名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(588);四間飛車に玉頭位取り(森安秀光)

2017-07-22 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170722
昭和56年3月、森安秀光先生と第39期名人挑戦者リーグです。


森安先生が四間飛車、大山先生は居玉のまま位取りです。

4筋の位も取りました。

森安先生は4筋の歩を交換して

石田流へ。

普通は振り飛車十分、というところですが、大山先生は7筋の歩は切らせても良いと思う人です。

角を引いてけん制し

玉頭位取りの完成です。ただし33桂は跳ねないほうが玉が堅いのですよね。33銀と引きたいくらいです。

森安先生は銀冠穴熊に。でも位取りに対しては堅いとは言えません。25歩同歩26歩ですぐに乱れてしまいますから。

大山先生は72飛で反撃に動いたのですが、64歩同歩75飛というのが森安先生の良い動きでした。

82飛に72歩。72同飛85飛82歩は44角同金63銀で飛車が成れます。これが大山先生の痛いところで、玉の固め方を間違いました。

やむなく と金を許して飛を圧迫します。

森安先生は角を呼んで銀を出て

55角には

銀取りにも構わず、桂香を拾います。

大山先生は2枚換えをされた上に銀を手放すのは辛いです。

角交換して飛車取りには飛車取り。74飛には64飛同飛44角成同金53銀とするのでしょう。

飛車の取り合いから46歩に74馬。馬の位置は先手のほうが良いです。

飛を打ちあい、42歩48香と守り合って、大山先生は歩切れが痛いです。歩を持てば2筋を攻めて有利かも知れないのに。

45桂と跳ねるのはひねり出した手で

桂を捨てて77桂を馬で取ったのが受けに利きます。

45桂から65歩は確実な攻めで、大山先生は攻める手がないといけないのですが

香を取っても埋めるしかなくて

馬筋を止められて

投了図。

大山先生は対振り飛車の持久戦も得意なのですが、しっかり囲う位取りはあまり得意ではないです。歩切れを気にしないので、玉頭戦の展開になりにくいんです。
森安先生から見ると、後手の陣形の弱点を見て、44角と切る手を含みにうまくさばきました。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:森安秀光8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 5四歩(53)
5 7八銀(79)
6 4二銀(31)
7 6八飛(28)
8 6二銀(71)
9 4八玉(59)
10 5三銀(62)
11 3八銀(39)
12 3五歩(34)
13 3九玉(48)
14 4四歩(43)
15 6七銀(78)
16 4五歩(44)
17 4六歩(47)
18 同 歩(45)
19 4八飛(68)
20 4三銀(42)
21 4六飛(48)
22 3四銀(43)
23 9六歩(97)
24 4五歩打
25 4八飛(46)
26 5二金(61)
27 7五歩(76)
28 4二玉(51)
29 5六銀(67)
30 4四銀(53)
31 7八飛(48)
32 3二玉(42)
33 7四歩(75)
34 同 歩(73)
35 同 飛(78)
36 7三歩打
37 7六飛(74)
38 3三角(22)
39 5八金(69)
40 8四歩(83)
41 2八玉(39)
42 1四歩(13)
43 1六歩(17)
44 4二角(33)
45 6五歩(66)
46 4三金(52)
47 2六歩(27)
48 8五歩(84)
49 7七角(88)
50 2二玉(32)
51 2七銀(38)
52 3二金(41)
53 3八金(49)
54 3三桂(21)
55 4八金(58)
56 2四歩(23)
57 1八香(19)
58 9四歩(93)
59 1九玉(28)
60 7二飛(82)
61 6四歩(65)
62 同 歩(63)
63 7五飛(76)
64 8二飛(72)
65 7二歩打
66 8四飛(82)
67 7一歩成(72)
68 7四歩(73)
69 7六飛(75)
70 6五歩(64)
71 6四歩打
72 同 角(42)
73 6五銀(56)
74 7五歩(74)
75 6六飛(76)
76 5五角(64)
77 8一と(71)
78 6四歩打
79 9一と(81)
80 6五歩(64)
81 同 飛(66)
82 6四銀打
83 6九飛(65)
84 7七角成(55)
85 同 桂(89)
86 7八角打
87 6二角打
88 6九角成(78)
89 8四角成(62)
90 4六歩(45)
91 7四馬(84)
92 4七歩成(46)
93 同 金(48)
94 5五銀(64)
95 6二飛打
96 7九飛打
97 4一馬(74)
98 4二歩打
99 4八香打
100 4五桂(33)
101 5六歩(57)
102 5三銀(44)
103 6一飛成(62)
104 6四銀(55)
105 4六歩打
106 5七桂成(45)
107 同 金(47)
108 6八馬(69)
109 4七金(57)
110 7七馬(68)
111 4五桂打
112 4九飛成(79)
113 6五歩打
114 9九馬(77)
115 6四歩(65)
116 3一香打
117 6三歩成(64)
118 4四銀(53)
119 5二と(63)
120 3三銀(44)
121 6六歩打
122 2五歩(24)
123 3三桂成(45)
124 同 金(43)
125 4二と(52)
126 2六歩(25)
127 3二と(42)
128 同 金(33)
129 2四銀打
130 投了
まで129手で先手の勝ち



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20170722今日の一手(その543);寄せのセオリー(10)

2017-07-22 | 今日の一手

20170722今日の一手

2013年2月の東海団体リーグから、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂桂と銀銀歩の交換で(歩はカウントしませんが)竜を作り合っています。先手の駒得ですが、終盤なのでこれくらいの差は考慮しなくてよいです。
玉の堅さは(相手の駒がないとして)同程度。
先手の攻め駒は42竜と持ち駒角金銀銀香で6枚。十分すぎます。
後手の攻め駒は99竜と持ち駒金桂桂桂で5枚。これも十分です。

