先手番大山先生の手を考えます。
第1問
歩切れになったのでゆっくりはしたくないです。
A 16香 B 35香 C 54歩
第2問
何かありそうな局面です。
A 43香 B 33角成 C 37桂
第3問
きれいな寄せがありました。
A 62成香 B 61桂成 C 71竜
先手番大山先生の手を考えます。
第1問
歩切れになったのでゆっくりはしたくないです。
A 16香 B 35香 C 54歩
第2問
何かありそうな局面です。
A 43香 B 33角成 C 37桂
第3問
きれいな寄せがありました。
A 62成香 B 61桂成 C 71竜
今日の棋譜20191108
昭和45年6月、内藤国雄先生と第16期棋聖戦第2局です。
内藤先生の三間飛車です。相振りでもなんでもさせるタイプ。
大山先生は相振り飛車は指さないので居飛車、6筋の位を取ります。
角交換にはならず、87玉型の駒組です。
内藤先生はやっと飛先の歩を切りますが
石田流にしたところで79角はわかりやすい対応策です。
内藤先生は35歩を打ちたくなくて、駒組を進めていましたが、とうとう謝りました。
13角とできたのですが、26飛~16歩を見せられてちょっと失敗した感じです。こうなるなら31角~53角のほうが良い気がします。
31角(1手パスになった)に、大山先生は16歩同歩36歩の仕掛けです。36同歩16香15歩35歩14飛、そこで36飛か66角か24歩か、というのは互角の戦いです。
内藤先生はひねって46歩同角75角。これは作戦失敗だと思っていたのでしょうか。自然な手ではないので少し悪そう。
大山先生は35歩から36飛で39角成を防ぎ
端攻めでした。85銀の応援が利くので
95同歩93歩を取れず、84歩に95香。ややリードです。
内藤先生は74銀や96歩でけん制して
大山先生は先に香を取り
取り返される間に何か手があればよくなりますが
落ち着くならば形勢は互角です。
64歩62歩を利かせて68金右。駒損でも16飛があります。
64飛に34歩。飛交換は大山先生のほうが良いでしょう。
34同金(ではなくて65香はあったか)65歩44飛54歩。54同飛には55香44飛53香成同角44角で、金か桂を取り返せます。
55歩が手筋で同角54飛。大山先生は58香を打ち33角成のねらい。
内藤先生は目標になっていた金を使って飛を追います。
51香を打ち
香を交換したところでは互角といいたいのですが、25金が変なので先手が指しやすいか。
大山先生の43香は角をどかして33角成ねらいです。25金が浮いてしまいそうなので内藤先生は26香。となれば58飛とぶつけて
飛交換は妥当ですが、角取が残っています。内藤先生は両取りで飛を打ち
角金の取り合いは仕方ないでしょう。歩切れですが大山先生が少し駒得で、25金が遊んでいるので先手よし。(遊んでいるという評価を持ち出すと難しくなりますが、攻め駒が3対2です。)
大山先生は37桂36金を利かせて(損得は微妙)31飛
馬も作って十分です。内藤先生は37桂を取って95桂は98金ねらい。
68銀に56歩は2手すきになっていませんね(57歩成~68と が詰めろではない)、3手すき。
大山先生は一度馬を引いて47金に
53桂から52成香。61桂成~71成桂は詰めろなので3手すきか、ならば57歩成~68と のほうが速いかと見ていたのですが
69竜は98金77玉が詰まないので放置してもよさそうですが、大山先生はより手堅く56馬。
58金には71竜同玉91角が必至。こちらが正解でした。つまり52成香のところで後手玉は2手すき、後手の57歩成では寄せ合い負けだったのでした。
内藤先生は1局目を負けているのでちょっと慎重になっていたのでしょうか。やや悲観的になって、我慢のつもりがちょっとだけ形勢を損ねています。その差が寄せ合い1手負けにつながります。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1970/06/30
手合割:平手
先手:大山名人
後手:内藤国雄棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 3五歩(34)
5 6八銀(79)
6 3二飛(82)
7 5六歩(57)
8 6二玉(51)
