名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

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大山将棋研究(586);四間飛車に55角~玉頭位取り(米長邦雄)

2017-07-20 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番米長先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170720

昭和56年3月、米長邦雄先生と第30期王将戦第5局です。

昨日並べた将棋に続いて大山先生の四間飛車に米長先生は55角です。今回は先手陣は持久戦用の形から。

67銀の形なのが違います。角を追われて

角頭を狙う動きで千日手模様。大山先生が千日手を狙うのは珍しいのですが

米長先生から手を変えました。玉頭位取りです。

2筋は謝ったものの、位取りの陣形が整っていきます。

大山先生が5筋の歩を交換すれば

米長先生も6筋の歩を交換します。

大山先生は3筋を狙い

米長先生は端を攻めます。でもなぜ93歩ではないのかがわからないです。*93同玉で続かないと見たのでしょう。

今度は93同玉に35歩同飛66銀34飛95香94歩35歩という筋があります。37歩など反撃はあっても玉の位置が怖いわけで

93同香に94歩から香を取りに行きました。

大山先生は3筋を突破しました。

先手玉にも手がついて

飛車を成り

竜を引きます。

米長先生の攻めがどれだけ厳しいか。

72歩が普通の受けですが、大山先生は65桂を取って

桂馬で受けます。互いの玉頭なので強い受けを選びました。

どうやら玉頭戦は米長先生が優勢で

馬を作り合いも先手のほうが厳しそうです。

米長先生の追いかけ方が悪かったようで、大山先生の玉が動き出して

捕まえにくくなっていきます。59飛が働いたら寄り筋もあったのですが、先手玉もすぐに王手がかかるので難しかったのでしょう。

これでほぼ後手玉が捕まらず

先手玉も逃げ出して、相入玉の点数勝負です。

飛車を打って35金からの馬の素抜きとか

角の捕獲があって、入玉の将棋でも見所はあるのですが

米長先生の点数がたりません。投了図。

ずっと難解な形勢で、玉頭戦で互いの玉の堅さが変動するために形勢判断も難しいです。玉を逃げ出しての大山先生の勝ちパターンが見られました。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄9段
後手:大山王将
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5八金(49)
12 7二銀(71)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 5六歩(57)
16 7一玉(62)
17 6八銀(79)
18 4三銀(32)
19 5七銀(48)
20 6四歩(63)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 3六歩(37)
24 8二玉(71)
25 5五角(88)
26 6三銀(72)
27 1六歩(17)
28 1四歩(13)
29 6六歩(67)
30 5二金(41)
31 6七銀(68)
32 3二飛(42)
33 7七桂(89)
34 5四歩(53)
35 3七角(55)
36 4二角(33)
37 2六角(37)
38 2二飛(32)
39 3七角(26)
40 3二飛(22)
41 2六角(37)
42 2二飛(32)
43 3七角(26)
44 3二飛(22)
45 2六角(37)
46 2二飛(32)
47 4八角(26)
48 3二飛(22)
49 3八飛(28)
50 2二飛(32)
51 7五歩(76)
52 2四歩(23)
53 同 歩(25)
54 同 飛(22)
55 2六歩打
56 4五歩(44)
57 2八飛(38)
58 3三桂(21)
59 7六銀(67)
60 7二金(61)
61 6七金(58)
62 4四銀(43)
63 3八飛(28)
64 5五歩(54)
65 同 歩(56)
66 同 銀(44)
67 5六歩打
68 4四銀(55)
69 6五歩(66)
70 同 歩(64)
71 同 銀(76)
72 2一飛(24)
73 3七角(48)
74 6四歩打
75 7六銀(65)
76 2四飛(21)
77 5九角(37)
78 3五歩(34)
79 8八玉(78)
80 3四飛(24)
81 3五歩(36)
82 同 銀(44)
83 9五歩(96)
84 同 歩(94)
85 9四歩打
86 5八歩打
87 6八角(59)
88 3六銀(35)
89 9三歩成(94)
90 同 香(91)
91 9四歩打
92 同 香(93)
93 8五銀(76)
94 3七歩打
95 4八飛(38)
96 6五歩(64)
97 7四歩(75)
98 同 銀(63)
99 9四銀(85)
100 2七銀成(36)
101 5八飛(48)
102 3八歩成(37)
