名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(580);四間飛車に居飛車穴熊(佐藤義則)

2017-07-14 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?

☆ 今日の棋譜20170714
昭和56年2月、佐藤義則先生と第20期十段戦です。


大山先生の四間飛車、佐藤先生は居飛穴です。

大山先生は銀冠に組んで、普通に対応します。

7筋はおとなしく守り

角を転回してけん制します。

中央で駒がぶつかり

ここも大山先生はおとなしく歩を打ってから角を追います。

82角にすぐに86歩と行かないで、58飛とまわってから突くのに違和感があります。少し損をしています。

85歩より76歩の取り込みのほうが大きいわけで

この銀取りはちょっと受けにくいです。

84歩(84同角に88飛)に74飛が佐藤先生の好手。

銀取りにも84飛が利きます。

91角成も大きな手ですが、87歩が間に合う、と読みました。66銀が間接的に角筋に入っていますから。

大山先生は銀をかわして

馬を引くのですが、88への利きを保てません。

88歩成に55歩では速度負けでしょう。

佐藤先生は手が見える日のようです。82角が利いて馬と交換できます。

飛車は横に使い

角打ちが入り

香を取っての香打ち。寄せが見えてきました。

87歩に67と こういうカウンターが入るとスピードアップします。

香を払われても金でしがみつけば

遅くても確実な攻めです。

端に逃げられたら銀を拾って角当たり

角を取って寄りです。

投了図。

居飛穴におとなしく指しても作戦負けにならない、というのはなかなか大変だとは思うのですが、ちょっとミスをすると悪くなります。58飛から86歩というのがおかしいのでしょう。そこからは佐藤先生が好手連発。こういうのが「勝ち将棋鬼の如し」ですね。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
開始日時:2017/06/30 08:
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:佐藤義則6段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 6七銀(78)
14 5三銀(62)
15 2八玉(38)
16 3三角(22)
17 3八銀(39)
18 2二玉(32)
19 5八金(69)
20 1二香(11)
21 4六歩(47)
22 1一玉(22)
23 3六歩(37)
24 2二銀(31)
25 1六歩(17)
26 3一金(41)
27 4七金(58)
28 5一金(61)
29 2六歩(27)
30 4一金(51)
31 2七銀(38)
32 4二角(33)
33 3八金(49)
34 8五歩(84)
35 7七角(88)
36 7四歩(73)
37 2五歩(26)
38 3二金(41)
39 1五歩(16)
40 4四銀(53)
41 8八飛(68)
42 7二飛(82)
43 5九角(77)
44 7五歩(74)
45 同 歩(76)
46 同 飛(72)
47 7六歩打
48 7二飛(75)
49 3七角(59)
50 5五歩(54)
51 5六歩(57)
52 6四角(42)
53 5五歩(56)
54 同 銀(44)
55 5六歩打
56 4四銀(55)
57 6五歩(66)
58 8二角(64)
59 5八飛(88)
60 9四歩(93)
61 8六歩(87)
62 7五歩打
63 8五歩(86)
64 7六歩(75)
65 6六銀(67)
66 9三角(82)
67 8四歩(85)
68 7四飛(72)
69 4五歩(46)
70 8四飛(74)
71 8八歩打
72 3三銀(44)
73 9一角成(37)
74 8七歩打
75 7五銀(66)
76 8五飛(84)
77 7四銀(75)
78 8六飛(85)
79 5五馬(91)
80 5四歩打
81 4六馬(55)
82 8八歩成(87)
83 5五歩(56)
84 8九と(88)
85 5六飛(58)
86 8二角(93)
87 5四歩(55)
88 4六角(82)
89 同 金(47)
90 5五歩打
91 同 飛(56)
92 7七歩成(76)
93 3七角打
94 7九角打
95 4七金(46)
96 9九と(89)
97 5三歩成(54)
98 4六香打
99 5七金(47)
100 3五歩(34)
101 8七歩打
102 6七と(77)
103 8六歩(87)
104 5七角成(79)
105 同 飛(55)
106 同 と(67)
107 4六角(37)
108 4七金打
109 8二角成(46)
110 7八飛打
111 3九香打
112 4六桂打
113 5四角打
114 3八桂成(46)
115 同 香(39)
116 4八と(57)
117 4三と(53)
118 3八と(48)
119 1七玉(28)
120 7四飛成(78)
121 5一飛打
122 5四龍(74)
123 同 飛成(51)
124 3九角打
125 1六玉(17)
126 4三金(32)
127 同 龍(54)
128 3四銀打
129 4四歩(45)
130 1四歩(13)
131 投了
まで130手で後手の勝ち





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20170714今日の一手(その539);自然な手を考える

2017-07-14 | 今日の一手
20170714今日の一手

6月24日の名南将棋大会から、Mさんと私の対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀と「馬」歩の交換で先手の駒得です。穴熊の場合は角よりも金銀の価値が高いことがあるので割り引いて考えておきます。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。ただし63金が離れているので大きな差ではありません。
相手の囲いに向かっているものだけ数えて
先手の攻め駒は85桂と持ち駒香で2枚。
後手の攻め駒は持ち駒銀2枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
駒得なので持久戦というのが基本的な考えです。ただし問題図以前で76歩の取り込みに85桂と跳ねたのはこの方針から外れていました。桂を捨てても穴熊が崩れていくので構わないと思っていたわけですが。
そのために85桂は取られそうです。25の桂を取れば見合いなわけですが、トータルでは後手の左桂がさばけた、というのは少し損な取引です。そのためにやや形勢有利が互角くらいになってしまいました。

さて、問題図はそれでも駒得なので持久戦というのが無難です。
強く攻め合いというのもあります。その時は馬や角の利きで自玉を守れるように意識しておきます。それなら玉の堅さで上回っていることになるかもしれません。


