名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(596);四間飛車に中央位取り(二上達也)

2017-07-30 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170730
昭和56年6月、二上達也先生と第22期王位戦の挑戦者決定戦です。二上先生はこの時棋聖で、タイトル保持者同士の決定戦というのは案外少なさそうに思います。


大山先生の四間飛車に二上先生は急戦のようですが

大山先生はツノ銀から袖飛車をみせてけん制します。

二上先生はやむなく中央位取りにシフトしますが、66銀を強要されました。

大山先生はどんどん動きます。

どうやらこれで後続はなく

駒組みに戻ります。

大山先生は4筋に転じますが、二上先生は金を使って受けます。

86の銀を繰り替えて

5筋を謝っても1歩得です。

大山先生は6筋で1歩もち

二上先生は4筋の歩を交換して

右桂を使えば、その桂頭を攻められました。35同歩とは取りにくい(同金36歩46歩)ので

端角で64歩を打たせながら待ちます。

大山先生の方からもすぐには36歩と取り込みにくかったので、44角で46歩を誘い

3筋を取り込んで

金をぶつけました。二上先生は35同金で悪いわけでもないけれど

カウンターで44歩と突きだして飛車先を通したほうが得です。これに大山先生は飛車先を連打。

47同金に44銀で3,4筋は少し優位に立っています。やりとりは互角でも角の働きがあるかどうかの差が出てくるのです。二上先生は端にあやを求めました。

が、55銀と出れば大山先生のほうが指しやすそうです。二上先生はどうせ端を攻めるなら93歩と一つ上からだったのでしょう。

両取りをかけましたが

角を切って飛車を引いた図は駒損でも後手もちです。38金などがあるので

二上先生は飛車先を止めますが

端に回られたら焦りますね。

金をぶつけるのは勝負手ですが

中央から絡まれて

飛車を追われつつ桂を狙われます。

馬を引き付けるのは辛抱ですが

8筋から乱されて端攻めが残り

92歩81飛は良いとしても84銀は指しすぎです。銀を合わされて

桂を取って77桂と手が戻るのでは、駒を渡して寄せてくださいと言っているようなものです。

大山先生は小駒だけですが

下に落としての左右挟撃で投了図。

二上先生が指し盛りのころなので、序盤で乱されてもしっかり金銀をまとめることができました。難しい中盤戦ですが、角の働きの差が出てしまい、少し苦しくなってしまいました。勝負手と我慢する手とのタイミングや組み合わせを間違えた感じです。
大山先生は勝ち方を知っているなあ、という感じがします。
これで大山先生は中原王位に挑戦です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:二上達也棋聖
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 3六歩(37)
16 7一玉(62)
17 6八銀(79)
18 4三銀(32)
19 5八金(49)
20 6四歩(63)
21 5七銀(68)
22 6三銀(72)
23 6八金(69)
24 7四歩(73)
25 2五歩(26)
26 3三角(22)
27 4六歩(47)
28 3二金(41)
29 5五歩(56)
30 7二飛(42)
31 6六銀(57)
32 5四歩(53)
33 同 歩(55)
34 同 銀(43)
35 5七銀(48)
36 7五歩(74)
37 同 銀(66)
38 6五銀(54)
39 7七金(68)
40 4五歩(44)
41 6六歩(67)
42 5四銀(65)
43 6七金(77)
44 7四歩打
45 8六銀(75)
46 4二飛(72)
47 5六金(67)
48 4六歩(45)
49 同 銀(57)
50 4五歩打
51 5七銀(46)
52 4三金(32)
53 7七銀(86)
54 4四金(43)
55 6八銀(77)
