今日の棋譜20190122
昭和39年2月、升田幸三先生と第3期棋聖戦第4局です。

5筋を突き合う新しい矢倉かと思ったら、大山先生は66銀と出て

力戦中飛車です。26歩はついていないので陽動中飛車とは呼ばないでおきましょう。升田先生は32金とする必要はなかったのですが、62銀~53銀左は嫌だったのでしょうか。

中央の歩交換には銀をぶつけます。4段目で交換すれば後手の2手得なのです。

大山先生は銀を引いて駒組みです。74歩~73桂を許さず75歩を突いて

中央の位も取らせず

欲張った感じではあるのですが、先手玉のほうがしっかり囲えているから指せるのです。

升田先生は玉頭位取りに切り替えたかというところですが、63金と離れているから良い形ではありません。作戦負けでしょう。

3,8,7筋の歩を突き捨てて36銀、1歩手に入れて

76歩を打ちます。でも後手玉が堅くないので動き過ぎです。

8筋が破れたらよかったのですが、大山先生の75銀が好手です。

角交換から57角も66角と合わせればよく

79角成と11角成では大違いです。

大山先生は89桂を取られても香を打ち

桂を取ってもまた香を取られ、なかなか駒得にならないのですが、11香を取っているというのが大きいのです。玉の堅さが大きく違います。

6筋の歩を伸ばしていき、54飛の受けにも

64歩の取り込みが利きました。飛車をまわって6筋を破ります。

升田先生は22金~21金で馬を殺します。大山先生は21同馬から二枚換えでも良いですが

金馬の取り合いから63飛成。

と金を使って

銀を取って44歩。きれいに寄せますね。

詰み筋に入り

ここまで。
升田先生にしては珍しい作戦負けで、無理に動いたら悪くなりました。そういう棋風なのですが。棋聖戦は升田先生のために作られたような棋戦ですが、一度も取れませんでした。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
開始日時:1964/02/07
手合割:平手
先手:大山棋聖
後手:升田幸三9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 6八銀(79)
4 3四歩(33)
5 7七銀(68)
6 5四歩(53)
7 5六歩(57)
8 4二銀(31)
9 6六銀(77)
10 3二金(41)
11 5八飛(28)
12 4一玉(51)
13 4八玉(59)
14 6二銀(71)
15 3八玉(48)
16 8五歩(84)
17 7七角(88)
18 5三銀(62)
19 5五歩(56)
20 同 歩(54)
21 同 銀(66)
22 4四銀(53)
23 6六銀(55)
24 5二金(61)
25 2八玉(38)
26 6四歩(63)
27 3八銀(39)
28 6三金(52)
29 7五歩(76)
30 3一玉(41)
31 4六歩(47)
32 5五歩打
33 4五歩(46)
34 同 銀(44)
35 5五銀(66)
36 5四歩打
37 6六銀(55)
38 3五歩(34)
39 5九金(69)
40 3六歩(35)
41 同 歩(37)
42 8六歩(85)
43 同 歩(87)
44 7四歩(73)
45 同 歩(75)
46 3六銀(45)
47 3七歩打
48 7六歩打
49 8八角(77)
50 2五銀(36)
51 7五銀(66)
52 8八角成(22)
53 同 飛(58)
54 5七角打
55 6六角打
56 7九角成(57)
57 1一角成(66)
58 3三桂(21)
59 4八飛(88)
60 8九馬(79)
61 8五香打
62 5二飛(82)
63 8一香成(85)
64 9九馬(89)
65 6六歩(67)
66 5五歩(54)
67 6五歩(66)
68 5四飛(52)
69 6四歩(65)
70 6二金(63)
71 6八飛(48)
72 2二金(32)
73 6三歩成(64)
74 2一金(22)
75 6二と(63)
76 1一金(21)
77 6三飛成(68)
78 3四飛(54)
79 5二と(62)
80 4五桂(33)
81 4二と(52)
82 同 玉(31)
83 4四歩打
84 5六歩(55)
85 4三歩成(44)
86 3一玉(42)
87 3二金打
88 同 飛(34)
89 同 と(43)
90 同 玉(31)
91 4一銀打
92 同 玉(32)
93 4三龍(63)
94 4二歩打
95 5三桂打
96 3一玉(41)
97 4一飛打
98 投了
まで97手で先手の勝ち