総合すれば互角です。

終盤の寄せ合いでは何手分で詰めろになるか数えたほうが正確です。
後手玉は62銀なら詰めろ。現状は2手すきです。先手玉は88竜78香77金59玉67金で詰めろ。77金に57玉として67金同玉66銀58玉78竜49玉、ここで37歩とかでも詰めろにならず、現状は4手すきです。(かなり難しいですが。)
先手番なので2手勝っていることになるのですが本当でしょうか?まあ2手分かけて64歩~63銀でも詰めろなので先手有利なのは間違いないでしょう。


☆ 大局観として
元は後手の中飛車で角交換になり、先手の私は位取りで対抗です。中盤でしくじって不利だったのですが、桂馬で後手の守りの金銀を削る展開になり、逆転しました。64桂で72の銀を取って、63の角で取り返された、という図です。

読み切れば大局観は必要ないですが、まだ変化が多いです。寄せのセオリーで考えていきましょう。
厳しい手から考える
小さな駒から使う
でしたね。


× 後手玉を直接狙うのが一番厳しいわけですが、すぐの王手は意味がないです。2手かける85歩~84歩は88竜

が攻防になるのでだめですね。


× 74歩もまあまあ厳しい手ですが

88竜の王手に59玉は57桂で詰めろ。

後手玉に詰み筋はないです。

88竜には78香と合駒をして77金

57玉67金同玉66銀58玉78竜49玉

先手玉はまだ詰めろがかかりにくいですが、78竜が攻防の位置で後手有利です。

77金に59玉と逃げて

79竜69歩68金49玉69竜38玉26桂

これはぴったり詰んでしまいます。

78に持ち駒の銀を使うという変化もありますが、後手玉が詰まない+72の角が寄せに働く という状態なので74歩では勝てないようです。


○ 55角は次に74歩の狙いで

また、竜取りですし、88竜も避けているという攻防の手です。66金には同銀同歩73角成

で詰みがあります。

後手は19竜として

66香を狙うくらいか。これには74歩よりも74銀71桂62銀

と、83と73の地点を両方狙う寄せのほうが速いです。これは先手勝ち。


○ 次は72の角を狙う手で63銀

88竜78香77金59玉79竜69歩67金

72角の利きが止まっているので68金からの詰み筋がない、よって詰めろをかけてきます。ここで
72銀成同金71銀同玉53角

で合駒が悪くて後手玉が詰みます。(この詰み筋がない時は49玉から早逃げで有利か。)


△ 実戦は62銀と打ったのですが

これは61金を狙ったというよりは、71角からの詰み筋を見ているので、後手玉を直接狙った厳しい手、として先に考えるのかもしれません。前の63銀も詰み筋があるので同等の厳しさですが。
さて、これは62同金同竜61金と受けられるのが難点で、65竜と引いて上部脱出できるからよさそうだと思ったのですが、53桂

であまり状況は変わっていません。やむなく61竜同角62金

と詰めろをかけたのですが、実は76桂から先手玉に詰みがありました。それを逃してもらって、59銀57玉48銀不成同玉49飛37玉72金

ここで63歩が冷静だった(詰めろ)のですが、61金19竜に54角が攻防、と思ったら25桂

で詰みがありました。(54角ではなく45歩なら難しい。)四転くらいはしている面白い終盤ですが、時間がないとわかりませんね。


△ 64香は次に61香成で詰めろ。61の金を狙っているので厳しさが劣ります。

88竜に78銀打77金59玉78金(詰めろ)同銀同竜63金

ただし61香成では後手の角の利きが残っているので詰まされてしまいます。角筋を止めれば先手玉に詰みはなく、後手玉は詰めろ。だから後手は52歩など受けに回って、持ち駒が替ってくるとどうなるか、ということで形勢不明です。


△ どのみち61香成とできないなら63香から

62金とか



○ 63歩から

62金とか

でもほぼ同じことです。どれも形勢不明です。

ただし歩を打っておくと78香

の合駒はできます。77金に59玉は79竜

で歩を打てず、角か銀を合駒に使うのは嫌ですね。

77金には57玉として

67金同玉66銀58玉78竜49玉

で後手は詰めろがかからず、72角の筋も止められています。桂香しかないわけで、これは先手勝ちに近いです。


寄せのセオリーをテーマにした今日の一手は何度も出題しましたが、終盤の寄せ合いになったら、強力な武器になります。

85歩や74歩はリスクが小さく(歩しか渡さない)後手玉に迫れます。この場合は後手の竜が攻防の位置に移動することができるのでうまくいきませんでした。

63銀や62銀は詰めろでした。63銀は角の利きを止めているし、詰めろかどうか読み切れなくても詰み筋はあるわけですから、かなり有力な候補です。
62銀はまだ後手に受けが利くのが難点で、取ってはじかれると逆転していそうです。もう少し駒があると62銀同金同竜61金に71銀や角で詰み筋があるかもしれないのですが。

55角は大きな駒ですが、竜取りで受けにも利きますから、一番わかりやすいです。もう一枚もらえば詰みもあります。

64香から63金(あるいは銀)、64歩から63金(あるいは銀)というのも角筋を止めているのでまあまあです。先に63銀(あるいは63金)でも良いわけで、それから64歩や64香が必要か考えるほうが普通だとは思いますが。
この時には78香や69歩という合駒ができなくなるので、どちらを打つかというのは読まないとわからない(実戦なら指運)です。

同じようでも63歩から62金を狙うと、78香の合駒で勝ちではないか、という面白い結論でした。

変化を全部考えると膨大ですが、あくまでセオリーの順に考えて、勝ちが見つかればその先は打ち切ってよいです。

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