56 8二玉(71)
57 6七銀(68)
58 7二金(61)
59 6八銀(57)
60 8四歩(83)
61 1六歩(17)
62 7三桂(81)
63 4七歩打
64 1四歩(13)
65 5七金(56)
66 4一飛(42)
67 5六歩打
68 5一飛(41)
69 4八飛(28)
70 6五歩(64)
71 同 歩(66)
72 同 銀(54)
73 6六歩打
74 5四銀(65)
75 4六歩(47)
76 同 歩(45)
77 同 金(57)
78 4五歩打
79 4七金(46)
80 1三香(11)
81 3七桂(29)
82 4一飛(51)
83 4九飛(48)
84 3五歩(34)
85 9七角(88)
86 6四歩打
87 8六角(97)
88 3四金(44)
89 5七金(58)
90 4四角(33)
91 4六歩打
92 同 歩(45)
93 同 金(47)
94 7一角(44)
95 4五歩打
96 3六歩(35)
97 5五歩(56)
98 4三銀(54)
99 3六金(46)
100 8五歩(84)
101 7七角(86)
102 3五金(34)
103 4四歩(45)
104 4八歩打
105 同 飛(49)
106 4七歩打
107 同 金(57)
108 4四銀(43)
109 9五歩(96)
110 同 歩(94)
111 9四歩打
112 5五銀(44)
113 4三歩打
114 同 飛(41)
115 3五金(36)
116 同 角(71)
117 3四金打
118 6八角成(35)
119 同 角(77)
120 4一飛(43)
121 4二歩打
122 同 飛(41)
123 5三角打
124 4一飛(42)
125 4三歩打
126 9四香(91)
127 4二歩成(43)
128 9一飛(41)
129 4六金(47)
130 5六歩打
131 同 金(46)
132 同 銀(55)
133 同 銀(67)
134 5五歩打
135 6七銀(56)
136 5六銀打
137 同 銀(67)
138 同 歩(55)
139 5八歩打
140 5七歩成(56)
141 同 歩(58)
142 4七歩打
143 2八飛(48)
144 3六歩打
145 2六角成(53)
146 3七歩成(36)
147 同 馬(26)
148 8六歩(85)
149 同 歩(87)
150 8八歩打
151 9二歩打
152 8一飛(91)
153 8四銀打
154 9三銀打
155 7三銀成(84)
156 同 金(72)
157 7七桂(89)
158 3六歩打
159 同 馬(37)
160 5五桂打
161 5六銀打
162 6七金打
163 同 銀(56)
164 8九銀打
165 6九玉(78)
166 6七桂成(55)
167 4七馬(36)
168 4九金打
169 投了
まで168手で後手の勝ち
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20170730今日の一手(その547);自陣角の理論的説明

2017-07-30 | 今日の一手
20170730今日の一手

2013年3月の名南将棋大会から、私とIさんの将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。65銀や77桂さらには79飛もすぐに使えそうではあります。
後手の攻め駒は43角82飛で2枚。

総合すればやや後手もちか。

☆ 大局観として
もとは角換わりの後手棒銀で、先手の私はややおとなしく右玉で対応しました。問題図は後手に自陣角を打たれたところです。65銀の位置が良いので、87の金もにらんでけん制した角打ちです。
形勢判断では後手もちになるのですが、先手だけ左桂を跳ねていて85桂と使えます。すると79飛が使える、攻め駒が4枚になりそう、という大局観があったので指しやすいと思っていました。
後手はこれを自陣角で否定しようとしている、ともいえます。この角が自玉を堅くしてもいるので攻防に役立つ、というのが後手の主張です。