○ 25飛と桂を取れば34銀があります。

これが嫌なので切りすててしまったのですが、13馬(13角成もある)25銀31馬

というのは悪くないです。駒得というよりも攻め駒の数が4枚以上なので寄せ合い勝ちが望めます。85桂がまだ生きていますし、85歩と取れば84香もあります。これは問題図の前に85桂と跳ねたのが生きている展開です。


△ 42角成も自然な手で

36飛52馬39飛成

25飛77銀同金同歩成同玉85歩63馬

かなり危険な感じがしましたが、玉が上に逃げられそうで入玉も望めます。


○ 76銀は落ち着いた手で、これも自然に見えます。

拠点を払ったので少し先手玉が堅くなった意味合いもあります。36飛に25飛34銀

タイミングがずれてもやはり両取り筋はあるわけですが、34同馬同飛35角同飛同飛というのもありそう。この場合は後手の飛が移動したので41馬が可能で、25銀63馬

飛は捨てても攻め駒は5枚。72歩も打てるので攻めが切れることはないでしょう。


× 実戦は36飛を避けるために35歩と突いたのですが

角筋が止まって味が悪いです。85歩84香に72銀

と埋められました。76銀75歩82香成同金67銀(85銀が良かった)76桂77金88銀76銀77銀成同玉76歩同玉86歩84歩

という進行で、先手玉は裸にされましたが、強く穴熊を攻略しに行きました。少し私のほうが良かったのですが、寄せも難しくて後手にも勝ち筋がありました。逃してもらったので辛勝です。
35歩としたのに25の桂を取れていない、玉が薄くなった、というのを合わせれば疑問手に近いかもしれません。形勢が悪くなった、というまではいかないのですが。


× 39香は落ち着いた手で36飛を避けているのですが85歩

の時に84香を打てません。25の桂を取れない(実際は取るのもないことはない)わけですから先手が指しにくくなっています。


△ 33香と使えば

香は35、34、32、どこから打つのかの比較は難しいです。21飛22歩61飛25飛

香は使っても桂をすぐにとれるのでまあまあ。これからの将棋です。
例えば85歩76銀86歩に83歩同銀84歩

と返せる(次に83桂がある)わけで、簡単に先手有利になる変化もあります。


○ 45馬と引く方が筋が良くて

41飛とか21飛とかが嫌な感じがしてほとんど考えませんでした。でも41飛は35馬、21飛は22歩同飛23歩、大丈夫です。85歩42角成53桂46馬45歩57馬36飛25飛

これくらいなら先手有利です。


× 26飛は15銀

もありますし、銀を打たなくても次に25飛では1手パスですから(しかも取りにくいと思っていた)明らかな疑問手です。


△ かなりひねると13角成36飛57馬

ここに馬を引きたかったというわけです。37桂成同桂同飛成29飛

38竜89飛77銀同金同歩成同玉75桂39歩

28竜41馬85歩63馬87金

87同飛同桂成同玉75桂76玉

ずいぶん進めましたが、先手もまあまあの展開です。


左側に目を向けると
× 75香は見えますが

77歩成同玉74歩

で無効です。


△ 93桂成同銀

というのは味消しに見えるのですが、この瞬間に25飛と取れば83桂がありますね。ということは93同香が正しいのか?それなら端攻めの余地があるので、実はよい手だったのかもしれません。


○ 72歩は攻めの手筋で、72同金73歩

桂馬の交換ならばもっと駒得になりそう。後手も84歩と突いたのですから逃げるほうを選び、71金でしょう。そこで25飛34銀22馬25銀31馬

これなら利かしが入っているわけで、寄せ合いの速度がかなり違って見えます。
この72歩はほかの攻め合いの変化と組み合わせる、他の変化の途中で入れる、という工夫ができます。



☆ まとめ
攻めるなら72歩同金73歩を決める(あるいは少し後でも入るかもしれません)オプションを選択できます。
あるいは93桂成同香が有効になる場合もあります。
香を温存しておけば85歩に84香も有効です。
こういう攻めの手筋があるので後手の穴熊が堅くないという事情があり、先手が有利になる変化が多かったです。

それを含みにして
25飛と桂を取り、34銀を誘っての飛交換が一番自然な流れです。飛交換でも持ち駒の銀を使ってもらうのですから、喜んで飛び込めばよかったです。

36飛を防ぐなら、実戦の35歩では味が悪すぎました。
45馬と引くのが良い手です。馬は自陣に引くと手堅いのです。
39香、35香、34香、33香、32香などはもったいないですが、上から打って手番をキープしての25飛はまあまあ。

実は36飛を許してしまう76銀も良い手でした。39飛成はそんなに怖い手ではなかったというわけです。


いろいろな手が見える時には、(形勢が良い、あるいは少なくとも互角だ、という場合に限りますが)自然な手を選択したいです。
駒を取る手、駒を取られないようにする手(これには駒をなる手成らせない手を含みます)、自分の駒の働きを良くする手、相手の駒の働きを悪くする手、のことを自然な手と呼んでいます。

駒を取る手; 25飛、42角成、13角成、76銀、54歩(は書きませんでしたが後手に57歩などが生じるので今一つ)
駒を取らせない手: 45馬、35歩、39香、35香、34香、33香、32香
(ただし持ち駒の香を3筋に打っても働きが悪いです。35歩は24角の働きを悪くしています。)
自分の駒の働きを良くする手;25飛、45馬
相手の駒の働きを悪くする手;39香、72歩
と列挙することができます。
25飛と45馬が重複して出てくるので一番自然、良さそうな手だとわかります。こういうのがそれこそ自然に思い浮かぶようになりたいものです。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする