名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋問題集 20190101

2019-01-01 | 大山将棋研究
先手番大山先生の手を考えます。

第1問


3筋を押さえこまれました。反撃はどこから?
A 55歩 B 65歩 C 24歩

第2問


こういう手は逃してはいけません。
A 23歩成 B 88玉 C 56歩

第3問


どこを攻めますか?
A 66歩 B 44歩 C 86香

第4問


両取りに打たれました。受け方は?
A 79金 B 46角 C 65飛

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大山将棋研究(1117);陽動三間飛車(升田幸三)

2019-01-01 | 大山将棋研究
今日の棋譜20190101
昭和38年10月、升田幸三先生と第2期十段戦第1局です。
この将棋はなぜか大山康晴全集から抜け落ちています。将棋DB2から探してきました。

銀矢倉のような矢倉模様の序盤で、4筋6筋を突き合うのがまだ当時の主流でした。

升田先生は陽動三間飛車です。

当時は美濃囲いに戻す指し方があったかどうかはわかりません。升田先生は囲いきらないうちに動きました。端を受けずに動くというのは升田先生らしいです。

銀が進出して

3筋を押さえこめばまずまずというところですが

大山先生は中央から反撃するので難しい形勢です。それでも升田先生は46歩が打てて

中央を抑え込もうと頑張りました。

55金同銀同角45飛11角成47歩成は後手有利でしょう。

大山先生は端角でけん制したら、升田先生は強気に65歩。

パッと見は振り飛車十分なのですが、玉の堅さが違います。形勢は互角くらい。

大山先生は竜を作り

升田先生は自陣角を打ち桂をさばきます。78玉をにらんでいるので

いっぺんに終わりかねないところですが、88玉とできたので大山先生は一安心。

でも飛車取りで逃げ回るのでは面白くないと

飛車を見捨てて と金で攻めていきました。

駒損ではありますが

64桂と捨てて と金が使えました。

これで良い勝負です。

大山先生は63歩で と金つくりを目指せば、升田先生は飛車を打って受け

大山先生は竜飛交換から両取りをかけます。53角43金47歩成ならばすぐ終わりそうですが(後手がいいのかも)

