勢でしょう。
△ 31角も好手に見えます。

53の地点をどう受けるかが難しくて、42銀34香43玉22角成

後手は銀を使うと76歩からの攻めが弱くなる(76歩同銀77歩同金に88銀と打ちたい)ので勝ちにくくなります。
61桂

が正しい受け方。(41桂は42歩がありました。)次の手がわかりません。
△ 36金は力をためた手で

飛が攻め駒になるのと、25桂や25金と使うことができます。中盤ならばとても良い手です。
76歩同銀77歩68金(77同金には88銀)59銀

51角42桂34香22玉44飛43歩33金

という難しい寄せ合いです。
○ 他には68玉85桂

の交換を入れておくと受けやすくなっているかもしれません。銀は逃げないで桂をもらって攻めに役立てる感じです。97と から早逃げしているわけです。
☆ まとめ
まだ攻め駒が4枚になっていないと、寄せの前段階だと言えるのですが、相手玉が薄くなっていたり、攻め合いで駒の入手が期待できるとか、やむを得ずの寄せ合いだという場合もあるでしょう。そういう時は
寄せのセオリーを準用します。
まだ寄せではない、と36金として攻め駒を増やしておく、あるいは26歩とか45歩とか、「力をためる」と表現されますが、攻め駒を増やしておくというのは終盤の入り口ならば好手です。もっと進んで終盤も終わりにさしかかる(寄せの段階に入る)と少し甘い手になります。
先に厳しい手を指しておいて、後手玉を弱体化させたところで4枚目の攻め駒を作るほうが実戦的かもしれません。(後手玉が極端に薄くなれば3枚でも寄せきれる可能性はありますし。)
歩を使った攻めは遅く
香を使うなら34香が一番。
金を使う34金は思考の優先度は下がりますが、42玉に(43歩52玉を決めて)44金と使うことができます。すると37桂が跳ねられる仕組みです。
角を使うなら51角から考えます。合駒は取れそう(4枚目の攻め駒になるかも)ですが。43玉の後が見えていないと失敗します。
これらが厳しい手ですが、厳しい手は息切れしてしまうことがあります。そういう時は少し緩めて
36香や26香
25金
31角
などを考えるのですが、あくまで厳しい手がうまくいかないときだけです。