9 6七銀(68)
10 4二銀(31)
11 6八玉(59)
12 7二玉(62)
13 7八玉(68)
14 8二玉(72)
15 4八銀(39)
16 5四歩(53)
17 6五歩(66)
18 4四歩(43)
19 5七銀(48)
20 5三銀(42)
21 9六歩(97)
22 9四歩(93)
23 6六銀(57)
24 5二金(41)
25 8六歩(87)
26 7二銀(71)
27 8七玉(78)
28 1四歩(13)
29 7八金(69)
30 3六歩(35)
31 同 歩(37)
32 同 飛(32)
33 2六歩(27)
34 3三桂(21)
35 3七歩打
36 3四飛(36)
37 7九角(88)
38 6四歩(63)
39 同 歩(65)
40 同 銀(53)
41 6五歩打
42 5三銀(64)
43 2五歩(26)
44 1五歩(14)
45 7五歩(76)
46 4五歩(44)
47 5八金(49)
48 6二銀(53)
49 5七角(79)
50 6三銀(62)
51 8八玉(87)
52 3五歩打
53 7七銀(66)
54 1三角(22)
55 2六飛(28)
56 3一角(13)
57 1六歩(17)
58 同 歩(15)
59 3六歩(37)
60 4六歩(45)
61 同 角(57)
62 7五角(31)
63 3五歩(36)
64 4四飛(34)
65 3六飛(26)
66 4三金(52)
67 7六銀(67)
68 5三角(75)
69 9五歩(96)
70 同 歩(94)
71 9三歩打
72 8四歩(83)
73 9五香(99)
74 7四銀(63)
75 5七角(46)
76 5五歩(54)
77 同 歩(56)
78 9六歩打
79 6六角(57)
80 4二角(53)
81 9二歩成(93)
82 同 香(91)
83 9三歩打
84 9七歩成(96)
85 同 玉(88)
86 9三香(92)
87 9四歩打
88 同 香(93)
89 同 香(95)
90 9三歩打
91 4六歩(47)
92 9四歩(93)
93 7五歩打
94 8三銀(74)
95 8八玉(97)
96 1四飛(44)
97 6四歩(65)
98 6二歩打
99 6八金(58)
100 6四飛(14)
101 3四歩(35)
102 同 金(43)
103 6五歩打
104 4四飛(64)
105 5四歩(55)
106 5五歩打
107 同 角(66)
108 5四飛(44)
109 5八香打
110 3五歩打
111 2六飛(36)
112 2五金(34)
113 2八飛(26)
114 2四飛(54)
115 5四歩打
116 5一香打
117 6六角(55)
118 5四香(51)
119 同 香(58)
120 同 飛(24)
121 4三香打
122 2六香打
123 5八飛(28)
124 同 飛成(54)
125 同 金(68)
126 5三飛打
127 4二香成(43)
128 5八飛成(53)
129 3七桂(29)
130 3六金(25)
131 3一飛打
132 3七金(36)
133 3三角成(66)
134 9五桂打
135 6八銀(77)
136 5六歩打
137 6六馬(33)
138 4七金(37)
139 5三桂打
140 7一金(61)
141 5二成香(42)
142 6九龍(58)
143 5六馬(66)
144 5八金(47)
145 7一飛成(31)
146 同 玉(82)
147 9一角打
148 投了
まで147手で先手の勝ち
20191108今日の一手
10月12日の名南将棋大会から、OさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損です。(序盤で不用意に損をしました。)持ち歩がないのでカウントして、先手の駒損です。
玉の堅さは同じようですが54銀と67銀の差があり、後手のほうが少し堅いです。
先手の攻め駒は26角と76飛の2枚。
後手の攻め駒は24角1枚。
総合すれば互角か後手もちです。
☆ 大局観として
