名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(590);四間飛車に左46銀急戦(木村義徳)

2017-07-24 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170724
昭和56年5月、木村義徳先生と第38期棋聖戦です。


大山先生は四間飛車ですが、急戦に52金左とするのは珍しいですね。

木村先生は左46銀です。32飛とか12香とかが普通の受け方ですが、32銀と引くのは力戦志向。

木村先生はすぐに35歩と行きました。これは45歩があるので、37桂と備えてからゆっくり攻めるのが定跡なのですが(右46銀では定跡、左46銀でも定跡かな?)

そのまま決戦にはならず、少し収まります。

これで先が長いと思ったら

端の突き合いを生かして12歩がありました。12同香に11角の筋です。

大山先生は飛で取って戻り

飛車交換。こういうのは美濃囲いは堅くても、銀が浮いていて先手で飛車を打てるので、やや居飛車よしです。

木村先生は少し凝った感じで攻めますが、こういう歩は手筋です。

手順に厳しく迫ります。

大山先生は端攻めで勝負、ですが63香があるので危険です。

木村先生は角を切ってから63香を決行。大山先生は角打ちで返します。木村先生はここで71銀から攻めるのですが、この図を見ていると63桂成でも71銀があって、どちらでも取れませんね。ということは63桂成の形なら72成桂と取れるわけで、それなら勝ち筋でした。

竜を切って攻めるわけですが、72成桂同金の形で61竜を決め手にしたら先手の勝ちでした。

結局は後手玉に詰みがなく(ならば99香を捨てずに66歩か66銀なら難しかった)

大山先生は84香が打てれば、後は駒を渡しすぎないように寄せればよいだけです。

1手渡しても詰めろがかからず

投了図。

木村先生はうまく攻めていたのですが、終盤でわずかに届かず。後で振り返ってみると簡単な寄せを逃しているわけですが、対局中に気が付くのは難しいものなのです。
大山先生は力戦が多いので、こういう普通の急戦は経験が少ないかもしれませんね。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:木村義徳8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 5八金(49)
14 7一玉(62)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6八銀(79)
18 4三銀(32)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 3六歩(37)
22 8二玉(71)
23 5七銀(68)
24 1四歩(13)
25 1六歩(17)
26 5二金(41)
27 6八金(69)
28 6四歩(63)
29 4六銀(57)
30 3二銀(43)
31 3五歩(36)
32 4五歩(44)
33 3三角成(88)
34 同 銀(32)
35 3四歩(35)
36 同 銀(33)
37 5七銀(46)
38 3三角打
39 6六角打
40 2二飛(42)
41 3三角成(66)
42 同 桂(21)
43 1五歩(16)
44 同 歩(14)
45 1二歩打
46 同 飛(22)
47 2四歩(25)
48 2二飛(12)
49 2三歩成(24)
50 同 飛(22)
51 同 飛成(28)
52 同 銀(34)
53 2一飛打
54 3二銀(23)
55 3一飛成(21)
56 4三銀(32)
57 3四歩打
58 同 銀(43)
59 3三龍(31)
60 4三銀(34)
61 5五桂打
62 5四銀(43)
63 3四角打
64 9五歩(94)
65 2二龍(33)
66 5一金(52)
67 1一龍(22)
68 9六歩(95)
69 6一角成(34)
70 同 金(51)
71 6三香打
72 同 銀(54)
73 同 桂(55)
74 3三角打
75 7一銀打
76 9三玉(82)
77 6一龍(11)
78 同 銀(72)
79 9六香(99)
80 9四歩打
81 同 香(96)
82 同 玉(93)
83 9五歩打
84 同 玉(94)
85 6六銀(57)
86 8四香打
87 7七金(68)
88 9八飛打
89 8八金打
90 6九角打
91 同 玉(78)
92 8八飛成(98)
93 9六歩打
94 9四玉(95)
95 7九金打
96 9八龍(88)
97 8二銀(71)
98 4九飛打
99 5九銀(48)
100 2四角(33)
101 4六歩(47)
102 同 歩(45)
103 投了
まで102手で後手の勝ち
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20170724今日の一手(その544);攻め駒3枚でも

2017-07-24 | 今日の一手
20170724今日の一手

2013年3月の名南将棋大会から、私とNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂香と角の交換です。2枚換えでもやや角の方が良いとされています。
玉の堅さはやや後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は64角と持ち駒角銀で3枚。
後手の攻め駒は持ち駒銀桂香香で4枚。

総合すればやや後手もちです。

☆ 大局観として
後手より上回っているのは駒得だけですから、長期戦にしてしまうのが基本です。玉を固めることを考えます。
だめなのはもっと駒得を考えることで、玉の堅さを優先しましょう。
攻め駒は3枚なのですが、実は寄せを考えることができます。次の一手問題のような手が見えますか?