升田先生は61飛と使ったので大山先生のほうが駒得で有利になりました。

駒柱ができる将棋はだいたいが熱戦です。

銀をはがして

銀を埋め、升田先生も粘ります。

大山先生が攻めて

升田先生が受けるという順が延々と続いていきます。

大山先生はなるべく手厚く切れないように攻め

升田先生はどうにか受けの手順をひねり出している感じです。根元の香を取りに行き

取った香で受け

銀には銀を合わせるのですが

この両取りはちょっと痛く、大山先生が指しやすそうです。

竜取りに銀打で返し

取り合ったところでは升田先生のピンチですが

飛車を切って

角をかわして58歩。大山先生は挨拶しても良さそうに思えますが

金を見捨て、61銀から72銀成で馬を取りました。

だけどまだまだ粘られて

飛車を打たれたら先手玉も安全ではないです。

46角は攻防の手で、57歩79金45歩、ここで63金打ならば寄ったのかもしれません。

63歩~62歩成だと

寄せ切ってはいませんね。よく見れば駒の損得はほぼなくなっています。玉の堅い分だけ先手有利か。

33銀を取れたので

一気に寄せに行きました。

清算して

受けの難しそうな詰めろ。でもここで68飛成が利いて

68銀65桂を取られては寄せのやり直しです。

再び詰めろ。94同歩93歩も詰みです。

升田先生は95桂から99銀で香を取り

両取りに角を打ち、まだ粘ります。

またも詰めろ。これで終わったかと思えば

怪しげな角打ちです。先手玉は詰めろではないようですが

今度は大山先生は自陣にしっかり手を入れて

危ない筋が消えました。

長い長い戦いがやっと終わりました。

249手、入玉が関係していないのですが2局分はある大熱戦です。お正月で暇があれば並べて楽しめます。
升田先生の受けは大駒を使ってしかりつけるような受け(責めなのだとおっしゃっていました)が特徴です。受けているのに派手な感じがします。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
開始日時:1963/10/23 9:00:00
棋戦:十段戦
戦型:陽動振飛車
持ち時間:10時間
場所:東京「将棋会館」
手合割:平手  
先手:大山康晴
後手:升田幸三
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 7七銀(78)
6 4二銀(31)
7 4八銀(39)
8 6二銀(71)
9 2六歩(27)
10 6四歩(63)
11 4六歩(47)
12 6三銀(62)
13 4七銀(48)
14 4四歩(43)
15 3六歩(37)
16 4三銀(42)
17 9六歩(97)
18 7四歩(73)
19 5八金(49)
20 5四歩(53)
21 5六歩(57)
22 3二飛(82)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 9五歩(96)
26 6二玉(51)
27 6八玉(59)
28 7二玉(62)
29 7八玉(68)
30 5二金(41)
31 6六歩(67)
32 8二玉(72)
33 6七金(58)
34 5一角(33)
35 3八飛(28)
36 2二飛(32)
37 2八飛(38)
38 3二飛(22)
39 1六歩(17)
40 3五歩(34)
41 3八飛(28)
42 3四銀(43)
43 3五歩(36)
44 同 銀(34)
45 6八銀(77)
46 3六歩打
47 5五歩(56)
48 4五歩(44)
49 同 歩(46)
50 5五歩(54)
51 6五歩(66)
52 4六歩打
53 5八銀(47)
54 5四銀(63)
55 6六金(67)
56 4二飛(32)
57 9七角(88)
58 6五歩(64)
59 4二角成(97)
60 同 角(51)
61 6七金(66)
62 3三桂(21)
63 2一飛打
64 5一金(61)
65 2三飛成(21)
66 1二角打
67 2二龍(23)
68 4五桂(33)
69 2四歩(25)
70 3七歩成(36)
71 同 桂(29)
72 同 桂成(45)
73 同 飛(38)
74 3六歩打
75 2七飛(37)
76 4五角(12)
77 8八玉(78)
78 2六歩打
79 1七飛(27)
80 5三角(42)
81 1一龍(22)
82 2五桂打
83 4二歩打
84 同 角(53)
85 2三歩成(24)
86 1七桂成(25)
87 3二と(23)
88 6四角(42)
89 5三歩打
90 同 角(64)
91 4一と(32)
92 6二金(51)
93 5一と(41)
94 4二金(52)
95 6一と(51)
96 7二金(62)
97 5一龍(11)
98 3七歩成(36)
99 6四桂打
100 同 角(53)
101 6二と(61)
102 6三銀(54)
103 7二と(62)
104 同 銀(63)
105 6三歩打
106 5二飛打
107 同 龍(51)
108 同 金(42)
109 6二歩成(63)
110 同 金(52)
111 3二飛打
112 6一飛打
113 3五飛成(32)
114 2七角成(45)
115 3四龍(35)
116 6三銀(72)
117 6六歩打
118 4七歩成(46)
119 6五歩(66)
120 5三角(64)
121 1七香(19)
122 5八と(47)
123 同 金(69)
124 3六馬(27)
125 5四歩打
126 同 銀(63)
127 6六桂打
128 6五銀(54)
129 5九金(58)
130 6三銀打
131 5四歩打
132 同 銀(65)
133 同 桂(66)
134 同 銀(63)
135 4四銀打
136 6四角(53)
137 4三銀(44)
138 同 銀(54)
139 同 龍(34)
140 7二馬(36)
141 6六香打
142 5二銀打
143 3四龍(43)
144 5三角(64)
145 6五銀打
146 4二桂打
147 3七龍(34)
148 5四桂打
149 3三龍(37)
150 6六桂(54)
151 同 金(67)
152 6三香打
153 6四歩打
154 同 香(63)
155 同 銀(65)
156 同 角(53)
157 6五銀打
158 5三角(64)
159 7四銀(65)
160 7三銀打
161 同 銀成(74)
162 同 金(62)
163 6五桂打
164 4四銀打
165 4三銀打
166 3三銀(44)
167 5二銀成(43)
168 5四桂(42)
169 5五金(66)
170 6五飛(61)
171 同 金(55)
172 4四角(53)
173 7七香打
174 5八歩打
175 6一銀打
176 5九歩成(58)
177 7二銀成(61)
178 同 金(73)
179 5四金(65)
180 7三金打
181 6四桂打
182 同 金(73)
183 同 金(54)
184 5八飛打
185 4六角打
186 5七歩打
187 7九金打
188 4五歩打
189 6三歩打
190 4六歩(45)
191 6二歩成(63)
192 同 角(44)
193 同 成銀(52)
194 同 金(72)
195 3一飛打
196 7一桂打
197 5一角打
198 6一歩打
199 3三飛成(31)
200 7二銀打
201 7四銀打
202 7三歩打
203 6三歩打
204 5二金(62)
205 7三金(64)
206 同 桂(81)
207 同 銀成(74)
208 同 銀(72)
209 同 角成(51)
210 同 玉(82)
211 6五桂打
212 8二玉(73)
213 6二歩成(63)
214 6八飛成(58)
215 7八金打
216 6五龍(68)
217 7三銀打
218 9二玉(82)
219 7二と(62)
220 8三金打
221 9四歩(95)
222 9五桂打
223 同 香(99)
224 9九銀打
225 同 玉(88)
226 9五龍(65)
227 9七桂打
228 8一香打
229 同 と(72)
230 5五角打
231 3二龍(33)
232 7三角(55)
233 5二龍(32)
234 6二歩(61)
235 7二金打
236 9四歩(93)
237 9三歩打
238 同 玉(92)
239 7三金(72)
240 6四角打
241 7五香打
242 8五桂打
243 8八金(79)
244 9七桂成(85)
245 同 桂(89)
246 9六桂打
247 8三金(73)
248 同 桂(71)
249 7一角打
250 投了
まで249手で先手の勝ち



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20190101今日の一手(その808);自然な攻め

2019-01-01 | 今日の一手

20190101今日の一手

9月16日の名南将棋大会から、HさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
問題図の前、仕掛けから見てみます。