103 7六香打
104 6三銀(74)
105 9五香(99)
106 2九と(38)
107 6五桂(77)
108 9六桂打
109 7七玉(88)
110 7四歩(73)
111 3五歩打
112 同 飛(34)
113 6六銀(57)
114 3九飛成(35)
115 5九飛(58)
116 3四龍(39)
117 7三歩打
118 6二金(72)
119 6四歩打
120 同 角(42)
121 5五歩(56)
122 7三桂(81)
123 5四歩(55)
124 同 銀(63)
125 7四香(76)
126 6五銀(54)
127 9三銀成(94)
128 7二玉(82)
129 6五銀(66)
130 5三桂打
131 6六銀打
132 6五桂(53)
133 同 銀(66)
134 5五歩打
135 8五桂打
136 6三金(52)
137 5七角(68)
138 9七角成(64)
139 8三成銀(93)
140 同 玉(72)
141 9三角成(57)
142 7二玉(83)
143 7三香成(74)
144 同 金(63)
145 5四桂打
146 6三金(73)
147 9四馬(93)
148 8三歩打
149 7三歩打
150 6一玉(72)
151 8三馬(94)
152 5二玉(61)
153 6二桂成(54)
154 同 金(63)
155 7二歩成(73)
156 5三金(62)
157 3五歩打
158 同 龍(34)
159 7四馬(83)
160 4三玉(52)
161 9八歩打
162 8八馬(97)
163 8六玉(77)
164 2六龍(35)
165 4六歩(47)
166 同 龍(26)
167 7五玉(86)
168 6六銀打
169 8四玉(75)
170 6七銀成(66)
171 6四銀(65)
172 4四金(53)
173 5八金(69)
174 6六馬(88)
175 7三玉(84)
176 3四玉(43)
177 4七金打
178 5八成銀(67)
179 4六金(47)
180 5九成銀(58)
181 3六飛打
182 2五玉(34)
183 3五金(46)
184 同 金(44)
185 6六飛(36)
186 1九と(29)
187 5五銀(64)
188 7八飛打
189 8二玉(73)
190 5三金打
191 9二馬(74)
192 6三香打
193 9六飛(66)
194 7六銀打
195 6二角打
196 5二香打
197 5四歩打
198 8五銀(76)
199 5六飛(96)
200 6一金打
201 同 と(72)
202 7二金打
203 8一玉(82)
204 6二金(72)
205 同 と(61)
206 6九香成(63)
207 5二と(62)
208 3六歩打
209 5三歩成(54)
210 1六玉(25)
211 4四銀(55)
212 2六金(35)
213 3三銀(44)
214 3七歩成(36)
215 8九金打
216 2八飛成(78)
217 7八金打
218 6八成香(69)
219 8八金(78)
220 7八歩打
221 5五飛(56)
222 7六銀(85)
223 4五飛(55)
224 3六角打
225 4六金打
226 4五角(36)
227 同 金(46)
228 1七玉(16)
229 5四角打
230 6七銀成(76)
231 8六歩(87)
232 7九歩成(78)
233 同 金(89)
234 同 成香(68)
235 9七金(88)
236 7八龍(28)
237 6二と(53)
238 1五歩(14)
239 2二銀(33)
240 7六歩打
241 8五歩(86)
242 7七歩成(76)
243 9三香成(95)
244 1六歩(15)
245 1一銀成(22)
246 8九飛打
247 6三角成(54)
248 8七と(77)
249 投了
まで248手で後手の勝ち
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20170720今日の一手(その542);力をためる(2)

2017-07-20 | 今日の一手
20170720今日の一手

2013年2月の東海団体リーグから、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。後手は持ち歩がないのでカウントします。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。銀冠に比べて一路違うだけですが、先手の囲いはかなり見劣りがしますね。
先手の攻め駒は54銀45桂と持ち駒角で3枚。
後手の攻め駒は73角1枚で、33桂は交換になりそうなのでもう一枚プラスか。

総合すれば互角か先手が指しやすいです。

☆大局観として
元は先後逆で、角交換四間飛車です。銀交換して銀を打ちあい、自陣角でけん制されたけれど54の歩を取って(41から)42金で守られたという流れです。

駒得なので持久戦で良し、とするのが一つの考え方。玉を固めておけば状況は良くなります。
攻め駒は3枚、29飛も使って4枚で攻めようというのもあります。玉は薄いけれど攻撃力でカバーするわけです。