先手の1歩損で作戦負け、持ち歩が欲しいので56歩を突いたら、後手から45歩と攻められました。一見してピンチです。33桂や54銀が攻め駒になるかもしれません。カウンター攻撃はより強力なのです。作戦負けを思えば56歩は突かない方が無難ではありましたが、じり貧になっていたかもしれません。
さてこの問題図は銀の位置の違い、後手に持ち歩があること(45同歩は46歩を打たれるかもしれない)、小さな差ですが美濃囲いVS左美濃のような囲いが同等である場合には大きな差になりやすいです。(この日は対抗型で左美濃が流行りました。)
先手が少し悪そうですから、普通の応手で良くはなりません。ちょっとひねるほうが良く、振り飛車の常識は脇に置いておきましょう。
☆ かんたんなまとめ
45同桂として
45同桂の時に放置して別の手を指します。駒損して放っておくのでちょっと不自然な手ですが、相手の攻めのリズムを崩します。
△か× 実戦は一番自然な45同歩です。
68角成も見えますが、46歩48金引45桂55歩
37桂成同銀45銀
妥当な攻防ですが、後手の銀が前に出てきました。44歩同金57桂35歩
銀は殺しましたが35歩は急所です。45桂同金56銀36金
36同銀同歩38歩35銀
振り飛車としてはおかしな感じはしないのですが、角を取られてしまうと、角桂と金銀歩2の交換で駒損、後手の攻め駒も多くてじり貧になってしまいました。4筋が壁なので後の端攻めが厳しかったです。
○ 45同桂ならば
45同桂で放置して62角成とできます。飛をぶつけられたら
ここでは玉の堅さが違いますから75歩で我慢です。84飛55歩同銀45歩
時間差で桂を取ります。68角成には58金
24馬56銀46銀
46同金同馬37銀打24馬47銀引
これくらいでやっと互角ですが、44桂のねらいはあります。
△ 55歩は銀取りで
55同銀に45桂同桂同歩68角成
56銀は46歩が嫌なので
もどって2つ前の図から58金24馬を入れて56銀
これは45同桂の変化と比べて、62角成としていないけれど、75歩を打っていない図です。馬を作るほうが大きそうなので、少し劣ります。
△か× 62角成は
馬を作って駒得と言えるかどうか。46歩57金45桂同桂同銀63馬
調子が良いようですが、54銀62馬44桂
攻防に桂を打たれてちょっと悪いです。55歩36桂29玉55銀37歩47歩成同金68角成
後手にうまい手順があり、劣勢になりました。
△か× 先に57金だとちょっと違います。
46歩に55歩同銀62角成
後手から45桂がなく、攻めにくいようですが桂頭に弱点があります。35歩63馬36歩同馬
馬を引き付けて良さそうなのですが、34飛35歩同飛
35同馬同角36歩24角
角飛交換ですが、61飛は72角~36飛が厄介、82飛は93角があります。58銀には78角
56歩と87角成を見られます。後手玉が堅いので飛をもらっても使いにくい図で、後手よしなのです。
△か× 48金引は46角が
余計な変化です。馬の作り合いも後手の位が大きそう。
△か× 58銀は
こういうのは56歩を突く前に指したい手でしたが、46歩57金45桂同桂同銀
56歩が厳しく、55歩と取っても56歩同金同銀44桂
銀を引いても先手玉が堅くなったとはいえず、不利になっています。
△か○ 66銀は
55歩で銀を殺すという催促です。46歩57金56歩同金47歩成同銀68角成
58金78馬55歩45銀同桂同桂67銀
先手陣がかなり乱れましたが、銀を打って駒得を目指します。これが案外難しい図で、あり得る手順でした。
46歩に46金引というのも一考すべきで
歩切れなので56歩には75銀94飛56飛
55歩76飛35歩
46飛45歩76飛74歩
74同銀75歩同飛36歩
桂を取られます。83銀不成37歩成同銀84飛72飛成35歩
やはりちょっと悪いですが、後手も歩切れなので大差ではありません。
☆ まとめ
ちょっと形勢が悪い時に有効な手筋があります。それはちょっと不自然な手です。
桂で取って、45同桂の時に放置して別の手を指します。
また、角を成られたときに銀をかわすのではなく金を左に上がるのも
ちょっと不自然ですよね。この方が中央に手厚いのです。
効率は良くなくても銀を打って粘るというのも少し悪い時には考えたいです。
形勢が良い時には、これらの手筋は外れです。変化を少なくして相手玉を寄せることを考える方が良いのです。