△ 普通は狙われている駒をかわすことから考えます。88金よりも97金ですが、76歩

とされると桂馬は逃げられないです。まあ74歩62銀66歩77歩成同飛

は桂損でも43角が空振りになっている、ともいえるのでひどくはないです。55角や64銀から7筋を突破できれば良くなりそう。


△ 76金のほうが普通の手ですね。

64歩の時に銀を逃げられませんが、85桂65歩73桂成同桂74歩

で駒損は回復できます。と金を作る分だけ先手の得なので、66歩73歩成78歩同飛67銀

と激しくならざるを得ないでしょう。82と78銀不成66金29飛71飛

先手玉のほうが薄いですが、後手の攻め駒は少ない、という比較です。41銀や55桂や64桂という攻め筋があるので先手のほうが指せそうです。

後手は64銀

とすることもできます。64同銀ではやや悪いので、69飛65銀同桂64歩

74歩65歩73歩成同桂74歩

これで前の変化と同じようなことになります。ただし69飛と79飛の違いがどう出るか。66歩が金取りなので、66同飛か73歩成からの攻め合いか、という選択です。


△ 次は飛を使う手を見てみます。89飛

と守れば、62飛74歩64銀

89飛を縦に使えていないので、決戦を避けて56銀75銀65歩

で85桂を狙って先手まあまあの変化です。


△ 69飛が一番自然な感じです。

でも64銀に同銀とはしにくくて、76銀75銀に同銀87角成

のほうが飛を成れます。61飛成51金71竜72金

これはまずそうですね。87馬のほうが働いています。

とすれば65角と合わせる

手を考えるべきでしょう。65同角同飛76銀同金87角67銀63歩

というのは互角です。

もう少し前に64銀の時に76金

と出るほうが普通でしょう。これは最初に76金として64銀69飛の変化と合流します。

また、後手は69飛に64歩もあって

76銀と引けばこれから。74歩84銀55角75銀85桂

とすれば激しくなりますが、先手もちか。


× 6筋に歩を打つのは、66歩には64銀



× 64歩は同銀

でどちらも後手が指しやすいです。


△ 76銀として

62飛に65歩と打てば手堅いのですが、54角

から35歩を狙われるとどうしたものか。55角の筋で対抗するしかないですが、嫌なところを攻められそうです。


△ 次は角には角を打つ変化。76角は84銀

で75銀を狙われると56銀75銀43角成同金左85桂74歩

くらい。1歩損はともかく、75銀に威張られている感じです。形勢としては互角なのですが。


△ 角を打つなら78角

のほうがおとなしいです。どこかで87角成と切る筋は、32角成と返せるわけで、先手の損は少ないです。45歩から43の角をいじめていけるかどうか。


× 実戦では98角

と端から打ったのです。後手は当然95歩で、74歩84銀64銀96歩73歩成

これで悪くないと考えていたのですが。でも73同銀同銀成同桂74歩97歩成

とすれば後手よしでした。

実際は73歩成を同桂と取られたので、同銀成同銀85桂

で一気に飛先が通り、先手よしになりました。84銀71飛成62飛63歩同飛55桂

69飛成43桂成同金左21竜32銀11竜99竜

最後の99竜がまずくて、21桂など受けて我慢するしかなかったのです。55桂98竜31角41玉43桂成

で勝ちになりました。


○ 最後は25桂

これは全く考えていなかったです。銀を逃げれば45歩

で角が追えますね。43角をとがめた一手だったのです。

銀を逃げることができず、駒損で収めるわけにもいかないので64銀

と戦うしかないでしょう。33桂成同玉45歩65銀44歩

銀を取らせている間に4筋を取り込めば、54角55角62飛43歩成同玉11角成

詰めろですし、駒得を拡大して攻められそうです。これは先手優勢。

33同桂

と取るしかなさそうなのですが(33同金は22銀がある)そこで76金65銀同桂64歩

というのは前に出てきたのと似ています。桂銀交換の分だけ得ですね。銀を2枚持っているので、55角62飛71銀61飛72銀

という攻め方や

61銀

を逃げにくくて、65歩71角92飛52銀成同角83金

という攻め方があり、後手の飛を取りに行けば先手有利です。


☆ まとめ
自陣角を打たれたら、先手の手持ちの角とどちらが働くかどうか、というのが優劣を分けます。

この場合は左翼での攻防になります。先手玉を狙われていないので、43角のラインが生きるよりも、どこかで55角と打つのを含みに、左側では互角の戦いにすれば十分になりやすいです。
つまり97金はあまり良くないようですが、76金、69飛、89飛、あたりから選択して、互角の駒交換でよく、後手の角はなるべく43から動かさせないように指すのが良さそうです。飛の働きで負けないように指していけば、悪くなる理屈がありません。
76金、69飛、89飛から先の変化で、後手の角が働き出す変化を避けておけばよいです。

形勢が思わしくないと見れば、つまり43角が好手だと見れば、角には角で先手も角を打っておけば互角です。78角が一番良いと思います。
実戦の98角は変な手なのですが、95歩を誘っていっぺんに勝とうとした手です。勝負手みたいなものですが、形勢が悪くなければ指さないほうが良いです。

あとは25桂が好手で、43角の移動する場所がない、ということなんですね。角頭を攻めれば角を取ることができます。37の桂は守りの駒ですが、後手の守りの銀と交換するなら良い取引です。桂頭の弱点が無くなったともいえます。
自陣角そのものをとがめることができれば優勢でした。

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