後手からはたいした手がないのでまだ余裕があります。


△ 33桂成が普通の手で

33同銀65桂64角53桂成同金同銀不成

53同角に55角64角33角成38銀22馬29銀不成

という飛の取り合いは29銀が遊んでいるので先手が良いです。

多分王手飛車を避けて73角

なのでしょう。こうなるなら53銀成なのかもしれません。ここでどう攻めるか、銀は成るべきか、というのがはっきりしませんが、駒得は拡大しているし、問題図よりも味が悪くなっているわけでもないですから、先手よしです。


× 31角がぱっと見える手でしょうか。

4年前の将棋なのであやふやですが、対局中にこういう角は考えていないはず。32飛42角成同飛53桂成

で調子が良いようなのですが、53同銀同銀不成38角39飛47角成42銀不成25桂

角桂と飛銀の交換で馬を作られています。あまり駒得でもないし、玉が薄くて寄せ合い勝負というのは歓迎できないです。まだ指せないことはないのですが。


△ 24歩同歩31角というのはあり得ます。

32飛42角成同飛24飛

駒損ですが飛をさばいて攻め駒4枚。45桂同歩33銀23飛成22飛

33竜29飛成

これは2枚換えなので(終盤の2枚換えなので特に)先手よしです。

後手は45銀と取って

45同歩に19角成

と指すのが良さそうで、これは何とも言えません。馬を引き付けると後手玉がかなり堅くなりそうです。


△ 61角は21飛とされると

43銀成や角成は38銀や角を与えます。72角成同銀56金

駒を損して(まだ角と金歩の2枚換えですが)後手玉を薄くした、という図で形勢は互角です。


△ 65角は64歩

で43銀成は45銀

ではっきり悪いです。(65歩44成銀~33桂成が狙いでしたが)

もっとも64歩に56角

ならばこれから。角を手放しましたがおあいこで、73角の利きが止まったと主張します。


△ 実戦は手筋っぽく35歩としたのですが

45桂同歩35銀

手順にかわされて持ち歩を与えました。65桂64角53桂成同金同銀不成同角

ここで55角を打ちたくなりますが、64角22角成38銀79飛47銀成

で自信なし。

そこで56金

とためて、73桂54金71角33角12飛24歩同銀55角成

という進行です。悪くないようでも後手から64桂で攻められて雲行きが怪しくなり、力負けしました。54金は打たないほうが良かったようです。
少しずつ損をして形勢が悪くなっていった将棋でした。


△ 後で56金とするなら先に56金のほうが含みがあるわけで

前回もやりましたが力をためる手です。駒取りを避けて陣形を整えておくわけです。45桂同歩55銀に65桂

64角55金同角31銀

32飛42銀成同飛53桂成

で飛車を逃げて63成桂が実現すれば有利です。

後手は31銀に64金

が粘りのある手で、22銀成54金21飛85桂51飛成

かなり食いつかれている感じですが、51竜も強力なので難しい勝負です。


○ さらに力をためたのが56歩。

56金だと55に銀を出られる変化があるので歩を突いておきます。45桂同歩33銀に55桂51桂57金寄

2手かかりましたが、38銀や角の筋を避けて、先手玉が堅くなりました。後手は1歩持てば53歩がありますが、その前に61角とか、35歩同歩24歩同歩34歩同銀31角とか、玉の堅さが上がったので強い手段が可能です。


☆ まとめ
歩切れのために、後手からあまり厳しい手がないので、先手には余裕があります。

攻めるなら24歩同歩31角ですが、駒損ですし、飛車をさばいても47金が離れ駒、という場合には自重したほうが良い手でしょう。

33桂成から65桂64角53桂成というのは取れば55角が王手銀取りです。33銀と22飛が取れるなら十分です。ただ53銀不成を取らない時にどうするのか、先手よしは間違いないのですが案外に難しいです。

実戦の35歩も(35歩を45桂同歩35銀とかわされる感触が悪いのですけれど)同じような筋で王手飛車になるので指したくなるのですが、後手からも38銀と打つことができるので、無条件で駒得になるわけではありません。先に桂を捨てているわけですから2枚換えしているようなものです。
そこで王手飛車を打たずに56金と両取りを避けておいたのが実戦ですが

それなら先に56金としておくものなのです。

実はさらに力をためて、56歩から57金寄が一番良い手です。後手から55銀とぶつけられるのを避けてもいます。歩得した筋の歩を突きだすのは好手になりやすいというのも覚えておきましょう。
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