四間飛車に35歩の突き捨てからななめ棒銀の急戦です。しかし右46銀でななめ棒銀に出るのは、藤井システムの時くらいなのです。46銀~35歩というのが正しい指し方です。

35同歩に46銀36歩26飛。飛車を浮いて3筋の歩の突き出しに備える(16歩も働いている)というのは部分的には正しい指し方なのですが、やはり3筋が薄いです。左銀が48にある方が良いのです。
後手としては32飛35銀45歩

先手の3筋が薄いので、3筋に飛車をまわってさばくというのが強烈な反撃になったはず。

実戦は45歩で

こう指すのは32銀型の時です。33角成同桂35銀22飛

22飛のところで64角を打てばまあまあ指せていたはずです。ここから66角32飛24歩同歩同飛53角と進んだのが問題図です。

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損ですが持ち歩があるので損得なしと見ます。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は24飛66角で2枚、これに35銀が加わるかどうか。もう一つ前に出れば攻め駒です。
後手の攻め駒は53角1枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
2人とも棋力は同じくらい(名南将棋大会は少人数のクラスに分けています)ですが、振り飛車党というのは案外に定跡に詳しくないもので、居飛車が定跡を研究してあれば(初段前後までは)有利になりやすいものだと思います。居飛車党は1つの定跡だけ詳しければよいわけですから。
互いの序盤がぎこちなくて、現在は形勢互角です。
急戦の将棋は居飛車の玉が薄くて攻撃力があります。右辺の戦いで互角よりは少し得をできるかどうかというのが勝敗につながります。この場合は48銀ではなく79銀なのですから先手の玉が少し堅いです。端攻めを考慮すれば美濃囲いに劣らない場合もあります。79銀よりは68銀のほうが少し堅いかもしれません。(と中原先生がどこかで言っていました。)
さて局面は銀取りですから、取らせるか逃げるかひもをつけるか。順番に見ていきますが、形勢互角以上ならば自然な手を心がける方が良いです。


○ 34銀が一番自然でしょう。

銀を逃げながら攻め駒に使えるわけですから。34同銀同飛22飛24歩

飛車の成り合いではまずいので24歩を打っておきます。43金33飛成同金同角成

までは必然に近いと思います。33に竜を残すと44角打があるので飛車から行くのが正しいです。これで後手の飛車は逃げるところに困ります。62飛65桂26角53銀

飛車を取り返せば(歩切れが面白くないですが)先に桂を取っている形です。馬を守りに使えるのでまあまあの形勢です。


△か× 44銀だと

44同角同角同銀同飛22飛24歩43銀

これは先手の失敗です。

銀を取り返さずに21飛成として後手は43銀と打ち

34歩25桂同飛34飛

このくらいのわかれです。銀歩歩と桂の交換で竜を作っているのは駒得とは言えず、振り飛車ペースですがまだ戦えなくはないです。

あるいは44銀を同銀として同じような順になるかもしれません。

どちらの図が良いかは後手が選べるし、少し後手が良いのでしょう。


○ 26銀はおかしな感じがしますが

とりあえずは銀にひもがつきました。37歩成に備えているという意味もあります。21飛成は避けにくいので後手は42金。34歩22歩では先手の飛車が狭いので、21飛成12飛

桂香を取らせないように受けて、15銀(か17銀かも)32銀27竜

互いに我慢し合います。先手は竜を作っただけ駒得で、43金36竜35歩・・・というような長い戦いになりそうです。


× 57角も銀にひもをつけていて

たまに見る筋ではありますが、37歩成同桂36歩21飛成37歩成34銀

31飛(か31歩か)同竜同角43銀成同金41飛42角34歩

うまく攻めているようでも27飛~47と が厳しいので後手が指しやすいか。


△か× 実戦は34歩でした。

35角23飛成22歩

と進んだのですが、22歩では22銀として33歩成23銀32と同銀左

ならば後手有利でした。

戻って22歩から

33竜同飛同歩成28飛

ここで43と57銀52と58銀不成同金同飛飛成68金同角成同銀69金

と進むと後手の1手勝ちなので

68銀と受けて

後手は43銀を逃げきれないので形勢互角に近いのですが、角の働きに差があり、37歩成もあるので後手が指しやすいです。

最初のほうに戻って、34歩35角の時に23飛成ではなく21飛成

とすれば23飛成22銀という変化を回避できます。44銀打33歩成同飛

互いの角や竜の位置に違いはありますが、銀歩歩と桂の交換で竜を作っているという図です。どれも後手もちの変化だと思います。


△か× 最初に21飛成として

35角34歩でも同じことです。


☆ まとめ

形勢が悪くなければ自然な手を考えた方が良いというのが基本だと思います。
44銀が思い浮かぶかもしれませんが、後手が待ち構えているところでしょう。角銀の総交換は先手玉の薄さが目立ってしまいます。(飛車を取られる変化もありそうでした。)
であれば34銀が自然な攻めで、後手の53角の目標が消えるのです。

形勢が思わしくないと感じていたならば、26銀と引くのが粘りの手です。34歩と21飛成を楽しみにして、不利な変化がないことを確認して指します。

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