○ 実戦では11角と打ちました。

実戦のほうを先に追いましょう。取れずに31玉43歩同飛44銀83飛43歩

31玉で64角の筋に入ったので、43の地点を攻めます。43同金左同銀成同飛44金83飛48飛

52銀に33金

で投了、快勝ですね。

11角に同玉なら

42角成(同金は12金)13銀32馬87歩成

持ち駒が金銀だけなので案外難しいのですが、87歩成は詰めろではありません。14歩(詰めろ)78と同玉89角69玉22銀13銀

詰めろを続けていけば勝ちです。

14歩に22金と打たれたら

13歩成同桂42金

とつないでおけばよいでしょう。

なお14歩ではなく18飛でも

良さそうなのですが、飛の横利きが消えると難しくなります(が先手の勝ち、17歩同飛78と同玉89角69玉22金12歩同玉14歩同銀13歩同桂42金)。

また、最初の11角に13玉も

42角成同金で22銀14玉15歩

という詰み筋です。


○ 11銀でもよいようで

11同玉42角成13銀32馬87歩成には84歩

で王手飛車を狙って飛車先を止めればかなりわかりやすいです。

31玉なら

61角63飛43歩

で寄り筋です。

33玉が嫌だったので

実戦では角を打ったのですが、45桂に43玉は61角が王手飛車です。44玉にも71角

45玉は飛車をまわって42角成で勝ち。53桂の合駒には同桂成同金56桂43玉48飛

でこれも勝ち。

71角に43玉は44歩を決めて

52玉42角成同金53金

でつぶれています。


× 先に42角成は

42同金31角32玉

これは後手玉を逃がしています。


× 普通は84飛が働いているので84歩を打ちそう(取れば王手飛車)ですが43飛

が金取りです。44歩同飛66角55桂

に55同角引以下飛車を取ってもまだ寄りませんから無理筋。

66角は打たずに45銀43飛48飛

くらいなのですが、歩切れなので自信なしです。後手からは85香とか87桂とか47歩同飛55桂とか。48飛ではなくて86銀としておくものかもしれません。


△ 歩切れになるくらいなら最初に86銀

で受けて長期戦を狙うのはありです。


○ 普通に良さそうな手は72角で

84飛には85歩同飛86銀

後手はまだ飛車を切りにくいです。

72角に43飛なら

44歩同飛45歩43飛86銀

嫌味を消した後で桂香を拾えば入玉も可能です。


○ 61角でもほぼ同じで

63飛72角成

64飛が怖いですが今なら大丈夫そう。43飛に44歩・・・で72角と同じようなものです。


☆ まとめ
攻め駒3枚でも相手玉を寄せられる時があります。
多くは相手玉が極端に薄い(金銀1枚とか2枚とかで守備力が低すぎる)場合ですが、この問題の場合は13歩が4枚目の攻め駒として働いています。1マスしか利きのない歩は弱い駒なので、と金にならない限りは攻め駒として数えないものなのですが、その1マスの利きが大きい場合があります。
後手玉に逃げ出されると13歩の効果は薄れるのですが、4枚目の攻め駒は68飛を使います。
また、11角に同玉42角成13銀32馬87歩成の図は

32馬と持ち駒金金銀でちゃんと4枚の攻め駒ですね。角1枚捨てても金金を取れば攻め駒が増えています。(こういう穴熊みたいになった形は金銀を持っているとまだ受けが利くのですが、1筋に歩が打てるので寄せきれました。)

その11角もしくは11銀の筋がない場合は、受けに回ることを考えます。後手の飛を使えないようにすれば小駒だけの攻めになるので受けやすくなります。飛を追うことができるのも13歩の効果で、もし13歩がないとすれば後手優勢でもおかしくはありません。
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